兄メイトフィギアBOXの特典・奥村兄弟の添い寝ポスター。
欲しい…が、何故ポスター?
良質な実物大ダッチワイフが60万で作れるこのご時勢で(笑)
青の祓魔師 第32話「深淵」 1
強力な竜巻状の結界を作った勝呂。
ア×ル口「*」の不浄王。火が苦手なんで一時撤退。
「なんとか不浄王は退けたが、竜士、この二重の構えはかなりの体力を消耗する。
覚悟しろ」
伽楼羅から警告。
勝呂は咳き込む。ガクガクと体が震える。
いわれるまでもなく、体力が限界寸前だ。
燐が駆け寄ってくるので、伽楼羅は状況を説明する。
術者を守る為、結界の力を少し守護に回したと。
燐は安堵するが、勝呂は否定する。
「この結界はあと十五分持つか判らん…」
「十五分!? な…なんでだよ!?」
「俺自身の体がもう限界なんや…。
正直十五分も自信ない」
燐は目を見開く。
勝呂は蒼白な顔でうな垂れた。
「…子猫も志摩も結局間に合わへんかったな…。
みんな、無事やとええけどなあ」
「無事に決まってんだろ!!」
いつにない弱気な勝呂の姿に思わず燐は語気を強めた。
だが、勝呂を食い損ねた不浄王は今度は燐をターゲットにして襲ってくる。
クロが慌ててかばったが、強烈な瘴気を浴びて倒れてしまう。
「くっ…そ…こ…の、やろォおお!!!」
燐は剣を必死で抜こうとしたが、全然ビクともしない。
もう後がないというのに。
(ウソだろ…何でここまで来て抜けねぇんだ…!!!)
この作戦はあくまで燐の復活を前提にしている。
その要である自分がまだビビッているというのか。
何に? どうして吹っ切れない。
クロも勝呂もボロボロなのに。
自分は心の何処にまだ重しを載せてるというのだ。
「何でだ!!」
相変わらず不浄王の身体を鞘で払うしかない燐の姿に、勝呂は絶望した。
ダメだ。ムリなのだ。これが現実という奴だ。
俺達は、人間はよくやった。燐も自分によく付き合ってくれた。
燐の自信に押され、燐となら何でも解決するんではないかとも思ったが、
やはり幻想だったようだ。
なら、もういい。もう充分だ。
「もう終いやな」
息も絶え絶えに勝呂は呟いた。
「俺の結界が持っとるうち…お前は逃げや!!
逃げて今から少しでも人を避難さすんや…!
早よ…行きぃ。
一分一秒も惜しいわ」
その言葉を燐は真っ青になって聞いていた。
勝呂は燐を護って死のうとしている。
こんな状況でも京都の人々を心配している。
自分が応えてやれないばかりにここまで追い詰めた。
「行け!!」
勝呂は叫んだ。
燐が早く立ち去る程、この苦痛は早く終る。
燐が助かるまでは耐えてみせるから、いつもの諦めの悪さは撤回してくれ。
だが、燐は歯を食い縛って、言葉を搾り出した。
打開するのだ。うろたえるな。弱気は損気だ。何の勝利の足しにもならない。
いつもの自分でいろ。い続けろ。
「…………あー。
あれ!何だっけ…ああ、そうだ!!京都タワーだ!」
燐はまるでここが学校の教室のような顔で日常会話を始めた。
瘴気に侵蝕されながらも、両手を広げて笑う。
「俺、京都タワーに登りてーんだ!
明日お前案内してくれ!!
地元だし詳しいだろ?
タワーなのに風呂あるらしーじゃん!
スゲー気になる!
皆も誘ったら来るかな!?
なので京都は無事じゃねーと正直困る。
みんなが無事じゃねーと俺は困る。
勝って帰るんだ」
憔悴し切っていた勝呂は並べられた言葉に思わずそれらを忘れた。
一体、こいつの神経はどーなってんだ?
どうしてこの状況でこんな事を言い出せる?
「な…んで…よりによって京都タワーやねん!!!」
「え!?」
「いっぺんも登った事ないわ!!」
「まじで!!」
「ちぃーと恥ずかし思てるくらいや!
京都他に名所ぎょーさんあるやろ!!」
「俺、寺とかあんまし判んねーし、むしろオシャレスポットかと…」
思わず勝呂は激しく高笑いした。
おかげでカラリと気持ちが晴れた。
(コイツ…ほんまはガクガクのクセして…)
笑いが止まらない。
人ではないにせよ、燐も一杯一杯なのは判ってる。
だが、それでもこういう所に勝呂はかなわないな、と思った。
それは悪くない気分だった。
「すっ勝呂サン…ど、どったの…?」
「あーー…」
勝呂はバカバカしいと思った。
天を仰ぐ。熱気の中で雨粒が気持ちいい。
吹っ切れた。いい気分だ。こんな時なのに。
深刻ぶってもシリアスなシーンも、燐の前では馬鹿げて思える。
だが、それだからこそ、腹を括れる。
「もうええわ…どうでもええわ!
お前のそのカラ元気に乗っかったるわ。
友達やしな」
憔悴した、それでもまぎれもない真正面の笑顔に、燐は目を見開いた。
勝呂が「友達」と言った。
サタンの子である自分を。
「奥村。お前を信じる」
勝呂は印を結んだ。火力が強まる。
防御が解かれ、全てが結界に回る。
勝呂は攻撃の全てを燐に託した。
燐はその姿に思わず息を呑んだ。
彼を信じる姿。傷ついても護ろうとする姿。
それは養父獅郎を思い出させた。
(クソ親父。どうして俺を助けた。
こんな俺を。
俺は何の為に助けられたんだ)
燐は思わず剣を握った。力一杯引き絞る。
勝呂を、皆を死なせたくない。
自分を信じて、頑張ってるみなを誰一人傷つけたくない。
自分にはその力がある。
獅郎はそう信じて、燐を助けた。
(俺は何の為に助けられたんだ)
こだわるな。吹っ切れ。
自分の一番大事な事は何だ。
獅郎が死を持って、突きつけた回答は何だ。
燐は吠えた。
倶利加羅が応える。
その瞬間、青い炎が刃から弧を描いた。
燐の頭からも炎が甦る。
そのまま、一気に不浄王へ突っ走った。
(アイツ…剣…抜けたんか…!)
勝呂が、シュラがその姿を確認する。
燐は凄まじい勢いで不浄王を両断した。
悲鳴を上げて、核の部分が焼け爛れる。
「奥村…!」
燐は思わず自分の手を確認した。
(抜けた…!!)
出来た。取り戻した。
瘴気に飲まれかけた勝呂をシュラが助ける。
シュラは振り返った。
「勝呂はアタシにまかせろ!
もう、あの化け物は素の人間に倒せる代物じゃない…。
お前に頼るしかないんだ。
アタシと約束したろ。
獅郎がお前を生かした事が正しかったと証明してみせるって…。
証明してみせろ!!」
「…………ああ!」
「頼むで」
勝呂の言葉に燐は友人の顔で頷く。
そのまま、翻って飛んだ。
その背にシュラは声をかける。
「燐、あとお前に足りないのは自信だけだ。
自分の居場所を自分で勝ち取れ…!」
燐は不浄王に襲い掛かった。
再び核に挑もうとする。
が、危機を感じたのか、凄まじい勢いで身体を増殖し始めた。
余りの大きさに表面の突起だけ切っても意味がない。
「コッ、コイツ、どうやって倒すんだ」
燐は焦った。自分の炎の火力だけではとても足りない。
しかも勝呂も完全に限界に達していた。
声もなく、横倒しに崩れ落ちる。
「勝呂!!」
術が切れた。結界が崩壊する。
それは下界の志摩達も目撃していた。
「結界が…! 坊に何かあったんや!!」
「ちょちょちょ、瘴気が街に流れてしまうやん!」
「いや幸い、この激しい雨が胞子の拡散をおさえてくれとるようや。
今はまだな」
しかし雨が抑えるのも限界がある。
うろたえる人間達の姿に伽楼羅は溜息をついた。
『不甲斐ない人間どもめ』
燃える錫杖が言葉を発したのに、驚く志摩達。
そして、結界が崩れていくのを上空からメフィストも鑑賞していた。
人間の力だけではこれが限界。
これから次の場だ。何を観せてくれる?
「やはりもたなかったな。
さぁどうする。
地獄の釜が開いた」
燐はひたすら斬るを繰り返していた。
だが、打開策が見つからない。
(やべーぞ!
瘴気を外に漏らしちゃマズイんだったよな。
俺はどうすりゃいいんだ!)
燐は吠えた。
今はただ斬るしかない。
剣士は刃で物事を知り、突破口を見つけるものだ。
2へつづく
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