新型インフルエンザ対策

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N95マスク”と“サージカル・マスク

2008年09月03日 | マスクの選び方・マスクの効果
“N95マスク”と“サージカル・マスク”
【質問】
“N95マスク”と“サージカルマスク”の違いについで質問があります。文献や病院のマニュアルでは, やむを得ず感染性結核患者を転院させる場合や病室を出る際には, 患者にはサージカルマスクあるいはガーゼマスクを着用させるとあります。結核菌は飛沫核感染および空気感染ですよね。サージカルマスクで大丈夫なのでしょうか??? N95マスクを着用させなくてもいいのでしょうか??? それとも文献の解釈が排菌がなくなったのを前提で書いているのでしょうか??? もしくはサージカルマスクとN95マスクは同じ意味??? なのでしょうか??? 大学の講義, 参考書などにも患者の移動にはサージカルマスクと記入されています。サージカルマスクでは他の患者さんに感染しないのでしょうか???当病院では, 病室を出る際は患者にはN95マスクを着用させています。確かに, 排菌している際は病室を出るのは控えないといけないのですが・・・N95マスクはたしかに息苦しいです。忙しいとは思いますが, よろしくお願いします。
【回答】
“N95マスク”と“サージカル・マスク”, ふたつの違いは性能だけではなく, 使用する目的において大きく異なります。“N95マスク”は微生物を含む外気から, マスクを装着するヒトを守るために使用されます。サージカル・マスクは, 逆に, マスクを装着したヒトから排出される微生物を含む粒子が大気中に拡がるのを防ぐ目的で使用されます。マスクを装着したヒトを中心に考えると, 前者 (N95マスク) は外から内にという経路を, 後者 (サージカル・マスク) は内から外への経路を防ぐと言えます。その意味で, 結核の患者 (排菌状態にあるを含め) には, 内 (患者) から外 (気) への経路を防ぐサージカル・マスクを使用します。確かに結核菌は, 肺胞にまで到達できる直径5μm未満の飛沫核によってヒトからヒトに伝染しますが, その極小さな飛沫核も生まれた起源 (患者が咳をした直後) を正せば, 大きな水滴が元になっています。結核の患者が咳をした直後には大小様々な水滴が発生し, そのなかで直径150μm未満の水滴のみが2~3秒間空中を浮遊することができ, その間に水分が蒸発して結核菌の拡がりにつながる直径5μm未満の飛沫核が形成されるのです。この水分が蒸発する2~3秒間が重要であり, この部分でサージカル・マスクが有効なのです。

(琉球大学・山根 誠久
(「JARMAN」の質問箱より)