ねじまき鳥のねじまき

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安倍首相、事実上の退陣表明?

2007年09月10日 | 日記
安倍首相が、9日、APECに参加していたシドニーのホテルでの会見で、テロ特措法期限延長問題に関し、「インド洋での海上自衛隊の給油継続がが叶わなかったら退陣する」という考えを表明した。

この発言、首相の潔い不退転の決意を示したものと考える向きもあるかもしれないが、事実上の退陣表明ではないか、そう思えてくる。
確かに、APECという場での発言なので、ブッシュ大統領に「日本の助けは大切だ」と援護射撃を受けた安倍首相が、気を良くしてこんな失言をしたと見れなくもないが、参院選惨敗後の安倍首相の求心力の低下、また遠藤農水大臣の辞任劇の顛末を見るにつけ、安倍首相がもはや自身の政権維持に自信をなくしてしまっているのではないかと思えてくる。

ご存知のように、参院選敗因後は安倍首相の求心力は目に見える形で急落、自民党の総務会では公然と首相批判どころか退陣要求が一部の議員から出る始末。その後、参院選の総括を執行部が「安倍首相が国民の声に耳を傾けなかったせい」だと、自民党内にくすぶる不満を取り入れる総括を行い、何とかその場をおさめたものの、今月に入り遠藤農水大臣が、また政治とカネの問題で辞任。もはや安倍首相のリーダーシップは事実上期待が出来なくなってしまった。

その機を見て動いたのが、与謝野官房長官と麻生自民党幹事長。特に麻生氏は表舞台では与謝野官房長官に切り盛りを任せてはいるが、今回の遠藤氏の辞任劇をウラで糸を引いていたことは、複数のメディアが伝えているところでもある。
今回のこの遠藤氏の問題により、事実上官邸から自民党執行部に権力の核が移ったと見る向きが多いが、確かに安倍首相の今日の発言を聞くと、もはや自分では今後の政権運営は難しいという想いがにじみ出ているようにも感じられた。

11月1日まであと1ヶ月半。テロ特措法の延長は、もはや不可能であるのは目に見えているので、最近出ている新法を成立させることでの海上自衛隊の活動延長を行うという方向性を模索しているのだろうが、これもかなり政治日程的に難しい。その意味では、11月1日時点で法案不成立、安倍内閣総辞職というシナリオは、相当現実味があると見て間違いない。つまり、今日の安倍首相の発言は、事実上の退陣表明だと思われる。

内閣総辞職を示唆しているので、11月での解散総選挙は無いので、自民党総裁選→首相指名という流れになるだろう。
その意味では、次の自民党総裁=総理大臣のレースが今日、幕を開けたわけだが、現状では麻生太郎幹事長が最有力とも言われている。麻生氏は安倍首相の側近を装っているが、実はこれが狙いだったのだろう。「テロ特措法を潰した民主党を許すまじ」と捲土重来を錦の御旗に、来る解散総選挙までの与党陣営の支持率及び基盤の立て直しを図ってくるだろうが、こうしたポピュリスティックかつナショナリスティックな政策は、各所で「(経済的な)痛み」が現実化しなかった小泉政権下では目くらまし的に通用したが、「痛み」が徐々に自分のまわり、もしくは自分自身に襲ってきつつあることを実感している人が増えてきつつある今、どれほど効果的かは疑問だ。
かといって、小泉氏の政策と対極を狙って大胆な公共事業政策を打ち出したりするなど、弱小派閥の領袖である麻生氏には、ひっくり返っても出来ないだろう。

やはり、次の解散総選挙を経ないと、政権が安定する日はやって来ない。
その時こそ、今後5年~7、8年を占う選挙となる。

ただ、横浜市でマナーの悪い高校生を殴った警官や(この話自体が嘘であったわけだが)、TVというメディアの力を借りて自身の主張の「正しさ」をアピールすることしか出来ない弁護士などに、多数の「激励」のメールが届くという事態を目にしていると、次の選挙で有権者がどれだけ「主体的」な判断が出来るのか、かなり不安にもなってくるけれど。