あるスーフィー巡礼者の日記

唯一の真理に従い世界平和・弱者救済・真に有益な医療の普及などを目指しています。

一人異彩を放つ浜矩子教授の経済提言  利己主義的経済から卒業しよう

2010年10月23日 | 社会システムの在り方
【一人異彩を放つ浜矩子教授】

専門理論や専門用語の表面的な意味に振り回され経済の本質を全く理解されない政治家、経済学者、エコノミストが溢れる中で、同志社大学の浜矩子教授は、一人異彩(?)を放っている。

以下青字(斜体)部分は、今週のNHK日曜討論「どうなる 日本経済」からの抜粋である。なお浜教授の発言スクリプトは、以下のサイトから転載させていただいた。

http://blog.goo.ne.jp/n-mayuzumi/e/f57e663fe48011d7e3d80ba327e792e5

【今求められているのは「成長」ではない】

構造改革と成長戦略は全然違うと私は思いますし、そもそも成長戦略という言葉が出過ぎだと思います。

今、日本にとって必要なのは成長戦略ではなくて、あえて戦略という言葉を残すとすれば「成熟戦略」だと思います。

成熟した経済社会を如何にお互いに支え合うようにして行けるかというところに民主党が抱えてきたビジョンがあった筈です。

そのビジョンはどこに行ったのか?


猫も杓子も「成長」「成長」と馬鹿の一つ覚えみたいに唱える日本社会で、求められているのは成長ではないと断言したのは誠に卓見と言うべきである。

エネルギー資源、食糧資源などあらゆる資源が枯渇しつつあり、環境が急速に悪化しつつある今の地球で、すべての国が経済成長を遂げたら(より多くの資源を使い、より多くの物を作り、より多くの物を消費するようになったら)どんな事態がもたらされるだろうか。

【法人税の引き下げによって問題は解決しない】

Q~・~ 菅総理大臣が国会答弁で「法人税を引き下げることによって企業活力の後ろ支えをすると言っている?

A~・~ グローバル時代、低い所(企業は法人税の低い国)に自ずと収斂して行くのは抗い難いことだと思います。そういう意味では、いずれ世界中で、法人税はゼロになって行くのではないか、そうなった後どうやって競争してゆくのかという問題になってきます。
(法人税は)自ずと下がって行くであろう、しかしながら、下げることがどこまで決定打になるかということが重要です。

為替は為替戦争、法人税は引き下げ戦争というような格好になって行くでしょう。
その中で、実効を上げて行くことが問われて行くということです。

がむしゃらに、グローバル時代においてあの手この手で企業を(日本国内に)引き留めておくことが本当に答えなのか?

「去る者は追わず、来るものは拒まず」という考え方で、いろんな資源を日本の中に引き込んでおくという発想が必要です。 


浜教授のこの発言を捉えて、「浜氏も法人税を引き下げるべきだと言っている」とtwitterでコメントした人がいた。だが、よく読んでみて欲しい。彼女は「引き下げるべきだ」とは一言もいっていない。「下げざるを得ない状況になって行く」「でも、それで問題が解決するわけではない」と言っているのである。

【競争よりも共存共栄を】

●円高直撃! どうなる日本経済

Q~・~ 民主党政権を襲う円高状況をどう見る

A~・~ まさに、腕の見せ所であると思います。海江田(経済財政政策担当大臣)さんも太田(元)さんも仰られた通り、これは円高というよりもドル安、更に申し上げれば、ドルに対する過大評価がどんどん進んでいる場面ですから、これに逆らっても仕方がないという面があります。

「継続的に減価してゆくドル」と、どう付きあって行くか、という観点から考えるべきところであって、冒頭言われた通り「こういう中でどういうふうに日本企業が競争力を付けて行くか」という議論の踏み込みでしたけれども、ある意味では、こういう議論の踏み込み方が古い気がします。

我々はグローバル時代に生きていて、グローバルジャングルの中で、どうやって世界と共存して行くかを考えることが必要です。

日本の企業にとって良ければ、或いは、日本だけが成長できれば、そう思っていると円高局面に勝つことができません。


文脈からすると「ドルに対する過大評価」は「円に対する過大評価」の間違いではないだろうか?

だが、現在の「円高・ドル安」の流れは、アメリカ経済の先行きが全く暗い(ほとんど絶望的である)ことに世界の人々がようやく気づき、「ドルに対する今までの過大評価が是正されつつある」ことによってドル安が進んでいると考えるべきであろう。

膨大な財政赤字と対外債務を抱えながら未だに富裕層が贅沢な生活を続け、世界中で戦争に膨大なお金を無駄遣いしている現状では、米ドルの価値(米国経済の健全性)を肯定的に評価できるはずはない。

>日本の企業にとって良ければ、或いは、日本だけが成長できれば、そう思っていると円高局面に勝つことができません。

経済の専門家の誰もかれもが「国際競争に負けてはならない」と国民の利己心追求を煽りたて世界経済を破滅に導きつつある中で、久しぶりにまともな発言を耳にした気がする。

私は、一辺で浜矩子教授のファンになってしまった。