アモルの明窓浄几

芦屋・仕舞屋・三輪宝…生噛りの話題を机上で整理します。

改めて「応能負担の原則」を

2012年04月09日 | 万帳報
2月22日に発表された金融広報中央委員会の世論調査(2011年)によると、2人以上の世帯で、預貯金や株などの金融資産を「保有していない」と回答した世帯の割合が28.6%と、略三割に達しました。
金融資産を保有額順に並べた時の中央値は、420万円だそうで、43.3%の世帯は、「定期的な収入が減ったので金融資産を取り崩した」と回答しています。

又、同日発表された厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2011年)によると、月額賃金(ボーナスや残業代を除く)を比較すれば、非正規社員の賃金は、正社員の63%に過ぎず、50~54歳においての比率は49%であり、五割にも及んでいません。

前々回のブログ(3/26「孤立死」とは何だ)の札幌市の姉妹のように「懸命なる求職活動」、「積極的に就労活動」を行い、その結果、職を得たとしてもそれは不安定であり、貧困からは抜け出せない現実があります。
「生活保護を受けるには懸命なる求職活動が必要」などと、貧しいのは自己責任であり、努力が足りないからだと言わんばかりの行政窓口の対応(註1)は、とことんまでの自助努力を求め、だめならお互いで助け合い、それも出来ない場合のみ国が救ってあげると云うような人としての尊厳を踏みにじる行為が当然のように行われていると思われます。

前回のブログ(4/2「トヨタ税」の設立を)でみてきたように、日本にお金がないのではなく、富の再分配の方法が間違えているのです。従って「貧困」は、意図的につくられてきたものだと云えないでしょうか。
富裕層や企業(特に大企業)には、より多くの社会貢献をしてもらうような政策へ切り替えて行くことが必要です。
又、私たちは税制面においても、憲法における生存権の具体化が「応能負担の原則」であると云う事も改めて確認し合い、訴えて行くことが必要です。


註1:行政窓口の対応について、単に職員個人を批判しているのではありません。
   窓口職員は、上司の指示に従っているだけなのでしょう。又、上司は「通達」に従っているだけだと云うでしょう。一般論としては、民間ならこれで通る話かもしれません。しかし、公務員は別ですよね。
御存じのように、国家・地方公務員の全ては、憲法第99条に基づき憲法を尊重し、擁護する義務を負っています。又、憲法第15条に基づき、公務員は全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではありません。
公務員法で、法令と上司の命令に従う義務を課せられていますが、最後は最高法の憲法に法って判断する事が求められています。

札幌市の姉妹の姉は、区役所の生活保護の相談窓口へ出かけたが、生活保護を受けるには『懸命なる求職活動』が必要だと担当者に言われ、窓口は生活保護受給資格が有る事を認識していたにも関わらず、「本人が保護申請の意思を示さなかった」事を理由に放置するに至ったことは、刑法193条(公務員職権濫用罪)第1項の「公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害したときは、二年以下の懲役又は禁錮に処する」の『権利の行使を妨害した』に該当するのではないかと思わせるほどの行為であったと思います。
少なくとも、憲法に基づく人権の擁護と云う基本原則に法り、適切な判断を下して居れば、あの様な痛ましい結果は避けられたでしょう。

繰り返しますが、単に職員個人を批判しているのではありません。特に窓口職員を批判しても問題の解決にならないでしょう。彼らも行革の名のもとに、人減らしや複数業務の負担など、プレッシャーをかけられているのです。だから私達市民も彼らと共に対策を考え、彼らが真の公僕として発言、行動できるように、彼らを励まし支え合って行かなければなりません。



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