新支店長のやり方 札勘横読みその６ １３

昭和２９年の時の話です。
　現在と違って、紙幣計算機などは一つもありませんで、すべて手作業です。

新支店長の指示で「出納係り」に配属になりました。
６か月先には、出納の責任者が定年退職するのでその後を任すという支店長の指示なのです。

出納事務は、メンバーは６人です。
メンバーの配置は、入金係りに　　３人。
　　　　　　　　　支払係りが　　１人。
　　　　　　　　　元方補助が　　１人。
　　　　　　　　　元方（責任者）１人。

当面の私の配置は、支払係りからの出発からになりました。
その理由は、支払係りが出納係りの中でやや難しい仕事で、元方の次の席次であることです。

いきなりの、出納係りの中での責任の有る仕事ですが、一生懸命やるのみです。


《札束の横読みの方法》

　　　　・ 紙幣の束の横読みは、縦読みの数倍難しいよ。
　　　　・だが、横読みが、出来てくるようになると、これまた楽しいぞ。
　　　　・挫けずに、練習しよう。横よみは練習あるのみだから。

　Ａ．「お札の縦（たて）読み」の方法は、前回書きました。
　Ｂ．「お札勘定の横（よこ）読み」の仕方が、途中になっていましたので。今回は横読みです。

　Ｃ．｛横読み」には、二つのやり方があります。
　Ｄ．一つは、　　「扇子開き」で、右に開いていきます。
　Ｅ．もう一つは、「上と逆」　で、左に開いていきます。

　Ｆ．私の習ったのは、右開きでしたので、この方法でせっめいして行きます。
　Ｇ．ただ、最近では、左開きが「端末機械の操作」との関係で、こちらの方法が多いそうです。

　　《お札の持ち方》
　Ｈ．まず、札束を立てて、札の表面を前にして、お札の底辺を両手で挟み。
　Ｉ．挟む札束は、両手の親指だけ、札束の前に出して、両手で水を掬うような形で、挟むわけです。
　
　Ｊ。さて、この手の形で開くわけですが、二通りの開き方があります。
　　　ア・右開き。（扇子開き）
　　　イ・左開き。
　　　・最近は、イ・の左開きが多いと聞いています。

　　　・その理由は、開いた札束を、利き手の右手で数えていく方が、やり易いのと。
　　　・右手で数えた方が、利き手だか間違いが少ないと言うこと。
　　　また、右手が、数え終わった時、札束を左手で持ったまま、手が自由になっており。
　　　・ペンも使えるし、機械類も直ぐにそのまま使えるという事です。

　
　　　・残念ですが、私の習ったのは、ア・の右開き（扇子開き）でした。

　　　《此処では、私の習った右開きの数え方で説明します》
　Ｋ．開く時の注意は、両手で札束の底辺を左右に、揉むようにして、開いていきます。
　Ｌ．お札束の、底辺を気にしながら開いてください。　
　　　お札の上部分の開きが、先ず気になるところですが。
　　・ポイントは、底辺の小さな、扇型です。
　　・ここの、札束の底辺の形が丸く、小さい円形になっていることが大事なのです。
　Ｍ．開く大きさは、理想は、１８０度です。
　　　・最初は、１００度程度で、数え始めてもいいと思います。
　　　・１００の半分、５０枚で、練習するとやり易いと思います。

　　　　《開いた札束の数える》
　
　Ｎ．二通りあります。５枚数えと、４枚数えです。
　
　　　《５枚づつ数える。》

　ア・一度に５枚数えると、数え間違いが出る可能性があるので。
　　　数は、３枚と２枚に分けて、括っていきます。
　　　
　　　３枚を親指の手の腹で押さえて、確認したら、そのまま更に２枚押さえます。
　　　これで、５枚です。
　　　わずらわしい、と思いましょうが、一気に５枚押さえて数えるのは。
　　　私の経験では、自分の眼と５枚の数が合い難いのです。
　　　３枚と２枚のつもりで数えていたのに、４枚になったり、６枚になったりしがちです。
　　　一気に５枚だと案外間違いが出やすい。そこで、２枚と３枚にするわけです。
　　　此処で、１の数とします。　
　イ・５枚数えでは、一つの札束１００枚を数えるには、２０回です。
　ゥ・総枚数での結果の数は、５の倍数ですから、数はやり易いという利点があります。
　　　　　
　０．　　《４枚数え》

　ア・手の腹で、開いた札束を４枚づつ数えていきます。
　イ・４枚ずつの方が、眼で追いかけた時に、４枚の数の間違いが少ない。
　エ・私の経験では、数は４枚づつが良いと思います。
　オ・ただ、１００枚数えるのに、２５回ですからやや遅い。
　カ・５０枚は、１２回に２枚加えることになります。

　私が、出納係りを任されたあとは、私の経験から、４枚数えに統一しました。
　　　　この方が、間違えが少ないことが解ったからです。