リラには見せたくないものを見せてしまった。
マリウスをかばって死んだ男装した娘の遺体を運んでいるところをリラは見てしまった。
・・・アンジョルラスはリラを残したことを後悔していました。
声にならない悲鳴をあげて、リラはその場で崩れるように座り込みました。
隣りの建物を占拠しようとして門番を撃ち殺したル・カビュクの処刑、リラは見ただろうか。
髪の毛を掴み、こめかみに銃口を押し付けたアンジョルラスを、屈強な男たちですら遠巻きにしました。
自分たちが勝手に占拠した、このカフェミュザンの老婆たちは、いつのまにか姿を消しました。
建物の1階には喪布をかけられたマブーフ老人の遺体と、縛られた密偵ジャベールがいるだけです。
きな臭い硝煙と、生臭い血の匂い、そして陰鬱な死の影。
ここにあるのは、そんなものばかりです。
リラは・・・リラは怖がっているだろうか。
不思議なくらいリラのことが頭から離れません。
そんな自分を馬鹿だと思いながらも、アンジョルラスは、その思いを払うことができずにいました。
明日は、市民は立ち上がるのか そうでなければ、ここは凄惨な墓場になるのは必至だ。
その前に、どうしてもリラを立ち退かせたい・・・死なせたくない。
夜の間、街をまわったアンジョルラスが確信したのは、革命の失敗でした。
思いのほか持ちこたえられなかった他のバリケード。立ち上がらない民衆。
そして、大挙押し寄せてくる軍隊。
7月革命の時には6000あったというバリケード。ここを参照しました。
フランス革命の恐怖を思い出して、戦意を失い国外に亡命したシャルル10世。
しかし、今回のルイ・フィリップの鎮圧軍は強大で、対する革命軍は急速に衰えつつある・・・
逃げ場の無いバリケードの中で、歴史の捨石になる・・・どうやら運命は決まったとアンジョルラスは
思いました。
アンジョルラスはリラをバリケードから立ち退かせました。
もう二度とリラには会えないだろうとわかっていましたが、リラには「必ず帰る」と約束しました。
リラが砦を出て行った後、マリウスがアンジョルラスに「リラは?」と訊きます。
マリウスは、リラが出て行ったところは見ていないから。
アンジョルラスは、マリウスのほうは見ずに「出て行かせたんだ。」と答えます。
■シューベルトのセレナーデ
マリウスは、「…死なせたくないと思ったんだね。彼女を愛しているから。…そうだろう?」と言います。
アンジョルラスは、はっ!としたようにマリウスを見つめます。
それから、視線を落として「…ああ。…そうだ。」と答えます。
そして、アンジョルラスは、「俺が、こんなことを言ったらおかしいか?」と、ちょっと自嘲気味に言いました。
マリウスは、「まさか!そんなことないよ。…嬉しいよ。」と答えます。
「お前は恋人を死なせたんだったな。すまん・・・」
「・・・コゼットじゃないよ、あの子は。恋人でもないのに、俺をかばってくれたんだ。」
マリウスの声が震えています。
「・・・許してくれ、エポニーヌ。君の命を奪ってしまったことを。君を・・・君の気持ちに
気づかなかったこと・・気づいていても、答えられなかったこと・・・」
「君が死ぬ瞬間にも、コゼットからの手紙のことを考えてた俺を許してくれ・・」
マリウスは心の中で叫んでいました。
アンジョルラスは、コンブフェールが数日前に言った言葉を思い出していました。
「もし仮に砦が落ちるとしたら、その前に妻子のある者を逃がしたい」
その時は、アンジョルラスは機械的にうなづいただけでした。別に反対する理由も無かったからです。
しかし、今、初めて、コンブフェールの言った意味を真に理解しました。
「待つものがいる者は帰さなくては」
■栄光への脱出のテーマ
誰ひとり立ち去ろうとしませんでしたが、アンジョルラスの命令と、コンブフェールの説得、マリウスの懇願で、妻子のある5人は国民兵に化けて、出て行きます。
※ここで、ちょっと重要な役目をするのが、バルジャンなんですが、書くと長くなるので原作を読んでね。
「命令だ!」って、いつも上からなアンジョルラスに萌え
そして、いよいよ、バリケードは死を賭した最後の戦いへと突入して行きました。
United we stand, divided we fall 「団結すれば勝ち、分裂すれば負けるであろう」
バリケードボーイズは団結してたけど、民衆が団結にまで至らなかったからね。
マリウスをかばって死んだ男装した娘の遺体を運んでいるところをリラは見てしまった。
・・・アンジョルラスはリラを残したことを後悔していました。
声にならない悲鳴をあげて、リラはその場で崩れるように座り込みました。
隣りの建物を占拠しようとして門番を撃ち殺したル・カビュクの処刑、リラは見ただろうか。
髪の毛を掴み、こめかみに銃口を押し付けたアンジョルラスを、屈強な男たちですら遠巻きにしました。
自分たちが勝手に占拠した、このカフェミュザンの老婆たちは、いつのまにか姿を消しました。
建物の1階には喪布をかけられたマブーフ老人の遺体と、縛られた密偵ジャベールがいるだけです。
きな臭い硝煙と、生臭い血の匂い、そして陰鬱な死の影。
ここにあるのは、そんなものばかりです。
リラは・・・リラは怖がっているだろうか。
不思議なくらいリラのことが頭から離れません。
そんな自分を馬鹿だと思いながらも、アンジョルラスは、その思いを払うことができずにいました。
明日は、市民は立ち上がるのか そうでなければ、ここは凄惨な墓場になるのは必至だ。
その前に、どうしてもリラを立ち退かせたい・・・死なせたくない。
夜の間、街をまわったアンジョルラスが確信したのは、革命の失敗でした。
思いのほか持ちこたえられなかった他のバリケード。立ち上がらない民衆。
そして、大挙押し寄せてくる軍隊。
7月革命の時には6000あったというバリケード。ここを参照しました。
フランス革命の恐怖を思い出して、戦意を失い国外に亡命したシャルル10世。
しかし、今回のルイ・フィリップの鎮圧軍は強大で、対する革命軍は急速に衰えつつある・・・
逃げ場の無いバリケードの中で、歴史の捨石になる・・・どうやら運命は決まったとアンジョルラスは
思いました。
アンジョルラスはリラをバリケードから立ち退かせました。
もう二度とリラには会えないだろうとわかっていましたが、リラには「必ず帰る」と約束しました。
リラが砦を出て行った後、マリウスがアンジョルラスに「リラは?」と訊きます。
マリウスは、リラが出て行ったところは見ていないから。
アンジョルラスは、マリウスのほうは見ずに「出て行かせたんだ。」と答えます。
■シューベルトのセレナーデ
マリウスは、「…死なせたくないと思ったんだね。彼女を愛しているから。…そうだろう?」と言います。
アンジョルラスは、はっ!としたようにマリウスを見つめます。
それから、視線を落として「…ああ。…そうだ。」と答えます。
そして、アンジョルラスは、「俺が、こんなことを言ったらおかしいか?」と、ちょっと自嘲気味に言いました。
マリウスは、「まさか!そんなことないよ。…嬉しいよ。」と答えます。
「お前は恋人を死なせたんだったな。すまん・・・」
「・・・コゼットじゃないよ、あの子は。恋人でもないのに、俺をかばってくれたんだ。」
マリウスの声が震えています。
「・・・許してくれ、エポニーヌ。君の命を奪ってしまったことを。君を・・・君の気持ちに
気づかなかったこと・・気づいていても、答えられなかったこと・・・」
「君が死ぬ瞬間にも、コゼットからの手紙のことを考えてた俺を許してくれ・・」
マリウスは心の中で叫んでいました。
アンジョルラスは、コンブフェールが数日前に言った言葉を思い出していました。
「もし仮に砦が落ちるとしたら、その前に妻子のある者を逃がしたい」
その時は、アンジョルラスは機械的にうなづいただけでした。別に反対する理由も無かったからです。
しかし、今、初めて、コンブフェールの言った意味を真に理解しました。
「待つものがいる者は帰さなくては」
■栄光への脱出のテーマ
誰ひとり立ち去ろうとしませんでしたが、アンジョルラスの命令と、コンブフェールの説得、マリウスの懇願で、妻子のある5人は国民兵に化けて、出て行きます。
※ここで、ちょっと重要な役目をするのが、バルジャンなんですが、書くと長くなるので原作を読んでね。
「命令だ!」って、いつも上からなアンジョルラスに萌え
そして、いよいよ、バリケードは死を賭した最後の戦いへと突入して行きました。
United we stand, divided we fall 「団結すれば勝ち、分裂すれば負けるであろう」
バリケードボーイズは団結してたけど、民衆が団結にまで至らなかったからね。
で、ずっと読んでいて、ものすご~く申し訳なくなりました…アンジョルラスに対して。
「アンジョルラス~、ごめん!ほんとにごめんね。リラのことをこんなに心配してくれて…申し訳ない!他にもいろいろ考えなきゃならないことがあるのにね。
本当にありがとう、でも、ごめんね。」
…あ~、なんか胸が痛いですw
実はですね…ごくごく最近(ここ一週間ほどかな。)思うようになったのですが…ちょっと、ミもフタもないこと言ってもいいですか?
アンジョルラスは、どうしてリラのことをこんなに愛してくれるようになったんだろ~~…とか思っちゃってw
リラがアンジョルラスを大好きになったのは当然としても、その逆は、なぜなんだろ~って。
リラ、特に美少女でもない。“十人並の器量”っていうやつです。笑顔がちょっと可愛いくらい。(…という私のイメージ。いや、妄想w)
まあ、純粋に、一途に彼を愛しているところが良かったのかしら。…ちょっと間違えればうざったいかもしれないけどw
こんなに妄想している私が、今更~なことを言って、ごめんなさい。ふと思ってしまったのと、ちょっとアンジョルラスに申し訳なくなってしまったのでw …リラを愛してくれて、感謝しているんだけどww (…て、なんか、妄想がぐるぐる回ってる。。。)
もちろん、それは、ここがパリだからでしょう。でも、こんなにたくさんの人が歩いているのに、リラと関係ある人は誰もいないようです。たくさんの仲間や友達を一度に失ってしまったリラとつながりのある人は。
あの蜂起の日から何ヶ月も経ちました。でも、今のリラは、月日の感覚も、時間の感覚も、あまりわかっていません。あれから長い長い時が過ぎたようにも思うし、つい昨日のことのようにも思えるのです。
ふと、リラは誰かに呼ばれたような気がして周りを見ました。でも、やはり知らない人ばかりが歩いています。気のせいだったと思い、下を向いて歩き始めようとした時、また声がしました。「…リラ!」
少し先に馬車が止まっています。その横に一人の青年が立って、リラを見ていました。
最初、リラにはそれが誰だかわかりませんでした。二歩、三歩とそちらに近づいて、リラは動けなくなりました。「…マリウス。。。」
マリウスは急いで歩いてきました。見覚えのある、ちょっとはにかんだような笑顔で。
「リラ…。よかった、会えて。時々、どうしているかと気になってはいたんだけど。」「マリウス…。ほんとにマリウスなの?」「そうだよ、僕だ。信じられないかもしれないけど…。リラ、聞きたいことも話したいこともたくさんあるよ。さあ、行こう。時間はある?僕は家に帰るところなんだ。そんなに遠くないから、一緒に行ってゆっくり話そう。」
馬車に揺られながら、リラは黙ったまま、マリウスの顔をまじまじと見つめていました。リラは、砦の戦いで学生達は一人残らず死んだと思っていました。…リラが愛したアンジョルラスも。
アンジョルラスの親友だったマリウス。そのマリウスが生きていて、今、自分の目の前にいる…。それはとても嬉しいことですが、リラにはまだ信じられないのです。リラの表情に、マリウスは、ちょっと困ったような笑顔になりました。
「家に着いたら、妻を紹介するよ。」「…マリウス、結婚したの?」「そうなんだ。…ついこの間のことだけど。」
リラの頭に、あの蜂起前夜のミュザンの部屋が浮かびます。あの時、マリウスはどこかへ出かけていました。誰かが、あいつは女の子に一目惚れして夢中になっているから、もうここには戻ってこないよ…と、ふざけ気味に言っていました。でも、マリウスは戻ってきて蜂起に参加したのです。
「もしかして、あの頃、みんなにからかわれていた…その人…?」「そうなんだ。」マリウスはもう一度そう言って、また、はにかんだような笑顔になりました。
……続く~♪
“マリウスとの再会”では、当り前ですがマリウスばっかり出てきます。
にもかかわらず…、「記事にしていただけるなら、マリウスの写真は、少しでいいかな~。あんまりたくさんは要らないかな~。」とかフトドキなことを思っていますw
…すみません、私の好みで言ってますww
あ、でも、アンジョルラスと一緒の写真・画像は嬉しいかも♪
みなさん、文才があって良いなぁと思います。
後の話楽しみにしています。
連絡その2笑ってしまいました。
続編楽しみです。
追伸
先程のコメントに変換ミスがあったのですが、気になさらないで下さい。
記事も皆さんのコメントも、自分が浦島太郎になったような気分ですw
ついてゆけるよう頑張るぞ!
笑っていただいて、ありがとうございます♪
いや~、せっかくなので(?)、正直に、yuriさまにリクエストしてみてしまいました。
私、ホントに、マリウスが眼中になくて…お顔も受付けなくてw
嫌いじゃないんですけどね。いい子ですものね。
…あ~、アーロンさんがマリウスを演らなくて本当に良かった♪
本当にお久しぶりです♪
ね~、リラの話、すごい展開になっちゃったでしょww
私が、だらんだらん書くと、yuriさまが、素敵に、おもしろく展開していってくださるんですよ。
御時間ある時にでも、どうぞ、さかのぼってじっくり読んでみてください♪
なんて綺麗な人…と、リラは思いました。リラの手を優しく握ったその手も、とてもやわらかく、あたたかいものでした。
コゼットは、二人がゆっくり話せるようにと、すぐに部屋を出て行きました。
「とても美しい奥様ね。マリウス、あなたが一目で夢中になったのもよくわかるわ。」リラのからかうような言葉に、マリウスはちょっと微笑みました。
それから、リラは訊きます。「マリウス…、どうやって砦から戻ってくることができたの?あの日、砦では…どんなことが起きたの?」
マリウスは少しだけ苦しそうな表情になりました。「僕も…撃たれたんだ…。リラ、あの前の晩に、志願兵として加わった年輩の人を覚えてる?あのジャベール警部を自分に任せてくれと言った人…。」
マリウスは話し始めました。あの人は、実はコゼットのお父さんだったこと。彼が、撃たれたマリウスを背負い、下水道を通って逃げてくれたこと。それはマリウスのためでもあるけれど、コゼットのためであったこと…。
リラは、不思議な物語を聞いているような気持ちになりました。そして、思いました。マリウスは幸運な星の下に生まれた人なんだなぁ…と。マリウスは、前の晩にエポニーヌにも命を救われているのです。彼女の命と引き換えに。
マリウスを愛していたからこそ、命を落としたエポニーヌ。でも、自分は…と、リラは思います。アンジョルラスにいったい何をしてあげられたのだろう…。何もできなかった…。
ふと気づくと、マリウスはますます苦しそうな表情をしています。
「リラ、僕は謝らなければならないんだ。みんなにも、君にも。」「…どういうこと?」「僕は…戦いを逃れて自分だけ生き残ってしまったんだ。皆一人残らず死んでしまったのに…アンジョルラスも。」
リラの心臓が、大きく脈打ちます。
「あの後、だいぶ経ってからミュザンに行ったけど…本当にひどいありさまだった。アンジョルラスのことも聞いたよ。彼は窓から…」マリウスは、そこで、はっと口を閉じました。
リラの頭の中に、砦陥落後の、あのミュザンの様子がよみがえってきました。自分の心臓の鼓動が聞こえる気がします。
痛む胸を押さえながら、リラは言いました。「マリウス、そんなふうに考えないで。あなたが生きていて本当に良かったわ。それに…私だって、戦いから逃げたのよ…。」「君は違う。アンジョルラスが君を砦から出て行かせたんだろう?」
「…知ってたの?」
「あの朝、君の姿が見えなくなったからアンジョルラスに訊いたら、出て行かせたと言ったんだ。僕は、彼女を愛しているから死なせたくないと思ったんだね?と訊いた。そうしたら、彼は、『…ああ。…そうだ。』と答えた…とても優しい声で。僕は、彼のあんな優しい声を聞いたのは初めてだった…。きっと、君のことを思い浮かべていたんだね。」
リラは、うつむいて押さえていた息を吐き出しました。リラには、その時のアンジョルラスの声が聞こえるような気がしました。彼の顔も見えるような気がしました。涙がこぼれそうでしたが、胸の痛みはほんの少し小さくなりました。
「…ねえ、マリウス。さっきも言ったけど、あなたが生きていて本当に良かったわ。あなたは生きていて…そして、あなたを待っていたあんな素敵な人のところに戻ることができた。それは、とても素晴らしいことじゃない?」マリウスの表情が、少しやわらかくなりました。
そう、あんな素敵な女性を悲しませてはいけない…。リラは、本当に心からそう思うのです。なのに、なぜ胸の痛みはまた強くなってゆくのでしょうか…。
……続く~♪(さ~、あと1回!)
すごい。なんか目に浮かんでくるような描写力。
ひとりの友達もいなくなったリラ・・・
マリウスが生きていて、そりゃあビックリするよね。
ああー、どんな曲にしよう~
曲考えるのがすごく好き。
でも、時々、あってるか心配で。
イメージと違うときは、どしどし言って。
たまに、違うかなって思ってるときもあるから。