淡水は地球と全生物種のものであり,個人の利益のために水を使う権利は誰にもない,と私たちは信じる.世界遺産の一部である水を,社会の「コモンズ」として保護し,各国内の条例や法律,国際法によって守るべきなのだ.…中略…コモンズを通して私たちは人類愛に目覚め,子孫のために保護すべき天然資源があることに気づくのである
希少財の配分を自由市場経済に任せると,各個人は必要以上の過大な要求しようとするインセンティブが働き,それによって真の必要量に対する配分状態が歪められるのである.水は希少な資源である.そしてこれは最優先されるべき基本財と考えることに社会的合意が得られれば,自由市場による機会平等とニーズによって水を分配することは(分配的)正義に反することになる *1
そう遠くない昔,自然と生命には市場で売買される商品と同一視できない何かがあると思われていた.売り物にすべきでないものがあったのだ.天然資源(空気と水を含む),遺伝子コード,種子,健康,教育,文化,伝統などだ.ほかにも自然と生命に欠かせぬものが人類共通の遺産または権利の一部となっていた.つまり「コモンズ」である