福島第一の原発事故にもかかわらず、日本の原発技術に期待し、導入計画を継続させている国に、ベトナムやトルコと並んでリトアニアがあります。
脱ソ連をめざし、EUに加盟しましたが、ソ連製の原発の停止を条件とされ原発を廃止したところ、火力発電に依存することとなり、ソ連の天然ガスに依存せざるを得なくなってしまい、元の木阿弥となってしまった。そこで、再度脱露を目指して、日本の日立製の原発の導入に踏み切り、福島第一の事故後も計画の継続をしていたのでしたが...。
リトアニアと言えば、第2次大戦中にユダヤ人にビザを発給してナチス・ドイツの迫害から救ったリトアニア領事代理杉原千畝(ちうね)氏を思い浮かべます。日本の誇りとする人物ですが、リトアニアという国も特徴があるくになのですね。
感動の外交官 杉原千畝 - 遊爺雑記帳
エネルギー安全保障が、ロシアに脅かされていいのか、脱原発の安全を優先するのか。国の存続にかかわる深刻な悩みを抱えています。国民投票の行方が注目されます。
その原発の技術の信頼を寄せられているのが日本の日立。
日本では、枝野氏が迷走発言を繰り返していることに象徴される迷走ぶりで、急がれる規制委員会も与党民主党の中で決められないていたらくです。
ベトナムやトルコの動向も気がかりですが、日本のポピュリズムではない、確たるエネルギー政策の展望が求められます。
一部企業の目先の利益を追求するために、ロシアの天然ガス開発や購入に安易に飛びつこうとしている日本。北方領土との兼ね合いや、エネルギー安全保障(含安定供給)の観点から、国策として考えるべきです。
# 冒頭の画像は、台湾の龍門原発で建設中断中の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)
この花の名前は、ベニバナトチノキ
↓よろしかったら、お願いします。
脱ソ連をめざし、EUに加盟しましたが、ソ連製の原発の停止を条件とされ原発を廃止したところ、火力発電に依存することとなり、ソ連の天然ガスに依存せざるを得なくなってしまい、元の木阿弥となってしまった。そこで、再度脱露を目指して、日本の日立製の原発の導入に踏み切り、福島第一の事故後も計画の継続をしていたのでしたが...。
【鼓動2012】リトアニア 日の丸原発で露“支配”から脱却 (9/28 産経)
■チェルノブイリ型原子炉 EU加盟で閉鎖
東京電力福島第1原発事故が各国のエネルギー政策を揺るがす中、日本で培われた技術を信頼し、原発計画を推進している国がある。ソ連から独立を果たしたバルト三国のリトアニア。東日本大震災からわずか4カ月後の2011年7月、日立製作所に発電所建設の優先交渉権を与えた。チェルノブイリ原発事故、ソ連崩壊、そして欧州連合(EU)加盟と、歴史に翻弄されてきた建設予定地の住民は、日立製作所の原発を「希望」「神からの贈り物」とさえ評している。(リトアニア北東部ビサギナス 佐々木正明)
首都ビリニュスの北東約150キロ、ベラルーシとラトビアの国境沿いに位置するビサギナス。この街で原発計画が進んでいる理由は、リトアニアの電力事情やソ連時代の歴史と深く関わっている。
森と湖に囲まれた地に、人工都市ビサギナスが造られたのは1975年だった。ソ連政府は、この地域一帯の電力供給をまかなうために、イグナリナ原発を建設することを決定。ソ連崩壊で隣国ベラルーシとラトビアは独立し、カリーニングラード州はロシアの飛び地となってしまうが、当時は一つの国家の中にあり、原発は民族を統合する象徴プロジェクトでもあった。
ソ連全域から原子力関連の専門家や作業員が集められた。人口は3万人を超え、うち約8千人が原発に通う労働者。残りの住民もその家族や飲食店関係者、行政職員らで、ビサギナスはソ連でも有数の“原発城下町”となった。今でも街では、リトアニア語よりもロシア語の方が通じる。
83年に1号機が稼働。電力はソ連式の送電網で供給され、2号機、3号機の工事が進んだ。ところが、86年にチェルノブイリで原発事故が起こる。イグナリナ原発はチェルノブイリと同型の原子炉を有していた。
<中略>
リトアニアは独立後もソ連からこの原発を受け継ぎ、ビサギナスにはソ連出身の専門家が残った。同原発は国の電力供給の7割超をまかない、近隣諸国に余剰電力を輸出さえしていた。
ビサギナスのシュトラウパイテ市長は「リトアニアは他の国々よりも原発の知識が豊富な原発国家なのです」と語るが、それもこのイグナリナ原発の経験があったが故だ。
ところが、リトアニアは国の発展に貢献してきた同原発を放棄する決断を下す。
ソ連に占領された屈辱の歴史を繰り返さないためにも、リトアニアはEUに接近。2003年の国民投票で、91%の圧倒的多数の賛成により加盟を選んだものの、EUはチェルノブイリ型原発を保有しないことを加盟の条件にしていた。結局、リトアニアは加盟と引き換えに、イグナリナ原発の閉鎖を受け入れたのだ。
多数の国民がEU加盟を喜んだが、ビサギナスだけは別だった。04年に1号機、09年に2号機が稼働を停止すると、大半の作業員が失業者となった。「最後の夜、住民は涙を流し嘆き悲しんだ」(市長)という。
ビサギナス出身のインガさん(23)は、街がその日を境に急変したのを覚えている。
「やけ酒に浸る作業員で街はあふれた。閉鎖以来、ビサギナスは『死んだ街』になってしまった」
ほとんどの若者が学校を卒業すると、働き口を求めて街を去っていく。インガさんも今、ドイツのコーヒー店で働いている。人口は最盛期の約3分の1を失い、2万3千人を割り込んだ。こうして活力をすっかり失った街に、突如現れたのが「日本」だった。
原発閉鎖に伴い電力不足に陥ったリトアニアは、ロシア産の天然ガスによる火力発電に頼らざるを得なくなった。
結局、電力需要の6割以上をロシアに依存することになり、電気料金は6倍に跳ね上がったという。ソ連による支配を繰り返さないための選択肢が、ロシアによる新たな“支配”を招く皮肉な結果に陥ったのである。
こうした事態を改善すべく、リトアニアは09年、イグナリナ原発の隣に原発を新設することを決めた。そしてさまざまな企業との交渉を経て、日立製作所が提案した最新鋭の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を受け入れることを内定した。
この選択は福島第1原発事故後も揺るがなかった。リトアニア政府は、たとえばクビリウス首相に代表されるように、日本側に「福島の事故で日本の原発技術の安全性が否定されたわけではない」と言い続けた。
総事業費は68億ユーロ(約6800億円)と同国最大規模のプロジェクトになる。関係者は「原発はリトアニアのエネルギー安全保障にとって重要なものだが、ロシアからの独立を完全に果たすための歴史的案件でもある」と強調する。
しかし、この計画には暗雲が垂れ込めている。国民の多くが原発建設の費用対効果への疑問や事故への不安から、原発反対に傾いていることが世論調査で判明。来月14日、国会議員選挙とともに国民投票を行い、原発新設の是非が問われることになったのだ。
クビリウス首相は「国民投票に拘束力はなく、すべての決定は政府や国会が行う」とするが、もし大多数が反対という結果に終われば、原発推進の動きは停滞すると見込まれている。
ビサギナス住民の多くは、原発建設は「街をよみがえらせるための唯一の希望」などと語る。シュトラウパイテ市長は「この計画は、リトアニアにとって『神からの贈り物』なのです」とさえ表現する。
ビサギナスの街のシンボルは鶴。市役所前にも、空を羽ばたく鶴のモニュメントがある。市長は「日本では千羽鶴を折って願い事をするそうですね。われわれもこの鶴に希望を託します」と話している。
■チェルノブイリ型原子炉 EU加盟で閉鎖
東京電力福島第1原発事故が各国のエネルギー政策を揺るがす中、日本で培われた技術を信頼し、原発計画を推進している国がある。ソ連から独立を果たしたバルト三国のリトアニア。東日本大震災からわずか4カ月後の2011年7月、日立製作所に発電所建設の優先交渉権を与えた。チェルノブイリ原発事故、ソ連崩壊、そして欧州連合(EU)加盟と、歴史に翻弄されてきた建設予定地の住民は、日立製作所の原発を「希望」「神からの贈り物」とさえ評している。(リトアニア北東部ビサギナス 佐々木正明)
首都ビリニュスの北東約150キロ、ベラルーシとラトビアの国境沿いに位置するビサギナス。この街で原発計画が進んでいる理由は、リトアニアの電力事情やソ連時代の歴史と深く関わっている。
森と湖に囲まれた地に、人工都市ビサギナスが造られたのは1975年だった。ソ連政府は、この地域一帯の電力供給をまかなうために、イグナリナ原発を建設することを決定。ソ連崩壊で隣国ベラルーシとラトビアは独立し、カリーニングラード州はロシアの飛び地となってしまうが、当時は一つの国家の中にあり、原発は民族を統合する象徴プロジェクトでもあった。
ソ連全域から原子力関連の専門家や作業員が集められた。人口は3万人を超え、うち約8千人が原発に通う労働者。残りの住民もその家族や飲食店関係者、行政職員らで、ビサギナスはソ連でも有数の“原発城下町”となった。今でも街では、リトアニア語よりもロシア語の方が通じる。
83年に1号機が稼働。電力はソ連式の送電網で供給され、2号機、3号機の工事が進んだ。ところが、86年にチェルノブイリで原発事故が起こる。イグナリナ原発はチェルノブイリと同型の原子炉を有していた。
<中略>
リトアニアは独立後もソ連からこの原発を受け継ぎ、ビサギナスにはソ連出身の専門家が残った。同原発は国の電力供給の7割超をまかない、近隣諸国に余剰電力を輸出さえしていた。
ビサギナスのシュトラウパイテ市長は「リトアニアは他の国々よりも原発の知識が豊富な原発国家なのです」と語るが、それもこのイグナリナ原発の経験があったが故だ。
ところが、リトアニアは国の発展に貢献してきた同原発を放棄する決断を下す。
ソ連に占領された屈辱の歴史を繰り返さないためにも、リトアニアはEUに接近。2003年の国民投票で、91%の圧倒的多数の賛成により加盟を選んだものの、EUはチェルノブイリ型原発を保有しないことを加盟の条件にしていた。結局、リトアニアは加盟と引き換えに、イグナリナ原発の閉鎖を受け入れたのだ。
多数の国民がEU加盟を喜んだが、ビサギナスだけは別だった。04年に1号機、09年に2号機が稼働を停止すると、大半の作業員が失業者となった。「最後の夜、住民は涙を流し嘆き悲しんだ」(市長)という。
ビサギナス出身のインガさん(23)は、街がその日を境に急変したのを覚えている。
「やけ酒に浸る作業員で街はあふれた。閉鎖以来、ビサギナスは『死んだ街』になってしまった」
ほとんどの若者が学校を卒業すると、働き口を求めて街を去っていく。インガさんも今、ドイツのコーヒー店で働いている。人口は最盛期の約3分の1を失い、2万3千人を割り込んだ。こうして活力をすっかり失った街に、突如現れたのが「日本」だった。
原発閉鎖に伴い電力不足に陥ったリトアニアは、ロシア産の天然ガスによる火力発電に頼らざるを得なくなった。
結局、電力需要の6割以上をロシアに依存することになり、電気料金は6倍に跳ね上がったという。ソ連による支配を繰り返さないための選択肢が、ロシアによる新たな“支配”を招く皮肉な結果に陥ったのである。
こうした事態を改善すべく、リトアニアは09年、イグナリナ原発の隣に原発を新設することを決めた。そしてさまざまな企業との交渉を経て、日立製作所が提案した最新鋭の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)を受け入れることを内定した。
この選択は福島第1原発事故後も揺るがなかった。リトアニア政府は、たとえばクビリウス首相に代表されるように、日本側に「福島の事故で日本の原発技術の安全性が否定されたわけではない」と言い続けた。
総事業費は68億ユーロ(約6800億円)と同国最大規模のプロジェクトになる。関係者は「原発はリトアニアのエネルギー安全保障にとって重要なものだが、ロシアからの独立を完全に果たすための歴史的案件でもある」と強調する。
しかし、この計画には暗雲が垂れ込めている。国民の多くが原発建設の費用対効果への疑問や事故への不安から、原発反対に傾いていることが世論調査で判明。来月14日、国会議員選挙とともに国民投票を行い、原発新設の是非が問われることになったのだ。
クビリウス首相は「国民投票に拘束力はなく、すべての決定は政府や国会が行う」とするが、もし大多数が反対という結果に終われば、原発推進の動きは停滞すると見込まれている。
ビサギナス住民の多くは、原発建設は「街をよみがえらせるための唯一の希望」などと語る。シュトラウパイテ市長は「この計画は、リトアニアにとって『神からの贈り物』なのです」とさえ表現する。
ビサギナスの街のシンボルは鶴。市役所前にも、空を羽ばたく鶴のモニュメントがある。市長は「日本では千羽鶴を折って願い事をするそうですね。われわれもこの鶴に希望を託します」と話している。
リトアニアと言えば、第2次大戦中にユダヤ人にビザを発給してナチス・ドイツの迫害から救ったリトアニア領事代理杉原千畝(ちうね)氏を思い浮かべます。日本の誇りとする人物ですが、リトアニアという国も特徴があるくになのですね。
感動の外交官 杉原千畝 - 遊爺雑記帳
エネルギー安全保障が、ロシアに脅かされていいのか、脱原発の安全を優先するのか。国の存続にかかわる深刻な悩みを抱えています。国民投票の行方が注目されます。
その原発の技術の信頼を寄せられているのが日本の日立。
日本では、枝野氏が迷走発言を繰り返していることに象徴される迷走ぶりで、急がれる規制委員会も与党民主党の中で決められないていたらくです。
ベトナムやトルコの動向も気がかりですが、日本のポピュリズムではない、確たるエネルギー政策の展望が求められます。
一部企業の目先の利益を追求するために、ロシアの天然ガス開発や購入に安易に飛びつこうとしている日本。北方領土との兼ね合いや、エネルギー安全保障(含安定供給)の観点から、国策として考えるべきです。
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