鳥無き里の蝙蝠☆改

独り言書いてまーす

【文字起こし】Daniel Dennett's lecture meeting.

2015-04-15 16:30:48 | 日記

ダニエル・デネット 「かわいさ、セクシーさ、甘さ、おかしさ」より

世界中でダーウィンに関する講演をしていて、彼の推論の奇妙な逆転についてよく話しています。このフレーズは初期の批評家によるものです。私はこの一節が好きです。ご紹介しましょう。

いま問題としている理論においては絶対的な無知が考案者である。それゆえ全システムの基本原理はこう明言できる。

"完璧で美しい機械を作るためにそれを知る方法を知る必要はない"

注意深く検討すれば、この提案はダーウィン氏の理論の要点を凝縮して表現し、彼の意味することを簡潔に表現している。

「奇妙な推論の逆転によって、彼は完全なる無知が完全なる知恵に代わって創造たる技をすべて達成できると考えているようだ」

まさにこれです。推論の奇妙な逆転ですね。

創造論者のパンフレットに面白いページがあります。

TEST TWO
1.Do you know of any building that didn't have a builder? □YES □NO
2.Do you know of any painting that didn't have a painter? □YES □NO
3.Do you know of any car that didn't have a maker? □YES □NO

If you answered "YES," for any of the above give details:
[ ]


質問2:建築者のいない建物を知っていますか?はい、いいえ
画家のいない絵画を知っていますか?はい、いいえ
製造者のいない車を知っていますか?はい、いいえ
どれかに"はい"と答えた人は、詳細を書いてください」

なるほど!これによるとダーウィンの推論は全く奇妙に逆転していますね。

設計には優れた設計者が必要なのはもっともだと思うでしょう。しかし、ダーウィンは違うと言います。

さて、今日はダーウィンの逆転した奇妙な推論の他の例を話します。

始めは混乱しますがこちらも同じように重要なことです。

・チョコレートケーキは甘いから好きというのはもっともです
・男性がこういう女性を好むのはセクシーだから
・赤ちゃんを溺愛するのはかわいいから
・そしてジョークが楽しいのはおかしいから


これらは全て反対です。なぜなのかダーウィンが示してくれます。

まずは甘さですが私達が甘味が好きなのは糖分探知機として進化したからです。大雑把に言えば、糖分は高エネルギーなのでそれを好むように脳の配線が組まれたのです。

私達が好きだからハチミツは甘いのです「私達はハチミツを好む」ではないです。本質的にハチミツに甘さがあるわけではありません。

ブドウ糖分子を凝視してもそれがなぜ甘いのかはわからないでしょう。なぜ甘いのかを知るには脳の中を見なければいけません。

ですから始めに甘さがあり、私達が甘さを好むように進化したと考えるのは、順番が違っています。本当はその反対です。甘さは進化上の関係付けの中で生まれました。同じように、この女性たちが本質的にセクシーなのではありません。

これはいいことです。さもなければ自然の摂理に問題が起こります。チンパンジーはどうやって相手を見つければいいのでしょう?妄想を頼りにするやり方もあるかもしれないですが、もっと手っ取り早い方法があります。こういう外見を好む様に脳を配線すればいいのです。実際そうなっているようです。たったそれだけのことです。

600万年以上にわたりヒトとチンパンジーは別々の進化を経ました。おかしなことに私達の体毛は退化しました。そうでなければこれ(毛むくじゃらの女性の写真)が最高のセクシーさだったでしょう。

私達の甘味嗜好も高エネルギーの食物を本能的に好むように進化した結果です。チョコレートケーキのためにデザインされたわけではありません。チョコレートケーキは超正常刺激です。

この用語はカモメの有名な実験をしたニコラス・ティンバーゲンによるものです。彼はカモメのクチバシに着目し、オレンジの斑点を大きくすると、ヒナより強くその部分をつつくようになることを発見しました。それは過剰な刺激ですが、ヒナはそれを好みます。

このことから言えるのは、チョコレートケーキは私達の脳の配線を圧迫する超正常刺激だということです。

超正常刺激はたくさんあります。まずチョコレートケーキ。セクシーさにも超正常刺激はたくさんあります。かわいさにも超正常刺激があります。これが良い例(3つの写真)です。私達は赤ちゃんが好きで、汚れたおむつにも嫌気がさしません。赤ちゃんは私達の注意を引いて愛され育てられることに成功しています。ところで最近の研究によると、母親は自分の赤ちゃんの汚れたおむつのにおいの方を好むようです。自然の仕組みは上手くはたらいています。もし赤ちゃんの外見が違っていてこんなふう(赤ちゃんの人形の写真とへんてこな落書きの成人の絵)だったら、もしこんな赤ちゃんをかわいがらなければいけないとしても、抱きしめたいとはなかなか思わないでしょう。これが奇妙な逆転です。

最後におかしさについてです。私の答えはここまでと全く同じです。しかし難しくてよくわかっていません。だからおかしさを最後にしました。あまり多くのことは語れません。

非常に難しい問題ですが、誰かがやらなければなりません。そして成し遂げられたとき、努力に値する報酬を受け取ることは大切です。私と同僚がついに答えを見つけました。それは忌まわしい事務作業をこなす脳への報酬として配線された神経システムです。

What about funny?
Same story
A neural systen wired up to reward the brain for doing a grubby clerical job
The joy of debugging!


この考察のキャッチフレーズは、デバッグする楽しさです。

全てを詳しく説明する時間はありませんが、一部のデバッグだけが報酬の対象になると言えます。ジョークのスイッチを操作してユーモアのオンとオフを切り替えることで、ユーモアを神経科学の道具として活用しています。今はおかしくない…今はおかしくなった…もう少しおかしくなった…今はおかしくない…このようにして脳の構造について、脳の機能的構造について実際に分かってくることがあるのです。マシュー・ハーレーがこの理論の考案者です。これをハーレーモデルと呼んでいます。彼はコンピュータ科学者です。レジナルドダムズは心理学者です。そこに私が加わって3人で研究結果をまとめています。

どうもありがとうございます。


-----文字起こしここまで-----

7分45秒の動画の中でダニエルが喋りっぱなし。結構疲れるね。Alt+Tabでテキストを入力するウィンドウと再生するウィンドウを行き来する荒業(?)w

なぜわざわざそんなかったるい作業をしようと思ったのか。どうやら俺はこういう学問が
どうしても好きらしい。学問っちゅーかこういう研究?

そこで、どうにかダニエルが言わんとしていることを自分の血肉に近いものにできればと思い、今一度おさらいの意も込めてというわけだ。


彼の講演内容によれば
・チョコケーキやハチミツが甘いのは私達が好きだから。
・女性がセクシーなのは男性が好きだから。
・赤ちゃんが可愛いのは私達が溺愛するから。

我々の脳が組んだ配線は、実に巧妙なものだと思いませんか?

・エネルギーに富む食べ物により強い印象を焼きつけ、その摂取を反復させようとする。

・乳房や胎盤などの大小によって育児能力の高さを計り、成人後に交配相手の選択肢を増やす為に有利な顔の造形をしているかを見極め、自分の子をより強く育ててくれそうな交配相手を選ぶ。

・可能な限り質の高い育児を行ってもらうため、親がそうしたくなるような外観をもって生まれてくる子供。

講演内容の最後、おかしさについてはさっぱりわかりませんので割愛。

ダーウィンの奇妙な推論の逆転について知ってからというもの、知人と集まって誰それの色恋話に花を咲かせたりする度に、談笑する機会にとって誠に場違いなこういう邪推(?)をしてしまう病に冒されました。

ダニエルの講演によってスッキリした謎は沢山ありますが、新たな見聞は新たな疑問を呼ぶわけで、今抱いている疑問はこれです。

・笑い
・楽しい
・後悔

交配相手の理想がどのようにして形成されているのかだったり、性欲と愛の関係についてはいくつかの科学がそれなりの説得力を持って説明してくれています。

ですが、ダニエルも言っていたように「おかしさについては難しい」ということで、笑いというものが人間にとって一体なんなのか、科学はまだ…というかまだ調べてないから俺が知らないだけなんですが、そこが説明つかないのがもどかしい昨今であります。

とりあえずこのへんで閉じます。


















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