あまてらす きらめき

一寸したきらめきを心に留めて

大東亜戦争は鬼退治

2017-08-14 22:41:37 | ブログ

お盆が近づいてくると子供の頃聞いた、大東亜戦争中、南方で戦った方の話が思い出される。
昔、お盆になると近所のお寺の境内に子供たちが集まって、むしろなどを使って掘っ立て小屋を造り、夜、年上のものの怪談話や珍しい話を聞いて楽しんだものである。
終戦から数年もたっていない頃のことだったと思うが、近所にいた方が、戦争の体験談を語ってくれた。、
「お兄さんたちは南方に鬼を退治に行ってきたんだぞ」と語り始めた。
「ほんと?」と子供たちは、興味津々
「本当だよ。アジアの国を占領し、植民地にした悪い悪い鬼たちを征伐に行ったのさ。」
「悪い鬼って?」
「アメリカ、イギリス、フランスの奴らだよ」(補足):その他、オランダ、スペイン、ポルトガル、ロシアも植民地を持っていた)
「この国は、およそ300年くらいの間、世界の植民地で悪いことをしてきたんだぞ。」
「武器で脅して土地をかっぱらったり、土地の人を奴隷の様にただ同然でこき使ったり、奴隷として売り払ったり、土地の産物の売買を独占して現地の人に商売させなかったり、それはそれは、ひどいことをしていたんだぜ。」
「ほんとですか?」と子供たち。
「ああ、ほんとだね。」
「それで、お兄さんたちは、そう言ういじめられている人たちを助けてやろうと、南方に行ったのさ。」
「お兄さんたちは、初めは、悪い鬼たちを植民地から追い出したんだよ」
「鬼たちは現地の人を盾にして逃げ回ったり、現地人の雇われ兵隊を鎖に縛り付けて我々を攻撃させ逃げていったり、それはそれはひどいことをしたんだぜ。」
日本軍が鬼たちを追い出したところでは、学校を建て、現地の人勉強できるようにしたり、道路を改良したり、橋を造ったり、現地の人が独立できるよう援助したんだよ。」
「けれども、しばらくして、悪い鬼たちは武器を沢山用意して、反対に攻めてきたんだよ」
「そうして、お兄さんの軍に武器や、食料を運んでくれる船が次々に沈められて、戦うことが出来なくなったんだよ。」
「それでどうしたの?」と子供たちが心配そうに聞いた。
「お兄さんたちは、仕方なく、逃げ回ったのさ。」
「食料がないから草や昆虫、蛇、ネズミなんか、食べられるものは何でも食べたね。」
「逃げ回っている内に終戦になって、仕方なく降参したのさ」
「正義も負けるときがあるんだね?」と子供たち。
「残念ながら、そういうこともあるんだよ。」
「お兄さんたちが行った南方の国々は、これから植民地支配した宗主国を追い出して独立するだろう。」
「まだ、南方の国に残って、独立を支援している兵隊さんもいるんだよ。」
「アジアの国々が独立して自由になると貿易が活発になり、日本と仲良くなるよ。」
「アジアの国々は人口も多く、国の面積が広いところが多いんだよ。」
「君たちがしっかり勉強して努力しないと他の国に追い抜かされてしまうよ。」
「鬼たちはどうなるの?」
「植民地から追い出されて、自分の国に戻らなければならなくなるだろうな。」
「鬼たちは罰せられないの?」
「鬼たちは強力な武器を持っているから、すぐには罰せられないかもしれないが、いつか、アジアや世界中の人たちによって罰せられる日が来るかもしれないね。」

子供の頃の夏の記憶として、虫取りと共に、印象に残った事です。
戦闘の場面や、敵に追われて逃げるときの悲惨な様子など、講談風に語って、子供たちの耳目を集めたものですが、このお兄さんは転居され、確か、二夏しか、こんな話は聞くことが出来なかったと思います。
端整な顔立ちをし、がっしりとした体格のあのお兄さんは、今、どうしているのだろう。

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