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【前回までのあらすじ】
3泊4日の楽しいキャンプになるはずだった…。
大学の卒業記念に、ビリーは仲の良い友達5人組でブート湖にキャンプにやってきた。
ブート湖は、ゴツゴツいた岩場が特徴で、水深も深く危険なので、地元の人間はまったく近寄らない湖だった。過去には、遊びに来ていた小学生が溺れるという事故があって以来、湖周辺は立入禁止区域になっていた。
彼らは貸し切り状態で遊べるそんなブート湖が好きだった。「立入禁止」という立て札は、いつも彼らにある種の探索心を起こさせるのだった。どこかワクワクする。いつものように彼らはボート遊びや、釣りなどありとあらゆるアウトドアを満喫していった。
「チンコの大きさ比べしよ~ぜ!一番小さいヤツは罰として今夜の夕食作ることな。」
テンションMAXで様々な遊びをプロデュースするビリーは、メンバーの中心的存在だ。「チンコの大きさ比べ」などといった提案をしたのは、特に理由はない。しいて言うのなら、ある種のアウトドア的な開放感が同時に下半身まで開放的にさせたのかもしれない。
ただ、ビリー自身、自分はそれほど小さくはないだろう、といった漠然とした思いはあった。恋人のナタリーにはいつもヒィヒィ言わせているし、もう堪忍やでぇ…と言うまで鬼の腰振りをやめることはなかった。
ただ少しだけ…。少しだけ5人の中で、自分のチンコの大きさはいったいどのくらいのポジションに位置しているのかを知りたかったことは否定はしない。
少なくとも、ガリガリで色白で身長が150センチしかないもやしっ子のテリーには負けないだろう、とビリーはふんでいた。幼い頃に父親を亡くし、朝から夜中まで働きに出ている母親の代わりに、下2人の弟の面倒をみてきたテリーの手料理が実はウマいということはすでにみんなが知っている事実だった。
ビリーの心の中では、今夜の夕食当番はすでにテリーに決まっていたし、またどこかでそうなる事を視野に入れた感のあるチンコ比べでもあった。
□
「さて…と。じゃあカレーを作ろうか」
ビリーはそうつぶやくと、持ってきた食材の中から、じゃがいもとニンジン、玉ねぎなどを取り出した。肉は何にしよう。豚バラ肉でいいか。その前にアレだ、水汲んでこないとな。
「イトコの子供が泣くんだよ。僕のを見て…ね。」
後ろの方から楽しげな4人の話し声が聞こえてくる。自慢げに話すその声はチンコビガーチャンプ・テリーだ。
それにしてもだ。ビリーは思う。テリーのチンコがそんなに大きいとは夢にも思わなかった。どう見ても重量バランスがおかしい。パンツの中に完全に収まっていないし、何よりあれではまっすぐに歩けないはずだ。
トントントントントン… トントントントントン…
ニンジンを切りながらビリーはテリーの股間にだらしなくぶら下がっていた巨大なものに思いを馳せる。あの大きさ…。馬並み、という表現だけではまるで足りない。パンツから出した時、「ボロン…」ってこぼれる音が聞こえたくらい。
ビリーのモノがこのニンジンくらいだとすると、テリーのはまるでモンゴルに帰る前の朝青龍だ。そもそもの格が違うという感じだ。育ちすぎの大根よりも確実に大きい。
あんなのを受け入れ可能な女性は果たしているのだろうか…。裂ける。四次元ポケットでも標準装備している女性でもない限りアレの格納は無理だと思われる。どちらにしても、あんなサモアの怪人みたいなチンコを入れるなんて事自体がとても正気の沙汰とは思えない。
ジュウ…ジュウ…ジュウ
ニンニクをたっぷりと入れ、バターで肉と野菜をいためる。ニンニクのこげたニオイと、バターの香りがうまく調和して、なんともおいしそうなニオイが周りを包みこみ、ビリーの胃を刺激する。腹ペコのビリーにはなかなか辛い作業になった。
それにしても…テリーのチンコがあんな奇跡的な大きさなんてな。ありゃ神のイタズラか何かか。そりゃイトコの子は泣くわな。ビリー自身、見た時は泣きそうになった。今夜は巨大なチンコに押しつぶされる夢でも見てしまいそうだ。
テリーのことはちょっとした誤算だったとしても、自分のモノが同年代の友達と比べてあんなにダントツで情けないのは大誤算だった。ナタリーがヒィヒィ言うのは俺を気遣っての演技だと知った。それは真実の愛なのか。
とにかく、小ささは他を寄せ付けずにダントツでトップクラス。パンツを下げたその時からみんな大爆笑。皆の笑いがおさまるまでに実に50分を要した。テリーなんて、笑い過ぎて腹筋の筋肉がよじ切れて、最後苦しんでいたもの。誰が言いだしたのか、あだ名はミクロマンに決定した。
一時間後。
5人は各自思い思いの場所に座り、黙々とビリーの作ったカレーを食べだした。料理が不得意なビリーらしく、その味はあまり褒められたものではなかったが、幸いにして今の5人は腹ペコな腕白ボウズであり、味覚オンチでもあった。
異変が起こったのは3口目を口に運んだ時だった。
「うっ…うぐぐぐ…グハッ!」
持っていたカレーを地面に落とし、突然テリーがうめき出した。体はぶるぶると震え、顔は見る見る青くなっていった。額には玉のような汗がにじみ、血とカレーの混ざり合ったようなモノを嘔吐した。
そのまま地面に突っ伏したまま小刻みに震えていたテリーはやがてピクリとも身動きしなくなった。その間、時間にして3分くらいはあったかもしれない。けれど、その異常事態を見守る彼らにはそれは駆け寄る暇もないくらいに一瞬の出来事だった。
「き…救急車を…」
誰かが言った。いや、言ったのはビリー本人だったかもしれないし、誰も言わなかったのかもしれない。何もわからず、考える事ができず、ただその場にたたずんでいた。想像もしていなかった事態に頭がついてこなかった。まるで時間が止まったかのように辺り一面はシンと静まりかえり、同時に金縛りにかかったかのような重苦しい空気がその場を支配した。
テリーの容体はすでに救急車を必要としないことは誰の目にも明らかだった…。そう、彼はたった今、死んだのだ。
状況から見て、カレーの中に何らかの毒物が入っていたのは間違いない。そしてそのカレーを作ったのはビリーただ一人だった。
「ビリー…まさかお前…」
マイケルは震える声で言った。決して友達を疑いたくはなかったが、カレーを作ったのもビリー、皆の皿によそったのもビリーだ。その間、誰もカレーに触れていないし、近くによってもいない。そうなると、マイケルが思わずつぶやいた一言は至極当然といえた。
「カリだ。これは青酸カリだ。間違いない!みんな動くな!警察が来るまでは証拠保全だ」
薬物にはまったく微塵もこれっぽっちも詳しくはないが、殺人事件モノの二時間ドラマにはめっぽう詳しい一面を見せるルイスが自身の見解を述べ、指示を出した。青酸カリが出てきたことに根拠は全くなさそうだったが、一同には否定するだけの理由もまた見つからなかった。
「動機はカリの太さで負けたからか…。カリだけに青酸カリで借りを返したというわけだ…。」
常に冷静沈着なウイルソンが何気につぶやいた。一瞬涼しい風が吹きぬけ、辺りはさらに静寂に包まれた…
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【ビリーズブートキャンプ 第679話】
「俺じゃない!俺はやってはいないんだ!」
パトカーに乗せられ、両脇を抑えられながらビリーは叫び続けた。自分は何もやっていない。思いあたる事と言えば、友達よりもチンコが小さいことだけだ。あと少しだけ皮かぶってること。ミクロマンというあだ名だということ…。
「まあまあ、話は署で聞くから。」
年齢不詳の警察官は気のせいか不敵で残酷な笑みを浮かべた。その目はビリーを完全に疑っていた。
「俺じゃないんだ……」
もう一度ビリーは力なく言った。その声はサイレンの音にかき消され空気中に消えた。
つづく(続きません)
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【前回までのあらすじ】
3泊4日の楽しいキャンプになるはずだった…。
大学の卒業記念に、ビリーは仲の良い友達5人組でブート湖にキャンプにやってきた。
ブート湖は、ゴツゴツいた岩場が特徴で、水深も深く危険なので、地元の人間はまったく近寄らない湖だった。過去には、遊びに来ていた小学生が溺れるという事故があって以来、湖周辺は立入禁止区域になっていた。
彼らは貸し切り状態で遊べるそんなブート湖が好きだった。「立入禁止」という立て札は、いつも彼らにある種の探索心を起こさせるのだった。どこかワクワクする。いつものように彼らはボート遊びや、釣りなどありとあらゆるアウトドアを満喫していった。
「チンコの大きさ比べしよ~ぜ!一番小さいヤツは罰として今夜の夕食作ることな。」
テンションMAXで様々な遊びをプロデュースするビリーは、メンバーの中心的存在だ。「チンコの大きさ比べ」などといった提案をしたのは、特に理由はない。しいて言うのなら、ある種のアウトドア的な開放感が同時に下半身まで開放的にさせたのかもしれない。
ただ、ビリー自身、自分はそれほど小さくはないだろう、といった漠然とした思いはあった。恋人のナタリーにはいつもヒィヒィ言わせているし、もう堪忍やでぇ…と言うまで鬼の腰振りをやめることはなかった。
ただ少しだけ…。少しだけ5人の中で、自分のチンコの大きさはいったいどのくらいのポジションに位置しているのかを知りたかったことは否定はしない。
少なくとも、ガリガリで色白で身長が150センチしかないもやしっ子のテリーには負けないだろう、とビリーはふんでいた。幼い頃に父親を亡くし、朝から夜中まで働きに出ている母親の代わりに、下2人の弟の面倒をみてきたテリーの手料理が実はウマいということはすでにみんなが知っている事実だった。
ビリーの心の中では、今夜の夕食当番はすでにテリーに決まっていたし、またどこかでそうなる事を視野に入れた感のあるチンコ比べでもあった。
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「さて…と。じゃあカレーを作ろうか」
ビリーはそうつぶやくと、持ってきた食材の中から、じゃがいもとニンジン、玉ねぎなどを取り出した。肉は何にしよう。豚バラ肉でいいか。その前にアレだ、水汲んでこないとな。
「イトコの子供が泣くんだよ。僕のを見て…ね。」
後ろの方から楽しげな4人の話し声が聞こえてくる。自慢げに話すその声はチンコビガーチャンプ・テリーだ。
それにしてもだ。ビリーは思う。テリーのチンコがそんなに大きいとは夢にも思わなかった。どう見ても重量バランスがおかしい。パンツの中に完全に収まっていないし、何よりあれではまっすぐに歩けないはずだ。
トントントントントン… トントントントントン…
ニンジンを切りながらビリーはテリーの股間にだらしなくぶら下がっていた巨大なものに思いを馳せる。あの大きさ…。馬並み、という表現だけではまるで足りない。パンツから出した時、「ボロン…」ってこぼれる音が聞こえたくらい。
ビリーのモノがこのニンジンくらいだとすると、テリーのはまるでモンゴルに帰る前の朝青龍だ。そもそもの格が違うという感じだ。育ちすぎの大根よりも確実に大きい。
あんなのを受け入れ可能な女性は果たしているのだろうか…。裂ける。四次元ポケットでも標準装備している女性でもない限りアレの格納は無理だと思われる。どちらにしても、あんなサモアの怪人みたいなチンコを入れるなんて事自体がとても正気の沙汰とは思えない。
ジュウ…ジュウ…ジュウ
ニンニクをたっぷりと入れ、バターで肉と野菜をいためる。ニンニクのこげたニオイと、バターの香りがうまく調和して、なんともおいしそうなニオイが周りを包みこみ、ビリーの胃を刺激する。腹ペコのビリーにはなかなか辛い作業になった。
それにしても…テリーのチンコがあんな奇跡的な大きさなんてな。ありゃ神のイタズラか何かか。そりゃイトコの子は泣くわな。ビリー自身、見た時は泣きそうになった。今夜は巨大なチンコに押しつぶされる夢でも見てしまいそうだ。
テリーのことはちょっとした誤算だったとしても、自分のモノが同年代の友達と比べてあんなにダントツで情けないのは大誤算だった。ナタリーがヒィヒィ言うのは俺を気遣っての演技だと知った。それは真実の愛なのか。
とにかく、小ささは他を寄せ付けずにダントツでトップクラス。パンツを下げたその時からみんな大爆笑。皆の笑いがおさまるまでに実に50分を要した。テリーなんて、笑い過ぎて腹筋の筋肉がよじ切れて、最後苦しんでいたもの。誰が言いだしたのか、あだ名はミクロマンに決定した。
一時間後。
5人は各自思い思いの場所に座り、黙々とビリーの作ったカレーを食べだした。料理が不得意なビリーらしく、その味はあまり褒められたものではなかったが、幸いにして今の5人は腹ペコな腕白ボウズであり、味覚オンチでもあった。
異変が起こったのは3口目を口に運んだ時だった。
「うっ…うぐぐぐ…グハッ!」
持っていたカレーを地面に落とし、突然テリーがうめき出した。体はぶるぶると震え、顔は見る見る青くなっていった。額には玉のような汗がにじみ、血とカレーの混ざり合ったようなモノを嘔吐した。
そのまま地面に突っ伏したまま小刻みに震えていたテリーはやがてピクリとも身動きしなくなった。その間、時間にして3分くらいはあったかもしれない。けれど、その異常事態を見守る彼らにはそれは駆け寄る暇もないくらいに一瞬の出来事だった。
「き…救急車を…」
誰かが言った。いや、言ったのはビリー本人だったかもしれないし、誰も言わなかったのかもしれない。何もわからず、考える事ができず、ただその場にたたずんでいた。想像もしていなかった事態に頭がついてこなかった。まるで時間が止まったかのように辺り一面はシンと静まりかえり、同時に金縛りにかかったかのような重苦しい空気がその場を支配した。
テリーの容体はすでに救急車を必要としないことは誰の目にも明らかだった…。そう、彼はたった今、死んだのだ。
状況から見て、カレーの中に何らかの毒物が入っていたのは間違いない。そしてそのカレーを作ったのはビリーただ一人だった。
「ビリー…まさかお前…」
マイケルは震える声で言った。決して友達を疑いたくはなかったが、カレーを作ったのもビリー、皆の皿によそったのもビリーだ。その間、誰もカレーに触れていないし、近くによってもいない。そうなると、マイケルが思わずつぶやいた一言は至極当然といえた。
「カリだ。これは青酸カリだ。間違いない!みんな動くな!警察が来るまでは証拠保全だ」
薬物にはまったく微塵もこれっぽっちも詳しくはないが、殺人事件モノの二時間ドラマにはめっぽう詳しい一面を見せるルイスが自身の見解を述べ、指示を出した。青酸カリが出てきたことに根拠は全くなさそうだったが、一同には否定するだけの理由もまた見つからなかった。
「動機はカリの太さで負けたからか…。カリだけに青酸カリで借りを返したというわけだ…。」
常に冷静沈着なウイルソンが何気につぶやいた。一瞬涼しい風が吹きぬけ、辺りはさらに静寂に包まれた…
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【ビリーズブートキャンプ 第679話】
「俺じゃない!俺はやってはいないんだ!」
パトカーに乗せられ、両脇を抑えられながらビリーは叫び続けた。自分は何もやっていない。思いあたる事と言えば、友達よりもチンコが小さいことだけだ。あと少しだけ皮かぶってること。ミクロマンというあだ名だということ…。
「まあまあ、話は署で聞くから。」
年齢不詳の警察官は気のせいか不敵で残酷な笑みを浮かべた。その目はビリーを完全に疑っていた。
「俺じゃないんだ……」
もう一度ビリーは力なく言った。その声はサイレンの音にかき消され空気中に消えた。
つづく(続きません)
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