ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

1982 ストーンズ観戦ツアー(3)

2006年01月14日 | ローリング・ストーンズ
 9時くらいになり、ようやく陽が落ちてきた。日本人アーティスト、カズ・ヤマザキのデザインしたステージから、無数の風船が放たれた。グランドでは、観客が、大きな風船を玉転がしして遊んでいる。ローリング・バルーンズ!
  
 「Thank you very very much for your patiance …Would you welcome to The Rolling Stones !」

 アナウンスの直後、60年代の曲、「Under My Thumb」が始まった。

 ぎゃー!動いているミック・ジャガーだ!ロンだ!ロンは、髪の毛のてっぺんをゴムで結んで、大五郎のようだ。ビルだ!キースは逆サイドなので、ちっこくてよく見えない。チャーリーは全然見えないよ~!

 満員電車のようにぎっしりだったはずなのに、観客も一斉にうねり出し、前へ前へ押される。ぎゃぁぁぁぁ~!転んだら死ぬー!
 一瞬、ここで死んでもいい、と思った。でも曲は続いているし、ミックは動いている。やっぱり死ねるもんか。

 2曲目は「When the Whip Comes Down」。音響のせいなのか、屋外だからなのか、メロディーがわからない。ストーンズのメンバーは全員リズムセクションのようだ。ミック・ジャガーの歌すらメロディーに聞こえない。メロディーを演奏しているのは、ピアノだけ。

 2曲目が終わると、ミックが叫ぶ。Yeah! ぎゃ~!いちいちカッコイイ。

 キースやチャーリーは、肉眼ではほとんど見えない。スクリーンで確認するだけ。キース、こっち側にも来てくれ~。ストーンズのメンバーは、みんな意外なほど、痩せていて華奢だ。
 3曲目の「Let's Spend the Night Together」の後、「Shattered」「Neighbours」「Black Limousine」と、新しめの曲が3曲続く。このあたり、イギリス人のノリが悪いが、初めて生のストーンズを見た私は、最初から、ハイ・テンション。自分の回りにスペースを確保する必要性もあり、できるだけ腕を振って、上下左右に動き回る。7曲めの「Just My Imagination」は、近くにいたスペイン人の女の子と肩を組んで一緒に歌う。途中、「シャンテリー・レース」とかいう、聞いたことのない曲も出た。

 後半に入り、「Time is On My Side」「You Can't Always Get What You Want」と、ゆっくり目の歌いやすい曲になると、観客の大コーラスになり、すっかりストーンズのペース。ギタリスト、キース・リチャーズが「Little T&A」を歌い終わり、再登場したミック・ジャガーが叫ぶ。「クェートに勝ったぜ!」

 何のこと?そのときはさっぱりわからなかったけど、サッカーのワールド・カップの試合結果だったらしい。

 最後は「Honky Tonk Women」「Brown Sugar」「Star Me Up」「Jumpin' Jack Flash」と、たたみかけるようにヒットメドレーを飛ばし、アンコールは「I Can't Get No Satisfaction」。

 考えてみれば、最近のコンサートに比べると、保守的な構成の演奏曲目だ。でも、その時は、そんなこと、全く考えなかった。ノリのいいヒット曲を続けて、まんまとのらされても、気持ちいいだけ。ああ、ただ気持ちいいだけ…。

 コンサートが終わったのは11時すぎ。こんなに運動したことない。水も何時間も飲んでいないので、ぐったり。でも気持ちいい。フラフラしながら、そこらじゅうの人に抱きつきたい気分だった。ずーっとステージを見上げていたので、首が痛い。

  よれよれになってツアーバスに戻ると、同じように高揚して疲労したツアー客が三々五々集まってきた。Cindyもエミーもユキもボロボロ。みんな「死ぬかと思った」と言っている。
 Cindyの服は紫に染まっている。最前列で、降っては止み、止んでは降っていた雨の中、押され続けたせいで、紫色にペイントされたステージ前の柵の色がついてしまったらしい。最前列!羨ましい~!押され続けて、どこへも行きようがなかったおかげで、最前列をキープできたらしいが、華奢なCindyは、私以上にヘロヘロである。

 「Yeah!みんないるか~い?明日もがんばろな~!」と、ローリング・ストーンズのファンクラブの会長が叫ぶ。イェーなんて、およそ日本人には似合わないが、このときは、返したことばも Yeah だった。

 ツアーバスに乗り込んで、宿泊先のホテルに帰ろうとしたら、旅行会社のツアーコンダクターがいない。…ったく、英語もろくに話せないで、通訳の役にも立たない上に、背広姿で迷子かよ…。
 
 地下鉄がストで、道路が混んでいるせいもあり、ホテルに着いたのは、深夜1時近く。この時間に開いているレストランもないので、ホテルの近くのパブに連れて行ってもらう。ところが、このロンドン名物のパブ、出入口が2つあって、我々「有色人種」は専用口から入れと言われる。さすがは "sleepin' city" Londonだね!


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (cindy)
2006-01-14 22:07:19
快調に筆が進んでますな~



>満員電車のようにぎっしりだったはずなのに、観客も一斉にうねり出し、前へ前へ押される



そう! こわいのはあの「うねり」

すし詰めでも動かなければ我慢できるんだけど、

マジ危険だよね。その後野外ライブのビデオを見るたびに

あの感覚が甦ってきて、しばらくトラウマだった。



>「クェートに勝ったぜ!」



サッカー後進国だったからなあ

バーレーンだって、今じゃみんな知ってるけど

当時はねえ…



>考えてみれば、最近のコンサートに比べると、保守的な構成の演奏曲目だ。でも、その時は、そんなこと、全く考えなかった。ノリのいいヒット曲を続けて、まんまとのらされても、気持ちいいだけ。



気持ちよければいいのさ! 

最近のセットリストこだわりすぎな風潮はどうも理解できないのよね。確かにコンサートの流れとして曲順って大事

だけど「楽しむ」ことが原点じゃないかって、通ぶってる

オジサンファンに言いたいぞ by ミーハー代表



>Cindyの服は紫に染まっている



ひゃーー! よくぞそこまで覚えていてくださった

私が華奢かどうかは別にして(ニガ

あのジャケはしばらく勲章のように着てたよ。



ツアコン、迷子になってたっけ
返信する
Unknown (とーこ)
2006-01-15 09:22:23
> ひゃーー! よくぞそこまで覚えていてくださった



覚えていますがな。マジで嫉妬したもん。

そういえば、日本の屋外コンサートって、広い会場だと、椅子置いてあるねー。あのウネリ、危ないけど、ストーンズを夏空で見たいなぁ。花火とか気持ちよさそう。
返信する

コメントを投稿