人生の踵R

劇団ちょーごーきん主宰の緑青青紫の雑談コラム。
主に旧HPに掲載していた文章の再録です♫

『宇宙のファンタジー』

2014-09-18 16:50:41 | ヒーロー
今回は2005年2月の文章をお届け♪





『宇宙のファンタジー』






新マグナムドライ!主宰緑青青紫である。

さて、筆者のように映画好きでBから下の作品に特に造詣が深い熱心な踵マニア、通称カカトニアの皆さんお待ちかね(略すなよ、てかいねえよ、踵マニア)、今回は宇宙SFに焦点をあててみたい。


まずは敵対型エイリアン。

このカテゴリーには「遊星よりの物体X」とそのリメイク、とゆうよりはキャンベルの原作「影が行く」の筆者が崇拝する監督J・カーペンターによる再映画化「遊星からの物体X」や、皆様御存知の「エイリアン」シリーズ、古典中の古典「宇宙戦争」(駄作「インディペンデンス・デイ」はこの作品のパチだ)など名作が沢山あるが、百万光年の彼方に置いといて緩いやつやパチを見ていく。


まずは「悪魔の受胎」。

宇宙船の女性乗組員がある惑星でエイリアンにレイプされみごもる。船に帰った女性乗組員は豹変、仲間を次々と毒牙に・・・。

当時SF映画雑誌に紹介されながらなかなか公開されず、観たいと思い続けてやっとこさ観たら凄まじ過ぎる駄目映画だった、苦い青春の想い出と共に筆者の胸に記憶される「エイリアン」パチもん作品中ヒットポイント最大の凶悪作。
公開前から写真で紹介されていた土偶型エイリアンに興味しんしんの筆者だったが、いざ見たら土偶型エイリアンは着ぐるみとか人形アニメではなくホントにただの土偶で、作品中全く動かない。
でレイプ場面はこの土偶から女性の股に透明の管が伸びてその中を液体と一緒に玉がコロコロ転がる悶絶描写、しかもタイムキーパーが馬鹿だったのか編集が馬鹿だったのか、あるいは監督が大馬鹿だったのか、その玉は女性側から土偶に向かって進んでいた・・・。
後はエイリアンも何もこの女性乗組員が殺しまくる展開で、ただの気違いオバサンの凶行にしか見えない。
本作の監督さんは「人食いエイリアン」とゆう、オッサンの鼻の頭を黒く塗っただけのエイリアンがレズカップルのプレイに参加して、最終的にレズをそのまま食べてしまうとゆう、大胆不敵かつ面白くなる要素のない作品も撮っている。
どちらも機会があっても絶対観なくていい。


同じパチもん「エイリアン」の「クリーチャー」は宇宙ソビエト・バッシング映画。
遥かにまともな出来だが決して面白くはない。が、ソビエト宇宙飛行士を悪役俳優、なだけでなく本当に悪人の故K・キンスキーが演じているのが宣伝材料とも言える。


宣伝材料といえば我等がロジャー・コーマン師父だ。
パチもんスターウォーズ「宇宙の七人」で大成功をおさめたコーマンは、その時撮影した特撮を1セントも無駄にせぬ為狂った様にSFを量産した。
その中でもギャラクシー三部作と呼ばれる作品は後にヒットした「エイリアン」のパチもんであった。


以前書いた内容と一部重複するが書く。
「スターウォーズ」がメガヒットを記録するや、我等がコーマンはすぐさま低予算でパチもんの製作に着手した。
「七人の侍」をパク・・・モチーフにした「宇宙の七人」である。
特撮を外注すると高くつく為コーマンは自社内にVFX工房を新設、そこに集まったのが当時は小僧だが今は第一線で活躍するチャック・コミンスキー、スタコック兄弟、ジェームズ・キャメロンなどであった。

「見栄えのする特撮を撮れ。しかし金は使うなよ♪」

とゆうコーマンの無茶な要求に答えた彼らの努力の甲斐もあり、映画自体は低調な仕上がりながら(筆者は大好きだが。)「宇宙の七人」は好調なセールスを記録する。
しかしコーマン先生はそれで満足する様な小物ではない。

「特撮フィルムはある・・・まだまだ儲かる♪」

天才コーマン先生の欲望は清々しいほど底無しだ。
「宇宙~」後、VFX工房はあっと言う間に解散したが、「とにかくSFをつくれ♪」の大号令の元、コーマン印B~C級SFが作られまくった。
丁度その頃、映画界ではエポックメイキングな作品がヒットを飛ばしていた。宇宙でホラーという「エイリアン」である(しかし「エイリアン」もイタリアンホラーの巨匠マリオ・バーヴァの「バンパイアの惑星」のパクリだと筆者は思う)。

コーマン先生は素早い。

すぐさま「エイリアン」パチもん映画が驚くほどのスピードで量産された。
数々のパチもんスターウォーズと共に産み出された「ギャラクシー・オブ・テラー」「禁断の惑星エグザビア」、これに「宇宙の七人」を加えた三作をギャラクシー三部作といい、「スター~」パチの「宇宙~」を除く二作は「エイリアン」パチである。
SFホラーなので派手な戦闘は普通はないが、コーマン先生は強引に宇宙戦闘機のドッグファイトを盛りこんで我々観客にサービス。その特撮フィルムは100%「宇宙の~」の使い回しである。
どの映画を見ても同じ戦闘機が戦う様は無茶を通り越して男らしいが、、何より凄いのは費用ゼロの使い回し特撮により「ジェームズ・キャメロン特撮監督作品」とゆう宣伝が可能になってしまうドス黒い大人の魔法である。
勿論、当時既にキャメロンはコーマンの会社にはいなかった。

「最低限の費用で最大限の利益を♪」

恐ろしい男である。
みな映画の出来は低調だが、この上出来まで期待するなど恐れ多い事と言わねばなるまい。
それでも「禁断の惑星~」に登場のクリーチャーはなかなかの出来で(担当はコーマン工房に最後まで残っていたスタコック兄弟である。)映画の出来は三部作中最低なれど、一見の価値は十分にあるだろう。



敵対する異星人もいれば友好的な異星人もいる。
特に「E.T」が流行ってからやたらこの手相が増えてきた。
バルタン星人かメフィラス星人あたりにビシッと言って貰いたいもんである。

そんな訳で、次は友好的異星人映画を見て行く。勿論「E.T」はどっかに吹っ飛ばして。

カカトニア(だからいねえよ、カカトニア)の皆さんはとっくに御存知だろうが、パチもんと言えばイタリアで、狂い果てたタイトルがイカすダメ映画「E.Tと警官」やお得意の勝手に続編風タイトルの更にダメ映画「帰って来たE.T」など、絶妙にヌルい珠玉の作品が群れをなしている。
が、この程度でイタリアを煩わせる事もあるまい(なんだそりゃ?)。
アメリカを中心に見ていくのが自然の摂理だ。

まずは「マック」。
何の事はないE.Tのまるぱくり。地球で迷子の異星人とガキの他愛のない友情物語だ。
ただ風力発電の風車をとらえた美しいショットなど好きなシーンもあり、筆者はこっちの方が好き。
ちなみにマックとはミステリアス・エイリアン・クリーチャーとゆう強引にも程かある名前の略だとさ。

次は「スターマン」。
大傑作である。

夫に先立たれた未亡人の家近くに異星人が着陸。家に侵入した異星人は写真から未亡人の死んだ夫に擬態する。一方、政府は異星人の捕獲に着手、未亡人の協力で政府の追手から逃れ味方の宇宙船の待つ場所へ向かう異星人。逃避行の中で未亡人と異星人の間に愛情が芽生え、異星人は愛の証しに未亡人のお腹に子種を残し地球を去る・・・。

「E.T」と似た主題の為、亜流と誤解される事もあるが、企画自体はこちらが先にスタートしていたらしい。
「E.T」に比べ、ぐっと大人の感動物語を監督したのは、ホラーや乾いたSFアクションを得意とするジョン・カーペンター。筆者の尊敬する映画監督である。
本作は後にテレビシリーズになっている。
再び地球を訪れた異星人が息子と会い、行方不明の未亡人を二人で探すロードムービー風の作風で、しっとりとしたなかなかよいシリーズだった。

次に「ヒドゥン」。これもいい。
地球に侵入した凶悪異星人を地球の刑事と善玉異星人のコンビが追うキレのいいSFアクション。
凶悪異星人は様々な人間に乗り移るが、それを追う善玉異星人を演じたのは一時ブレイクしたカイル・マクラクラン。
筆者は好きだが、あまりにクセがなく食われやすいのが残念な役者だ。
地球の刑事役は「フラッシュダンス」しか代表作のないマイケル・ヌーリー。
この人も嫌いじゃないが、やはりアクが足りない。
ちなみに本作には続編があるが、作った奴は地獄に行って欲しい。


さて、その気になれば死ぬまで続けられる今回の踵、この辺りで締めの準備にとりかかろう。


最後はスペース・オペラ。

お待ちかね、イタリアの登場である。

スターウォーズパチの代表作であり、作品を撮るごとに世界中の映画ファンから「このヘボ監督!」と罵倒され続けるルイジ・コッツィの出世作「スター・クラッシュ」だ。

銀河征服を企む伯爵の手により宇宙は善と悪に分かれ争っていた。平和主義者の皇帝の依頼を受け、女海賊ステラ・スターは伯爵の野望をくじく為、銀河に旅立つ・・・。

筆者のヘボ監督名鑑に名を連ねる迷匠コッツィだが、本作の演出はなかなか快調(金は全然ないので特撮に迫力はないが・・・)。
しかし「やってみたかった」とゆう夏の小学生の様な理由で無理矢理挿入される人形アニメの物語を破綻させる勢いの狂いっぷり、伯爵の惑星を守る最強部隊が何故か原始人だったり、話に関係0な氷の惑星やアマゾネス惑星のシーンなど、自分の夢を物語に関係なくブチ込んでくるコッツィの無邪気さが狂暴だ。
ラストの最終決戦では、主役のステラは仲間の戦いっぷり死にっぷりを母船の中から眺めてるだけとゆう腰砕けな展開がやはりというか、さすがコッツィである。
ステラ・スターはジャンルファンにはお馴染のキャロライン・マンローが、どんな冒険の後でも崩れないアイラインびしばしの場末のキャバクラ御用達メイクで演じている。
ちなみに「ナイトライダー」前のデヴィッド・ハッセルホフが準主役級で出演している。

「スターウォーズ」を頂点とするスペースオペラは、以降のハリウッド大作だと「砂の惑星」やら「フラッシュ・ゴードン」やらあるが、見所はあるものの成功とは言い難く、逆に割り切り型B級作品の方が気軽に楽しめちゃう微妙に安いジャンルといえる。

そんな中で、最高に緩く、最高に楽しめるスペースオペラが日本にある。

今は亡き名匠深作欣ニ監督が何故か撮ってしまった「宇宙からのメッセージ」だ。
「南総里見八犬伝」を無理矢理宇宙に置き換えたアバンギャルドにも程があるストーリーで、ジャンル違いの深作監督にこんなもん撮れる訳ない。
更に、深作監督の持ち味に千葉真一や成田三樹夫ら濃すぎる面子のエネルギーが合わさり、結果、宇宙任侠アクションとゆう前代未聞の作品が誕生。
筆者的には大傑作で是非観て頂きたい。
特撮に関してはかなり頑張っており、ラストの要塞でのドッグファイトはなかなかの出来。
主人公たちの宇宙船リアベ号も、ミレニアム・ファルコンの影響は多分に見て取れるが、かっこいいといっていい。



色々とみてきたが、やはり映画は舞台が宇宙だったり宇宙人が出てきたり、それだけでワクワクするもんである。宇宙は最後のフロンティアであり、人間が夢を見れる数少い場所なのだ。

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