遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

島に名前をつける企ては、中国の核心的利益を公然と損なうことだと

2012-01-30 22:44:01 | 東シナ海尖閣諸島

 EEZの基点となる離島は99島あって、このうち49島に名称がなく、政府は昨年5月、地元への聞き取り調査に基づき10島には命名し、残る39島については島が帰属する1都15市町村に名称を決めるよう要請していました。
 この政府の動きに対し、中国・人民日報が「釣魚島周辺の島に名前をつける企ては、中国の核心的利益を公然と損なうことだ」と反発する評論を載せていました。
 日本政府は、当然のことですが方針通り、1都15市町村からの回答が出そろったことから自治体の回答を採用し今年度中に名称を正式決定し、国土地理院の地図などに掲載することとしたのだそうですね。
 
尖閣領有権は「核心的利益」 中国、日本は影響注視 - 中国新聞
 EEZ基点39離島の名称内定 尖閣周辺「北小島」など  - MSN産経ニュース
 

尖閣周辺の離島の名称内定 「核心的利益損なう」 人民日報で“警告” (1/30 産経)

■中国、強硬姿勢も
 【北京=川越一】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺にある離島の命名を進める日本政府の方針について、中国政府はすでに、共産党機関紙に同諸島を初めて「核心的利益」と呼ばせ、日本に“警告”を与えていた。日本政府が警告に背を向けたことで、今後、中国が強硬姿勢に出ることが予想される。

 日中関係を冷却化させた同諸島問題について、中国政府は最近、比較的抑制された対応をとっていた。沖縄県石垣市の市議らが同諸島に上陸した際、中国外務省の羅照輝アジア局長はインターネット上で「解決の条件が整っていないのなら、争いを一時棚上げすべきだ」と訴えた。
 離島の命名が明らかになった後も、同省の劉為民報道官は「釣魚島と周辺諸島は古来より中国固有の領土だ。釣魚島の領土主権を守る決意が揺らぐことは決してない」と従来の主張を繰り返すにとどめた。
 しかし、背後では
反発が高まっていることを党機関紙、人民日報が示している。17日付の同紙は「釣魚島と周辺諸島に命名する企ては公然と中国の核心的利益を損なう振る舞いだ」「中国の主権を維持する意志と決意を試すな」と主張。中国外務省はもちろん、政府系メディアが同諸島を「核心的利益」と表現したことは過去にない


 中国にとって核心的利益とは「安全保障上、譲れない国家利益」とされる。台湾、チベット自治区、新疆ウイグル自治区が当たる。
 中国脅威論を緩和するため、当局は武力行使もいとわない「核心的利益」の乱用を避けてきた。そんな中、同諸島を「核心的利益」と呼ばせたということは、党大会を今年秋に控え、軍の支持を固めたい
指導部への軍強硬派の影響力が高まっている
ことをうかがわせる。

 中国が「核心的利益」の言葉を適用しているのは、記事で言う地域や国の他に、南シナ海がありますね。昨年末から、米国が中東との二面作戦をアジアに絞り込み、中国包囲網を構築開始していることは、諸兄がご承知の通りです。
 尖閣諸島や東シナ海についてこの言葉を適用するのは、政府・マスコミを通じて初めての事のようですね。つまり、また一歩、尖閣占拠へ向けて踏み出したということですね。マスコミに掲載された論文と言えども、かのお国の、まして人民日報ですから、当然、政府か人民解放軍の息がかかっていることは疑う余地はありませんね。

 記事でも説明されていますし、実例で証明されている通り、「核心的利益」の言葉を適用している地域では、軍が出動し占拠したり紛争を抑えたりしています。つまり、尖閣諸島に軍を派遣しますよと言うジャブを先ずマスコミで発信し、日本はもとより米国ほかの包囲網諸国の反応をみているのですね。
 そこで当初は、日本も「国内の対日強硬論者に向けたポーズ」と呑気な見方をして、得意の注意深く見守る=反論・指摘をしない=黙認のポーズです。
 いつかみた民主党政府の間違いです。そう、メドベージェフ大統領の北方領土訪問の情報が入った時も、国内選挙向けのポーズで実行されることはないと楽観していましたが、答えはご承知の通りで、過去に積み上げた平和条約に向けた交渉が完全に覆さるという歴史的大失政の結果を産みました。

 さりげなく小さくジャブを繰り出し、様子を見ながら回数を増やしつつ既成事実化しながら拡大強化してくるのは、素人の遊爺でさえ解っている中国の常套手段です。これには、都度細かくかつ毅然とした反応を示し、煙のうちに水をかけておくことが肝要です。しかし、事なかれ主義の日本政府や外務省・大使館は先送りするたけですから、助長・拡大を許してしまいます。

 今回は、一マスコミの記事と無視し、政府方針を貫くという方針のもとに進められているのなら、それはそれで評価できますが、当然次の中国の出方に対する備えもなくてはなりませんが、最悪の場合も含んだあらゆる方策は準備されているのでしょうか?
 今年も早速、1月14日に、尖閣諸島久場島の北北東約440キロの日本の接続水域を、「漁政201」が「われわれの管轄海域でパトロール中であり、正当な公務執行中である」と応答しつつ航行しています。
 尖閣付近に中国漁業監視船 接続水域を航行 海保が警告 - MSN産経ニュース

 「核心的利益」とする南シナ海を、米国やベトナムなどが主導する包囲網で押し返された中国政府や人民解放軍の反攻が注目されます。習近平新政権の動向も併せて見ることは当然ですが、江沢民時代の軍の権力が強くまた、民意の掌握に反日のガス抜きを使う手法へ復古することが懸念されます。

 毅然とした姿勢で、国益と主権を護ることは当然ですが、裏付けとなる抑止力(南シナ海と同様の多国との連携 & 海上保安庁や海・空・陸の自衛隊)の充実が望まれます。




  この花の名前は、イワギク

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日本は国境を守れるか (プレイブックス・インテリジェンス)
尖閣諸島灯台物語




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2 コメント

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Unknown (楽仙堂)
2012-11-12 21:35:38
今日、国会中継で離島に名前をつける話をしていました。
それで、検索でここにたどり着きました。

画像、お借りいたします。

画像 (遊爺)
2012-11-13 15:42:06
楽仙堂さん、ご覧いただきありがとうございました。
貴blog、拝見させていただきました。多岐にわたるテーマを、良く調べて書かれていて、興味深く拝読させていただきました。

ご依頼の画像については、私もネット上から転載させていただいたものですので、自己責任でのご使用をお願いいたします。

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