日本円の価値がどんどん下がっている。円相場は29日に一時1ドル=160円を超える水準に下落し、数十年ぶりの安値を付けた。
円安は、今や日本以外でも政治的・財政的問題となる恐れがあると、WSJ。
直近の円急落のきっかけとなったのは、日本銀行が26日に金融政策の正常化のためのさらなる措置を取らないと決めたことだと、WSJ。
植田和男日銀総裁は26日、平常時の金融政策への回帰が一直線には進まないことを示唆し、インフレ率が2%近いにもかかわらず、短期金利の誘導目標を0~0.1%程度に据え置いた。
植田総裁の動きが遅い一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は投資家に対し、これまでの投資家の予想やFRBの以前の見通しほど多くの回数の利下げを年内に期待すべきでないと述べていると、WSJ。
両国の政策立案者は大きな金利差が今後も続くことを示唆している。米国のインフレ率が最近再上昇したことを踏まえると、パウエル議長が現時点で利下げする余地はないとも。
植田総裁が金融政策の正常化に消極的になっている主な要因は恐らく、マイナス金利が長く続いたことで日本の金融システムおよび財政が脆弱(ぜいじゃく)化していることへの懸念だと思われると、WSJ。
2022年9月の英国債市場の大混乱や23年3月の米シリコンバレー銀行の破綻を目の当たりにした植田氏の慎重姿勢は理解できる。どちらのケースでも、低過ぎる金利が長く続き過ぎた場合のリスクが浮き彫りになった。
しかし、円の変動は対応が遅過ぎることのリスクを浮き彫りにしているとも。
財務省の神田真人財務官は29日、「この激しい、異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響には看過し難いものがある」と述べた。これは当局者が為替リスクに関して示す評価としては率直なものだと、WSJ。
トランプ氏は、米国の貿易赤字を減らすため、ドルを切り下げることを検討しているという。われわれの情報源はそのような計画を否定しているが、トランプ氏が自力でそれをどう行うつもりなのかは謎だ。同氏は、円高で日本の投資家による米国債の購入が減るなら、円高を喜ばないだろうとも。
金融政策の正常化を徐々に進めたいとしている植田氏にとって、残された時間は自身の想定より短いかもしれない。
過去数十年間に金融政策で多くの失敗を犯してきた日本は、方向転換を図ろうとする中でリスクと代償に直面している。
植田氏は今、金融政策面のGPS(衛星利用測位システム)がない状態で、脱出の道を見つけ出そうとしていると、WSJ。
イエレン氏は、円安への日本の介入を牽制。
ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=イエレン氏 | ロイター
介入しても、根本要因が変わらない限り効果は一瞬との見方は日本国内でもなされていて、現実にその様な値動きとなりましたね。
円安が、日本にとってメリットがあることを、メデイアは何故報じないのかと述べておられるのは、元財務官僚で、内閣参事官や内閣官房参与(経済・財政政策担当)も務めておられた、高橋洋一氏。
(690) 1016回 円安止まらないと大騒ぎ!何が悪い? - YouTube
財務省と日銀との、賢明な対応がなされることを期待します。
# 冒頭の画像は、日本円と外貨を交換するために両替所の前に列を作る人々(東京、29日)
萩の新芽
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円安は、今や日本以外でも政治的・財政的問題となる恐れがあると、WSJ。
【社説】円急落とドル切り下げ - WSJ By The Editorial Board 2024年4月30日
日本円の価値がどんどん下がっている。円相場は29日に一時1ドル=160円を超える水準に下落し、数十年ぶりの安値を付けた。円安はこれまで経済的ジレンマとなってきたが、今や日本以外でも政治的・財政的問題となる恐れがある。
直近の円急落のきっかけとなったのは、日本銀行が26日に金融政策の正常化のためのさらなる措置を取らないと決めたことだ。日銀は3月、日本経済に多大な悪影響を及ぼしてきたマイナス金利政策をようやく解除した。また、10年物日本国債の利回り目標を明示する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)をほぼ撤廃した。しかし植田和男日銀総裁は26日、平常時の金融政策への回帰が一直線には進まないことを示唆し、インフレ率が2%近いにもかかわらず、短期金利の誘導目標を0~0.1%程度に据え置いた。
植田総裁の動きが遅い一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は投資家に対し、これまでの投資家の予想やFRBの以前の見通しほど多くの回数の利下げを年内に期待すべきでないと述べている。日米の金利差は円ドル相場の変動の主な決定要因の一つであり、両国の政策立案者は大きな金利差が今後も続くことを示唆している。米国のインフレ率が最近再上昇したことを踏まえると、パウエル議長が現時点で利下げする余地はない。
植田総裁が金融政策の正常化に消極的になっている主な要因は恐らく、マイナス金利が長く続いたことで日本の金融システムおよび財政が脆弱(ぜいじゃく)化していることへの懸念だと思われる。2022年9月の英国債市場の大混乱や23年3月の米シリコンバレー銀行の破綻を目の当たりにした植田氏の慎重姿勢は理解できる。どちらのケースでも、低過ぎる金利が長く続き過ぎた場合のリスクが浮き彫りになった。
しかし、円の変動は対応が遅過ぎることのリスクを浮き彫りにしている。円相場の変動が日本の株式相場を膨らませ、その後部分的にしぼませた。為替相場が大きく変動する中、日本企業は投資の判断を下すのに苦労している。
財務省の神田真人財務官は29日、「この激しい、異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響には看過し難いものがある」と述べた。これは当局者が為替リスクに関して示す評価としては率直なものだ。
為替リスクは国際的な政治リスクにもなり得る。大統領候補であるドナルド・トランプ氏の側近からのリークに基づく報道によると、同氏は米国の貿易赤字を減らすため、ドルを切り下げることを検討しているという。われわれの情報源はそのような計画を否定しているが、トランプ氏が自力でそれをどう行うつもりなのかは謎だ。同氏は、円高で日本の投資家による米国債の購入が減るなら、円高を喜ばないだろう。米国債は社会保障費などの給付金の財源確保に必要だが、トランプ氏は給付金に関する改革を拒む姿勢を示している。
しかしトランプ陣営内では、日本と中国が意図的に自国通貨安を引き起こしているとの見方が強まっている。現在そうした行動が取られている証拠はない。それどころか日本政府は29日、円安の流れを反転させるため為替市場に介入し、円相場は156円前後まで反発した。
しかし、経済的な証拠がないとの理由で貿易戦争の仕掛け人たちが行動を思いとどまった例はない。彼らが対日報復関税を要求し始めたとしても驚いてはいけない。報復関税は日米両国で経済への悪影響を強めるだろう。
日本に関しては、金融政策の正常化を徐々に進めたいとしている植田氏にとって、残された時間は自身の想定より短いかもしれない。過去数十年間に金融政策で多くの失敗を犯してきた日本は、方向転換を図ろうとする中でリスクと代償に直面している。日本は実験的政策で混乱状態を招いた。植田氏は今、金融政策面のGPS(衛星利用測位システム)がない状態で、脱出の道を見つけ出そうとしている。
日本円の価値がどんどん下がっている。円相場は29日に一時1ドル=160円を超える水準に下落し、数十年ぶりの安値を付けた。円安はこれまで経済的ジレンマとなってきたが、今や日本以外でも政治的・財政的問題となる恐れがある。
直近の円急落のきっかけとなったのは、日本銀行が26日に金融政策の正常化のためのさらなる措置を取らないと決めたことだ。日銀は3月、日本経済に多大な悪影響を及ぼしてきたマイナス金利政策をようやく解除した。また、10年物日本国債の利回り目標を明示する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)をほぼ撤廃した。しかし植田和男日銀総裁は26日、平常時の金融政策への回帰が一直線には進まないことを示唆し、インフレ率が2%近いにもかかわらず、短期金利の誘導目標を0~0.1%程度に据え置いた。
植田総裁の動きが遅い一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は投資家に対し、これまでの投資家の予想やFRBの以前の見通しほど多くの回数の利下げを年内に期待すべきでないと述べている。日米の金利差は円ドル相場の変動の主な決定要因の一つであり、両国の政策立案者は大きな金利差が今後も続くことを示唆している。米国のインフレ率が最近再上昇したことを踏まえると、パウエル議長が現時点で利下げする余地はない。
植田総裁が金融政策の正常化に消極的になっている主な要因は恐らく、マイナス金利が長く続いたことで日本の金融システムおよび財政が脆弱(ぜいじゃく)化していることへの懸念だと思われる。2022年9月の英国債市場の大混乱や23年3月の米シリコンバレー銀行の破綻を目の当たりにした植田氏の慎重姿勢は理解できる。どちらのケースでも、低過ぎる金利が長く続き過ぎた場合のリスクが浮き彫りになった。
しかし、円の変動は対応が遅過ぎることのリスクを浮き彫りにしている。円相場の変動が日本の株式相場を膨らませ、その後部分的にしぼませた。為替相場が大きく変動する中、日本企業は投資の判断を下すのに苦労している。
財務省の神田真人財務官は29日、「この激しい、異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響には看過し難いものがある」と述べた。これは当局者が為替リスクに関して示す評価としては率直なものだ。
為替リスクは国際的な政治リスクにもなり得る。大統領候補であるドナルド・トランプ氏の側近からのリークに基づく報道によると、同氏は米国の貿易赤字を減らすため、ドルを切り下げることを検討しているという。われわれの情報源はそのような計画を否定しているが、トランプ氏が自力でそれをどう行うつもりなのかは謎だ。同氏は、円高で日本の投資家による米国債の購入が減るなら、円高を喜ばないだろう。米国債は社会保障費などの給付金の財源確保に必要だが、トランプ氏は給付金に関する改革を拒む姿勢を示している。
しかしトランプ陣営内では、日本と中国が意図的に自国通貨安を引き起こしているとの見方が強まっている。現在そうした行動が取られている証拠はない。それどころか日本政府は29日、円安の流れを反転させるため為替市場に介入し、円相場は156円前後まで反発した。
しかし、経済的な証拠がないとの理由で貿易戦争の仕掛け人たちが行動を思いとどまった例はない。彼らが対日報復関税を要求し始めたとしても驚いてはいけない。報復関税は日米両国で経済への悪影響を強めるだろう。
日本に関しては、金融政策の正常化を徐々に進めたいとしている植田氏にとって、残された時間は自身の想定より短いかもしれない。過去数十年間に金融政策で多くの失敗を犯してきた日本は、方向転換を図ろうとする中でリスクと代償に直面している。日本は実験的政策で混乱状態を招いた。植田氏は今、金融政策面のGPS(衛星利用測位システム)がない状態で、脱出の道を見つけ出そうとしている。
直近の円急落のきっかけとなったのは、日本銀行が26日に金融政策の正常化のためのさらなる措置を取らないと決めたことだと、WSJ。
植田和男日銀総裁は26日、平常時の金融政策への回帰が一直線には進まないことを示唆し、インフレ率が2%近いにもかかわらず、短期金利の誘導目標を0~0.1%程度に据え置いた。
植田総裁の動きが遅い一方、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は投資家に対し、これまでの投資家の予想やFRBの以前の見通しほど多くの回数の利下げを年内に期待すべきでないと述べていると、WSJ。
両国の政策立案者は大きな金利差が今後も続くことを示唆している。米国のインフレ率が最近再上昇したことを踏まえると、パウエル議長が現時点で利下げする余地はないとも。
植田総裁が金融政策の正常化に消極的になっている主な要因は恐らく、マイナス金利が長く続いたことで日本の金融システムおよび財政が脆弱(ぜいじゃく)化していることへの懸念だと思われると、WSJ。
2022年9月の英国債市場の大混乱や23年3月の米シリコンバレー銀行の破綻を目の当たりにした植田氏の慎重姿勢は理解できる。どちらのケースでも、低過ぎる金利が長く続き過ぎた場合のリスクが浮き彫りになった。
しかし、円の変動は対応が遅過ぎることのリスクを浮き彫りにしているとも。
財務省の神田真人財務官は29日、「この激しい、異常とも言える変動が国民経済にもたらす悪影響には看過し難いものがある」と述べた。これは当局者が為替リスクに関して示す評価としては率直なものだと、WSJ。
トランプ氏は、米国の貿易赤字を減らすため、ドルを切り下げることを検討しているという。われわれの情報源はそのような計画を否定しているが、トランプ氏が自力でそれをどう行うつもりなのかは謎だ。同氏は、円高で日本の投資家による米国債の購入が減るなら、円高を喜ばないだろうとも。
金融政策の正常化を徐々に進めたいとしている植田氏にとって、残された時間は自身の想定より短いかもしれない。
過去数十年間に金融政策で多くの失敗を犯してきた日本は、方向転換を図ろうとする中でリスクと代償に直面している。
植田氏は今、金融政策面のGPS(衛星利用測位システム)がない状態で、脱出の道を見つけ出そうとしていると、WSJ。
イエレン氏は、円安への日本の介入を牽制。
ロイターネクスト:為替介入はまれな状況でのみ容認=イエレン氏 | ロイター
介入しても、根本要因が変わらない限り効果は一瞬との見方は日本国内でもなされていて、現実にその様な値動きとなりましたね。
円安が、日本にとってメリットがあることを、メデイアは何故報じないのかと述べておられるのは、元財務官僚で、内閣参事官や内閣官房参与(経済・財政政策担当)も務めておられた、高橋洋一氏。
(690) 1016回 円安止まらないと大騒ぎ!何が悪い? - YouTube
財務省と日銀との、賢明な対応がなされることを期待します。
# 冒頭の画像は、日本円と外貨を交換するために両替所の前に列を作る人々(東京、29日)
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