遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

習近平 中国に根付く毛沢東のDNAを利用する危険な両刃の剣政策を推進

2013-12-27 23:57:57 | 中国 全般
 昨日(12/26)は、毛沢東の生誕120年の日でした。毛沢東は中国共産党のトップとなり建国をしたと同時に、文化大革命を引き起こしたことを、党は毛が誤って引き起こしたとする「歴史決議」を採択していました。
 しかし、習近平は、1月の内部会議で、改革・開放路線開始後の歴史と、文革を含むそれ以前の歴史は「ともに否定してはならない」と言明して、党の歴史決議を否定する見解を示していたのだそうですね。
 生誕120年を迎えた26日、習近平は、毛を「民族の英雄」とたたえ、大衆路線など毛沢東思想を踏襲する現政権の正統性をアピールしたのだそうです。
 「唱紅」を展開した薄煕来を断罪した習近平ですが、中国に根付いた毛沢東のDNAで支持者が1億人以上とされる毛沢東の権威を取り込むという両刃の剣の危険な政策を進めようとしているのだそうです。
 

「毛沢東」色 薄れぬ中国 生誕120年少数民族にも浸透 (12/25 読売朝刊)
研究者は言う。「すでにDNAに根付いているのだ」

 中国建国の父、毛沢東の生誕から、26日で120年となる。共産党を率いて国造りを指導した一方、文化大革命などで社会、経済を大混乱に陥れ、功罪が混在する毛。だが、支持、反発を問わず、中国社会の底流には、毛時代の行動様式や思考が根強く残存しているようだ。習近平総書記は毛の「DNA」を、政権の求心力向上に利用している。 (北京竹内誠一郎)

<中略>

 一部とはいえ、毛崇拝は少数民族にも浸透している。河南省の毛研究者、袁華氏はこの現象について、「
毛沢東はすでに中国人のDNAに根付いているからだ」と解説した。
 市場経済推進を主張する右派(改革派)の重鎮、茅干軾・天則経済研究所名誉理事長は、毛時代に迫害された体験もあり、厳しい毛批判で知られる。しかし茅氏も、毛が使用した独特の政治用語を「無意識で使ってしまう」という。「青春時代、社会に毛用語があふれていた。一種の洗脳だ」
 毛は文革などで、大衆を動員する政治手法をとった。今の中国社会では、ネット上で激しく相手を罵倒するような個人攻撃が日々展開され、知識人の間からは「まるで文革だ」との嘆き声も聞かれる。茅氏も「文革の強い影響だ」という。
 昨年9月、日本政府による沖縄県・尖閣諸島の国有化に反発し、中国各地に広がった反日デモ。一部都市では、参加者が暴徒化し、日本料理店や日本車の破壊、焼き打ちを行った。
 近代史学者の章立凡氏は、
毛が打ち出した「造反に道理あり」のスローガンが、「法治」を軽視する中国人の行動様式に表れているとみる。「文革は法が死んだ時代社会に不満を抱く現代の民衆は『反日』を免罪符として破壊行動を行っている。同じ理屈だ


習氏、模倣し正統性強調
 
習氏は、政策や演説に「毛沢東色」を打ち出して強力な指導者像を演出し、権威を高めようとしている

 中国紙「光明日報」によると、習氏は1月の内部会議で、改革・開放路線開始後の歴史と、
文革を含むそれ以前の歴史は「ともに否定してはならない」と言明。党の歴史決議を否定する見解と注目を集めた。部下が上司を批判する「民主生活会」も開催。毛が政敵打倒に使った「つるし上げ大会」と「同質だ」(改革派知識人)と指摘された。毛の対外強硬姿勢に通じる強国路線を掲げて、民衆の愛国主義の発揚
にも力を入れる。
 「
習氏は毛という権威を模倣することで自らの正統性を強調
しようとしている」と、高級幹部の子女グループ「太子党」のメンバーは分析する。習氏には「潜在的共感者も含め全国で1億人以上」(張宏良・中央民族大学教員)という毛支持者を取り込む狙いがある。
 ただ、その動きは実に慎重だ。左派(保守派)の学者によると、習政権は12月上旬、全国各地で予定されていた生誕120年記念行事について、許可なしに実施しないよう指示した。
毛支持者の多くが社会に不満をもつ人々
だからだ。
 かつての政敵で毛スタイルを踏襲していた薄煕来・元重慶市党委書記を支持する左派勢力を勢いづかせるのも避けたい。党関係者は、
毛への接近の危険性
を、こう指摘する。
 「
制御不能となりかねないもろ刃の剣だ」

 毛沢東の「造反に道理有」のスローガンが、「法治」を軽視する中国人の行動様式に表れている(=DNAとして根づいている)という、章立凡氏の説には思わず納得してしまいます。反日無罪とされ、社会に不満を抱く人々が破壊活動を行う所以ですね。
 また、毛沢東の強硬姿勢の部分を引き継ぎ、毛沢東の威を借りて対外強硬姿勢を打ち出し、民意を引き付けようともしているのですね。

 ただ、毛沢東支持者は、格差が拡大した今の社会に不満を持つ人であったり、その人々を「唱紅」運動でまとめた薄煕来の支持者でもあったりするのです。
 先の反日デモで、毛沢東の肖像を掲げていた人々が少なくなかったことは、記憶に残る出来事でした。
 つまり、反現政権の勢力となりうる層の人々であり、一つ間違うと政権を危うくしかねない勢力なのです。
 それでも、26日の天安門広場の毛主席記念堂では、毛を「民族の英雄」とたたえ、大衆路線など毛沢東思想を踏襲する現政権の正統性をアピールしたのだそうですね。
 

習主席「毛沢東は英雄」 生誕120年 現政権の正統性強調 (12/27 読売朝刊)

 【韶山(中国湖南省)=竹内誠一郎】中国建国の父、毛沢東の生誕120年を迎えた26日、習近平国家主席ら共産党政治局常務委員7人は北京・天安門広場の毛主席記念堂を訪れ、敬意を表した。新華社電によると、習氏は記念座談会で毛を「民族の英雄」とたたえ、大衆路線など毛沢東思想を踏襲する現政権の正統性をアピール
した。
 毛を巡っては、拡大する貧富の格差への不満などから熱狂的な支持層がある一方、文化大革命で中国を大混乱させたことに対する反発も根強い。習氏は「神のような極端な崇拝もできない。誤りがあったからといって全面否定もできない」とも発言。両極端の見方を批判し、バランスをとった。
 
習氏はまた、「我々は断固として国家主権を守る。いかなる外国も、我々が核心的利益で取引すると期待すべきではない」と語り、対外強硬姿勢も強調
した。
 記念行事は各地で行われ、毛の故郷の湖南省韶山では早朝から毛沢東銅像広場に人々が集まり、献花した。人数は10万人以上とみられる。陝西省の男性(56)は「毛主席時代は平等で平和だった。
これほど多くの人が慕っているのは、今の政府に問題があるということだ」と現政権を批判した。

 そして、しっかり「核心的利益」は一歩も譲らないと、対外強硬姿勢を念押しし、支持を繋ぎとめるポヒュリズムも発揮しています。
 しかし、各地の会合に多くの人々が集まったということは、記事で指摘されている様に、それだけ多くの現政権への不満をもつ人々が多いと言う事でもあるのです。
 党の「歴史決議」を否定してまで毛沢東の威をかりて迎合する理由は何なのでしょう?
 胡錦濤・共青団との勢力争いが続いていて政権基盤が定まっていないからでしょうか。格差社会、環境汚染社会、憲法の上に党がある無法社会といった社会不安への改革策が見つからないからなのでしょうか。
 どちらにしても、間違ったと評価した毛沢東の内外への強硬路線を進めれば、答えも間違った毛沢東と同じになると気付かねばならいでしょう。



 # 冒頭の画像は、湖南省韶山市で、毛沢東主席の生誕120年を記念する行事に参加した人たち






  この花の名前は、ルドベキア・カプチーノ


↓よろしかったら、お願いします。






Fotolia





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 12月26日(木)のつぶやき | トップ | 中国の海洋覇権拡大の抑止大... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

中国 全般」カテゴリの最新記事