中小企業から見た人事労務の視点

小売業、社労士事務所勤務を経て中小企業総務部所属。
人事労務ネタ等を公開しています。

プレミアムフライデーの矛盾

2017年03月01日 | 人事労務ネタ
先週の金曜日からプレミアムフライデーが始まりましたね。

消費喚起という意味ではいい方向に働くかもしれないですが、中小企業が実施するには課題が山積みです。

今回は、プレミアムフライデーの矛盾点を論理的に考えてみようと思います。

特に、プレミアムフライデーに年次有給休暇の消化を充てるような場合です。

①時間単位有休の問題
まず、15時から終業時刻までを時間単位有休扱いにする場合はどうでしょう。
時間単位有休は、労使協定を締結した上で、年間で5日まで(1日所定が8時間の会社なら40時間まで)と決まっていて、それを超えると労基法違反になります。
毎月最終金曜の15時以降を時間単位有休扱いにすると、時間単位有休がプレミアムフライデーの為にほとんどなくなってしまい、現実的ではありません。
法律的にはギリギリセーフですが(終業時刻18時だとして毎月3時間、年間36時間だと5日=40時間に満たない)、時間単位有休の趣旨にそぐわないでしょう。
なお、時間単位有休は計画的付与の対象外なので取得の強制はできません。

②有休の計画的付与の問題
それではと、会社として午後をまるまる休みにして、半日有休扱いにするというのはどうでしょうか?
半日有休は通達ベースでOKとされているので、5日を超えても時間単位有休のように労基法違反とはなりません。
しかし、毎月強制的に午後有休扱いにすると、今度は計画的付与の限度にひっかかってきます。
有休の計画的付与(会社があらかじめ有休取得日を指定する)は、年間で5日を超える部分のみとされています(5日は自由に使わせろという趣旨)。
プレミアムフライデーすべてを計画的付与にする場合、具体的には付与日数が11日以上ないと成立しません。
つまり、会社を閉めて強制的に半日有休扱いも難しいという結論になります。

③それでは公休扱いにするか?
公休や特別有休扱いにする(休みの数そのものを増やす)の一部の大企業以外は難しいでしょう。
ただでさえ中小企業は人手不足です。給料を下げずに休みを増やすなんてありえない選択肢です。

そもそも、労基法の年次有給休暇と密接に絡んでくる問題なのに、その辺の議論をすっとばして「プレミアムフライデーがはじまりました!」なんて言われても、どうも違和感があります。
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法律で残業時間の上限を定めることを検討しているそうです

2017年01月22日 | 人事労務ネタ
知らない方も多いと思いますが、現行の労働基準法では、時間外労働の上限時間は定められていません。

時間外労働の限度に関する基準という告示が存在しますが、これは法律上の拘束力がないので無視しても罰せられることがありません。

いい例が電通でしょう。

時間外労働の限度に関する基準では1ヶ月の時間外労働の上限は45時間(1年変形採用だと42時間)と定められていますが、電通の36協定の協定時間は70時間だったそうです。
※特別条項ではなく、通常の時間外労働の上限が70時間

また、この限度基準を守っていたとしても、特別条項を別途協定すれば繁忙期は上限なしで時間外労働を命令することができてしまいます。

実は、この特別条項の上限時間を労基法で定め、法律上の拘束力を持たせようとする動きがあるそうです。

具体的には、
1ヶ月80時間
1年 750時間(45時間×6ヶ月+80時間×6ヶ月)

この案が有力だそうです。

現在でも、80時間超の特別条項を労基署に届けると、臨検の対象になりやすいとは言われていますけどね。


※1/30追記
特別条項の改正に変更がありそうです。
1ヶ月80時間→100時間
1年750時間→720時間(月平均60時間)

注意しておきたい点として、現行の限度基準(1ヶ月45時間、1年360時間)に変更はないので、
毎月60時間まで時間外労働をさせてもOKというわけではないということです。
(特別条項発動は1年間のうち半分が限度)




※2/15追記
2月14日に行われた「第7回働き方改革実現会議」によると、更に変更がありそうです。
1ヶ月100時間上限設定見送り
1年720時間→そのまま
限度基準(1ヶ月45時間、1年360時間)を法律上明記し違反した場合は罰則適用



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最近よく耳にする「ICT」とは?

2017年01月18日 | 人事労務ネタ
最近、テレビや新聞等でICTという言葉を耳にすると思います。

このICTとはなんでしょうか?

これはInformation and Communication Technologyの略語で、日本では情報通信技術と訳されているようです。

PCやインターネットを活用した情報処理や通信に関する技術をIT(Information Technology)と言いますが、最近では情報通信技術を利用した情報や知識の共有・伝達といったコミュニケーションの重要性を伝える意味でITよりもICTの方が一般的になってきたようです。

社会保険労務士にスポットを当ててみると、従来の社労士業務、つまり紙ベースの手続用紙を役所に持っていく、顧客との連絡手段は電話やFAXがメイン、顧客訪問ありきのサービス、このようなやり方が変わりつつあります。

手続業務や給与計算は専用ソフトを使えばPCで簡単にできる為、社労士ならではの付加価値を提供する必要がでてくるでしょう。
例えば、データを社労士事務所で管理するメリットとして、社労士の分析を基にしたアドバイスができるかどうかです。
(人事データや勤怠データを基に諸規程の提案や法令違反チェック等)

また、顧客との情報共有もFAXや持参からファイル交換サービスや電子会議室等のクラウド型サービスの活用が鍵になってくるのではないでしょうか。

インターネットで様々な情報が簡単に入手できるようになった今、法改正や助成金の案内をするだけでは顧客満足は得られないでしょう。

これは、最新の情報を持ったフットワークの軽い若手の社労士にとってはビジネスチャンスだと思います。
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同一労働同一賃金は日本で実現可能なのか?

2017年01月07日 | 人事労務ネタ
明けましておめでとうございます。
本年も当ブログをよろしくお願いします。

さて、12月20日に同一労働同一賃金ガイドライン案が公開されました。

厚生労働省の同一労働同一賃金特集ページからも閲覧が可能です。


概要は、以下の通りです。

■基本給
【職業経験・能力に応じて支給する場合】
職業経験・能力が同一の場合   → 同一の支給
職業経験・能力に違いがある場合 → 違いに応じた支給

※「業績・成果に応じて支給する場合」「勤続年数に応じて支給する場合」「職業能力向上に応じて行う昇給」も同様の考え方

■賞与
同一の貢献である場合    → 同一の支給
貢献に一定の違いがある場合 → 違いに応じた支給

■役職手当
同一の役職・責任である場合 → 同一の支給
※短時間労働の役職者について、時間比例で役職手当を支給する方法は可

■精皆勤手当
同一の支給
※通勤手当、出張旅費、食事手当、単身赴任手当、地域手当も同様

■福利厚生
同一の利用・同一の付与
※福利厚生施設、慶弔休暇、病気休職等
※病気休職は同一の職務内容でない場合は同一の付与でなくても良い

■派遣労働者
派遣先労働者と職務内容等が同一
 → 同一の賃金、福利厚生、教育訓練
派遣先労働者と職務内容等に違いがある場合
 → 違いに応じた賃金の支給、福利厚生、教育訓練


現在、日本では職務内容がほとんど同じなのに非正規というだけで正社員の半分以下の給料で働いている労働者がたくさんいます。

同一労働同一賃金が定着すれば、こういった不利益はなくなるのかもしれません。

しかし、現在非正規と呼ばれている労働者に正社員と同じ水準の給与を支給するということは、正社員の給与が減る可能性が高いということです。

会社には造幣局がついているわけではないので、人件費の総額はある程度決まっています。

特に、中小企業は利益がほとんど出ていないか赤字の企業も多いでしょうから、同一労働同一賃金を理由に人件費総額を上げるわけにはいきません。

そうすると、正社員の給与を減らさなければ事業が成り立たなくなります。

今までは正社員と年功賃金という人参をぶら下げていれば、残業や休日出勤は無制限、大企業だと全国転勤も当たり前という苦行を我慢することができましたが、賃金水準が同一になると正社員としてのメリットはどうなるのでしょう。

今後も議論の余地がありますが、僕は同一労働同一賃金には概ね賛成です。

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東京ドイツ村に行ってきました

2016年12月31日 | その他


千葉県袖ヶ浦市にある東京ドイツ村にイルミネーションを見に行ってきました。

東京ドイツ村のイルミネーションは関東三大イルミネーションの一つで、広大な敷地で様々なイルミネーションを楽しむことができます。

車で行くと混雑するので、袖ヶ浦駅から出てるシャトルバス(片道500円)を利用するといいと思います。

都内から袖ヶ浦駅までは電車で1時間ちょっとの距離で、意外と近いです。

総武線で千葉駅乗り換えか、京葉線で蘇我駅乗り換えです。

入場料も500円とリーズナブルなのでオススメですよ。

今年も当ブログを閲覧いただきありがとうございました。

来年も引き続き人事労務ネタを中心に取り上げていきたいと思います。

それではよいお年をお迎えください。
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