統合失調症ライフ

闘病生活8年目にして寛解を目指すあじーのブログ

椎名林檎「浴室」の一解釈[A]

2011-08-14 | 日記
ネットの企画で、「納涼怖い歌詞ベスト10」
みたいなのに浴室が入っていまして。
私はリアルタイムでこの曲を聴いた世代ですが、
あんまり真面目に歌詞を読んだことがなかったのです。
でも、この企画がきっかけで浴室の歌詞を読んで、
解釈を調べようと思って軽くぐぐってみたら、
「メンヘラ女が無理心中する歌」
という解釈始め諸説あるんですねぇ。
(それ確かに怖くておもしろいけど、私の解釈と違う。)
と思いまして、自分なりに読み説いてみたいと思います。

さて、テキストとなる歌詞全文は以下の通り。



浴室 作詞・作曲:椎名林檎

[A] 
新宿のカメラ屋さんの階段を下りた茶店は
ジッポの油とクリームあんたの台詞が香った
云ったでしょ?「俺を殺して」

[B]
今日は特別に笑ってばかりのあたしは丁度
さっき 一度夢で死んだあんたを仕方無く愛す
どうか 見捨てたりしないで

[C]
洗って 切って 水の中
呼吸器官は冒される
あたしが完全に乾くのいまきちんと見届けて
磨いて 裂いて 水の中
無重力に委される
あたしが完全に溶けたらすぐきちんと召し上がれ

[D] 
あんたが目の前で絶えて嗚咽を止められなかった
なんだか浮世の全てが恋しくて堪らなかった
あんな夢を見させないで

[E]
甘い匂いに汚された
お留守になっていた守備部隊
あたしが完全に乾くのいまきちんと見届けて
赤い嘘に汚された
自分で吐いて傷を見た
あたしが完全に溶けたらすぐきちんと召し上がれ

[F]
退屈なんか恐れていない
どうして二人は出逢った?


アルファベットは私がつけました。
ABCが一番、DEFが二番です。
順番に読んでいきましょう。

[A]
新宿、カメラ屋さん、階段を下りた茶店、ジッポ、クリームと
具体的な単語が続きます。
話に具体性、リアリティを出したい時に
具体的な単語を使うというのは作文の基礎ですね。
あと、4W1H(いつ・どこで・だれと・なにを・どうする)
も文章の基本ですが、
新宿、カメラ屋さん、階段を下りた茶店という部分で
ハッキリと場所が示されている(強調されている)のが
分かると思います。
浴室じゃないのかよ!と突っ込みたいところですが我慢。
その茶店で、
あんたとあたしが相対しているということが分かります。

そこに、ジッポの油とクリームとあんたの台詞が香っている訳です。
ご存知の方も多いと思いますがあえて書くと、
ジッポというライターは、普段は香りません。
タバコに火をつけるためなどに使ってはじめて香ります。
ああ、「あんた」は喫煙者なのだな、
今ちょうどかすぐさっきにタバコに火をつけたのだな、
というのが分かります。
(私は喫煙者じゃないので間違った情報かも。)
クリームは整髪料かなと思いました。

で、ここで考えます。

・(あんたの)ジッポの油
・(あんたの)クリーム
・あんたの台詞

この中に通常では香らないものが混ざっています。
そう、あんたの台詞です。
なぜ「香った」と表現したのか。
それは、今リアルに発せられた言葉ではないから、
「あたし」の脳内にその言葉があるからではないかと考えました。

そして、さらに考えました。
デートでカフェで二人で話してる時に
「俺を殺して、って言ったでしょ?」
という恋人は怖い。怖すぎです。

ちょっと話は飛びますが、
うちの姉は夢の中で旦那に浮気されて、
目覚めた後でその件について
旦那をめちゃめちゃ怒ったことがあるそうです。
旦那かわいそう。

更に話は飛びますが、
吉原炎上系のえろい映画を見ていて、
男の人とムニャムニャしていた女優さんが、
「あぁ、殺してぇ……!」
と叫んだのを見てびっくりしたことがあります。

私はこの「殺して」を、
上の二つのどちらかではないかと考えます。
で、それを思い出して彼女は悦に入っている。
云ったでしょ?という言い方には
上位に立っている者の優越を感じます。
でも、それを実際には「あんた」には言わない(言えない?)。

長くなりました。[B]に続く!