読書の森

岩波文庫編集部編 『ことばの花束』



この地域では、今年三が日の空は抜ける様に青い。

何故かこの元旦に、無性に本屋に行きたくなった。
そこで外出して初めて気づいたが、元旦だから普通の書店は休業してるのだ。
私は、その駅の周りをウロウロしてbookoff に駆け込んだ。

駆け込みたい程本屋に行って介護の現実を忘れたかったのだ。




そうして購入した本の中で、いつでも何処でも読めて、内容豊富なのが、『ことばの花束』である。

岩波文庫の編集者達で古典的名作から選りすぐった名言集である。
短い文でリッチな内容が詰まっている。

かなり重みのある名句ばかりである。

その全てを紹介したくなるが、そういう訳にいかないので、ここに二、三抜粋する。
その場で目を引いたものをアトランダムに選んだ。



人類は、自分にとって幸福に思われるような生活をたがいに許す方が、他の人々が幸福と感ずるような生活を各人に強いるときよりも、得るところが一層多いのである。
(ミル 『自由論』)

人は誰が上にも好きな人、いやな人というものがある。
そしてなぜ好きだか、いやだかと穿さくしてみると、どうかすると捕捉するほどの拠りどころがない。
(森鴎外『阿部一族』)

すべてを疑うか、すべてを信ずるかは、二つとも都合のよい解決法である、どちらでも我々は反省しないですむからである。
(ボアンカレ 『科学と仮説』)


これらの短い言葉の持つ意味は一見はごくシンプルなものであると思う。

人それぞれ何に幸福を見いだすかは異なる。
だから自分がそれで幸福だと思う事を人に強制すべきではない。

誰でも理由もなしに虫の好かない人がいるものであるし、何故か惹かれてしまう人がいる。
(蓼食う虫も好きずきである)。

絶対にそれしか信じられないという事もないし、絶対それしかないという事もない。

以上が私なりの解釈である。

読んでいただきありがとうございました。

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