遊爺雑記帳

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激しさを増すインドと中国の「国盗り合戦」

2023-12-09 01:33:55 | インド全般
 インド洋を舞台に中国とインドの“国盗り合戦”が激しさを増している。ともに人口14億人超の大国で核兵器を持つ隣同士だけに、全面戦争に陥れば「第3次世界大戦」の引き金にもなりかねないと、深川孝行氏。
 
中国の一帯一路計画に綻びが見える中で激しさを増すインドとの「国盗り合戦」

 インド洋諸国に次々と拠点を構築する中国、「真珠の首飾り」を強化する狙い | JBpress (ジェイビープレス)
 2023.12.8(金) 深川 孝行

中国が仕掛ける「一帯一路」と「債務の罠」
 
インド洋を舞台に中国とインドの“国盗り合戦”が激しさを増している。ともに人口14億人超の大国で核兵器を持つ隣同士だけに、全面戦争に陥れば「第3次世界大戦」の引き金にもなりかねない。

 
両国の争いの歴史は古く、1962年にカシミール高原を舞台にした「中印国境紛争」では、2000名以上の戦死者を出す大戦争となった

 その後も双方の国境線であるヒマラヤ山脈~カシミール高原のいわゆる「世界の屋根」では、しばしば小競り合いが起こるが、戦略的重要性よりは大国のメンツの張り合いという意味合いが強い。2020年6月にも両軍が激突し、数十名の死者が出ている。

 
両者の“主戦場”は21世紀に入ると変化し、高い経済成長を背景に軍拡、特に海軍増強に血道を上げる中国は、その矛先を徐々にインド洋へと向ける

 
2013年に中国の国家主席となった習近平氏は、壮大な経済構想「一帯一路」もぶち上げ、インド洋進出に拍車をかける

 巨大な経済圏を中国~欧州に構築するという「現代版シルクロード」で、ユーラシア大陸を鉄道で横断する陸路と、インド洋を渡りスエズ運河から地中海に入る海路の二段構えだ。

「中国側は『あくまでも経済活動』と強弁するが、覇権主義の彼らの言い分を真に受ける人間はよほどのお人よし。裏に軍事的思惑があるのは間違いない」と、ある中国ウォッチャーは強調する。

 
中国はルート上の国々に「札ビラ」をチラつかせて参画を働きかけ、賛同した国に巨大なインフラ投資を行い、インド洋沿岸に次々と一大港湾を建設していく。ただし大半は借金で、債務国側が返済に困ると“借金のカタ”として長期間の港湾管理権を頂くという、“反社”顔負けの手荒な手口で次々と掌中に収めている。世に言う「債務の罠」だ

 
これに対し、インド洋は目先にある「湖」のような存在と見るインドは警戒感をあらわにする自らの縄張りにヒマラヤの向こうの中国が手を伸ばしてくるのを見過ごせば、地域覇権国の沽券に関わるからである。

 
これらの港湾は貿易港としてだけでなく、中国海軍の基地として活用される可能性が高く、インドと「クワッド」(自由・民主主義を掲げるインド太平洋4カ国の安全保障的な枠組み)を組む、日米豪や他の西側諸国も注視する。

「親中政権」の誕生で緊張感が高まるモルディブ
 
そんな中“悪夢”が起きる2023年9月末、インドの目と鼻の先、南の沖合に浮かぶリゾート島嶼国・モルディブの大統領選で、現職で親印派のソーリフ氏を抑え、親中派で首都マレ市長のムイズ氏が勝利した。

 実は
インドは1988年にモルディブで発生した政府転覆事件の時、軍を派遣して鎮圧。それ以後モルディブの安全保障のため軍隊を駐留させ、現在も約70名とヘリコプター数機が救急輸送や沿岸警備を担う

 だが今年11月に正式就任した
ムイズ新大統領は、「主権独立のため、いかなる外国部隊も駐留させない」と宣言し、インド軍の早期撤退を要請した。

 インド側は新政権に説得工作を続けるが、
その背景についてさる事情通はこう話す。

中国の巨額投融資の条件がインド軍撤退なのだろう。自分たちに有益な港湾や空港を有償援助で造り、借金返済に窮すればインフラの長期使用権を握るというお決まりのパターンではないか。

 観光立国のモルディブにとってコロナ禍の経済的ダメージは大きく、早期の景気回復には中国の援助に頼るしかないとムイズ新政権は考えたらしい。
『債務の罠』は百も承知だが、中国の融資条件は西側と比べて非常に緩くてスピーディーなため、その魅力に目がくらむのも分からなくもない

 
仮にモルディブに中国軍基地が誕生すればすぐ南の英領ディエゴガルシア島に長距離爆撃機B-52の発進に使う滑走路を整備する可能性もある。そうなれば、島の内海に「事前集積艦」(大規模な地上部隊用の武器・装備・食糧を丸ごと備蓄し有事に備える大型輸送艦)を停泊させているアメリカはもちろん、インド洋にマヨット島やレユニオンなど自国領を抱えるフランスにとっても悩ましい

インドにとって目前に“宿敵”である中国の基地が出現するのは、安全保障上も極めて不愉快だろう。モルディブ新政権はいかなる外国部隊も駐留させないと断言するが『給油、修理、休養のために軍艦が一時停泊するだけ』と言いつつ、中国海軍が結局居続けるという例は、南沙諸島でも明らかインドは『自衛』を名目に、モルディブに対し軍事・外交的圧力をかけたり、海上封鎖を行ったりして中国軍排除に乗り出す可能性もある」(某軍事専門家)

 実は
モルディブは2018年まで親中派が政権を握っていたが、マネーロンダリングの疑いで大統領が失脚し、親印派が返り咲いていたこの時、政変で同国に混乱が起きた場合、インドは平定のための派兵を匂わせたが、けん制するように中国は艦艇10隻以上をインド洋に派遣した経緯がある

中国がインド洋進出を本格化させた発端
 
中国のインド洋進出に関して、国際情勢専門家は「想像以上に進んでいる。その光景は10年ほど前まで『真珠の首飾り』と呼んだが、最近はより巧妙かつ包括的といえる」と眉をひそめる

「真珠の首飾り」とは、地図を見れば分かるように、逆三角形状のインド半島を胸元の開いた首に見立て、これを環状に取り囲むように中国が次々と拠点を構築する姿を揶揄したものだ。

 
中国のインド洋進出を本格化させた発端は、2008年にソマリア沖の海賊対策として、紅海の入り口のアデン湾に軍艦を派遣したことだろう。これ自体は国連安保理の採決に基づき、日米やNATO、インド、韓国なども艦艇を送っており、国際協調の一環と見ればおかしくはない

 
問題はその後で、中国が2017年に紅海入り口のジブチに大掛かりな海軍基地を建設して中国初の在外基地を確保する。ジブチには日米仏なども基地を置くが、あくまでも海賊対策が主眼で、空港近くにプレハブ状の仮設施設を設ける程度だ。

 それに対して
中国の基地はコンクリート製の頑丈な建造物で、数百メートルの大桟橋も構築した。

「中国にとって海賊対策はまさに『渡りに船』で、
国際貢献を口実に紅海の入り口という要衝に軍事拠点を確保することに成功した。インド洋~紅海~スエズ運河~地中海の極めて重要なシーレーンをにらむことができるポイントで、一帯一路にもメリットがある。インド洋で中国海軍の存在感を発揮する、もってこいの場所でもある」(前出の国際情勢専門家)

真綿でインドの首を絞める中国の策略
 
中国は前述した「真珠の首飾り」の強化に熱心で、具体的には西からミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、モルディブ、パキスタンがこれに当たる

 
ミャンマーは2021年のクーデターで軍政が復活、内戦も激しさを増しているが、軍部は北隣の中国と以前から親密で、クーデターで西側の経済制裁が続く中でも、中国の手厚い経済・軍事援助の恩恵を受けている

 ミャンマー中部、ベンガル湾に面するチャウピューに港湾を整備した中国は、自国資本を通じて支配権を握っているようで、すでに50年間のリース契約も結んだという。

 
将来的には同港などからミャンマーの国土を南北に縦断し、中国雲南省に通じる原油パイプラインや物流路を建設する構想もあるらしい。完成すれば中国は国内需要の相当量を依存する中東産原油をマラッカ・シンガポール海峡やロンボク海峡(インドネシア)を通過することなく輸送するルートを確保できる。また、逆に燃料や武器・弾薬、補修部品などを、本国からインド洋に展開する艦艇に供給する兵站ルートとしても活用できるなど、戦略的価値は計り知れない

 
さらに中国はミャンマー南部に浮かぶ同国領ココ島に大型ジェット機の運用可能な2400m級滑走路と、全長100mの艦船を横付けできるコンクリート製桟橋、沿岸監視基地など軍事用施設を構築し、インド洋進出の足場を固める。またマラッカ・シンガポール海峡にも近く、ここを航行する日米など西側の艦船の動向をチェックする役割を果たしているかもしれない。

 
バングラデシュは中国製潜水艦を入手するなど数年前まで親中国の1つだった。ベンガル湾に面するバングラデシュ南部、同国最大の港湾都市チッタゴン近郊のマタバリ港の整備工事を中国の支援で始めたが、2020年に親印派が政権を掌握。計画は日印連合の援助に切り替えるなど“どんでん返し”が起きている

 
スリランカは「債務の罠」の典型で、同国南部に中国の巨額援助でハンバントタ港を造るが、債務を返済できず、最終的に99年間の運営権を中国に手渡してしまう

 中国側は「あくまでも商業目的にしか使わない」とうそぶくが、早くも2022年には中国軍系列の組織に所属する、巨大なパラボラ・アンテナを搭載した大型衛星追跡艦が寄港するなど威圧的な行動をとっている。

「この時も中国は『必要物資の補給のため』と釈明したが、インドは同艦を“スパイ艦”と見なしている。中国にとっては周辺国の反応を試す“瀬踏み”で常套手段だ。今後、海洋調査艦、輸送艦、補給艦、中国海警局(沿岸警備隊)の武装した巡視船と、徐々に軍事色を強め、気がつけば大型戦闘艦の出入りも常態化させる作戦だろう。中国語で言う『香腸切り』(サラミ戦術)そのものだ」(某軍事専門家)

 
パキスタンは長年インドと対立関係にあり歴史的にも親中国家で、イランとの国境に近い南西部のグワダル港を中国の援助で構築した。

 2010年代後半ごろには欧米の一部メディアが、「グワダル港防衛のため中国軍艦の派遣を検討」と報じ、インド側に緊張が走ったこともある。まだその兆候は見られないが、中国側は盛んに同港の軍事利用に秋波を送っている。

 
中国はこの他にも、イラン、UAE(アラブ首長国連邦)、オマーン、イエメン、タンザニアなどインド洋諸国との関係を強めていることから、最近は一部で「真綿で(インドの)首を絞めているようだ」とも表現されているという

主力軍艦の隻数が心もとないインド海軍
 だが、
庭先の湖を中国に“蚕食”されるさまをインドが放っておくはずもなく、インドネシアやマダガスカルなどインド洋諸国と防衛・安全保障での協力体制を構築。ベトナムには2023年にインド製の中古軍艦を初めて供与した。ベトナムは中国とは隣国でしかも南沙諸島の領有権を巡り対立状態にあるだけに、中国から見れば「インドの強力なけん制」と映るのは当然だろう。

 
さらに、インド洋に権益を持つフランスとの防衛協力を強化したり、クワッドの米豪との軍事的結びつきを強めたりと、インドはここ最近西側との軍事的連携を加速させている

 ただし
問題はインドの海軍力だ。英シンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」が毎年発行する『ミリタリーバランス』(2023年)によれば、インドは主力艦として空母2隻、SSBN(核弾道ミサイル原子力潜水艦)1隻、通常(ディーゼル)型潜水艦15隻、駆逐艦10隻、フリゲイト20隻を保有する。2隻目の空母で初の国産となる「ヴィクラント」は2022年に就役したばかりで、3隻目の空母も国産化を目指し2030年代には実戦配備する計画だという。

 
航空戦力の充実も急加速中で、潜水艦を探知する最新型の米製哨戒機P-8の採用に踏み切ったほか、次期空母艦上の戦闘機には、これまでのロシア製に代わって仏製ラファール戦闘機を選定し、対艦・艦隊防空能力をアップさせている。

 
だが、「広大なインド洋で中国海軍をけん制しつつインド海軍の存在感を発揮するには、主力艦の隻数が心もとない。空母を除き潜水艦や駆逐艦、フリゲイトの隻数を最低でも2倍にしなければ、中国への抑止とはならない」(別の軍事専門家)との声もある。

 実際、中国海軍はSSBN6隻、攻撃型原潜6隻、通常型潜水艦46隻、空母3隻、駆逐艦、フリゲイト含む大型水上戦闘艦140隻と強大だ。

 もちろん日米豪とも対峙しなければならず、数十隻の軍艦をインド洋に長期間展開させる能力は今のところ難しいが、欧米メディアの一部は「すでに中国の原潜を含む潜水艦がインド洋を頻繁に潜航している」と伝えており、徐々に存在感を増しているのは確からしい。

 
ここへ来て中国経済にもブレーキがかかり、強引すぎた一帯一路計画にも綻びが見え始めているが、インド洋を巡る中印の「国盗り合戦」は、まだ序盤といったところだろう。

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【深川孝行(ふかがわ・たかゆき)】
昭和37(1962)年9月生まれ、東京下町生まれ、下町育ち。法政大学文学部地理学科卒業後、防衛関連雑誌編集記者を経て、ビジネス雑誌記者(運輸・物流、電機・通信、テーマパーク、エネルギー業界を担当)。副編集長を経験した後、防衛関連雑誌編集長、経済雑誌編集長などを歴任した後、フリーに。現在複数のWebマガジンで国際情勢、安全保障、軍事、エネルギー、物流関連の記事を執筆するほか、ミリタリー誌「丸」(潮書房光人新社)でも連載。2000年に日本大学生産工学部で国際法の非常勤講師。著書に『20世紀の戦争』(朝日ソノラマ/共著)、『データベース戦争の研究Ⅰ/Ⅱ』『湾岸戦争』(以上潮書房光人新社/共著)、『自衛隊のことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版)などがある。

 両国の争いの歴史は古く、1962年にカシミール高原を舞台にした「中印国境紛争」では、2000名以上の戦死者を出す大戦争となった。

 その後も双方の国境線であるヒマラヤ山脈~カシミール高原のいわゆる「世界の屋根」では、しばしば小競り合いが起こるが、戦略的重要性よりは大国のメンツの張り合いという意味合いが強い。2020年6月にも両軍が激突し、数十名の死者が出ている。

 両者の“主戦場”は21世紀に入ると変化し、高い経済成長を背景に軍拡、特に海軍増強に血道を上げる中国は、その矛先を徐々にインド洋へと向ける。
 2013年に中国の国家主席となった習近平氏は、壮大な経済構想「一帯一路」もぶち上げ、インド洋進出に拍車をかけると、深川氏。

 中国はルート上の国々に「札ビラ」をチラつかせて参画を働きかけ、賛同した国に巨大なインフラ投資を行い、インド洋沿岸に次々と一大港湾を建設していく。ただし大半は借金で、債務国側が返済に困ると“借金のカタ”として長期間の港湾管理権を頂くという、“反社”顔負けの手荒な手口で次々と掌中に収めている。世に言う「債務の罠」。

 これに対し、インドは警戒感をあらわにする。自らの縄張りにヒマラヤの向こうの中国が手を伸ばしてくるのを見過ごせば、地域覇権国の沽券に関わる。
 これらの港湾は貿易港としてだけでなく、中国海軍の基地として活用される可能性が高く、インドと「クワッド」を組む、日米豪や他の西側諸国も注視する。

 そんな中“悪夢”が起きる。
 2023年9月末、モルディブの大統領選で、現職で親印派のソーリフ氏を抑え、親中派で首都マレ市長のムイズ氏が勝利。

 インドは1988年にモルディブで発生した政府転覆事件の時、軍を派遣して鎮圧。それ以後モルディブの安全保障のため軍隊を駐留させ、現在も約70名とヘリコプター数機が救急輸送や沿岸警備を担う。
 だが今年11月に正式就任したムイズ新大統領は、「主権独立のため、いかなる外国部隊も駐留させない」と宣言し、インド軍の早期撤退を要請。

 インド側は新政権に説得工作を続けるが、その背景についてさる事情通は
 「中国の巨額投融資の条件がインド軍撤退なのだろう。自分たちに有益な港湾や空港を有償援助で造り、借金返済に窮すればインフラの長期使用権を握るというお決まりのパターンではないか」
 「観光立国のモルディブにとってコロナ禍の経済的ダメージは大きく、『債務の罠』は百も承知だが、中国の融資条件は西側と比べて非常に緩くてスピーディーなため、その魅力に目がくらむのも分からなくもない」
 と。

 仮にモルディブに中国軍基地が誕生すれば、すぐ南の英領ディエゴガルシア島に「事前集積艦」(大規模な地上部隊用の武器・装備・食糧を丸ごと備蓄し有事に備える大型輸送艦)を停泊させているアメリカはもちろん、インド洋にマヨット島やレユニオンなど自国領を抱えるフランスにとっても悩ましい。

 「インドにとって目前に“宿敵”である中国の基地が出現するのは、安全保障上も極めて不愉快だろう。モルディブ新政権はいかなる外国部隊も駐留させないと断言するが、『給油、修理、休養のために軍艦が一時停泊するだけ』と言いつつ、中国海軍が結局居続けるという例は、南沙諸島でも明らか。インドは『自衛』を名目に、モルディブに対し軍事・外交的圧力をかけたり、海上封鎖を行ったりして中国軍排除に乗り出す可能性もある」と、某軍事専門家。

 実はモルディブは2018年まで親中派が政権を握っていたが、マネーロンダリングの疑いで大統領が失脚し、親印派が返り咲いていたのだそうです。

 中国のインド洋進出に関して、国際情勢専門家は「想像以上に進んでいる。その光景は10年ほど前まで『真珠の首飾り』と呼んだが、最近はより巧妙かつ包括的といえる」と眉をひそめると、深川氏。

 中国のインド洋進出を本格化させた発端は、2008年にソマリア沖の海賊対策として、紅海の入り口のアデン湾に軍艦を派遣したことだろう。これ自体は国際協調の一環と見ればおかしくはない。
 問題はその後で、中国が2017年に紅海入り口のジブチに大掛かりな海軍基地を建設して中国初の在外基地を確保する。ジブチには日米仏なども基地を置くが、あくまでも海賊対策が主眼で、空港近くにプレハブ状の仮設施設を設ける程度だ。
 それに対して中国の基地はコンクリート製の頑丈な建造物で、数百メートルの大桟橋も構築。
 「国際貢献を口実に紅海の入り口という要衝に軍事拠点を確保することに成功した。インド洋~紅海~スエズ運河~地中海の極めて重要なシーレーンをにらむことができるポイントで、一帯一路にもメリットがある。インド洋で中国海軍の存在感を発揮する」と、国際情勢専門家。

 中国は、「真珠の首飾り」の強化に熱心で、具体的には西からミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、モルディブ、パキスタンがこれに当たると、深川氏。
 中国はこの他にも、イラン、UAE(アラブ首長国連邦)、オマーン、イエメン、タンザニアなどインド洋諸国との関係を強めていることから、最近は一部で「真綿で(インドの)首を絞めているようだ」とも表現されているというと。

 だが、庭先の湖を中国に“蚕食”されるさまをインドが放っておくはずもなく、インドネシアやマダガスカルなどインド洋諸国と防衛・安全保障での協力体制を構築。

 ベトナムには2023年にインド製の中古軍艦を初めて供与。中国から見れば「インドの強力なけん制」と映る。
 さらに、インド洋に権益を持つフランスとの防衛協力を強化したり、クワッドの米豪との軍事的結びつきを強めたりと、インドはここ最近西側との軍事的連携を加速させていると、深川氏。

 ただし問題はインドの海軍力だと!
 2隻目の空母で初の国産となる「ヴィクラント」は2022年に就役したばかりで、3隻目の空母も国産化を目指し2030年代には実戦配備する計画。
 航空戦力の充実も急加速中で、次期空母艦上の戦闘機には、これまでのロシア製に代わって仏製ラファール戦闘機を選定し、対艦・艦隊防空能力をアップさせているのだそうです。

 だが、「広大なインド洋で中国海軍をけん制しつつインド海軍の存在感を発揮するには、主力艦の隻数が心もとない。空母を除き潜水艦や駆逐艦、フリゲイトの隻数を最低でも2倍にしなければ、中国への抑止とはならない」(別の軍事専門家)との声もあると、深川氏。

 ここへ来て中国経済にもブレーキがかかり、強引すぎた一帯一路計画にも綻びが見え始めているが、インド洋を巡る中印の「国盗り合戦」は、まだ序盤といったところだろうとも。

 人口で中国を追い越し世界一となったインド。台頭するグローバルサウス諸国の頭目とも目される存在感を高めています。
 人口増が止まった中国。国内経済成長が止まっている中国。安易にスパイ容疑で逮捕される中国。
 脱中国、インドでの投資がトレンドとなってきている昨今。
 日本の産業界の同行にもその気配は感じられますが如何!



 # 冒頭の画像は、インド初の国産空母「ヴィクラント」



  バラ ラベンダードリーム


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