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東芝のインフラ事業 原発の誤算

2015-11-14 12:25:30 | 騙マスメディア
田中一郎氏 Facebook投稿の転載です。

前略,田中一郎です。
(別添PDFファイルは添付できませんでした)

西田厚聡(当時社長)と佐々木則夫(当時副社長)という、愚か者の大企業経営者を
絵で描いたような、しかも仲が悪いと言われる2人に引率・引きずられた東芝という
名門企業が、よせばいいのにの斜陽産業=原発事業にのめりこんで、にっちもさっち
もいかなくなってきているようだ。今般、経済週刊誌の『日経ビジネス』(2015.11.
16)が「東芝、米原発赤字も隠蔽」というスクープ記事を載せている(別添PDF
ファイル)。驚くべき内容だ。ここでいう米原発赤字とは、ご承知の通り、東芝が数
年前(2006年)に業界が仰天してしまうほどの破格の金額(6600億円)で買収し
たアメリカ原発メーカーのWH(ウェスチングハウス)のこと。このWHは、東芝が
ずっと扱ってきたGE仕込みの沸騰水型原発ではなく、それとは違う型の加圧水型原
発を扱うメーカーで、大半の予想では三菱重工業が東芝の落札額の半額以下の3千億
円程度で落札するであろうとの下馬評だった。それを、この愚か者の経営者2人を抱
く東芝が、まるで「横取り」をするかのごとく破格の金額で買収劇を制覇し、沸騰水
型と加圧水型という「両刀づかい」となることで世界原子力王国の覇者・原発ルネサ
ンスの最高峰を夢見たという次第である。もちろん、沸騰水型原子炉の技術を持つG
Eは、この東芝のM&Aの振る舞いに「裏切り」を感じ取り激怒したことは言うまで
もない。このことが、GEと(もう一つの日本の沸騰水型原子炉メーカーである)日
立単独とのジョイントベンチャーにつながったのだろうと、巷では噂されている。

しかし、その後の経緯は、福島第1原発過酷事故により、大きく負の方向に転換して
しまった。もともと原発事業(核分裂発電)は、純粋な民間事業としては経済性が極
めて悪く、かつ巨額の投資が必要となって事業リスクが大きすぎ、割に合わない・採
算に合わない事業だった。しかも、発電の後には始末におえない大量の使用済み核燃
料や放射能汚染ゴミが残り、かつ、原発事業に従事する多くの作業員や職員が放射線
被曝による健康被害を余儀なくされてしまうのだ。もちろん原発建設地元の反対(政
治的に押さえつけられて表面化しにくい)も福島第1原発事故前から根強いものが
あった。およそこんなものは、まともな神経や良識のある人間・経営者なら、手を出
すことはない。だからこそ、将来の見通しが極めて暗い斜陽産業=原発事業のお荷物
を、アメリカ資本が売りに出し、属国日本の「小金持ち」のバカ者どもに押し付けよ
うとしたのだが(おそらく裏側ではアメリカ政府から日本政府に働きかけがあり、日
本側でも政治家や霞が関幹部官僚たちが動いていた可能性がある)、そんな「スク
ラップ企業」を破格の金額で「横取り」よろしく落札したのが東芝である(私の推測
は経済産業省の幹部官僚・有力者OBが買収推進勢力として背後にいたのではないか
=経済産業省の「東芝びいき」はかねてより「噂」になっていた)。バカもここまで
くると、もうどうしようもない。

福島第1原発事故後の原発・原子力事業の行き詰まりの表面化は、アメリカや日本だ
けの話ではなく、フランスの原発企業・アレバでも表面化するなど、世界に共通の事
態になっている。カッコつきの名門企業・東芝も例外ではなく,WHだけでなく東芝
本体の原発事業部門も含めて、福島第1原発事故後の収支状況は火の車の様子であ
る。自民党のゴロツキ政治家どもが、躍起になって原発・原発とわめいているのは、
地域独占の既存大手電力会社の経営不振のみならず、原発事業の中核=原子炉メー
カーにも原発事業の凋落と経営不振が襲っているからに他ならない。そして、電力会
社の方はともかく、この原発メーカーの方は、いわゆる軍事産業でもあり、アメリカ
属国のプチ帝国としてアジアに君臨したがっている安倍晋三・チンピラおぼっちゃま
連合にとっては、元気でいてくれなければ困る企業群なのだ。原発は軍事と裏腹の関
係にあることは、こうしたことからも見て取れる。

その原発・軍事産業の盟主=三菱重工業は、アメリカ・カルフォルニア州のサンオノ
フレ原発における蒸気発生器の欠陥が発覚して廃炉となり、それに関して巨額の損害
賠償訴訟の被告となった。同社製造の蒸気発生器の製品検査プロセスが出鱈目であっ
たことも、同社工場へのアメリカ・原子力規制委員会(NRC)の抜き打ちの立ち入
り検査で明らかになっている。この会社の幹部どもは、インチキは日本でしか通用し
ないということを理解できないでいたようだ。三菱重工業が原発事業で沈没の危機に
陥るのは、私は時間の問題ではないかと思っている。もう一つの原発・軍需企業の日
立製作所については、今のところ手元に経営状況の真相を示す資料や情報は持ち合わ
せないが、推測するに、おそらくは原発部門がお荷物となっているに違いない。過酷
事故を起こした福島第1原発は、日立が扱ってきた沸騰水型の原発だ。

ところで、話はそれるが、1990年代初頭のバブル崩壊以降、日本の産業や大資本の経
営者どもが、あまりにお粗末すぎる醜態を表すことが多くなった。かつての日本の大
企業や名門企業では、あまり見られなかったことである。かつては、不祥事や醜態が
隠されていて、右肩上がりの経済成長によってそれが自然解消していたのかもしれな
いが、私はそれ以上に、日本の大企業経営者どもの質の低下が著しいように思う。私
の推測の域を出ないが、どこの大企業も下請けや系列企業の上に君臨する巨大な官僚
組織(テクノクラート)となり、日々、事業現場やプロジェクトの実態を知らぬまま
に、つじつま合わせと夢物語の書類作りと小田原評定会議を続け、誤った判断を繰り
返しながら、そんなくだらない社内文化の中で処世術だけにたけた小賢しい馬鹿者た
ちが会社幹部になっていったからではないか(人事の「縮小再生産」というのもある
=自分よりも少しだけ劣る人間を最優秀だと思い込んでしまう人間の習性だ=その習
性に無反省に人事を長期間続けると、気が付いたら幹部はバカばかりということにな
る)。結局、そうした「放漫経営」のツケは、一般従業員や下請け・系列、並びに、
何よりも非正規労働者の労働条件切り詰め・賃金抑え込み・解雇自由、あるいは地域
住民・自治体への損害の押付けと踏み倒し、などの形で、立場の弱いものへと押し付
けられていく。福島第1原発事故は、まさにその典型であるように思う。

現代日本の経済的な苦境の一つ=労働法制改悪をはじめとする「働きにくさ」「住み
にくさ」「生きづらさ」や、デフレ経済や経済環境・経済状態の年々の悪化と貧困や
欠乏の蔓延、の原因と責任の多くは、この日本の大企業の経営者どもの質的劣化にあ
るように思われる。私は、日本をいい方向に転換するためには、産業の構造やビジネ
ススタイルを変えつつ、このどうしようもなくなってきた「無能の大群」の日本の大
企業経営者どもを時間をかけて入れ替えていく必要があるのではないかと思ってい
る。(もちろんこの劣化経営者群と、今の安倍晋三一派に率いられたゴロツキ集団の
自民党政治家どもが「グル」であることは言うに待たない。日本における「本当の意
味での」政権交代がなければ、日本はいつまでたっても変われない)

以下、『日経ビジネス』(2015.11.16)の当該記事の重要個所を抜粋して、下記にご
紹介しておく。また、東電株主代表訴訟の堀江鉄雄さんが、タイムリーで非常に鋭い
分析をしておられるので、そのメールも下記にご紹介しておきたい。それから、別添
PDFファイルの朝日新聞や毎日新聞の記事にあるように、今般、東芝自身が設置し
た「役員責任調査委員会」が出した報告と、それに基づく東芝の損害賠償訴訟は、今
回の事件の大きさに比較して、まさに悪質巨大な粉飾決算事件の「もみ消し」にも近
い「犯罪隠ぺい的」ともいえるほどの、事件の矮小化が行われている。そもそも事件
の大きさに比較して、損害賠償金額(総額3億円)が小さすぎることに加え、請求し
た旧役員の範囲も狭すぎるのだ。これでは、株主代表訴訟による同様の損害賠償訴訟
を、東芝サイドが先手を打って妨害するために起こした訴訟と言われても致し方ない
のではないか。

にもかかわらず、金融庁も、証券取引等監視委員会も、監査法人業界も、東京証券取
引所も、この不正適正化のために動こうとはしていない(もちろん経済産業省が動く
はずもない。この経済産業省は、かつての大蔵省と同様に解体あるのみだ)。この日
本という国では、上場企業(公開企業)の粉飾決算がきちんと取り締まられることが
なく、安心して投資すらできない状態に陥ってきている。出鱈目もここまで来たらも
う限界である。この東芝事件を今進められているような形で矮小化し、火消しをした
後に来るのは、日本の資本市場=証券市場=株式市場への不信と長期低迷であること
を、当の日本資本主義の幹部たちはよく心得ておくことだ(アメリカで今回の東芝の
ようなことをやれば、ただでは済まない)。インチキ市場に未来はないのである。

 <別添PDFファイル>
(1)東芝、米原発赤字も隠蔽(『日経ビジネス 2015.11.16』)
(2)東芝 役員93人提訴せず(朝日 2015.11.10)
 http://www.asahi.com/articles/DA3S12058609.html
(3)東芝 9役員は不問(毎日 2015.11.10)
 http://mainichi.jp/graph/2015/11/10/20151110ddm008020101000c/001.html

(上記(1)を一部抜粋)

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