ねじれ国会で国政が停滞し、選挙マニフェストはお題目化してしまう日本の政治。
日本の代議制民主主義を考えなおす必要があると思う。
今、国民投票をやるとしたら、
1.原発は廃止すべきか。
2.消費税は引き上げるべきか。
国民投票で決着しよう。
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世界一投票所に通うスイス人
スイスは世界中で最も投票回数が多い国だ。この徹底した民主主義は
「国民投票 ( レファレンダム )」と「国民発議 ( イニシアチブ )」と
いう、二つの独自の制度によって実現されている。
ほとんどの民主主義国家において、国民が投票所に行くのは、大統領
選挙や地方選挙であり、国家的に重要な議題において国民が直接選挙
に召集されることはまれである。
500件以上の案件
例えば、フランスでは2005年5月の欧州憲法制定の条約批准に関してのレファレンダム以降、直接選挙は行われていない。
スイスではこうはいかない。まず、4年に1度、連邦議会の議員選出選挙が行われる。しかし、選挙のほかに、国の行方を判断する国民投票もある。
国民は1年のうち、3回から4回は投票に駆り出される。投票日となる日曜日に、焦点となるいくつもの案件が与えられる。重要な案件の場合には、それだけのために投票が行われることもある。しかし普通、国民は3件から4件、ときにはもっと多くの案件について同時にその是非の判断を求められる。
スイス国民は毎年、驚くべき数の案件について、その是非を問われている。1848年の連邦憲法制定以来のスイス連邦国民投票年表には、スイス国民が決定を下してきた562件以上もの案件が記録されている。これは、世界記録だ。
そしてさらに、562件というこの数字は、連邦レベルの投票項目だけに限られていることを付け加えなければならない。国民はこのほかに州、市町村が行う投票のため、投票所へ足を運ぶ。
用語説明
独自の二つの制度
憲法改正の必要があるような案件では、定期的に改正されることが見込まれる場合を含め、投票者の過半数が賛成し、国民と賛成投票数が過半数を超えた州の数が、12.5州以上 ( 準州を0.5と計算して ) になる必要がある。それぞれの過半数の承認が得られなければならない。付加価値税の導入が問われた投票がその一例だ。国際的な機構への加盟採決の際にも、この「二重の賛成」が求められる。
しかし、投票が頻繁となる一番の理由は、議会の決定を国民が再審議する「レファレンダム」と「イニシアチブ ( 国民発議 ) 」という、スイス独自の二つの政治制度があるためだ。
国民投票では、国民が提案事項に対して直接投票することによって、その可否を決める。連邦憲法では、連邦議会が議決した法案の採決に関して、5万人分の署名を集めることによって任意のレファレンダムを成立させ、その法案についての国民に再審議を問うことができるとする。さらに国民は、イニシアチブによって、連邦憲法の改正を提案することができる。10万人分の署名によって憲法の改正を要求でき、それは国民投票において国民と州の「二重の賛成」によって可決される。
国民投票に持ち込まれるのは、連邦議会の過半数の支持を得られない場合などで、解決手段として行われることがスイスの政治的・社会的な潮流となっている。左派政党は、社会・経済の案件、保守派・右派政党は国家的アイデンティティーや外国人に関する案件といった事柄を、イニシアチブを提起して国民に問う傾向がある。
用語説明
批判
スイスは直接民主制に誇りを持っている。しかし、批判もある。その批判は特に、投票の複雑さを問うものが多い。
さらに直接民主制の欠点として議論されるのは、国民は議員の説得に対して、熟考することなく感覚的に影響されることがあるので、全ての案件に対しての決議に加わることが本当に理に適っているのか、というものだ。最近の投票では、イスラム教寺院の尖塔、ミナレット建設禁止を求めるイニシアチブの採決時に、その声が高まった。
これらの批判に対し、政治学者は国民の権利の利点を強調する。レファレンダムは政党間の合意を促す、スイス独自の政治的手段としての役割を担うものだと位置付けられている。
レファレンダムによって決議が覆 ( くつがえ ) されるのを避けるために、連邦政府と連邦議会は議案採決のためにできる限りの歩み寄りに向け努力する。もしもそこで反対派が増えると、国民投票に持ち込まれ、議案が否決される可能性も大きくなってしまうからだ。
イニシアチブは、議会ができれば取り上げたくはないような案件に一石を投じる役割を果たしている。一例として、20年程前に、スイスが軍隊廃止についての国民投票を行う機会があったことが挙げられる。
オリヴィエ・ポシャー 、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳、澤利美 )
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