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次期の日本原子炉はPWRが合理的

2012-05-09 14:22:16 | 事故経過と今後の対策改良点。わが国のエネ
次期の日本原子炉はPWRが合理的。
今回の東北地震では津波浸水以外に福島1号炉などでは烈震による重大な損傷被害が生じている。それは地震直後に制御室の窓から作業員がタービン室に「生蒸気が噴出している」ことを目撃している。これはBWR原子炉からの蒸気がタービン室に直結され発電を行う最も枢要なダクト部分の破損であるが、原子炉室の基礎と発電機室の床部の重量差から地震振動が異なり、その間の連結導管接続部が破断したものである。
わが国で14基が実働しているGE社の沸騰水型(BWR)原子炉は核燃料棒表面を流れる冷却水がそのままタービン室に導入されるので熱効率が高く、電力需要のピークに即応できる利点があるが反面、高放射能の沸騰水が炉室外まで還流する。
本来は純水を注入するのであるが、燃料棒被覆のジルコニウムは電気化学活性が高く、筆者の経験でもそれが固定枠など異種金属と純水中で接蝕すると電池作用により1週間程度で腐食されて燃料棒表面に細孔が生じ、内部の核分裂生成放射性物質が沸騰水中に逸散する。
そのため米国スリーマイル島発電所では純水浄化装置を還流経路に導入していたが、それのイオン交換樹脂の取替え処理を炉作動中に行っていて、冷却水循環制御に異常が生じて原子炉の暴走事故に到つた。その場合には放射能汚染は原子炉建屋内には収まらずタービン室から海水、河川などの周辺地域に及ぶことになる。
一方、加圧水型(PWR)炉では原子炉発生蒸気を数気圧に昇温加圧して沸騰を抑えそれを炉室内に設置した熱交換器に導入循環させる。この交換器の2次循環蒸気がタービン室で発電する。そのため原子炉系とタービン系は完全に還流遮断されるので地震によっても放射能逸散は生じない。PWRの場合、沸騰泡による炉の負反応率は利用できないが既に各国の原子炉潜水艦においてPWRの豊富な運転実績がある。現に米国の10年後新設の原子炉はPWR型で開発が進められている。
以上の点から地震大国日本での次期原子炉の設計構想には在来のBWRからPWR型への転換が望まれる。