遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

露朝首脳会談 対米けん制で一致

2019-04-27 01:26:46 | 北朝鮮 全般
 欧米等から制裁を受けているロシアと、国連加盟国から制裁をうけている北朝鮮。被制裁国同士であり、北朝鮮金王朝の産みの親である露との親子関係でもある両国の首脳会談。
 金正恩は米国からの圧力の庇護を求め、プーチンは北朝鮮への影響力復活を求める利害が一致することを確認出来た様です。
 
露朝 対米で利害一致 首脳会談 北、後ろ盾確保・露、影響力狙う (4/26 読売朝刊)

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、トランプ米大統領との3回目の首脳会談の年内開催を自ら提案したことを踏まえ、25日の露朝首脳会談で核問題解決に向けたロシアの支援を要請した。プーチン露大統領は北朝鮮との連携を強めることで、朝鮮半島問題での影響力を高めたい考えだ。 (ウラジオスト 豊浦潤一、畑武尊)

■体制の安全
 正恩氏は、会談後の夕食会のあいさつで「きょう、朝鮮半島の平和、安全保障に関する問題についてプーチン大統領と意味ある対話を行った」と述べた。
 
プーチン氏は会談後の記者会見で、北朝鮮の非核化の展望について問われ、「北朝鮮には安全の保証が必要だ。国際社会が保証を与える状況を想定するのが正しい」と語った
 
北朝鮮は、非核化の条件として米国が北朝鮮の独裁体制の存続を認め、軍事攻撃や政権転覆を行わないことの保証を求めてきた
 
露朝首脳会談で北朝鮮の「体制の安全の保証」が焦点として浮上したのは、完全な非核化の先行実施を主張する米国に対し、北朝鮮が主張する「段階的な非核化」へとハードルを下げさせる狙いからとみられる。
 トランプ政権は2月末にハノイで行った2回目の米朝首脳会談が物別れに終わった後も、北朝鮮に対して強硬な態度を取り続けている。
正恩氏は12日に行った最高人民会議(国会)での施政演説で「米国は『先に武装解除させ、後で体制転覆させる』野望を実現する条件を整えようと躍起になっている」と非難していた。

■助け
 プーチン氏は正恩氏との首脳同士の会談の冒頭、今回の会談が「ロシアに何ができるか理解する助けとなる」と語った。
 昨年来、
正恩氏に繰り返し訪露を要請していたプーチン氏にとって、米朝首脳再会談が物別れに終わったことは好機到来とも言えた。正恩氏がロシアに助けを求める構図となり、朝鮮半島問題でロシアが関与する機会が生まれた
 ロシアは、中国と2017年以降提唱していた、北朝鮮が核・ミサイル実験、米韓が合同軍事演習を同時に停止する「二重凍結」が米朝首脳会談の実現につながったとの立場だ。
 ウシャコフ露大統領補佐官(外交担当)は会談前の23日、北朝鮮の核問題は正恩氏の訪露で「次の段階に進むべきだ」と述べた。
 ロシアは中国と連携して対北制裁の早期緩和などを共同で米国に働きかける可能性がある。6か国協議を復活させ、多国間の枠組みで北朝鮮に「体制の安全の保証」を与えるべきだと主張するシナリオもありえる。
 プーチン氏は北京で25~27日に開かれる中国の巨大経済圏構想「一帯一路」をテーマにした国際協力フォーラムに参加する。
プーチン氏は、露朝首脳会談後の記者会見で、会談結果について習近平国家主席とも共有する意向を表明した。

■外交力ード
 
ロシアは、対北経済制裁緩和で北朝鮮と利害が一致する。18年の露朝間の貿易額は前年比でほぼ半減し3400万ドルに落ち込んだ。ウシャコフ氏は「対北朝鮮制裁が主な原因だ」と断言している。
 対北朝鮮制裁が緩和され、半島情勢が安定すれば
韓国まで縦断するパイプラインを敷設し、ロシアの天然ガスを輸出したい思惑がある。北朝鮮と接するロシア極東地域は人口が減って開発が遅れており、経済的な浮揚も狙う。
 
ロシアの対米関係は、14年のウクライナ南部クリミア併合や、今年2月に双方が中距離核戦力(INF)全廃条約から離脱表明し、悪化の一途をたどっている。ロシアは北朝鮮への影響力確保は対米の外交力ードになると踏んでいる模様だ。

米、制裁維持へ露にクギ 「6か国」は消極的

 
米国務省当局者は露朝首脳会談開催について、「米国と国際社会は北朝鮮の『FFVD』(最終的で完全に検証された非核化)という共通の目標に向けて注力していく」と述べ、対北包囲網を崩すことのないようロシアをけん制した。2月末の米朝首脳会談後、米朝交渉は停滞しているが、トランプ米大統領は「一歩一歩進める。急ぐと適切なディール(取引)にならない」と急がない考えを示している。トランプ政権は、中国やロシアが北朝鮮の要請に応じ、対北圧力が緩むことを警戒している。今後、中露が連携して北朝鮮への制裁緩和を求めてきたとしても、「FFVD」が前提であるとの考えを崩さない方針だ。露朝首脳会談に先立ち、米国のスティーブン・ビーガン北朝鮮担当特別代表が18日にモスクワを訪れたのも、制裁維持の米国の方針についてロシア側にクギを刺すためだった。
 ただ、米国は北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射などに出ない限り、米朝関係の悪化を望んでおらず、北朝鮮が「新型の戦術誘導兵器」の発射実験を行った際も、冷静な対応に終始した。
 
トランプ氏は多国間の枠組みを嫌っており、プーチン氏が言及する6か国協議の再開に消極的とみられる。今回の首脳会談で露朝は連携強化を確認したが、「ロシアはあくまでも脇役だ。米朝の枠組みで非核化交渉が続くことになるだろう」(米専門家)との見方が有力だ。
                          (ワシントン 横堀裕也)

 「北朝鮮には安全の保証が必要だ。国際社会が保証を与える状況を想定するのが正しい」と語ったプーチン氏の言葉が会談を象徴しています。
 ハノイで行われた 2回目の米朝会談が決裂に終わり、国連の制裁が継続されたままで不安定な状況が継続されている金正恩。
 CIAとも、FBIともその活動の支援が報道される「自由朝鮮」の活動が顕在化し、米軍直接の斬首作戦の他に脅威が増した金正恩。
 経済制裁効果が効いてきていることによる、国内での不安の広がりが、かねてからのプーチン氏の招聘に金正恩を走らせたのですね。
 「米国は『先に武装解除させ、後で体制転覆させる』野望を実現する条件を整えようと躍起になっている」と非難していた金正恩の言葉は、その不安な心境を吐露しています。
 
 国際社会から制裁を受けている事では同様に苦しいロシア。
 18年の露朝間の貿易額は前年比でほぼ半減し3400万ドルに落ち込んだのだそうです。北朝鮮が収得した大陸間弾道ミサイルの技術の元はロシアであることは諸兄がご承知の通りです。
 派遣労働者の搾取削減の国連制裁は、いまだ完了していません。
 制裁で苦しむ両国の内情は共通していて、対北朝鮮制裁の緩和が欲しい点も両国共通の願い。
 だったら、『FFVD』(最終的で完全に検証された非核化)を進めればよい金正恩ですが、核を放棄することは、政権の放棄に繋がることでありえない選択肢。

 米と、中国の後ろ盾を得た北朝鮮とで展開されている朝鮮半島のパワーバランス変化の展開。
 金王朝産みの親としては、絡みたいロシア。
 北朝鮮への影響力確保は対米の外交力ードになるとも考えるロシア。

 経済的にも、外交戦術的にも利害が一致する両国首脳会談。
 安倍首相を翻弄し、遂にはゼロ島返還で平和条約(=経済支援)締結を急がせるまでに至らしめた、外交手練手管では、トップクラスのプーチン氏と、綱渡り外交で生き延びてきた北朝鮮との騙し合い合戦の幕が切っておとされました。
 一層複雑化するのか、米国が主導権を握った現状で、「FFVD」に向けて進んでいくのか。「自由朝鮮」の行動表面化の様な、北朝鮮国内情勢に変化が生じるのか。
 新たな展開が見える北朝鮮の動向に注目ですね。



 # 冒頭の画像は、歓迎・乾杯するプーチン大統領と金正恩




   原種チューリップ・レディジェーン


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