昭和は遠くなりにけり この国を愛し、この国を憂う がんばれ日本

昭和21年生まれの頑固者が世相・趣味・想いを語る。日本の素晴らしさをもっと知り、この国に誇りを持って欲しい。

変見自在 高山正之の本は面白い2

2012-12-06 03:39:44 | 読書と映画
オバマ大統領が再選後に最初に訪問した外国がミャンマーであった。この意味は大きいようだ。
ミャンマーは今年からかなり開放路線に向かっているように見える。軍事政権もスーチーの軟禁を解いてきたし諸外国も経済進出を指向している。
今の自由陣営の課題は中国の影響力をいかに削ぐかにあるように見える。

次に紹介する記事の掲載時期は2010年11月だから、もう二年も前だ。
今と状況は違うがミャンマーの実情が(英国の策謀が)よく分かる。
表題は「”英国人”スーチーの果たした偉業」であった。

昔は奴隷船を仕立ててアフリカから黒人を運び込み、農園なりで働かせるのが形たった。
しかし手間かけて運ぶのも面倒だ。どうせなら現地で奴隷を働かせた方が合理的だと考えるようになった。帝国主義植民地の誕生である。

例えばビルマだ。北のアッサムにお茶の木が見つかり、南のイラワジ河口が売れる作物コメ作りに適していると知って、英国はここを植民地にした。
ただ、この国には歴史ある国王がいて、英国の横暴に対して臣民が団結して抵抗する危険があった。
それで英国は国王をインドに流し、王子を殺し、王女はインド人兵卒に払い下げて王家の血筋を絶やした。ついでにマンダレーの王城は監獄に作り替えた。
「ビルマ人の国ビルマ」も作り替えた。イスラム教徒のインド人を入れ、華僑も入れ、周辺の山岳民族もキリスト教に改宗させて山からおろして多民族多宗教国家に変えた。

改革されたビルマではインド人が金融を、華僑が商売を、そして山岳民族が軍と警察を握り、この国の主だったビルマ人は最下層の農奴にされ、イラワジデルタで米を作らされた。
英国にズタズタにされたビルマはだから戦後、独立を回復すると英国的なものすべてを排除した。
まず大英連邦から脱退し、英国式の左側通行も、英語教育もやめた。
国連を通して英国がビルマから奪ったものの返還も訴えた。

英国は奪った国王の玉座や宝石を渋々返したが、ビルマは英国の植民地統治の責任も国連の場で糾弾を始めた。
その中にはアウンサンの暗殺もあった。表向き彼は元首相ウ・ソーに殺されたことになっているが、国民の多くは英国が仕組んだことを知っていた。
ビルマがそうやって騒ぎ続ければ、他の元植民地国家もやがて騒ぎだす。欧米による奴隷支配が明るみに出れば、東南アジアで残虐行為をやったのは日本ではなく、白人国家だったことがばれてしまう。

かくて白人国家は目配せし合ってビルマ非難を始めた。苛めにはアウンサンの娘スーチーを使った。
彼女は父を他国に投された。本末なら反英のシンボルになるはずの15歳の少女を元ビルマ総督が英国に連れ出し、英国人として教育し、英国人の夫まで与えて手なずけた。
スー・チーは父を殺し、祖国を彼壊した英国に忠誠を誓い、英国に背く祖国を非難し「植民地支配の糾弾」事業を潰した。
米英はビルマ政府を軍事政権と非難し、厳しい経済制裁を科してビルマの目を封じた。白人国家に楯つけばどうなるかという見せしめだった。

先日、そのビルマを訪ねた。経済制裁はこの国の歩みを完全に止めた。街の景色は二十年前と同じ。おんぼろトラックの荷台に鈴なりの客を乗せたバスが雨の中、泥水を蹴立てて走っていた。
貧しさに負けて九〇年代、議長のタンシュエは制裁に加わっていない中国に支援を乞うた。反対した良識派のキンニュンやエーベルは追放された。
雪崩のように入り込んだ中国人は金融も商売も独占し、マンダレーは大声でわめき、痰を吐き散らす彼らに占領されていた。
中国の支援で水力発電所ができたが、電気は中国に送られ、ビルマは毎日のように停電している。
中国の悪弊、賄賂も普及した。例えばパスポートを取るには入管事務所の周りに屯する口利き屋に頼むのが形になった。口利き屋が事務所から役人を連れ出し、申請者と役人と口利き屋の三人で日本なら幾ら、米国は幾らと賄賂額が折衝され、やっと旅券が出る。

政治も中国化した。間もなく民主化を謳う総選挙があるが、ポスターはどこにもない。代わりに選管事務所の役人が戸別訪問し期日前投票させる。投票用紙の候補者名は空欄で有権者はただサインするだけだ。
中国に国を売ったタンシュエ一派の全員当選がもう決まっている。
ビルマは腐り切った。もはや欧米植民地支配を糾弾する覇気も力もない。
英国人スーチーはその役割を十分に果たした

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