“思い出だけでいいのよ”
執拗に
『別れることはなかったのに』
と言う私に
その女友達は言い切る
「一年に一度でいいから逢って欲しい」
最後の電話で 相手の声が震えてるのがわかったけど
それは私の心も震わせるわせたけど
でももう逢わないと決めたの
逢わないと決めてから7、8年になると言う
彼女が今でもその相手を想っているのはわかる
そんなに好きなのに
どうして別れられる . . . 本文を読む
話が途切れて微睡み始めたとき
突然
『蛇口締まってないんじゃない?』
水など出してないのに規則的な水滴の音?
私がベッドから起き出して見に行った
「ちゃんと締まってるよ」
『そうか・・・
ダメなんだこの音
職業病だな』
この音を頼りに人の命を預かる人
こんな安い部屋でごめんね
逢う度そのつもりの彼に
その都度ホテルを無駄にさせてきた
その前に泊まりがけで逢いに行った時も . . . 本文を読む
何が言いたかったんだろう
『意識的にしてるの?
それとも・・・』
「なんのこと?」
『いや いいんだ』
意図的な行動取ってるのはそっちじゃない
少なくとも私は方向付けしようとしたことはない
ずっと流れに任せてきた
特に彼に対しては
ここに来て初めて想いを表に出し始めてはいるけど
ずっと以前から
そしてその頃も
何ごともないように友達のひとりとして彼に接してきた
・・・つもりなん . . . 本文を読む
あと10日
ここに至って逢いたい気持ちと
逢わなくてもいいという気持ちがまた同居してる
どこまでも彼に対しては意地がある
どうしてこう素直じゃないんだろう
「来月どうするの?」
『6日だったっけ』
「メール見たでしょ?」
『見たよ 何も考えてない』
「駅はイヤだからね」
『わかってる
ホテルは用意しとくから何もするなよ』
「じゃ連絡してよ
連絡なかったら行かないからね」 . . . 本文を読む
映画のお話「ジャック・サマースビー」
この映画を初めて見たとき
久しぶりにもう一度みたい映画だと思った
いろんな愛が絡み合ったとてもいい映画だと思う
人間愛
男女の愛
そこからくる嫉妬や妬み
誇りと自尊心
そして自己満足
私はこれが究極の愛だと思ってる
私は良くも悪くもナルシストだと思う
全てが自己満足に繋がってる
人のためにナニカをするはもちろん
人を傷つけたくないのも
自分がイヤな思いを . . . 本文を読む
いったいこの夏はどうなってるんでしょ
夏ももう終わりというのにこの暑さ
ずっと涼しかった分暑さがこたえる
それなのに朝起きたら
ほんのり懐かしい香り
冷夏に踊らされてキンモクセイが咲き始めたらしい
去年より一週間も早いけど
やっぱりもう夏も終わりかな
この暑さで少し遠慮してるのか
部屋いっぱいになるまで匂い立ってはこない
きっともう少し風が涼しく感じるようになるまでは・・・
部屋中がこの香り . . . 本文を読む
寒い夏になった
それでも夏らしい日が
例年の旅行に当たって良かった
今年こそはと去年も思いつつ
海岸の雰囲気に負けて
そして今年も
しっかり付いた水着の跡に
ちょっと失敗したかな
彼と逢うまでに消えるワケがない
灼けた肌の色はともかく
問題は皮膚の乾燥
少し気合いを入れて手入れが必要かもしれない
日焼け止めとサンオイルを塗りたくった肌は
色づいた光沢がそれなりにきれい
水着を着ている間はい . . . 本文を読む
私はかなり というより全く無防備で
男性とふたりで出かけるということに抵抗がない
それは今も変わらない
こういう表現が正しいかどうかわからないけど
そう言う意味でオンナとして扱われたのはたった3回・・・
それも夫と彼を除いたら十代の頃たったひとりいただけ
その人は
それに驚く私に無理なことはせず
「女の子は
こんな風に簡単にオトコについて来ちゃ行けないよ」
そう言って諭してくれた
そ . . . 本文を読む
オンナとして見て貰うこと
かなり大事なことだと思う
あまり見て貰ったことないけど
そんなに魅力ないのかな
というより
そういう気分になれないってコトかな
大事にして貰ってるんだから
これ以上何を望むことがあるんだろう
そうも思うんだけど・・・
夫が大事にしてくれる分
私も大事にしたいのよね
ちゃんと夫を愛していきたいと思ってる
夫への想いを錯覚だと思いたくない
邪推のない人だから
安心し . . . 本文を読む
彼が急に呼び出しをかけたのは
私が去年突然逢いたいと言いだしたのと
同じだったかもしれないと思う
彼が忙しいのは知ってる
『いつでも暇だから』
みんなの前でも私にもよくそう言うけれど
あり得ないもの
私はいつも
「忙しいから無理」
と彼に言う
彼に逢おうと思ったら
全く白紙の週末を見つけなくちゃいけない
日帰りで逢いに行くのはちょっと辛い距離
昼間から逢えるのならともかく
彼の仕事 . . . 本文を読む
やだな
また逢いたいモード
やっぱり好き
って思う
理解できない感情として
他に言葉が見つからず
あてはめていたこの言葉を反復する
深みに嵌っていくのが嫌だから
いつも自分を制して来たのに
素直になろうとすれば
どうしても引き込まれる感情も
受け止めていかなくちゃいけない
心のやじろべえ
お盆休みに入ったら
しばらく家族に浸って
バランスを取らなくちゃ
ともすると
彼だけでいいと思ってし . . . 本文を読む
こうして
少しずつ慣れていくのかな
それとも
気持ちが変わっていくのかな
あんな風にされると
心と身体が離れていきそうで
ちょっと怖い
それでも虚しさは残らなかった
多分
彼の気持ちが少しわかったような気がしたから
彼に対してまた少し素直になっていたから
この段階でのいつもと変わらない集まり
やっぱり変わらない彼が居て想いが満たされていく感じ
それからふたりになって
彼の望むところがそれに . . . 本文を読む
全てが自然に流れる
そうなるように運ばれる
彼が意識して設けた時間かもしれない
それでも
それに重なるように偶然が起こる
偶然・・・
偶然なのだろうか?
知られたくないと思っている人たちが
まるで知っていて黙認でもしてるみたい
私が嫌だと思っていることは自然と遠ざかる
そうであって欲しいことはそれなりに叶ってくる
そうして見えてくる彼の心が
私の気持ちを静める
彼はここ数年歌ってきたいくつ . . . 本文を読む
気持ちが凪いでる
彼とふたりで逢うより
こうしてみんなの中でいると
彼の気持ちが感じられるから
ずっと隣に座っていながら彼との会話はほとんどない
お互い他の人との会話に夢中
たまに交わす言葉は相変わらず私の悪態彼の苦笑
それもいつもと同じコト
それでもお互いの意識が
ちゃんとお互いに向けられてると感じる
今までもずっとそうだったのに
認めてこなかっただけだと
今回はつくづく思った
二次会で . . . 本文を読む
今回何人かが突然の招集に都合がつかなかった
始め6人だったメンバーが今は11人
その始めのメンバーのうちの3人と
後から加わった4人のうちふたり都合5人が欠席
この5人と私とは同じ高校の出身
高校の話をする必要はなかった
そして彼女たちの都合がつかなかったのは
今の私には少しホッとするもの
私が一番知られたくない
どんなことがあっても死守しなければいけない私の十字架
避けたい話題は全てないも . . . 本文を読む