遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

WikiLeaksが公開した米公電 日本の北方領土外交の無知無策を指摘

2011-06-22 00:20:46 | 日本を護ろう

 WikiLeaksが公開した米公電の中に、2007年 1月から'09年 7月まで(自民党政権時代)の間の北方領土などをめぐる日露交渉に関する 5本が産経で紹介されていました。
 WikiLeaksの公開公電の内容ではあまり興味をひくものはないと思っていましたが、この北方領土に関するものについては、米公電がズバリ真実を突いているもので、民主党政権の今日でも変わりがないというか、更に無知無策さが進んで、ついに歴史的変換局面を迎えることに繋がったものです。
 

「北方領土」日本無策の10年 米外交公電、ウィキリークス公開 (6/20 産経)

 【モスクワ=佐藤貴生】北方領土などをめぐる日露交渉についての米外交公電が、内部告発サイト「ウィキリークス」で公開されている。2007年1月から09年7月までの自民党政権時代の米公電5本で、そこであらわになったのは、領土交渉における日本政府の見通しの甘さと無策ぶり
だ。

 5年前、日本企業も加わるサハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」が暗礁に乗り上げ、
ロシア側に経営権を譲渡することになった際には、「ロシアの事実上の乗っ取り」との見方があった。それにもかかわらず、日本外務省の担当者は「領土交渉に良い影響が表れる」との期待感まで示していた
ことを公電は明らかにしている。
 この見通しが誤っていたことは昨年11月、ソ連・ロシアの最高首脳として初めて、メドベージェフ大統領が北方領土を訪問、日露関係が極度に悪化した事実が証明している。
 公電を通じて米外交当局は、
ロシア側が北方領土について「ヒトラーを支持した日本が支払った代償」とみなしていると分析。一方の日本側には与野党ともに確固たる領土返還戦略がないと厳しい評価を下す。ロシアとのエネルギー協力を背景に、日本側の領土問題解決に向けた熱意にさえも疑いの目
を向けている。
 北方四島のうち、日ソ共同宣言(1956年)で規定された歯舞群島、色丹島の返還に関する条件と、残りの国後、択捉両島の帰属問題を同時に協議する「同時並行協議」が頓挫したのは2002年のことだ。その後、新たな枠組みの返還構想が協議された形跡はなく、文字通り「失われた10年」に終わったことが公電からも読み取れる。
 また、密室での交渉が“聖域”に守られているとの安心感を生み、領土返還に向けた具体的提案の策定をおろそかにしてきた側面もうかがえる。
 公電に登場する当時の日本外務省ロシア課長2人は産経新聞の取材に対し、「ウィキリークスの件では事実確認もコメントもしない」などと回答した。



 「ウィキリークス公開 米が見た北方領土交渉(1)」:イザ!
 「ウィキリークス公開 米が見た北方領土交渉(2)」:イザ!

 1本目は、サハリン2のロシアによる乗っ取りに関する件で、外務省の松田邦紀ロシア課長(現・米国デトロイト総領事)が、日露間での合意が成立したことに対し、「露日の外交交渉は全般に雰囲気が改善され、北方領土問題を含む他の分野の交渉も促進されるかもしれない」とまで述べたそうで、公電は「驚くべきことだ」とあきれているそうです。

 2本目は、外務省の武藤顕ロシア課長(現・総合外交政策局総務課長)が、「日本はロシアを建設的な態度でアジア太平洋地域に関与させようとしている」と説明し、日本は「露中の仲を割く」ことを願っていると述べたというものです。
 ロシアのEEZでの違法操業を理由に日本漁船が拿捕される事件が相次いでいて、日露首脳会談で安倍総理が外国漁船の操業を制限する計画について触れたのに対し、プーチン大統領は詳細な説明を避けたという関係にあるのに、武藤課長は「ロシアが06年初めから日本との2国間関係を再評価し始めた」と勝手に都合の良い解釈をして、米国にロシアをアジア太平洋地域に関与させようとしていると説明しているのです。
 まぬけと言われても(言われてない様ですが)しかたない...。

 3本目は、外務省の別所浩郎・総合外交政策局長(現・外務審議官)が、キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)と昼食を共にした時の話で、局長は「日露はたまにしか領土交渉を行わず、詳細を詰める対話には至っていない」とし、「米日露3カ国による対話が有益だ」と述べたのだそうですが、キャンベル次官補はインドを東アジア地域に一層、関与させることが必要だと説き、米日印3カ国の対話の方に関心を示したのだそうです。

 4本目は、麻生外相(当時)の「2等分論」論についての、ロシア側の情報と分析です。
 ロシア外務省のイリシェフ日本課長は、「領土紛争というものは関係が一定の成熟したレベルに達したときに限って解決しうる」とし、領土問題を解決して他の問題を協議するという日本のアプローチは「機能しない」と述べたと。
 また、ロシアの日本専門家、クナーゼ元駐韓国大使は、「素人くさくて準備不足で、まじめに回答する価値もない」と酷評、「私たちが貧しく弱っているときに、日本は救いの手を差し伸べるのを拒み、黄金のチャンスは消えうせた」と述べているとし、さらに「米国が日本の強力な同盟国であることは、(日露が)成熟した同盟関係になりえないことを意味する」とし、ロシアはそれを理解しているとも語っていると。
 公電での分析内容は「経済が力強く成長している今となっては、ロシア政府が譲歩する公算はわずかだ。ロシア側ではこの問題を協議することへの倦怠感が広がっている」というものです。
 
 今のロシアの歴史的方向転換は、すでにこの時から芽生えていたのですね。

 5本目は、2009年 5月にプーチン首相が訪日して麻生首相と会談した事に関するもの。
 訪問を前にして、日露双方が現状維持で波風を立てないことを方針としており、公電では、ロシア側のみならず日本側の領土問題解決への熱意に疑問を投げかけていたそうです。
 ここで、公電が日本にとってエネルギー確保は「北方領土問題の早期解決よりも死活的に必要だ」と指摘。LNGの取引は日露関係が危機に陥らないことを保証するもので、日露のエネルギー協力は「双方に実質的な利益がある」と評したのだそうですが、これは遊爺がいつも唱えている論とは異なります。

 同じ公電では日本の指導者への厳しい評価も記されているとのことですが、産経の記事を以下に転載します。
 

【在日米国大使館発 09年4月19日付公電(2)】
 同じ公電では日本の指導者への厳しい評価も記されている。


 まず、日本の世論は政治指導者によるいかなる妥協も許容しない-とした上で、支持率低迷や政権交代の危機に瀕(ひん)する自民党の情勢に触れ、「麻生首相の取りうる戦略の範囲は極めて限られている」と分析。麻生首相が「領土交渉を遅らせている」とロシア側に不満を述べた際、会談に同席していたロシア側高官らが「麻生首相の面前でばかにした」ことを、日本外務省ロシア課の代表者が事実だと認めたとも伝えた。
 公電はさらに、情勢は行き詰まっているのに、日本の外交官は「メドベージェフ大統領は北方領土問題を解決する政治的意志を持っており、熱心に取り組もうとしている」と自信を持って語る-と当惑気味に指摘。「大統領は事務レベルの協議担当者から適切な説明を受けておらず、しばしば不当な情報を与えられているようにみえる」との
日本側の見方も「ナイーブだ」(世間知らずだ)と評している

 また、「
日本には北方領土返還を交渉するための計画と、計画を仕上げて遂行する指導者に欠けている」とし、「麻生首相には北方領土問題で信頼できる相談相手はほとんどおらず、彼の指導者としてのスタイルが人の意見を聞くことを妨げている」と断じた。「政策の空白」は民主党にも広がっており、詳細で真剣なロシアや北方領土に関する政治的立場を有していない
とも伝えた。

 そして、
日露双方に北方領土問題を打開する意志や能力がなく
、首脳会談では両国の有権者の欲求を満たすため、「交渉を加速する」ことや「会談をハイレベルに引き上げる」ことで合意-といったお決まりの言葉を並べた共同声明を採択し、いつも変わらぬ結論になると皮肉った。

 公電は、ロシアに影響力を及ぼしうる人物として元首相の森喜朗氏、元外務事務次官の谷内(やち)正太郎氏、駐露大使の河野雅治氏(現・駐イタリア大使)を挙げる一方、「北方領土問題を解決する新たなアイデアがある政治家や評論家はほとんどいない」とも指摘。対露外交に強い影響力を有し、02年に逮捕された鈴木宗男元衆院議員の問題が影を落としているとの見方を示した。

 半面、日露関係で機能しているものとして、「意図せざる小規模な危機を取り扱うメカニズム」を挙げた。ロシア側が06年、第31吉進丸を銃撃した事件を例に、「こうした問題は、扱いを誤れば双方が欲しない大規模な外交問題に発展しかねない」とし、日露は解決策を静かに探っていくだろうと結論付けている。

 自民党時代でさえ米大使館にあきれられていた外務省と政府ですが、民主党に政権交代し、無知無策に拍車がかかりついに表面化し歴史的なロシア側の態度変更の行動が始まっているのですね。
 いつも言ってることですが、ロシアの主要ガス田が枯渇目前で、極東や開発コストも技術も厳しい北極圏に手を延ばさざるを得なくなっている状況は、日本などの助け(開発支援と購入)を必要としてきます。その時を待てばいいのです。政経分離で経済先行はロシアに利はあっても、日本の国益には反します。
 ナチスと同盟云々を言うのなら、条約違反をして攻め込んだ時の犠牲者、その時の捕虜の犠牲者という、直接日本に与えた行為はなんだと言うのでしょう。

 米国大使館がきちんと情報収集し分析ているロシアの北方領土への取り組みを、当事者の日本が全くとんちんかんな理解で行動している。それは今日の状況が動かぬ証拠ですね。
 ロシア大使は交代しましたが、外務省や政府に、利権の宗男やパフォーマンスの鳩ではなく、仕事をする人が巡ってくることを祈っています。




 オオデマリです

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誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交
ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)



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