仕事を終えた頃になると、路面は乾いていた。 だからと言って、帰宅して自転車という気分にはなれない。 中途半端な時間に、なってしまっていたから。 峠を越える際、助手席の窓を全開にしてみた。 すると、キンキンに冷えたそれではなく、やんわりした風が車内に入って来たのである。 庭で、揺れていた花。 いかにも、心地良さそうである。 一息ついて、ロードバイクのタイヤを交換した。 玄関内にも春が訪れていて、座り込んで作業をしても楽しかったのである。