遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

息切れ間近の中国経済

2009-12-22 23:56:49 | 中国 全般
 2週間ほど前からアップしようしようとしながら重たい内容なのでズルズル延びてしまっていた、世界の経済動向に影響が大きい中国の経済動向についての日経BPnetの気になる記事がありましたが、今朝の日経の「中国の財政、徐々に悪化 10年の赤字、1兆元の大台も」を見て想い出し、この時期にこんな見方があったとの備忘録というか、道標として残しておこうと手を進めることにしました。
 リーマンショックのまっただ中でスタートした今年、ドバイショックでヨーロッパを中心に動揺がはしりましたが、UAEの盟主、アブダビ首長国の救済で当面沈静化していますが、その次と噂された「上海ショック」が現実のものとなったときは、どの様な対処が必要となるのでしょう?

 救済のドバイ“首に鎖” アブダビ、連邦強化へ「安い買い物」  - SankeiBiz(サンケイビズ)

 今朝の日経の記事での警鐘は以下。
 
NIKKEI NET(日経ネット):中国の財政、徐々に悪化 10年の赤字、1兆元の大台も

 中国の財政が徐々に悪化している。2009年の財政赤字額は9500億元(約12兆6千億円)程度と大幅に拡大し、国内総生産(GDP)比2%台後半に達したもようだ。10年は1兆元との見方も出てきた。財政の健全性を示す目安とされるGDP比3%に迫っているが、来年も3%以内を堅持するという。
 21日付の中国経済紙、第一財経日報によると、財政省財政科学研究所の賈康所長は19日に北京で開いたフォーラムで、10年の中国の財政赤字はGDP比2.9%を上回ることはないが、1兆元を突破する可能性があるとの見方を示した。
 09年の財政赤字は中央分が7500億元、地方債務の肩代わり分2000億元の計9500億元になったもよう。08年は1800億元(中央分)だっただけに、数倍の規模に膨らんだ。


 貿易収支の黒字、国内経済成長率ともに世界をリードする値を示しながらも、財政赤字が進行しているというのです。経済成長率目標の 8%を超える実績の発表がなされているのですが、税収が支出に追いついていない...?
 中国経済の現状を、いろいろな角度から検証して手短にまとめられている記事がありましたので、ポイントを抜粋整理してみます。
 

息切れ間近の中国経済 | 時評コラム | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉

□中国経済はそれほど強靭なのか

 
雇用を中心とする国内情勢の安定を確保できる、すなわち暴動など社会騒乱の頻発を回避するために必要な最低ラインとされている+8%の成長率を、この段階
(4-6月期)でほぼ取り戻した。さらに、7-9月期は前年同期比+8.9%へと、中国の経済成長率はさらに加速した。

 欧米の政治家からは「経済成長の潜在力が大きい中国ならではのV字回復だ」と、驚嘆の声が上がった。だが、厳しい言い方をすると、中国経済の高成長は様々な歪みを内包している。「世界経済の救世主」として、中国に過度に期待している一部の楽観論に対し、筆者としては違和感を覚えざるを得ない。

□「個人消費」はメインエンジンにならない

 
中国の社会保障制度整備はきわめて不十分なままである。このため、中国人の間では将来不安が強く、貯蓄率が高止まりしやすい。したがって、中国の場合、個人消費が経済成長のメインエンジンになってこないという大きな弱点がある。

 確かに「家電下郷」と呼ばれる農村部での家電普及策や、自動車の購入促進のための減税・補助金政策はきちんとした成果をあげている。だが、これらは将来分の先食いを含む耐久消費財の需要喚起策であって、消費全体を持続的に上向かせる性質のものではない。

□「輸出」の回復も期待薄

 
中国の今年10月の輸出は前年同月比▲13.8%で、12か月連続の減少。1~10月の累計は前年同期比▲20.5%で、マイナス幅はなかなか縮まってこない。
 減税措置を講じるなどして輸出を促しているが、国内で過剰な製品の輸出をあまりに露骨に促すと、貿易摩擦が激化してしまう。
(最近米国等の要請を入れ、輸出優遇処置の廃止
 グローバルな需要レベルが米家計過剰消費崩壊によって大きく下方シフトした後であるだけに、輸出押し上げ効果は限られざるを得ない。

□拡大する財政赤字の下では、公共投資は続けられない

 
中国の高度経済成長実現に大きく寄与してきた輸出が当面頼りにならない。消費にもメインエンジンとしての期待はしにくい。消去法的思考の帰結として、中国の経済成長を牽引するのは、固定資産投資(公共投資や設備投資)ということになってくる。
 しかし、公共投資については、国や地方の財源調達の問題(特に地方政府の資金調達の困難さ)に加えて、財政赤字の膨張という副作用が伴う。

 中国の財政赤字増大は、日本や米国、英国ほどではないにせよ、気になるところである。今年3月の全国人民代表大会(全人代)に提出された、4兆元の景気刺激策の一部を反映した09年度予算案で、国・地方の赤字額は9500億元とされ、08年度予算の赤字額である1800億元から大きく膨張した。


 温家宝首相など中国政府当局者が第2弾の景気刺激策を打ち出す可能性に何度か言及しつつも、実現に向けて動き出す兆候がいっこうに出てこない背景には、財政赤字が3%を超えてしまうことへのためらいがあるのではないかと、筆者は推測している。財政による人為的な経済成長かさ上げの余力は、中国でも意外に残されていないのではないか。

□内陸部に公共投資をしても、沿海部には波及しない

 中国経済が落ち込んだ主因は、米国でのバブル崩壊を発端に「ドミノ倒し」的に起こった輸出関連産業のはずである。
 
 地方でインフラ整備などの公共投資を推進し、景気のテコ入れを図る。中国が行っている景気対策の手法は、日本の90年代の大型経済対策と、よく似ているのである。

「日本の教訓」から言うと、公共事業には、(1)その進捗が一巡した時点で需要の「断層」が生じてしまう、(2)上積みする規模の大きさを優先すればするほど非効率な事業が入り込みやすくなってしまい、借金が積み重なる割には経済の生産性向上に貢献しないケースが増えやすい、といった問題点がある。

□設備投資が「暴走」している

 最近の中国経済においては、輸出という最大の「馬」が停止し、個人消費というもう1つの「馬」も勢いが強まってこない状況であるにもかかわらず、設備投資という「馬車」がいわば暴走している感が漂う。

□当局も過剰設備対策に乗り出す

 09年上半期は、実質GDPが前年同期比+7.1%であるのに対し、名目GDPは同+3.8%で、いわゆる「名実逆転」状態になった。名目GDPの伸びが鈍いと、税収が伸び悩み、財政再建に向けたハードルは高くなる。このことは日本の事例で、十分すぎるほど実証されている。

 企業収益の低迷や、すでに述べた輸出増値税の還付率引き上げのほか、物価下落が影響して、歳入の伸びが抑制されているという。


□人口の急速な高齢化が経済成長力を奪う

 長い目で中国を見る場合には、人口面での急速な高齢化見通しと、それに伴う経済パワー減退という問題がある。

 高齢化が急速に進むことで現役世代の負担が重くなり、経済の活力が失われることが問題視されているのは、日本と同じである。
 AP通信が伝えるところによると、上海市当局は戸別訪問やビラ配布を通じて、市民に2人目の子供をつくるよう呼び掛けている。将来の労働力不足に加え、社会保障財源の不足を懸念しての、異例の行動だという。

□共産党指導部に漂う将来不安

 中国は10月1日、軍事パレードなどで、建国60周年の節目を盛大に祝った。だが、中国共産党指導部は危機感を募らせているという(9月22日 時事通信)。腐敗や格差に対する民衆の怒りが強まっており、ネット上では1911年の辛亥革命で清朝が崩壊した前夜と現在とを比較する見方さえ出ているという。「還暦」を迎えた中国共産党の「寿命論」が、党内では真剣に語られており、9月18日に閉幕した党第17期中央委員会第4回総会(4中総会)で採択されたコミュニケは悲壮感にあふれ、「永遠に人民の信頼と期待に背かない」という一言で締めくくられていた、と上記報道は指摘した。

 日米欧の金融市場では、中国経済の力強い成長力が世界経済の「救世主」であるかのような楽観論ないしは希望的観測が、断続的に顔をのぞかせている。だが、本稿でさまざまな角度から指摘したように、中国経済は数多くの面でバランスが悪く、大いに問題含みである。

 中国は来年、日本を抜き去って、世界第2位の経済大国の座を手中にする可能性が高い。しかし、上記のようなさまざまな歪みを内包している中国経済が今後たどるコースについては、本レポートでは触れなかった経済統計の信頼性の問題を含め、強い不透明感が漂っていると言えるだろう。

 中国の成長を支えてきたのが、世界の工場としての輸出でした。これが世界同時不況により米国の過剰家計需要の崩壊などの世界中の需要減少や、毒餃子事件に象徴される安全性への品質不安から輸出が減少している。さらに米国、メキシコによるWTO提訴による影響での輸出補助金の廃止で、減少する輸出への歯止めが効かない状況にある。
 内需への投資で、公共設備投資や、「家電下郷」の消費促進政策をすすめ目先の経済成長率は目標をクリアしているが、税収は伸び悩んでおり財政赤字が増えつつある。個人消費も、将来の高齢化社会や社会保障制度の不備にともなう不安から、伸びてこない。

 特定マスコミ等による批判が多かった麻生政権の景気対策と、中国&それに引きずられた台湾の需要回復による輸出の恩恵でやや回復傾向にあった日本経済も、無策無為の政権に交代したことで不況の二番底に陥るといわれていますが、財政赤字出動で持っている中国経済の実態も決して楽観視できるものではなく、むしろ不安な実情を含んでいると言うことなのですね。

 オリンピック後の懸念はなんとか乗り越えていますが、上海万博後と株などの金融バブルが今後注目されますね。




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