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オバマ氏の対日政策は? モンデール氏の一問一答

2008年08月20日 | このごろの新型インフルエンザ関連情報
オバマ氏の対日政策は モンデール氏の一問一答(1/4ページ)2008年8月20日7時0分
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モンデール元副大統領=AP
 【ワシントン=加藤洋一】米大統領選で民主党の候補者指名を確実にしたオバマ上院議員の対日政策顧問グループに、名誉会長として参加することになったモンデール元副大統領(元駐日大使)に、「オバマ政権」の対日政策を聞いた。


 ――日米関係の現状をどうみますか。

 「米日関係の偉大な強さの一側面は、これまで党派対立のタネにはならなかったし、今もなっていないということだ。過去60年間、米国の政権はいずれも日本との関係の重要性を理解し、アジアとの関係を築くうえで日本が礎石であり、世界規模の課題に取り組むための不可欠のパートナーであることを認識してきた。オバマ政権でも、こうした大枠のアプローチは変わらない」

 ――ブッシュ政権との違いは。

 「主たる違いは世界規模での協力のレベルにあると思う。オバマ氏は、気候変動と戦い、深刻化するエネルギーや資源の危機に対応するため、米国が主導的役割を果たすと約束している。日本は、主要な消費国、エネルギーの節約と新機軸づくりで基準を設定する国として、米国にとって自然なパートナーだ。オバマ氏は、04年12月のインド洋津波、鳥インフルエンザ、アフリカ支援などでの日本の貢献、さらに環境問題と気候変動で主導的役割を果たしていることを評価している。そのような地球規模の課題をめぐる両国間の協力は、オバマ政権下でより強化される主要な分野となる」

 ――海上自衛隊のインド洋上での給油活動延長に関する考えは。

 「オバマ氏はすでに、アルカイダなど国際的なテロ組織との戦いに対する日本の努力に謝意を表している。アフガニスタンでの戦いに向けた支援も含んでいる。我々は、テロとの戦いのこの前線での戦いを、日本が引き続き支援してくれることに期待している」

――大使自身が96年に合意した、沖縄の普天間飛行場返還は思うように進んでいません。

 「現在の交渉に口をはさむ立場にはないが、両国政府がすでに合意した内容についてその実現を図ることは重要だ。合意内容は、沖縄の住民の負担を減らし、米日同盟の機能を強化するもので、いずれも健全な両国安保関係のために不可欠だ。ただ、こんなに時間がかかるとは思わなかった」

 ――北朝鮮問題をめぐっては米国が非核化の成果を急ぐあまり、拉致問題も重視する日本を置き去りにするという懸念が日本側にあります。オバマ政権の取り組みは。

 「これは私がブッシュ政権を批判する問題のひとつだ。過去8年間のブッシュ政権の北朝鮮政策のブレが、北朝鮮に核兵器の貯蔵を許してしまった。ミサイルの開発プログラムも再開させ、日本を含む米国の同盟国を不安に陥れている。オバマ氏は、北朝鮮が拉致被害者について完全な説明をすることが必須だと考えている。拉致被害者が忘れられることはない。日本にはこの非常に深刻な人道上の不法行為に対して、米国からの継続的な支援を期待してもらってよい」

 「北朝鮮の核実験が、米国の核抑止力の信頼性を傷つけたとは思わない。日本は米国にとって東アジアでの主要な同盟国であり、ミサイル防衛を含めて防衛協力を強化しているところだ。オバマ政権あるいは他のいかなる米政権でも、米国が日本の安全に対する責任を果たすことに疑いは無用だ」
――中国の台頭に対応するため、日本との同盟をどう利用しますか。

 「オバマ氏は中国との関係を、協力と競争の重要な要素が入り交じっていると考えている。大統領としてオバマ氏は中国との協力分野の構築と拡大に努める。それは通商、北朝鮮の核兵器問題のような地球規模と地域の安全保障問題、エネルギー問題を含む。同時に、我々は中国に対し、人権を擁護する民主的社会への変化を促し、市場機能に基づく通貨制度へのより迅速な移行と知的財産権の保護の拡大を求める必要がある。スーダン、ジンバブエ、ビルマ(ミャンマー)など問題を抱えた政府との関係では、中国がより建設的な役割を果たすことを希望する」

 「日本と米国は、中国に対する根本的なアプローチを共有している。両国は、中国国内の経済、政治改革を促す一方で、中国との関係構築に前向きに取り組み、国際社会への参加を後押しすることに共通の利益を有している。米日両国と中国の経済は、一体化と相互依存を強めており、エネルギー、環境保護、感染症予防などの課題も共有している。米日同盟を強化することと、米中、日中でそれぞれ良好な二国間関係を構築することは矛盾しない。むしろ相互に補強しあうものだと考える」

 ――日本は国連安保理常任理事国入りを含め、国際社会での役割拡大を目指しています。日本にはどのような役割を期待しますか。

 「オバマ氏は、現在日本が国際社会で担っている役割の重要性を認識している。それは国連平和維持活動(PKO)、経済開発、地球温暖化、そして新たな国境を超えた脅威への対応だ。日本が国連でそうした責任に応じた役割を持つことは、すでにとっくに機が熟している。ただ、オバマ氏は国連安保理改革について、まだ立場を決定していないので、この質問に対する直接的な回答は態度決定の時点まで控えたい。その過程では日本政府と緊密に協議する」
 ――ブッシュ政権下で大きく傷ついた、米国の世界のリーダーとして評価をどう回復しますか。

 「オバマ氏は、米国の国際社会での力と影響力は、軍事力だけではなく、次のような要素に依存していると考える。(1)国内外での法の支配の尊重を含め、米国の理想を実行すること(2)外交を広範かつ巧みに展開すること(3)同盟国や友邦と共通の課題への取り組みで緊密に協力すること」

 「大統領としてオバマ氏は、米国を、その伝統的な役割である、世界にとっての『希望の指針』と、建設的で十全に責任を果たす『世界市民』に復帰させる。米国の強力な軍事力は、世界が危険な場所である限り無視されることはない。そして米国とその同盟国の安全は、米国の抑止力とその意思に大きく依存する。しかし、『ハードパワー』と『ソフトパワー』のバランスをより工夫すれば、米国が(他国にとって)より役に立つ同盟国やパートナーになることでき、かつ米国の国際社会での信頼性とイメージを改善することにも役立つ」

 「さらに、オバマ氏はたぐいまれな経歴をもっているので、大統領に選出されることは、米国社会の多様性と開放性、米国の民主主義の健全さを示すことになる。これ自体、米国の世界におけるイメージを改善することに大きく役立つ」

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 英語の原文は22日付ヘラルド朝日に掲載します。