ビジネス&ニュース in カンボジア

《注》各記事の最後に「出所」と明記のものは原本記事からの抜粋・要約に基づきます。

カンボジア 原油「バンザイ!」 崩壊「何とかなる?」 (石油・天然ガス鉱業)

2007年03月14日 | 鉱業-原油・天然ガス鉱業
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カンボジアはここ近年、沿岸で採油される原油と天然ガスによる、これまで予想し得なかった巨額の近未来歳入に浮かれ状態だ。しかし、そのような「棚からぼた餅」的な偶然の産物による国家歳入に心躍らせているこの発展途上国カンボジアに対し、(国際レベルの)専門家は、当該国カンボジアの首相自らの財政知識不足に大きな懸念を落としている。

2005年、カンボジアのこの「棚からぼた餅」幸運は始まった――アメリカを本拠地とする多国籍企業Chevron(シェヴロン)が、カンボジア湾岸から140km東南に離れた沖合いに、採油作業可能な場所をつきとめた。
原油や天然ガスなど、カンボジアにおける天然資源量に関する世界銀行からの当初の試算によると、400~500million barrels(400~500億バレル)、及び2~3trillion cubic feet(2~3兆立方メートル)の天然ガス採取が可能と見積もられていた。

昨年このカンボジアにおける年間辺りの所得は、$500前後(凡そ1万2千円前後)であった。この採取される原油を世界原油市場に売り出せば、1バレル辺り$60の値が付き、カンボジアの年間歳入額が一気に膨大になることは間違いない。

ただし、この安易な目測値に警鐘を鳴らすのはUNDP(国連国際開発計画)。カンボジアも未だ数多くの国際支援を受け続けている発展途上国であり、油田発見という突然の幸運が舞い降りたがため、国内に依存するその貧困を更に加速させたアフリカの発展途上国ナイジェリアの例を上げている。(※既掲載ブログ「カンボジア 石油長者とその裏 (石油・天然ガス鉱業)」参照)

ところが、当該国カンボジアの行政トップである首相自身が、この現実に対し危機感があまりに欠落している状況だ。
「一部の人々はその『ナイジェリア危機』に不安を覚えているようだが、同じ事態がカンボジアにも及ぼされる事態は(私が)許さない。カンボジアはそこまで(=ナイジェリアと同じような急激なインフラを及ぼしたり貧困を持続させるような)バカじゃない。」(了)

出所: 2007年3月12日付 Radio Free Asia
原題: Cambodia Oil Windfall Sparks Corruption Concern

<閑話>
現在はカンボジアの、ビジネス市場を含めた社会経済状況を調査しているが、調査を進めれば進めるほど「げんなり」してくるのが(本ブログ編集者の)正直なところだ。半分「親切に」(半分「自国益戦略的に」)警鐘を鳴らしてくれる諸先輩方が世界にはたくさんいるというにも拘わらず、自分の都合いいこと(=金銭に直結すること)だけには耳を貸し、都合の悪いこと(=儲けに直結しないこと)には耳を貸さないその振る舞い…「ガキだ!」と言われたって仕方あるまい; せっかく、国家財政金融破綻阻止のための注意してくれてるのにね~…。

↓以下、今のカンボジアに限らず世界の社会経済の仕組みを知る上でとても興味深く読んだ記事
参考: “US Congress warms to Cambodia”
http://www.csmonitor.com/2007/0314/p04s01-woap.html

カンボジア 石油長者とその裏 (石油・天然ガス鉱業)

2007年03月13日 | 鉱業-原油・天然ガス鉱業
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カンボジアの港町シアヌークビルの一角にたたずむアメリカの巨大石油会社Chevron(シェヴロン)の、そこから100マイル(凡そ160km)先に彼らの作業場はある。その作業場では石油のみならず(その採取地に)内蔵が見込まれた天然ガスの採取をも行なっている。

当 初、世界銀行(the World Bank)及び国連国際開発計画(United Nations Development Programme)から試算された400~500million barrels(400~500億バレル)については、既に実際の作業が始まっている。
通称この「黒いゴールド・ラッシュ」は中国、日本、フランス、韓国それぞれの企業が、目に見えるその利権源のために、カンボジアで現在も火花を散らし続けている。

但 し、この「黒いゴールド・ラッシュ」の話は、発展途上国であるカンボジアにとって「両刃の刃」を常に抱えていることを意味する。なぜなら、この発展途上国 カンボジアは事実上、世界各国から依然国際援助を受けているほど、国内における貧困レベル解消には至っていないからだ。にも拘わらず、全世界で非常に需要 の高い石油という天然資源を抱えている事実がある。
カンボジア国内経済の広範囲が農業で成り立っており、30%以上が国際基準で定められている貧困ラインを下回っている。[注]
例えば、同じく世界の発展途上国のひとつナイジェリアは、過去35年間、石油の産油国として$450billion(凡そ5400兆円)の歳入を計上したにも拘わらず、一日1ドル以下の貧困生活を強いられている国民は未だ70%にまで及ぶ。

現在、カンボジアのこの「両刃の刃」を振り下ろす権限を持っているのは、カンボジア現首相、それに次ぐ高位官僚、そして財務省、とされている。
国 内の石油需要量に対する供給源探しに世界で最もやっきになっている中国は、カンボジアにおいて先の中国企業による競争入札に勝ち、その採油権利を獲得して いる。(ここに費やされた費用は$600million(凡そ7兆2000億円)だが、彼らはこれを「端た金」ぐらいにしか捉えていない、との見方もあ る。)
一方カンボジア政府側は、目先のこの歳入に対し、「彼ら(中国企業側)は単にくじに当たった」ぐらいにしか事を捕らえていない節が見られる。
このような発展途上国であるカンボジアに対し、国際支援を続けているある国際支援機関職員曰く、「こういった事態を彼らは簡単に考えているが、その実態に潜む危険性というものを正確に理解していない」。

この「潜んだ危険性」の究極は、このような歳入が引き金となる大規模なインフレーションだ。カンボジアの自国通貨価値が急激に跳ね上がることを意味する。カンボジアにおいて未成熟な競争原理下にある輸出産業を直撃しかねない。
こ のカンボジアに対する国際支援諸機関の懸念のもうひとつは、その国際支援金総額がこの石油による歳入額に押し切られることだ。昨年(2006年)の国際支 援諸機関からの支援が総額$601million(凡そ7万2000億円)に対し、石油による最初の歳入額は$1billion(凡そ1200億円)に達 している。もはや時間の猶予は残されていない。(了)

<注>
国際基準「貧困ライン」: 貧困の程度を表す基準は幾つかあるが、ここでいう貧困ラインとは、食料消費最低2100キロカロリー/1人1日と、衣料・住宅のためのわずかな出費ができる程度を貧困ラインの基準としている。
(出所: 日本国外務省URL http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/kunibetsu/enjyo/cambodia_chu.html)

出所: 2007年3月05 日付 Guardian Unlimited –Special report-
原題: Cambodia welcomes its oil wealth, but will it do more harm than good?

ESSOの視線カンボジア再び (鉱業-原油・天然ガス鉱業)

2007年02月01日 | 鉱業-原油・天然ガス鉱業
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ESSO――アメリカ資本の巨大石油企業Exxon Mobil Corporation傘下の企業――実はかつて、1975年にカンボジアを撤退している。先の内戦、ポルポト政権が蜂起した年だ。
そして現在、この会社ESSOはガソリンとジーゼルエンジン燃料を、かつて同政権が利用していた流通経路を経由し、マライ地区への輸入の為の交渉を進めている。

Malay Trading社とESSOは基本的な契約を結んだ――ただしこの契約は、あくまでマライ地区における燃料販売のみに限る、との限定がなされたものだった。
実はこのMalay Trading輸出入業社は共同設立の会社となる。その背景にあるのは、次の人物のことがある: 
Tep Khunnal――ニューヨークの国連本部ととりつなぎを行なった元ポルポト政権ゲリラ(クメール・ルージュ)の外交役。後に、1998年ポルポト氏死後未亡人になったMea Somを後妻に取っている。現在ではマライ地区行政総督として従事。

確かにMalay Trading社がマライ地区一体を管轄している旨は了解した、とESSO。しかし基本的に輸入販売は、カンボジア全土を想定しているとはESSO側の主張で、この路線で交渉を続けている。しかし、Malay Trading社側の主張も折れていない。交渉は拮抗状態に入っていた。

今月始めカンボジア現首相フン・センの公言により、密輸入を抑制させるための民間企業からの(ベトナム・タイ・ラオスなど外国からの)輸入措置を歓迎する旨を発表している。
参照: 「ガソリンは国境を越えて」(鉱業-原油・天然ガス鉱業)2007年1月22日付記事

ESSOとExxon Mobil――Exxon Mobil Corporation傘下の企業――両社とも現在のところ、カンボジアにおける商業許可を得ていない。
(その裏にある因縁めいた言葉を)カンボジア商業省次官Tep Khunnal氏は次のように述べている。
「1975年に引き上げ現在戻ってきた外資系石油会社はESSOだけではない。当時、ESSOは一斉に総て引き上げた。そして(外資系石油会社の)ShellやCaltexは、彼らよりも先に戻ってきている。」

Tep Khunnal氏が昨年後半に言及したことは、Malay Trading社は2001年隣国タイよりガス、石油、ディーゼルエンジンオイル、アスファルトなどの鉱物を密輸入していたが、現在はそれらの行ないは解消されている、と。(了)

出所: 2007年1月29日付 The Cambodia Dairy -National-

ガソリン輸入は国境を越えて

2007年01月24日 | 鉱業-原油・天然ガス鉱業

ガソリン値高騰と不法密輸歯止めのため、民間企業は(積極的に)近隣諸国タイ、ベトナム、ラオスなどからガソリン輸入することを許可する」――1月21日(日)付けでカンボジア現首相フン・センは公言したと、政府応報官は伝えた。

実は、この国(カンボジア)で操業する5つの主要石油企業の設定価格引下げのために、財務省がそれらの説得に取り組んだものの失策に終わったことに続く、首相からのその発言だった。

この、(カンボジアで現在操業する)5つの主要石油企業とは、Caltex Cambodia Ltd., Total Cambodge, Sokimex, Kampuchea Tela Co. Ltd., PIT(Cambodia) Ltd. ――となる。

(昨今)カンボジアのガソリン価格は史上最高値を示している。

これを踏まえ、政府は$250,000(約3億円)の前金を、新たな企業の場合彼らから徴収することを念頭においている。
各企業はこれまで、地方へガソリン供給のため、まずはシアヌークビル港(大型船舶入着港可)から首都プノンペンへの移送を必要としていたことも加味して。

ところが実際には、各企業とも政府が打ち立てたこの政策に、ガソリン値の低下を期待するための可能性を見出していない。
Sokimexは(各社とも共通に負っている)現在の輸入税の高さを懸念。それゆえ競合性が生まれる可能性は薄いと言う。

Total Cambodgeはもともとフン・セン首相の公言に耳を貸していない。なぜならその政策は密輸入に影響を及ぼすだけであり、もしその彼らからも輸入税を徴収するならそれは良い考えだ、と。
凡そガソリン値の30%枠はカンボジア政府に支払われる税金になる。
「とにかく政府への税金率が高い。近隣諸国は未徴収の税金だというのに。この国で課せられている税金は彼ら(政府)の懐を豊かにしているだけだ」

(このような税金問題に対し)財務省大臣はノーコメント。同省次官が言うには、大臣はこのガソリン税に関する政策に既知していないし、間接税税務局に寄せられる総ての質問についても、誰がその回答の責任者か認知していない。(了)

出所: 2007年1月22日付 The Cambodia Dairy -Headline-

カンボジア油田ブロックA 時期尚早の予見

2007年01月18日 | 鉱業-原油・天然ガス鉱業

鳴り物入りで宣伝されたカンボジアの沖合、油田ブロックAに埋蔵される石油と天然ガス量について、実は誰も確実に認知していない。

「石油と天然ガスから生み出される受益は周知のとおり予測しにくく、もし大きな受益が生み出されたとして世間に享受されたとしても失望に繋がる可能性を無視できない」とは、オーストラリアの大学(ニューサウスウェールズ校)の石油エンジニアとしてシニア・フェローに就くGuy Allinsonの見解だ。続いて上げられた例では、カンボジアの隣国ベトナムにおいて、10年前に既に巨大な石油埋蔵説がメディアを通して公表されたが、後にそれは偽りであったと公表された。

「油田採掘作業前の推定では、ブロックAにおける採油量は恐らく400millionバレルと見られている…が、続いての傾向では400から700 millionバレルとも目されている」と、CNPA(Cambodia National Petroleum Authority)の総局長Ta Doung Dara氏は、Deutsche Press-Agentur誌に掲載された記述を引きだして紹介した。

匿名希望のあるカンボジア油田アナリストの証言によると、ブロックAの採油作業に対する手付金は不明とのことであった。加え、事実を明らかにしたい場合、Chevron(昨今、カンボジアで最も盛んに油田採掘作業をするアメリカの石油企業)に問い合わせるべきだ、と。ただし、この会社はカンボジアの油田に関する情報公開を一切行なっていない。

最後にこのアナリスト曰く、400から700 millionバレル採油可能という予見はあくまで単純計算による予測であり、最終回答が出されるのは上記企業における(当地での)採掘活動が終わった時だ、と。(了)

出所: 17th January 2007, The Cambodia Dairy -National-

沖合油田調査権利 3社が権利を主張

2007年01月10日 | 鉱業-原油・天然ガス鉱業
3つの石油会社は、カンボジアの沖合<ブロックB>における油田調査の残存権利買取の局面を向かえた。

SPC’s Web site、SPCPと共同ベンチャー企業であるタイのPTTEP International Ltd及びマレーシアのResourceful Petroleum Ltdより提供された報告書によると、この3社は<ブロックB>域に残されている10%の油田調査権利の共同購入に合意した。

CE Cambodia B Ltd――オーストラリア企業Cooper Energy傘下の企業――の購入に続き、その3社は共に<ブロックB>の調査権利を手中に収め、2005年には調査権利の買取を公表。

ところがそれ以前に、フランスの大手石油会社TOTALと名称不詳の中国の石油会社が、同じそのブロックの調査権利の争奪を繰り広げていた、とNational Petroleum Authorityからの公告があった。

SPCによると、合意の下では、その3社は手付金として100万ドル(約120億円)をCE Cambodia B Ltdへ支払い、将来的には「商品ボーナス」として上限250万ドルを付け加えることを約束した。
ちなみにこの「商品ボーナス」とは、仮に油田がヒットし100万バレルに勝る採油商品が適ったものとする。(了)

出所: 8th January 2007, The Cambodia Dairy -National-