遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日中ガス田協議は平行線のまま

2007-10-14 18:09:06 | 東シナ海ガス田
 温家宝首相が来日した時の日中首脳会談(4月)で、今秋に「共同開発の具体的方策」をまとめることで合意した、東シナ海のガス田共同開発ですが、局長級会談(第8回)を5月に開催してました。
 その後回を重ねていて、第10回局長級協議が9月21日に予定されていましたが、中国側の外交日程都合とのことで、10月11日に開催されました。こちらの日程のほうが党大会で大変だろうとも思われますが...。
 結果は全く進展のない厳しいもので、譲歩できない部分が明確になり、今後はどちらが譲歩するかが焦点となるといった内容だそうです。
 
今秋中の合意微妙 日中ガス田協議 (10/12 産経朝刊)

 【北京=野口東秀】東シナ海のガス田開発をめぐる日中局長級協議が11日、北京で開かれたが、共同開発の対象海域や開発の方法など隔たりは埋まらなかった。日中間の首脳合意により今年秋中に共同開発の具体的方策を双方の首脳に報告することになっているが、その達成は微妙な状況だ。
 協議後、佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は、「共通の了解に達していない」と述べ、資源エネルギー庁の望月晴文長官も「道のりは大変厳しい」と指摘した。
 日本側は、共同開発の対象海域として、中国側が日中中間線付近で開発してきた「白樺」(中国名・春暁)など4ガス田を含めるよう要求。中国側が開発に投じてきた資金の半額負担を提案したとされる。
 中国側は、日中中間線から中国側が境界線と主張する「沖縄トラフ(海溝)」までの海域などを開発の対象とするよう求め、尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺海域での共同開発も提案してきた。

 協議筋によると譲歩できない部分が明確になり、今後はどちらが譲歩するかが焦点となるという。


 中国側の主張は、日本の要求する中間線付近の4ガス田は既得権で対象外として考えていて、尖閣諸島近海など大きく日本のEEZ内に食い込んだ地域での共同開発を求めているもので、首脳会談前からの主張と変わっていません。
 安倍さんの訪中と、胡錦濤主席の来日予定は、1月に福田首相が訪中、4月に胡錦濤主席の訪日で再調整されている様で、首脳会談時の「秋に共同開発の具体的方策をまとめる」目標も変わったのかも知れませんが、もともと日中双方共に、小泉政権から安倍政権に変わった時の目玉であった、友好ムードの創出が主眼で、内容を真剣に詰めようとしている気配は感じられませんでした。
 中国にすれば、中間線の4ガス田の開発費用を半分出すから共同開発とし、情報もちょうだいと言われても、お金に困っているわけでもなく、操業可能状態にあるわけで、言われただけではいそうですねとは言えません。
 日本のEEZ内のガス田の共同開発には、よその国の資源を獲得出来るのですから乗り気です。

 問題は、日本の姿勢です。
 中国の姿勢は、素人の私など以上に外交のプロはご存じのはずで、協議が結論の出ないまま延々と続いても失う物がなにもなく、むしろ4ガス田の操業が既成事実化し黙認される方向に向かう、今の協議のあり方でもなにも困らないというものです。
 中川経産相時代(2005年7月)に、帝国石油に試掘権を付与し試掘へ向けた調査開始の姿勢を示しました。しかし、中川さんから大臣が替わると(?)その動きは中断されたママとなっています。
  中国が、海軍の最新鋭艦であるソヴレメンヌイ級駆逐艦を含む5隻程度の艦隊でガス田周辺の警備を行っており、調査船への武力による排除行動も辞さない構えです。これに対応する法整備も行われたのですが、友好ムード創出政策の影響か、臆してかによる中断と考えられます。
 コストや埋蔵量にも懸念があり、両国共にEEZの境界確保が目的ともされるガス田開発ですが、口だけで何も行動しない日本の現状の姿勢では、既成事実を積み上げて形を残し、実効支配を確立していく中国に、浸食されるばかりです。

 反日の日本人組織を支持団体にもつ民主党は言うに及ばず、八方美人策で懸案の先送りばかりの福田政権では、中国のなすがままになってきています。
 好んで武力衝突をすることを進めているわけではありません。しかし、先方は艦隊を準備し、第一級警戒態勢を布き備えているのです。桜井よしこさんが11日の産経新聞に寄稿して、「首相は、友好の美しい衣の奥にある国際政治の全体像を鳥の目でとらえ、外交、軍事の厳しい力学を知る努力をせよ。」とのべておられますが、抑止力としての軍備が外交には必用で、戦争の放棄と軍備を持つ持たないは別の問題ととらえ、国境の浸食を護り、国民の安全と国益を優先する国になって欲しいと願っています。

日本の軍備に関する以下の産経の特集記事を紹介します。敗戦で学んだ日本独自の
平和国家樹立方法を世界に示すという、高邁な思想を否定どころか賛同はするのですが、国際社会の現実の中での最低限の常識が通用する日本の姿勢が先ず第一でしょう。
 

やばいぞ日本】第3部 心棒を欠いている 番外 (完) (10/11 産経朝刊)

 ≪いつまで続く「軍事音痴」≫

 誰も考えたくないことだが、ある第三国が日本を標的にするとしよう。
 日本の近くで紛争が起き、在日米軍を含む米国が介入し、第三国の死活的利益が失われる場合だ。第三国は日本を攻撃せず、まずは米国を攻撃するだろう。
 集団的自衛権の行使を禁じられている日本が参戦できないことを知っているからだ。米戦闘機は撃墜され、米艦船も沈没する。それでも日本は武力行使をしない。いや、できないのだ。

 米兵士が毎日何百人も戦死していくが、日本は米国のために戦わない。米国世論は“爆発”するが、日本人にはその理由が分からない。日本は巻き込まれないから、いいじゃないか-。逆に、日本では嫌米感情が沸騰する。この瞬間に日米同盟は機能を停止する。
 これこそ、第三国が最も望む「攻撃せずに日本に勝つ」方法である。

 何でこんなことになるのか。日本で同盟の本質が理解されていないからである。その最大の原因は日本人の「軍事音痴」症候群だと思う。
 過去の歴史を振り返ってみると、日本は軍事力を使うべき時に使用を躊躇(ちゅうちょ)し、使うべきでない時に使用している。筆者はこのように軍事力が何たるかを知らずに武力を使用・躊躇することを「軍事音痴」と呼んでいる。

 その典型例は「武器」アレルギーだ。1990年の湾岸危機で、日本は多国籍軍に対し物資協力・輸送協力を行った。
 しかし、なぜか武器の供与・輸送は行わないと決めた。このため、当時、筆者も米軍関係者から「われわれに武器とそれ以外の物資を分別しろと言うのか」などと散々嫌みを言われたものだ。
 これが前例となったのか、周辺事態法だけでなく、テロ特措法、イラク特措法でも、日本は米軍など諸外国の軍隊に対し武器を提供・輸送しないようだ。

 そうかなあ。筆者のバグダッド感覚はちょっと違う。そもそも軍隊とは武器を使用する組織だ。同盟国軍隊を助けると腹をくくったなら、武器提供など当然ではないのか。武器以外の物資を提供するのは良くて、武器提供だけが駄目な理由は今もって不明だ。
 日本が輸送した武器を米軍が実戦で使った途端、日本の武器輸送は米国の「武力行使と一体化する活動」となり、憲法が禁ずるとされる集団的自衛権の行使になるというが、それは武器以外の物資でも同じことではないのか。湾岸戦争での日本の財政負担はそれを象徴している。

 こうした不思議な議論がまかり通るのは、今もこの国に軍事への根深い不信があるためだ。
 戦後日本では長い間、「平和=非軍事」だったから、軍に関するものは米軍、自衛隊、軍事同盟を問わず、すべて忌避された。
 国会では内閣法制局長官が「他国の武力行使と一体化」しない世界を創造し、現実に即したシビリアン・コントロールを議論する機会を封じた。
 憲法上の制約という原則は生き残り、日米安保の双務性を例外とする扱いは変わらなかった。

 現行憲法がある以上、同盟の諸原則に対し憲法上の例外が存在することはある程度仕方がない。しかし、現状のままでは日米同盟はうまく機能しない。日本人は軍事音痴を克服し、防衛義務は双方向という新原則の下、その例外を考え始めなければ、生き残れない。

(寄稿 宮家(みやけ)邦彦)





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2 コメント

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いつまで続く中国への外交姿勢・・ (容子)
2007-10-19 07:45:20
遊爺雑記帳さま

東シナ海のガス田共同開発は今回も不調で終わったようですね。中国はとくに自分の支配地域については一歩たりとも譲る気配がなく、この尖閣諸島問題など、本来日本の地域も侵食されているようです。

ただ日数だけを伸ばし、中国側は規定工事はどんどん進める・・・

日本は戦後、中国に対して一方的に譲歩しているようで私など歯軋りしたい思いです。

軍事では対抗できなくとも、日本が多くの援助をしているのですから、もっと毅然とした態度で外交をしてもらいたいものです。何が日中友好だ・・・といいたいです。
Re: いつまで続く中国への外交姿勢・・ (遊爺)
2007-10-21 14:46:53
容子さん、こんにちは。

>もっと毅然とした態度で外交をしてもらいたいものです。

 ご存じのとおり、台湾や中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは、石油の埋蔵が発表された翌年の、1971年6月に台湾、12月に中国でしたね。それまでは、中国の教科書の国境線は尖閣諸島と中国の間にひかれていました。
 言った者勝ちで、武力で実効支配をする中国(東シナ海のガス田、竹島の韓国、北方のロシア)に対し、何もしないでずるずる問題を先延ばしにしてきた我が国の外交姿勢でした。
  容子さんの仰るとおりで、国の領有権ですから、自分が主張しなければ、誰もわざわざ言い出してはくれません。
 自国の国境を護る体制と姿勢を、普通の国の様にすることが望まれますね。

 

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