今の仕事に就いてから、しかるべき理由があってお酒を殆ど飲んでいない。極力、飲むのを控えている。
元々、外飲みしかしていなかった。いわゆる「酒に強い」と分かったのが社会人になってから。代々の呑み助の血筋ゆえ二日酔い知らずだが、飲まなければひと月以上も休肝日が続いてそれが苦にもならない。
2011年以前にも、2度ほど急性気管支炎にかかったため飲む量が減った。周囲も遠慮して、誘ってくれるのは飲み会より食事会が増えた。
そして、そのうち飲む席の多くが弔事や法事になっていった。送った者たちとよく一緒に行った旅を思い出し、旅先で飲んだお酒を思い出し、溢れそうになる涙を堪えるために、飲んだ。飲んでいると不思議に涙も飲み込める。
やがてお酒の席は減っていき、飲まなくても涙を堪えることに慣れてきて、ここ1年ほどはどちらも毎日の生活に滴ることがなくなってきた。ほとんど、ひと雫も。悲しみが薄れたわけではないのに。
柄にもなく感傷的な言葉を連ねてみたのは、ここ数日、涙を流したせいだろう。苦くなく、辛くない、透明で湧水のような涙をほんのひと滴、久しぶりに。
母の漬けてくれた梅の実がとうとう無くなりそうになってきた。
さみだれのけならべ降れば梅の實の園大きくここよりも見ゆ (斎藤茂吉)
元々、外飲みしかしていなかった。いわゆる「酒に強い」と分かったのが社会人になってから。代々の呑み助の血筋ゆえ二日酔い知らずだが、飲まなければひと月以上も休肝日が続いてそれが苦にもならない。
2011年以前にも、2度ほど急性気管支炎にかかったため飲む量が減った。周囲も遠慮して、誘ってくれるのは飲み会より食事会が増えた。
そして、そのうち飲む席の多くが弔事や法事になっていった。送った者たちとよく一緒に行った旅を思い出し、旅先で飲んだお酒を思い出し、溢れそうになる涙を堪えるために、飲んだ。飲んでいると不思議に涙も飲み込める。
やがてお酒の席は減っていき、飲まなくても涙を堪えることに慣れてきて、ここ1年ほどはどちらも毎日の生活に滴ることがなくなってきた。ほとんど、ひと雫も。悲しみが薄れたわけではないのに。
柄にもなく感傷的な言葉を連ねてみたのは、ここ数日、涙を流したせいだろう。苦くなく、辛くない、透明で湧水のような涙をほんのひと滴、久しぶりに。
母の漬けてくれた梅の実がとうとう無くなりそうになってきた。
さみだれのけならべ降れば梅の實の園大きくここよりも見ゆ (斎藤茂吉)