知るは楽しみなり

~考えるためのヒント = ただの備忘録~

文学史(先行文学作品)

2006-02-22 16:56:51 | 練習問題
【問】
 「はるばるきぬる旅衣」は先行文学作品をふまえた表現と考えられが、その作品と同じジャンルに属すると思われるものと一つ選びなさい。

 イ 土佐日記
 ロ 大和物語
 ハ 源氏物語
 ニ 大鏡
 ホ 平家物語
 ヘ 東関紀行

【出典など】
 平成六(一九九四)年度 早稲田大学 第二文学部
 Bレベル
 難しいが、突破口が見出せるかどうかが鍵を握る問題

【解答】
 ロ(大和物語)

【解説】
 まず、対象となる先行文学作品を押さえ、つづいて同じジャンルの作品を選ぶという段階で考える。「はるばるきぬる旅衣」は有名な作品の有名な歌の部分ではあるが、しかし、一般的には厳しい問だろう。
 「唐衣 きつつなれにし 妻しあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ」……そう、「かきつばた」を読み込んだ『伊勢物語』(作者未詳、歌物語、平安時代)の「東下り」に出てくる和歌である。このような読み込みを「折句」というこれも確認しよう。
 イ 土佐日記(紀貫之、日記、平安時代)
 ロ 大和物語(作者未詳、歌物語、平安時代)
 ハ 源氏物語(清少納言、作り物語、平安時代)
 ニ 大鏡(作者未詳、歴史物語、平安時代)
 ホ 平家物語(作者未詳、軍記物語、鎌倉時代)
 ヘ 東関紀行(作者未詳、紀行、鎌倉時代)

 ということで、歌物語の「ロ」を選ぶ。

漢文(常識2)

2006-02-22 16:55:06 | 練習問題
【問】
 「朝聞(A)、夕死可矣」は孔子の言葉であるが、(A)に入る語としてもっとも適当なものを選びなさい。

 イ 生
 ロ 理
 ハ 礼
 ニ 道
 ホ 命
 ヘ 楽

【出典など】
 平成六(一九九四)年度 早稲田大学 第二文学部
 Aレベル
 常識を問う問題

【解答】
 ニ(道)

【解説】
 「孔子の言葉」でわかるように『論語』の一節。あまりに有名なので、常識といえる。「朝(あした)ニ道ヲ聞カバ、夕(ゆふべ)ニ死ストモ可ナリ」、聞いたことあるでしょ。

文法(「に」の識別)

2006-02-22 16:53:53 | 練習問題
【問】
 「更けにければ」の「に」を文法的に説明としてもっとも適当なものを選びなさい。

 イ 完了の助動詞
 ロ 断定の助動詞
 ハ 格助詞
 ニ 接続助詞
 ホ 副助詞

【出典など】
 昭和五八(一九八三)年度 早稲田大学 第一文学部
 Aレベル
 瞬間判断でいきたい問題

【解答】
 イ(完了の助動詞)

【解説】
 「にき」「にけり」「にたり」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形。知っていれば点になる。

文学史(落窪物語)

2006-02-22 16:53:08 | 練習問題
【問】
 『落窪物語』の解説文として明らかに誤っている二つを選びなさい。

 イ 『落窪物語』の成立は、『源氏物語』よりも古く、十世紀末と考えられている。
 ロ 『落窪物語』の作者名は明らかでないが、内容が文体から男の筆になると考えられている。
 ハ 『落窪物語』の文章は、漢文訓読の影響を濃厚にうけている。
 ニ 『落窪物語』は継子を主人公とし、そのあだ名を作品とする点で、御伽草子の『鉢かずき』やグリム童話の『シンデレラ』に等しい。
 ホ 『落窪物語』は『鉢かずき』や『シンデレラ』とストーリーの上で共通点を持つが、荒唐無稽なことは記されていない。
 ヘ 『落窪物語』は、勧善懲悪をめざしており、その点では大衆小説的である。
 ト 『落窪物語』は、和歌を一首も所有していない点で、『枕草子』と等しく、ともに平安朝の作品としては特異なこととして注目される。

【出典など】
 昭和六〇(一九八五)年度 早稲田大学 第一文学部
 Bレベル
 知識を総動員して冷静に考える問題

【解答】
 ハ・ト

【解説】
 選択肢「ハ」「ト」以外は内容があっているので、熟読して覚えましょう。

漢文(否定形1)

2006-02-22 16:52:08 | 練習問題
【問】
 「不敢忘」を訓読し、すべてひらがなで十字以内で書き下しなさい(現代かなづかい、歴史的かなづかい、ともに可)。

【出典など】
 昭和六〇(一九八五)年度 早稲田大学 第一文学部
 Aレベル
 漢文を学習しはじめの頃に習う句形を問う問題

【解答】
 あえてわすれず(現代)
 あへてわすれず(歴史的)

【解説】
 「不敢V(敢ヘテVセズ)」と「敢不V(敢ヘテVセザラン」の区別。ちなみに、前者は「あえては~しない(決して~しない)」、後者は「どうして~しないだろうか(反語)」の意味になる。

文学史(永井荷風)

2006-02-21 16:58:26 | 練習問題
【問】
 永井荷風の作品を一つ選びなさい。

 イ 明暗
 ロ あめりか物語
 ハ 春
 ニ 細雪
 ホ 晩年
 ヘ 青年

【出典など】
 平成五(一九九三)年度 早稲田大学 第二文学部
 Bレベル
 常識といえば常識だけど、意外に受験生は取れないだろう問題

【解答】
 ロ(あめりか物語)

【解説】
 イ 明暗(夏目漱石)
 ロ あめりか物語(永井荷風)
 ハ 春(島崎藤村)
 ニ 細雪(谷崎潤一郎)
 ホ 晩年(太宰治)
 ヘ 青年(森鴎外)

 単純に知識量の問題。ただ、文学系受験者は外せない。

古文常識(六月)

2006-02-21 16:57:40 | 練習問題
【問】
 「六月」の和語の異名を、ひらがな五字以内で記しなさい。

【出典など】
 平成六(一九九四)年度 早稲田大学 第二文学部
 Aレベル
 こんなのも出るんだ!という問題

【解答】
 みなづき

【解説】
 一 月=睦月(むつき)
 二 月=如月(きさらぎ)
 三 月=弥生(やよひ)
 四 月=卯月(うづき)
 五 月=皐月(さつき)
 六 月=水無月(みなづき)
 七 月=文月(ふづき・ふみづき)
 八 月=葉月(はづき)
 九 月=長月(ながつき)
 十 月=神無月(かんなづき・かみなづき)
 十一月=霜月(しもつき)
 十二月=師走(しはす)

 特にいうことないです。

漢文(苟然)

2006-02-21 14:03:28 | 練習問題
【問】
 「苟然」の意味としてもっとも適当なものを選びなさい。

 イ にわかなこと
 ロ いやしいこと
 ハ あたりまえなこと
 ニ いいかげんなこと
 ホ たのしいこと
 ヘ かなしいこと

【出典など】
 平成四(一九九二)年度 早稲田大学 第二文学部
 Cレベル
 仮定形でもよくみる漢字だが、意外と難しい問題

【解答】
 ニ(いいかげんなこと)

【解説】
 「苟」は「いやしクモ」と読んで仮定形で「もしも」の意味で用いられるため、馴染みのある漢字だが、「苟然」となると、漢字の意味を知らないと難しい。
 「苟」には、「いやしクモス」と読んで、「とりあえずまるめこむ、いいかげんにすませる」という用法がある。これを知っていれば、できるかもしれないが……難しいんじゃないかな。

文学史(世阿弥)

2006-02-21 14:02:37 | 練習問題
【問】
 世阿弥の父は誰か。漢字で答えなさい。

【出典など】
 Aレベル
 平成五(一九九三)年度 早稲田大学 第二文学部
 基本問題

【解答】
 観阿弥

【解説】
 一般常識。
 観阿弥・世阿弥親子は、室町時代に申楽(能)を芸術的に洗練されたものにした立役者。世阿弥には『風姿花伝』『花鏡(かきょう)』『申楽談義(儀)』などの能楽論がある。覚えておこう。

文学史(大和物語2)

2006-02-20 19:09:18 | 練習問題
【問】
 『大和物語』成立以前の文学史上の事実を二つ選びなさい。

 イ 高橋虫麻呂が伝説歌を作る
 ロ 菅原孝標の女が上総の国から上京する
 ハ 鴨長明が『方丈記』を著す
 ニ 『雨月物語』が刊行される
 ホ 白居易(白楽天)が「長恨歌」を作る
 ヘ 薩摩守忠度の都落ち
 ト 今様の流行

【出典など】
 平成二(一九九〇)年度 早稲田大学 第二文学部
 Aレベル
 やや難しいが、合格する受験生は落とさないであろう問題

【解答】
 イ・ホ

【解説】
 イ 高橋虫麻呂が伝説歌を作る(奈良時代)
 ロ 菅原孝標の女が上総の国から上京する(平安時代)
 ハ 鴨長明が『方丈記』を著す(鎌倉時代)
 ニ 『雨月物語』が刊行される(江戸時代)
 ホ 白居易(白楽天)が「長恨歌」を作る(中唐)
 ヘ 薩摩守忠度の都落ち(平安時代←『平家物語』)
 ト 今様の流行(平安時代)
 『大和物語』の成立がわからなくても、選択肢を時代順に並べて、古いものを二つ選べばよい。ちなみに、『大和物語』は平安時代初期の歌物語。
 日本文学だけではなく、漢文に出てくるような基本的な中国古典についても勉強してなくてはならないことに気づかせてくれる問題。

文学史(大和物語1)

2006-02-20 19:08:29 | 練習問題
【問】
 『大和物語』と成立の時期がもっとも近い「歌物語」を選びなさい。

 イ 竹取物語
 ロ 伊勢物語
 ハ 栄華物語
 ニ 宇治拾遺物語
 ホ 平家物語
 ヘ 保元物語
 ト 平治物語

【出典など】
 平成二(一九九〇)年度 早稲田大学 第二文学部
 Aレベル
 惑わされてはいけない問題

【解答】
 ロ(伊勢物語)

【解説】
 文学史を勉強する時は、まず、〈作者〉〈ジャンル〉〈時代〉を押さえよう。
 ただ、今回の問題はすべて作者がわかっていない。

 イ 竹取物語(作者未詳、作り物語、平安時代)
 ロ 伊勢物語(作者未詳、歌物語、平安時代)
 ハ 栄華物語(作者未詳、歴史物語、平安時代)
 ニ 宇治拾遺物語(編者未詳、説話集、鎌倉時代)
 ホ 平家物語(作者未詳、軍記物語、鎌倉時代)
 ヘ 保元物語(作者未詳、軍記物語、鎌倉時代)
 ト 平治物語(作者未詳、軍記物語、鎌倉時代)

 この問題は成立時期は問題を難しくみせるためだけのダミーで、実際はジャンルだけわかればすぐに解答できる。

文学史(与謝蕪村)

2006-02-20 19:07:04 | 練習問題
【問】
 与謝蕪村の作品を一つ選びなさい。

 イ 世間胸算用
 ロ 野ざらし紀行
 ハ 国性爺合戦
 ニ 折りたく柴の記
 ホ 新花摘
 ヘ うひの山ぶみ
 ト 雨月物語

【出典など】
 平成三(一九九一)年度 早稲田大学 第二文学部
 Bレベル
 選択肢が基本よりやや上のレベルで、しっかり勉強していないと厳しい問題

【解答】
 ホ(新花摘)

【解説】
 文学史を勉強する時は、まず、〈作者〉〈ジャンル〉〈時代〉を押さえよう。

 イ 世間胸算用(井原西鶴、浮世草子、江戸時代)
 ロ 野ざらし紀行(松尾芭蕉、俳諧紀行、江戸時代)
 ハ 国性爺合戦(近松門左衛門、浄瑠璃、江戸時代)
 ニ 折りたく柴の記(新井白石、自叙伝、江戸時代)
 ホ 新花摘(与謝蕪村、俳句・俳文集、江戸時代)
 ヘ うひ山ぶみ(本居宣長、国学入門書、江戸時代)
 ト 雨月物語(上田秋成、読本、江戸時代)

 イ・ロ・ニ・トあたりがわかって、残りで考えるくらいが普通かな。文学史をきっちりやっていれば、基本レベルに近い。

文学史(タクボク)

2006-02-20 19:06:15 | 練習問題
【問】
 岩手県出身の歌人「タクボク」を漢字で書きなさい。また、彼と関係の深いものを一つ選びなさい。

 イ 和歌革新運動
 ロ 「白樺」
 ハ 口語自由詩運動
 ニ 『春と修羅』
 ホ 『赤光』
 ヘ 「明星」
 ト 『春』

【出典など】
 平成四(一九九二)年度 早稲田大学 第二文学部
 Bレベル
 二問中一問は確実に取りたい問題

【解答】
 啄木・ヘ(「明星)

【解説】
 「タクボク」は石川啄木。それはすぐにわかると思うが、漢字が思い浮かばない人が多いだろうが、基本的な問題なのでなんとか思い出したい。
 雑誌「明星」は与謝野鉄幹・晶子が中心となった文芸雑誌。石川啄木は与謝野夫妻を師匠と仰いでいた。ここまで知っている受験生は多くないと思うので、こちらは間違っても仕方ない。なお、代表作は『一握の砂』『悲しき玩具』。
 一応、選択肢にある作品も確認をしておこう。
 ニ 『春と修羅』(宮沢賢治、詩集、大正時代)
 ホ 『赤光』(斎藤茂吉、歌集、大正時代)
 ト 『春』(島崎藤村、小説、明治時代)

文学史(萩原朔太郎)

2006-02-20 14:01:03 | 練習問題
【問】
 詩集『月に吠える』の作者にもっとも近い作者は誰か、一人選びなさい。

 イ 高村光太郎
 ロ 島崎藤村
 ハ 宮沢賢治
 ニ 室生犀星
 ホ 中原中也

【出典など】
 昭和六一(一九八六)年度 早稲田大学 第一文学部
 レベルB
 ひとひねりある、難しい問題

【解答】
 ニ(室生犀星)

【解説】
 まず、『月に吠える』の作者をがわかるだろうか。萩原朔太郎である。朔太郎の処女詩集が『月に吠える』であり、この詩集で一気に有名になった。この詩人とつながりの深い人物を選択肢から探すことになる。
 室生犀星は朔太郎とともに、詩誌『感情』を刊行した。ふたりは近代詩確立の双璧である。

文学史(和泉式部日記2)

2006-02-20 13:59:59 | 練習問題
【問】
 『和泉式部日記』についての解説としてふさわしいものを一つ選びなさい。

 イ ある戦乱を中心に、その前後の経緯と、ひとりの女性の運命の変転とを詳細に書きつづった作品。
 ロ ひとりの女房の恋愛生活を、贈答歌を中心として、物語風に描いた作品。
 ハ 無常観のにじむ人生観を、時に歌をまじえて、女性が書き記した随筆風の作品。
 ニ 当代に名高い女流歌人の家集であり、四季・恋・雑などに部立てされた作品。
 ホ ある女性の宮廷生活を描くが、実は女性の筆に仮託した、男性による和漢混淆文の作品。

【出典など】
 昭和六二(一九八七)年度 早稲田大学 第一文学部
 レベルA

【解答】
 ロ

【解説】
 選ぶものが解説なので、解説の余地なし。