素晴らしき茜空の会

主に特撮番組の感想文。ブログタイトルは仮面ライダーキバに登場する「素晴らしき青空の会」より。

仮面ライダーアマゾンズ Episode2「ORPHANS」

2017-04-15 09:00:00 | 仮面ライダーアマゾンズ
黒崎に4Cへと連れ戻された千翼は、イユや黒崎隊と共にアマゾンの駆除をすることに。感情や痛みのないイユの戦いぶりに、心痛める千翼は初めて誰かを守る為に変身する。そこに行方を眩ましていた悠が現れる。


ORPHAN [名詞] 親のない子,孤児

season.1が「天然と養殖」だとすれば、こちらは
「親を喰ったみなしごと、親に喰われたみなしご」と言ったところか。
(千翼が母親を食べたかどうかは未確定ですが)

さて。えーーーーーっとですね。
アギトでひたすら北條さん推ししてた私の今回の見所は「山崎潤さんは何を演じるのか」だったんですけども。
イユちゃんの記憶のなかで、幼い声にあわせて一緒に歌う「優しい父の歌声」を聞いた時点で
うわぁ、って思ったよね。そこか、その役か。

うん、全てのシーンにおいてすごい迫力ある演技を見せてくれましたが、全シーンR指定レベルです。

ということで、山崎さんの役は既に死んでると思うんですが、
まだまだ回想シーン等で出演されるのかな? 心待ちにしております。

さて本編。

「確かに君は、人間の遺伝子を持ってはいる」

そうなの!? だって前回「ただ、成長の早さはとてつもないです」って言ってたよ。
絶対アマゾンだと思ってた。
そっか、「アマゾンに育てられた子供」っていうのは「狼に育てられた子供」と同じノリで
「人間の子供」というのは確定、なのか。
しかし「人間の遺伝子を持ってはいる」という言い方も、微妙だよね。
人間とアマゾンのハーフ? アマゾンには生殖能力が付与されてなかったはずですけども。

ちょっと待って。今すごく、イヤなことに気づいてしまった。
七羽さんと仁さんの間に、子供がいても、おかしくないよね。
その子供は人間の遺伝子を持ってるだろうけど、アマゾン細胞も受け継いでいるだろうし、
人喰いの本能に苦しめられていても、おかしくない。

いやいやいや、そんな展開は安直すぎやしませんか?って思うけど。でも。
七羽さんと仁さんに子供がいるとか、ちょっと、いやすごく、嬉しいな。

さておき。「初めてだ、俺が食いたいと思わないでいられる人間」が屍体だったということは、
むしろ彼の本能が「生き餌を求める」点で正しく働いているんじゃないかと思いました。

橘局長。

千翼を「理解しあえない存在」と評する橘さんですが、
意外と「千翼、おかえり」と名前で呼びかけるんですね。
その態度は、悠に対して「母親」として振舞っていた水澤本部長のように、
まるで千翼の「父親」のようにも見えるわけで。

いやぁもしかしたら、水澤本部長が自分の作ったアマゾンに「悠」と名をつけ、息子として育てていたように、
彼に「千翼」という名前をつけたのも、橘さんだったりするかもしれないよね。

「俺をアマゾン扱いするな!」と叫ぶ千翼と橘さんの顔が交互に映るんですが、
このシーン、橘さんは微かに、首を左右に振ってるように見えるんだよな。
なんていうか、「それ」はまだ、「今は」言うべきではない、と目で制するような?
なんとなくね。

しかし、自分が立ち去ると同時に部屋の照明を明るくしていくという。
目が焼き尽くされるような純白の部屋、あんなところに閉じ込められてたら
普通に気が狂うと思うんですが。なぜあんな環境を作った。画面が眩しい。

イユちゃん。
ツイッターで「千翼も黒崎さんもフクさんも、彼女に対して『と思っているはず』と一方的な願望を押し付けている」
というような意見を見て、なるほどなぁと思った。
眩しすぎる光が、おのれの中に秘めた罪を白日の元に晒すのと同じように、
深すぎる闇は、おのれの中にある願望をありのままに映し出すのかもしれない。鏡のように。

さて。前回から「感度が悪い」とディスられていたイユちゃん、今回も腹を抉られてからの「ターゲット、確認」
視認して! 見たらわかるじゃん、味方が攻撃されまくってるじゃん!
視覚が判断基準と直結しないのか。もしかしたら、視覚が機能してない?
彼女の金色の瞳は、何を見ているんだ。

しかし「痛みも疲労も感じない」から無敵だよね〜みたいに言われてましたが、
自らのダメージを認識できないことが、こんなにも脆く危ういものだとは。
シグマ前原くんもダメージを知覚できてなかったけど、「知覚できない自分」を認識できてた。
でもイユちゃんはそれすら気づかぬまま、まともに動かない体を引きずるように敵に向かっていく。

そんなイユの手を掴む千翼。
でも、握られた手の記憶は、彼女の父親との思い出と直結していて。

彼女を握っていた手が、アマゾンを攻撃する。
彼女の手の代わりのように。
突如、得体の知れないモノと化した父を、地獄絵図へと変わり果てた現実を、
必死で拒絶する彼女の心の表れであるかのように。

そしてアマゾンの左目を貫く千翼の剣。イユの失った、左目。

「記憶はあるはずですが、屍体ですから、痛みも感情もない、ということです」

とっぷりと闇に沈んでいる彼女。記憶も心も感情も、そこでは何も存在しない。
そんな彼女の手を掴んで引きずりだそうとする千翼の行為は、彼女に唯一残された「記憶」を浮かび上がらせ、
彼女を「あの現実」に直面させるだけなのだ。
千翼がどんなに彼女と寄り添いたいと願っても、こちら側の世界にはもう、彼女にとって残酷な記憶しかないのだ。

ラストに現れた悠。
イユちゃんの命を終わらせるために現れたのかもしれない。
であるならば、 私は悠の行動を支持したい。
本人の意志と関係なく、一方的にかりそめの命を与えられこの世に止めさせられている彼女を救う方法は、
もはやそれ以外にありえないのではないか。

ところで悠、なんかぐっと大人になった印象です。
本当に5年くらい経過してそう。
オメガの姿が意外と無傷でびっくりしました。
season.1のラストはけっこう傷だらけだったんだけど、傷跡残らないレベルだったのか。

黒崎さん。
休む暇もないイユを気遣うフクさんを「昔のお仲間思い出す、ってヤツか?」と煽るなど
逐一イラッとさせる黒崎さん。つか、黒崎隊のチームワークひどくね?

しかし、直後に語られる「彼の見た光景」は常軌を逸しており、
もはや彼の日常は、戦場における戦士のそれと同じで、
感覚が麻痺してもおかしくない、麻痺させないと正気を保てないほどに、世界は変わってしまったのだと。

「だからな、俺はイユをこき使ってやるんだよ」

イユに関わる人たちが、彼女に自らの願望を投影しているとするならば、
アマゾンたちを片っ端から叩き潰し、自分たちの世界を変えたことへの復讐を果たそうとするのは
黒崎さん自身の願望か。無気力に見えても、怒りの炎が、彼の中で燃え続けているのか。

ところであとから知ったんですが、黒崎さんは三浦涼介さんのお兄さんなんですね。
ツイッターで二人並んで笑顔の写真を見ました。「黒崎さんの!笑顔だと!?」って目を疑った。疑うな(笑)

とにかくもう本当に、イユちゃんの姿がとことん辛い。
彼女が救われるエンディングが全く見えません。どこへ向かうんだこのストーリー。

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