遊爺雑記帳

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習近平が「共青団たたき」顕在化

2017-09-21 23:58:58 | 中国 全般
 秋の党大会でのチャイナセブン(中国共産党中央政治局常務委員)改選に向けた政局闘争もいよいよ大詰めです。
 習近平と王岐山の、汚職追放の御旗での政敵失脚で独裁体制づくりを進めてきた習近平。自身を「核心」と呼ばせ、毛沢東並の専制政治を目指してきて、江沢民・上海閥を壊滅状態に追い込み、胡錦濤・共青団派とバトルを展開してきました。
 米中でのG2構想をオバマ大統領に拒否され、南シナ海の「九段線」を根拠とする領有も、仲裁裁判所裁定で否認されるといった外交の失政と、バブル崩壊含みの経済失速、人権無視の国内政治といった失政や課題を抱えながらの党大会に苦労していました。
 それでも、定年となる王岐山を残留させ、5年後の習近平自身の定年延長の布石をたくらんでいましたが、その構想は音沙汰がなくなるなど、共青団派の巻き返しが見られた(習近平自身が王岐山の権力拡大を疎んだとも言われますが)のですが、大詰めを迎え、共青団派潰しにも着手した様ですね。
 

「習近平・王岐山」連合、党大会控え共青団たたき  編集委員 中沢克二 :日本経済新聞 2017/9/20

 9月12日、中国共産党の極めて重要な学校が解体・再編の後、北京市の郊外で再出発した。9000万人近くを擁する党の青年組織、共産主義青年団(共青団)の幹部養成校だ。もう一つ、党中央文献研究室が同10日、国家主席の習近平が共青団を厳しく批判した論述集「習近平の青少年と共青団工作の論述」を発行
した。

 「
習近平が早くから口にした共青団への強い不満が、学校再編と論述出版で公式に表に出た
。(10月18日から開く)19回党大会も含めて影響は大きい」。党関係者の分析だ。共青団の幹部学校は「中国青年政治学院」が正式名称だが、一般に共青団中央団校として知られる。北京市西部のキャンパス前の石柱に刻まれた表示も、共青団中央団校と青年政治学院が併記されている。
 共青団中央団校は、中国最大のシンクタンクである社会科学院に合併され、形としては社会科学院大学として再出発した。とはいえ、
誰が見ても政治的には完全な解体
である。なぜ、こんなことになったのか。

■習主席、共青団を「四肢麻痺」と非難
 話は、1年前の2016年夏に遡る。習近平らが河北省の保養地、北戴河に集合した頃、中国国営中央テレビがメインニュースで「共青団中央」の改革案発表を報じた。共青団は、入党審査の厳しい共産党に入る前に通らねばならない登竜門だ。14歳から28歳まで在籍できる。
 改革案を読んでも、具体的なイメージが湧きにくい。しかし、前段をたどれば政治的な意図を理解できる。
16年初め、「反腐敗」の司令塔で中央規律検査委員会トップの王岐山が手配する、中央巡視組が共青団に立ち入り調査に入っていた
のだ。
 機関化、行政化、貴族化、娯楽化――。中央巡視組が指摘した共青団の問題点だ。特に、「娯楽化」の表現は常軌を逸して厳しい。組織として体を成していないばかりか、遊びほうけているというのだ。
すべてがだめなので改革せよ、という一方的な命令
だった。

 実は、習
自身が同じ頃、共青団に関して「空虚なスローガンを叫んでいる」「四肢が麻痺(まひ)した状態だ」との表現で、厳しく批判
をした。今回出版の論述集から明らかになった事実だ。これが王岐山の巡視組の動きと連動し、最後は「共青団の上層部を減らし、末端組織・人員を強化せよ」という強制的な命令に転化した。

 
「共青団たたき」に見える習近平論述集
を、最高指導部人事の直前の今、党中央から出版する裏には当然、意図がある。習は革命世代の党高級幹部を父母に持つ「紅二代」だ。その一派の数は少ない。習にとって全国に根を張る共青団の勢力は、党と組織を牛耳る上で邪魔になる。それが「共青団たたき」として表れた。幹部を養成する共青団中央団校の解体も、その一環だ。

 最近、もう一つの衝撃が共青団を襲った。
共青団トップの第1書記、秦宜智が党大会代表に選ばれなかったのだ。党大会の入場券がない状態だ。共青団トップが出席もできないのは前代未聞
のこと。13年3月、第1書記に就いた秦宜智は51歳の若さで、将来を嘱望された人物だが、今や降格が噂される。
 彼は解体された共青団中央団校のトップも兼任していた。振り返れば、これが徒(あだ)になった。すべてを変え、学校も解体して再出発せよ――。王岐山の中央巡視組は、4年以上も学校トップの責任者だった秦宜智に命令した。立つ瀬がない。

■「孫政才失脚」も共青団問題と絡む
 ここで重要なのが、共青団の後ろ盾たる前国家主席の胡錦濤と習近平の関係だ。5年前の18回党大会で、2人は連合を組んだ。隠然たる力を持つ元国家主席、江沢民の勢力を抑える狙いがあった。江沢民は02年、後任に就いた胡錦濤のあらゆる動きを封じた。胡錦濤が党・軍中枢を自由に動かせない状況は5年以上続く。2期10年間の胡錦濤政権は、実質的に江沢民の制約下にあった。
 懲りた
胡錦濤は、12年の党大会で中央軍事委主席を含む全役職から退く「裸退」を決断した。「後任者の邪魔はしない」とした胡錦濤は習近平に貸しを作り、返って影響力を残す。だからこそ共青団派の首相、李克強、広東省トップの胡春華、共青団第1書記の秦宜智らの後ろ盾として機能した。

 しかし、事態は暗転する。習近平が王岐山と組んで進めた苛烈な「反腐敗」運動が、すべてを一変させた。まず、前党中央弁公庁主任の令計画が失脚した。胡錦濤の側近で「共青団派」の要、令計画が標的になった影響は大きかった。
 令計画は12年夏、中央弁公庁主任から解任されたが、まだ力があった胡錦濤に免じて、何とか党統一戦線部長の職に移る。それもつかの間、14年末には明確に失脚。最後は無期懲役を科された。同じく無期懲役になる元重慶市トップの薄熙来、前最高指導部メンバー、周永康との結託も問題視された。
 この頃から、共青団の幹部学校、中央団校も標的になる。伏線は山西省から出てきた若き令計画が、谷麗萍と共青団中央団校で知り合い結婚した、過去の歴史だという。この学校は「共青団一派の良からぬ政治拠点として使われた」と見なされたのだ。「習・王」連合の追及は厳しかった。
 共青団には、もう一つ関係団体がある。中華全国青年連合会(全青連)だ。かつて胡錦濤もトップの主席を務めた。1980年代、当時の総書記、胡耀邦(後に失脚)の下、日中青年3000人交流を実施したが、受け入れ団体は全青連だった。

 
「習・王」連合は、全青連も反腐敗という観点から問題視した。令計画の妻、谷麗萍の事実上の拠点とみたのだ。彼女は公益団体を称する中国青年創業国際計画(YBC)の責任者や、全国青少年宮協会の幹部を歴任した。これらの団体はいずれも全青連に絡んでいた。
 全青連と令計画の妻が関わる一連の問題は、7月に失脚した前重慶市トップ、孫政才の罪状にも波及しそうだ。孫政才の妻は、令計画の妻と親しい友人で、やり玉に挙がった中国民生銀行の「夫人倶楽部」の有力会員だった。

■共青団が推す「ポスト習」候補、胡春華氏の行方
 9月前半まで続いた一連の
「共青団たたき」は、党大会に向けた政治闘争と連動
していた。同18日、習近平は党政治局会議を招集。党大会で共産党規約を修正する議論をしたと発表した。方向は習近平の権限強化だ。ガバナンスを意味する「治国理政」に関する習近平の理論、思想を何らかの形で規約に盛り込む方針が、初めて明確になった。

 一連の「習・王」連合が打ち出した党大会に向けた動きは、9月前半までの「共青団たたき」と連動している。
共青団トップの秦宜智は、第1書記と共青団中央団校のトップを兼ねていたが、学校を失い、次期党大会の入場切符さえ手に入らなかった。降格もありうる

 共青団メンバーらは「この団体に未来はあるのか」という疑問を持たざるをえない。「娯楽化」批判から予算を削られ、学校まで潰された共青団に闘う術(すべ)はない。共青団派の後ろ盾、胡錦濤のメンツも丸つぶれだ。

 さらなる問題は、
共青団が推す「ポスト習近平」の有力候補、胡春華の将来である。計25人の党政治局員の一人で、中国経済の中核、広東省のトップだ。16歳にして飛び級で最難関の北京大学に入学。45歳で最年少の省長になった。共青団を通じて胡錦濤、李克強に寄り添い、出世したエリートである。彼もまた、共青団第1書記の経験者だ。党大会まで1カ月を切った。動きは急である。(敬称略)

 
共産党大会 共青団トップ 異例の冷遇 習氏 胡派基盤たたき狙う (9/21 読売朝刊)

 【北京=竹腰雅彦、広州=幸内康】中国の習近平・共産党総書記が政権2期目を発足させる党大会を前に、胡錦濤前総書記の政治基盤「共産主義青年団」(共青団)の存在感低下が鮮明になっている。背景には、自派の大量抜てきや手駒となる人材のライバルたたきなど、将来的に人事を有利に導こうとする習氏側の意向
があるとみられる。
 中国政府は20日、
共青団トップの秦宣智第1書記を国家品質監督検査検疫総局の副局長(閣僚級)に充てる人事を発表した。第1書記は、過去に胡氏や李克強首相らを輩出したエリートの代表格。李氏、周強・最高人民法院院長、胡春華・広東省党委員会書記、陸昊・黒竜江省長まで秦氏の前任4人が、いずれも第1書記から直接、地方ナンバー2の省長(代理)に転じるスピード出世を果たしており、今回の秦氏は異例の冷遇人事と言える。
 今回党大会に出席する代表の名簿には、秦氏に加え、楊岳・江蘇省副省長ら共青団出身の有力者の名前がない。
一般的に代表から外れるのは、引退か規律違反などの問題が絡んだ例が多い。胡春華氏がトップの広東省でも、省共青団の2人が代表候補に入ったが落選した。5年前の前回党大会では省共青団から2人が当選していた。共青団系が強い影響力を誇った山西省でも、今回は代表の候補者名簿の段階で、省の共青団出身者は一人も入らなかった。
 
共青団出身者は第1書記経験者に限らず、「最短期間で出世のコマを進められる」(中国政府関係者)というスピード昇進のルートがある
というのが党内の共通理解だった。これに対し習政権は、共青団系を一大政治勢力とみなして汚職摘発運動「反腐敗」で切り崩しを進めた上、共青団が「貴族化、娯楽化」していると批判し、幹部の削減や地方現場での勤務実績の重視など改革を要求してきた。
 こうした
「共青団たたき」は、長期にわたる自派中心の政権運営をうかがう習氏側が、将来の自派の人材配置もにらみ、こうした人材輩出の仕組みの書き換えを狙っている可能性がある。

 ポスト習近平候補とされていた、共青団派の期待の星・胡春華も、中国共産党機関紙「人民日報」に習近平を擁護する内容の長文を掲載したり、重要会議でも習氏の「治国の理念」を強調するなど、習近平氏に対して忠誠を示し白旗を上げているとの報道があります。
 
胡春華氏が最高指導部入りの可能性は3割未満との見方も | 経済 - 株探ニュース

 共青団派の抵抗も尽きて、習近平の独裁政治がはじまることになるのでしょうか。


 # 冒頭の画像は、胡春華広東省党委員会書記




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