遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

若者が「反日」デモではじけたのは、就職難などへの怒

2010-10-19 01:20:16 | EEZ 全般
 5都市で発生した「反日デモ」の参加者が、学生が主流であったことの理由は何故かと考えていました。
 大きくはふたつを推察していましたが、そのひとつの学生の就職難が読売新聞でも記事にされていました。「80後」「90後」と呼ばれる1980~90年代生まれの若者が主役で、江沢民の「愛国・反日」教育の影響を強くうけている世代なのだそうです。
 大学を卒業しても定職につけず、郊外にある村落の簡易宿舎に集まって居住するワーキングプアの若者は「蟻族」と呼ばれ、中国各地で社会問題化しているのだそうですが、学生が始めたデモに「蟻族」も参加し人数が増えたのだと。
 
若者、「反日」で不満発散 大規模デモ 中国の就職難背景 胡政権、体制批判を警戒 (10/18 読売朝刊)

 中国四川省成都などで起きた大規模な反日デモの主役は、「80後」「90後」と呼ばれる1980~90年代生まれの若者だった。就職難など社会問題に対する大学生らの怒りの増幅が、反日スローガンの裏に潜んでいるのは明白だ。共産党政権は、日本への抗議が、体制批判に転じることを強く警戒している。
 
制御不能
「大学生らの行進に、沿道の若者が続々加わり、あっという闇に膨らんだ」
成都で16日に起きたデモの目撃者は語った。「警察当局はすぐに制御不能になった」と言う。当局は、党のデモ対処方針に沿って、デモ隊と警察の衝突を避けるため、デモを容認した上で早期解散を図るしかなかった。その夜のうちにデモ隊は解散したものの、日系商店が破壊された。当局の失点だった。
 成都のデモ関係者によると、市内の大学に通う学生グループが数日前、インターネット掲示板で「反日デモを決行しよう」と呼びかけていたという。これを阻止するためネット警察が書き込み削除に躍起になっていたが、次々と転載され、対応が追いつかなくなった。
 中国筋によると、公安当局は「学生が本当にデモを実行するはずがない」「実行しても、規模は大きくない」などと甘く見ていた可能性がある。
警備態勢は手薄だったとみられる。

愛国教育
 「デモの参加者に顔見知りの大学生がいた。『日本鬼子(日本入への蔑称)を追い出せ』と唱えれば、警察も容易に手を出さない。デモは
就職難で不満を膨らませる学生にとっては、格好のストレス発散になる」。17日、雑貨店の男性従業員がささやいた。
 
大都市の大学を卒業しても定職につけず、郊外にある村落の簡易宿舎に集まって居住するワーキングプアの若者は「蟻族」と呼ばれ、中国各地で社会問題化している。
 今年は、夏に卒業した大学生約630万人と70万人以上の就職浪人が職を探し、ホワイトカラーの就職難が続いている。今回デモが起きた成都、西安など内陸部では、北京や上海などより条件ははるかに厳しい。
 自分は蟻族だと話すデモ参加の若者は「大学を卒業してもコネがないと就職できない。党幹部や資産家の子供は優遇され、能力がなくてもエリートコースに乗れる。
全く不公平な社会だ」と不満をぶちまけた。
 中国筋によると、成都市と同じ16日に反日デモがあった西安市でも、もともと大学生が中心となってデモを呼びかけたが、「蟻族」の若者が呼応したという。同日夕にデモを組織した大半の学生が撤収した後も、固定収入がない若者らがネットで連絡を取り合って集まり、抗議行動を続けた「蟻族」を含む「80後」の大卒者は、90年代以降、
江沢民総書記(当時)の下で強化された「愛国・反日教育」の影響を色濃く受けた世代でもある。

党への脅威
 16日、北京では、全国の高級幹部が集結してポスト胡錦濤時代の青写真を描く共産党の第17期中央委員会第5回総会(5中総会)の2日目の審議が行われていた。不安定な過渡期を迎えた政権は、現在、所得格差、不公正な社会などに対する数億人の憤りに包囲されている状況で、総会でも「安定団結」による独裁維持を再確認する見通しだ。
 1980年代に日中関係を発展させた胡耀邦・党総書記が失脚に追い込まれた際、党内強硬派から激しく非難されたように、党・軍内で意見が大きく割れる対日方針は、政治的な「安定団結」を揺るがしかねない要因であり続けている。胡錦濤氏がいま対応を誤ると、2012年の党総書記引退を前に、求心力が大きく低下しかねない。
 また、政権にとっての最悪のシナリオは、街頭デモなど無許可の群衆行動が、政権打倒への動きへと発展することだ。民主活動家の劉暁波氏のノーベル平和賞授賞が決まったばかりで、デモが民主化運動に発展するのではないかとの危機感も強い。だから、最後には力を使う。
 若者の「愛国・反日」をあおる一方、力で安定を維持する--共産党の危険な操縦が続いている。


 日本でも新卒者の就職難が大きくとりあげられていますが、世界で最も経済成長を成し遂げている最中の中国で、都会の大学を卒業しながらも就職出来ず、郊外の簡易宿舎に集まって居住するワーキングプアの若者の「蟻族」が社会問題になっているとは、小耳にははさんでいましたが、その深刻度を今回知らされました。
 「愛国・反日無罪」が以前のデモでもありましたが、政府や体制への怒りを、「愛国・反日」を口実(子供の頃に洗脳され、小日本と蔑視していて燃えやすくなってもいます)に、ストレスを発散しているのだと言うことですが、政府が警戒する反政府、反体制運動への発展は十分ありうることです。
 胡耀邦総書記の話が記事でも引用されていましたが、国内からの突き上げに苦慮する胡氏に、中曽根氏が協力するどころか裏切りがあり胡氏の失脚を速めました。
 江沢民が促進した「愛国・反日」を、日中経済交易重視に転換、デモやネットの誹謗を抑えてきたのが胡錦濤主席と温家宝首相です。記事では、警察当局が学生デモを甘く見たことで対処が遅れ、デモが大規模化したとのことです。

 尖閣の漁船問題で、「5中総会」の開催を延期して万全を期していたのですから、デモを甘く見たというより、領土問題で燃えあがるナショナリズムのガス抜きの蛇口調整を誤った(閉めかたが甘かった)と推察するのですが、いかがでしょう?

 「5中総会」は、予定通り、習近平・国家副主席(党政治局常務委員)を党中央軍事委員会副主席に選出し、胡錦濤主席の後継者として確定させて閉会しました。
 政権交代が始まる今後が注目されますが、上海派=江沢民のイメージの中、上海市党委書記を勤めた習近平氏が、暴走気味の人民解放軍を何処まで制御できるか、「愛国・反日」を復活させるのか、コントロール出来るのかが鍵となりますね。





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 中国はなぜ「反日」になったか 
尖閣諸島灯台物語


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