悠々蒼空

日々感じていることを客観的に書いていければいいと思います。

新幹線の国際競争力って!?

2005-11-21 22:35:58 | news
【北京=東一真】中国政府が総事業費10兆円超をかけて建設中の総延長1万2000キロの旅客高速鉄道網プロジェクトで、高速網を走る時速300キロ級車両について、川崎重工業など日本の6社が共同で売り込む新幹線車両「はやて」と、ドイツのシーメンス社が製造する車両ICEが採用されることが21日わかった。
(後略)
(2005/11/21付け読売新聞)

 鉄道は物資だけでなく人の移動をもまかなえる為、経済発展に欠かせない物流インフラの一つです。そもそも高速鉄道と言う概念は戦後日本が新幹線によってその扉を開きました。

 欧米は飛行機こそ高速移動手段の本命と考えていました。もちろん航空路線の拡充で世界中が点と線で繋がったのは確かですが、近隣地域間において飛行機よりも手続き、手間、料金等手軽な鉄道を高速化したことに新幹線の最大の功績があると思います。

 ところがその新幹線の国際的な競争力は総じて高くありませんでした。その問題点をフランスやドイツの高速車両と比べると、

・一車両の値段が高い
西欧は動力集中方式(機関車で牽引する方式)
モーターは先頭車両のみ、残りは客車。
日本は動力分散方式(電車の理論応用)
各車両の台車ごとにモーターが付いているためコストがかかる

山がちでトンネルも多いためトンネル通過時に発生する爆音軽減や高速時の気圧変化を極力軽減させるために窓の機密性や車両デザインなど飛行機並みの車両設計をしている。

・システムの値段が高い
日本は火山帯のため地震対応システム、
運転手がいなくても車両運行が可能な中央制御システムを常時管理する必要あり。

 つまり新幹線は山がちで地震が多く、勾配が平衡に保てない、カーブが多い土地に向いているためコストがあがりがち。
 一方TGVやICEは大陸など広い平野を走る、トンネルが少ない、騒音問題が発生しにくい、整備コストが安い地域に向いている、ということが言えます。

 新幹線は車両だけではなくシステム全てが成り立って初めて新幹線として機能するよう出来ており、他国にはそれこそ信号やセンサーの設置を見直させるシステムとなっています。製品と言うより特注品に近いと表現してもよいでしょう。

 これまで国際受注ではフランスのTGVに遅れを取ることが多かったです。これは何より入札方式の際にコストが最優先されるからであり、日本はコストよりも安全、環境(騒音など)、最先端技術の惜しみない投入に重視する傾向があるからです。

 韓国では車両、整備などのコスト安を買われ、何よりライバル視する日本よりも買うよりはといった感情も相まってTGV方式を、ヨーロッパのフランスと地続き国家もドイツと併用する形で導入されています。

 近年台湾で新幹線の導入がありましたが、中国へのけん制という政治色が強く、信号システムや路線建築はヨーロッパ方式と韓国の建設という極めて和洋折衷型のシステムです。

 今回中国でのシステム受注やイギリスの車両発注は新幹線がどこまで海外で通用するか、また扱えるか、といった点が注目されます。

 新幹線のダイヤは世界一正確と言われています。例えば新幹線は1分遅れただけで遅延となります。ヨーロッパなどでは5分10分遅れるのはあたりまえで200キロを越す電車が10分おきに通勤列車並みに正確に発車するシステムは想像できないようです。

 国際競争の中で新幹線を売り込んでいくにはどの国も真っ先に検討する「コスト」をどう軽減できるか、が一つの要因になるでしょう。また安全、騒音や地震・雪などの天災に対する高い対応能力もより一層アピールしていくべきだと思います。
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