遊爺雑記帳

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まだ効かない対露経済制裁 今秋には顕在化か

2022-06-28 01:33:55 | ロシア全般
 ロシアに対する制裁は、エネルギー価格高騰という予想外の恩恵によって相殺され、十分な経済的痛みを与えられずにいる。ロシアの戦争遂行努力を妨げ、ウラジーミル・プーチン大統領を交渉の席に着かせる狙いはうまくいっていないと、WSJ。
 ただ、この「耐性」は長続きしないと見られている。年内に深刻な景気後退が始まり、貧困が拡大し、経済的潜在力が長期的に低下すると多くのエコノミストが予測していると。
 
対ロシア制裁、まだ効かないのはなぜ - WSJ 2022 年 6 月 17 日 By Georgi Kantchev and Paul Hannon (以下、WSJと表記)

 ロシアに対する制裁は、エネルギー価格高騰という予想外の恩恵によって相殺され、十分な経済的痛みを与えられずにいる。ロシアの戦争遂行努力を妨げ、ウラジーミル・プーチン大統領を交渉の席に着かせる狙いはうまくいっていない。

 
ただ、この「耐性」は長続きしないと見られている年内に深刻な景気後退が始まり、貧困が拡大し、経済的潜在力が長期的に低下すると多くのエコノミストが予測している。今のところ、制裁を科すペースが遅く、ロシアの経済安定化への取り組みが成功し、石油・ガス輸出を継続できていることが、同国に与える打撃を和らげている

 そのためロシアは差し当たり、ウクライナでの戦争を続けることができると、
ドイツ国際安全保障問題研究所のロシア経済専門家ヤニス・クルーゲ氏は話す

 「現時点で、経済制裁はロシアに交渉に臨む動機を与えていない」と同氏は指摘。
「ロシア政府は数年間の景気悪化を乗り切り、好転するまで待てるだろうと確信している。西側の制裁をかわすのに成功していることが、ロシアをつけあがらせている」

 ロシアのサンクトペテルブルクで今週開催されている国際経済フォーラムには、例年ここに集う世界の政治、経済、実業界のリーダーたちの姿がなかった。16日に発言した経済担当のロシア高官らは前向きな姿勢を貫きながらも、同国経済が直面する長期的な問題を認めた。

 
「われわれは何とか耐えてきた。われわれは強い国民だ。自分たちの力を信じるだけでよい」。経済担当のマクシム・オレシキン大統領補佐官はそう述べた

 
経済的な耐性がある限り、ロシアは自国の石油・ガス供給に依存する欧州諸国に圧力をかけられる。今週、ロシア国営企業ガスプロムがドイツとイタリアへのガス供給量を削減することで、ロシアはその影響力を見せつけた。ドイツのロベルト・ハーベック経済相は「不安をあおって価格をつり上げる戦略」と断じた。ロシアはすでにポーランド、ブルガリア、フィンランドへのガス供給を停止している

 
欧州はエネルギー面のロシア依存脱却に躍起となるが、ロシアは世界的な価格高騰のおかげもあって毎日何億ドルもの石油・ガス販売収入を得ている。欧州が段階的な禁輸を進める中、ロシアは輸出する石油の一部をインドなどのアジア諸国に振り向けている

 その結果、
ロシアの対外貿易の指標である経常収支の黒字額は、今年1月~5月に約3倍増の1100億ドル(約14兆5600億円)に達した。このまま行けば今年は過去最高の経常黒字となる見通しで、ロシアは準備金を相当積み増せる。ロシアはこの潤沢な資金を緊急時に備えるためではなく、経済の下支えに使っている

 
国際金融協会(IIF)は今月取りまとめた報告書の中で、「ロシアの構造的な経常黒字はバッファーの迅速な構築につながり、制裁の効果が時間と共に低下するのは必至だ」と指摘した。

 
IIFの試算によると、資源価格が高止まりし、ロシアがこれまで通り石油・ガス輸出を続けるならば、ロシアは今年、3000億ドル以上のエネルギー販売代価を受け取る可能性がある。これは西側の制裁で凍結されたロシアの外貨準備の額にほぼ匹敵する。

 
西側諸国にとっては、ロシアへの締めつけを強めるほど、消費者物価の急上昇に直面する自国経済の巻き添えリスクが高まるという現状がある。リスクとのバランスを図るため、西側諸国はエネルギー関連の制裁に慎重にならざるを得ない。欧州連合(EU)がロシア産石油の90%の輸入停止で合意したのは大きな一歩だが、この措置が完全に効力を生じるのは今年末だ

 
プーチン氏は、西側が仕掛けた経済の電撃戦は失敗したと主張し、制裁の経済的影響を小さく見せようとしている。だが短期的な危機を回避できたのは、ロシア中央銀行が迅速に策を講じたことによるものだ。

 
ロシア中銀のエルビラ・ナビウリナ総裁は16日、「状況は非常に複雑で、非常に困難だ。絶えず変化している」と述べた。「外部環境は長い間ずっと変化している。永遠ではないとしても」

 一方、
西側が科す制裁の影響は一様ではない金融セクターの制裁――ロシアを世界的な決済網である国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除し、ロシア中銀との取引を禁じるなど――は即効性があるものの、マクロ経済に影響が出るのは時間がかかるとアナリストは言う。

 「
経済制裁は一夜にしてロシアの行動を止めることはできない行動を続けることで支払う代償を引き上げるのが狙いだ」とIIFの報告書は指摘した。「その代償は最終的に、ロシアのウクライナに対する戦争が法外に高くつく水準に達する可能性がある

 それがいつ頃になるかは不明だが、すでに将来の経済停滞の輪郭は見え始めている。

 
ロシアでは物価高騰の影響で今年1-3月期の実質可処分所得は前年同期比で1.2%減少貧困率も上昇した。輸入部品の不足で、自動車工場は稼働停止に追い込まれた。生産を継続するため、ロシア政府はエアバッグが付いていない乗用車の販売を認める規制緩和を行った。

 
ロシア政府は、外国製品を国産品に置き換える輸入代替策を一段と強化している。だが過去の実績からみてこの政策が実際に機能する証拠は乏しい。政府当局者は、ロシアが欧米の製品やノウハウを入手できなくなることに適応するまでには時間がかかると認めている。

 
経済への影響は今年下半期に拡大する見通しだ。アナリストの予想では、これまで横ばいだった失業率が今秋には上昇するという。ロシア事業の縮小を表明した1000社余りの外資企業の多くは、労働者に賃金を払い続けている

 「
夏から秋にかけてロシア経済の問題点が、徐々にではあるが増大するだろう」とクルーゲ氏は語った。

 
IIFはロシア経済が今年は15%、2023年も3%のマイナス成長になると予想。それによって約15年分の経済成長が消し飛ぶとみている。ロシアの今年の国内総生産(GDP)の落ち込みをより控え目に予想するアナリストもいるが、それでも10%程度は減少する見込みだという。

 
ロシア中銀のアナリストは、今後経験するのは「産業化の逆行」だと話す。すなわち、より前の段階の技術を生かした経済成長だ。

 ロシアの飛び地
カリーニングラードに拠点を置く自動車メーカー、アフトトルの工場では、それが現実のものとなっている。同社はシボレーや BMW の自動車を組み立てていたが、「困難な経済状況」を受け、先月から一時帰休の対象となっている労働者に農地を提供し、ジャガイモの栽培を始めた

 「現時点で、経済制裁はロシアに交渉に臨む動機を与えていない」
 「ロシア政府は数年間の景気悪化を乗り切り、好転するまで待てるだろうと確信している。西側の制裁をかわすのに成功していることが、ロシアをつけあがらせている」
 と、ドイツ国際安全保障問題研究所のロシア経済専門家ヤニス・クルーゲ氏。

 ロシアのサンクトペテルブルクで今週開催されている国際経済フォーラムで、16日に発言した経済担当のロシア高官らは前向きな姿勢を貫きながらも、同国経済が直面する長期的な問題を認めたと、WSJ。
 
 しかし、経済的な耐性がある限り、ロシアは自国の石油・ガス供給に依存する欧州諸国に圧力をかけられる。
 ロシア国営企業ガスプロムがドイツとイタリアへのガス供給量を削減することで、その影響力を見せつけた。ドイツのロベルト・ハーベック経済相は「不安をあおって価格をつり上げる戦略」と断じた。ロシアはすでにポーランド、ブルガリア、フィンランドへのガス供給を停止している。

 欧州はエネルギー面のロシア依存脱却に躍起となるが、ロシアは世界的な価格高騰のおかげもあって毎日何億ドルもの石油・ガス販売収入を得ている。
 ロシアは輸出する石油の一部をインドなどのアジア諸国に振り向けている。
 その結果、ロシアの対外貿易の指標である経常収支の黒字額は、今年は過去最高の経常黒字となる見通しで、ロシアは準備金を相当積み増せる。ロシアはこの潤沢な資金を緊急時に備えるためではなく、経済の下支えに使っているのだそうです。

 IIFの試算によると、ロシアは今年、3000億ドル以上のエネルギー販売代価を受け取る可能性がある。これは西側の制裁で凍結されたロシアの外貨準備の額にほぼ匹敵。
 西側諸国にとっては、ロシアへの締めつけを強めるほど、消費者物価の急上昇に直面する自国経済の巻き添えリスクが高まるという現状がある。リスクとのバランスを図るため、西側諸国はエネルギー関連の制裁に慎重にならざるを得ない。
 EUがロシア産石油の90%の輸入停止で合意したのは大きな一歩だが、この措置が完全に効力を生じるのは今年末だと、WSJ。

 西側が科す制裁の影響は一様ではない。金融セクターの制裁は、即効性があるものの、マクロ経済に影響が出るのは時間がかかるとアナリスト。
 
 「経済制裁は一夜にしてロシアの行動を止めることはできない。行動を続けることで支払う代償を引き上げるのが狙いだ」とIIFの報告書は指摘。

 ロシアでは物価高騰の影響で、今年1-3月期の実質可処分所得は前年同期比で1.2%減少。貧困率も上昇した。輸入部品の不足で、自動車工場は稼働停止に追い込まれた。
 ロシア政府は、外国製品を国産品に置き換える輸入代替策を一段と強化している。だが過去の実績からみてこの政策が実際に機能する証拠は乏しいと、WSJ。

 経済への影響は今年下半期に拡大する見通しだ。アナリストの予想では、これまで横ばいだった失業率が今秋には上昇するという。
 ドイツ国際安全保障問題研究所のロシア経済専門家ヤニス・クルーゲ氏は、「夏から秋にかけてロシア経済の問題点が、徐々にではあるが増大するだろう」と。
 
 IIFはロシア経済が今年は15%、2023年も3%のマイナス成長になると予想。それによって約15年分の経済成長が消し飛ぶとみていると、WSJ。
 ロシア中銀のアナリストは、今後経験するのは「産業化の逆行」だと話すと。
 カリーニングラードに拠点を置く自動車メーカー、アフトトルの工場では、「困難な経済状況」を受け、先月から一時帰休の対象となっている労働者に農地を提供し、ジャガイモの栽培を始めたのだそうです。

 対露経済制裁は、あびる返り血もあり、即効性はみられないものの、効果は今年の秋ごろからは顕在化するとのWSJの記事。その読みが的中することを願っています。

 それにつけても、口先ばかりで実効性のある具体的政策が見られない岸田政権。選挙戦開始でも、海外に出かけて世界の変動に遅れまいとする姿勢はよしとしますが、中身は薄く、海外首脳との画像を流すことで、支持率を稼ごうととする、昭和中期の日本の政治家手法がみえみえ。
 G7で、意見の対立するトランプ氏とメルケル氏の仲裁をした、内容の濃い安倍氏の外交と比べると、むしろ逆効果。外務大臣時代の、国益を棄損した外交実績を彷彿させられます。

 理由不明の高支持率を誇っていた岸田内閣支持率。何もしないことで批判されないからなどといわれていましたが、ここへきて支持率低下と不支持率上昇に転じた様子ですね。
 物価高のインパクト、内閣支持率に陰り <6月定例世論調査>:時事ドットコム

 内閣支持率 48 + 政党支持率 34 =青木率 82 ですね。



 # 冒頭の画像は、G7に出席した岸田首相




  この花の名前は、カンパニュラ アルペンブルー ホシギキョウ



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