遊爺雑記帳

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ウクライナ支援、米国の指導力を脅かす国内事情

2024-02-28 01:33:55 | ウクライナ全般
  バイデン氏は、世界の民主主義諸国を結集させて権威主義諸国に対抗することを公約に掲げて就任した。そして戦時下のキーウへの旅には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による侵攻に直面したウクライナの独立を守る必要性だけでなく、そうした基本方針を強調する狙いがあった。
 米国主導のウクライナ支援は、さまざまな障害に直面している。
 プーチン氏は莫大な損失(英国防省によると約35万人が死傷)を出してでも目的を遂行する構えを見せている。
 しかし、最大の課題は米国国内に起因するものだと、WSJのマイケル R。ゴードン氏。
 
ウクライナ支援、米国の指導力を脅かす国内事情 - WSJ マイケル R。ゴードン 2024年2月27日

 ジョー・バイデン米大統領は2023年2月、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問し、米国とその同盟諸国はウクライナを守るためにロシアとの意地の張り合いに勝利する決意だと宣言した

 
バイデン氏は、世界の民主主義諸国を結集させて権威主義諸国に対抗することを公約に掲げて就任した。そして戦時下のキーウへの旅には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領による侵攻に直面したウクライナの独立を守る必要性だけでなく、そうした基本方針を強調する狙いがあった

 ウクライナ国旗の青と黄をあしらったネクタイを着用したバイデン氏は、「プーチンはウクライナが弱く、西側諸国が分裂していると考えていた。われわれよりも持久力で勝っているとも考えていた。(中略)しかし、それは完全な間違いだ」と述べた。

 
その1年後ロシア軍がウクライナ東部の要衝アブデーフカにロシア国旗を掲げ、ウクライナ軍は守勢に回った。さらに欧州各国では、米議会が機能不全に陥っているため同国が指導的役割から退かざるを得なくなるのではないかとの懸念が広がった

 
米国主導のウクライナ支援は、さまざまな障害に直面している。例えば、西側諸国は防衛産業基盤の再構築という難題を抱えている上、プーチン氏は莫大な損失(英国防省によると約35万人が死傷)を出してでも目的を遂行する構えを見せている

 しかし、
最大の課題は米国国内に起因するものだ。米国によるウクライナへの追加的な軍事支援はドナルド・トランプ前米大統領寄りの共和党下院議員に阻まれている。これらの議員の中には、米国の安全保障におけるウクライナの重要性だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)の同盟自体の重要性さえ疑問視している者もいる

 
NATOの創設75周年を記念する首脳会議が米首都ワシントンで開催される7月には、ウクライナの軍事的展望が主要議題になるだろう。軍事アナリストによれば、ウクライナがそれまでに米国の軍事支援を受けられれば、年内に陸・空の防衛力強化や新兵の訓練、長距離攻撃による敵の弱体化を通じて、2025年の攻勢に備えることができる

 
だが、米国が軍事支援を再開せず、ロシア軍がさらなる戦果を上げているとすれば、この祝賀的なNATOの会議は、欧州だけでなくアジアや中東などの戦域で米国が今後数年間のコミットメントを果たせるのかという不安に拍車をかけるものになる可能性がある

 米国のNATO大使と駐ロシア大使を務めたアレクサンダー・バーシュボウ氏は「勇ましい発言が多くなるだろうが、それには『もう米国人には頼れない』という言外の意味が含まれそうだ」と述べた。

 
バイデン氏が大統領に就任して間もない頃米当局はロシアとの対立を想定していなかった。中国と国内問題に焦点を当て、バイデン氏が米国を中心とする世界的な同盟体制の強化に取り組む中、ロシアとの関係を平穏に保つことが目標だった

 バイデン氏は就任後、ドイツの軍事費の低さを理由に同国の米駐留部隊9500人を撤収させるという前政権の計画を撤回した。また、在韓米軍の駐留費分担を巡って韓国側との合意を速やかにまとめた。

 バイデン氏は就任後初の外交政策演説で、「米国にとって同盟国は最大の資産だ」と述べた。

 
米国はプーチン氏が2022年初めにウクライナへの攻撃を計画しているとの新情報を21年10月には入手。ウクライナはバイデン氏の同盟政策の最も純粋な試金石として浮上した

 
バイデン氏は21年12月下旬までにウクライナに対する新たな安全保障支援策を承認した。この支援はロシアのウクライナ侵攻以降、440億ドル余りまで膨れ上がることになる

 
23年7月にリトアニアで開催されたNATO首脳会議でバイデン氏は、米軍による支援を「必要な限り」継続すると宣言した。

 
ところが、下院共和党がウクライナ追加支援への反対姿勢を崩さなかったことから、バイデン氏はその5カ月後、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領がホワイトハウスを訪問した際に、米国のコミットメントを別の言葉で表現した。ウクライナに重要な軍事援助を「できる限り」提供する、と述べたのだ。

 一部の
安全保障アナリストによると、今にして思えばバイデン氏は、ウクライナへの重要な兵器システムの供給にもっと早く動き、ロシア軍に適応する時間を与えるべきではなかった。また、米議員らの忍耐が限界に達する前に、これらの兵器がウクライナ側に確実に渡るようにすべきだったという。

 例えば、
米国の長距離射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」は2023年10月までウクライナに供与されなかったが、その時期にはウクライナの反転攻勢がこう着状態に陥り始めてからしばらくたっていた。しかも、米国が供与した兵器は射程約100マイル(160キロ)の短射程型であり、クリミアを含む180マイル余り離れた標的を攻撃できる長射程型ではなかった

 ウクライナを支援する
米シンクタンク、欧州政策分析センター(CEPA)のアリーナ・ポリアコワ所長「私たちがもっと早く動き、ロシアの反応をそれほど心配していなければ、ロシアが適応する前にこの紛争は最初の1年で終わっていただろう」と話す

 
米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は22日ATACMSの長射程型を供与する選択肢は残されていると述べた。米国防総省にはまだ、ウクライナに最大42億ドル(約6300億円)の武器・軍備を在庫から提供する権限がある。だが同省は先週、議会が在庫補充予算を承認しない限り、ウクライナに在庫を提供しないと述べた

 
もっと広い意味での問題はウクライナへの軍事支援継続に反対する一部の下院共和党議員の抵抗と、トランプ氏の「米国第一」政策に対する大衆の支持が、バイデン氏が長年推進してきた欧州での同盟政策からの劇的な変化を反映しているかどうかだ。

 
トランプ氏の忠実な支持者であるJ・D・バンス上院議員(共和、オハイオ州)は2月にミュンヘンで開かれた安全保障会議で、「重要なのは、欧州を見捨てるつもりはないということだ」と述べた。「要は、われわれは国として東アジアに集中する必要があり、欧州の同盟国には欧州内で力を発揮してもらう必要がある

 ウクライナの軍事的努力に欠かせない欧州の装備もある。英国の巡航ミサイル「ストームシャドー」やドイツのミサイル防衛システム「IRIS-T」などだ。ウクライナでは米国製戦車よりもドイツ製戦車の数が多く、欧州製の自走りゅう弾砲も戦闘に重要な役割を果たしている。
 しかし、
欧州は防衛産業基盤の弱点克服になお苦労しており、米国からの砲弾や防空迎撃ミサイル、その他の重要な兵器システムの供給が速やかに再開されなければ、その不足分をカバーすることはできないだろう。ロシアはこの欠点を突こうとするはずだと、欧米のアナリストは指摘する。

 
トランプ政権でNSCの欧州・ロシア担当首席顧問を務めたフィオナ・ヒル氏は、「プーチン氏はわれわれが十分迅速に協力できないと計算している」と言う。「今のプロパガンダ(宣伝活動)の焦点は『ウクライナが負け戦になりそうだ』ということにある」

 
トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏は、ウクライナ支援に反対する共和党議員が増えているのは政治的な側面が大きく米国の世界的役割が根本的に変わったことを示しているわけではないと述べた
 「共和党議員の多くは、米国がどのような戦略の下でそうした資金を費やしているかも問うている」と同氏は言う。「そして、それは
全て民主党の大統領の下で起こっているため、共和党議員はそれを民主党の戦争とみなしている

 
ボルトン氏はウクライナ支援に懐疑的な多くの共和党議員にとって不可欠なのは、同党の大統領候補と目されるトランプ氏への政治的な忠誠心だと話すトランプ氏は以前から、ウクライナの首脳よりもプーチン氏に同情的だとみられてきた

 米外交問題評議会で
欧州の安全保障政策を専門とするリアナ・フィックス氏によると、米国の議会と大統領選で続く議論の行方が左右するのはウクライナ問題にとどまらない。

 
「欧州には、トランプ氏は過去数十年にわたる対欧州政策の例外だとの考えが残っている」と同氏は言う。「しかし、トランプ氏が勝利すれば、バイデン氏の時代が例外だったことに気づくだろう。そして欧州は、米国が実際には欧州との同盟のリーダーではないという米外交政策の新たな方向性に適応しなければならない

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マイケルR。ゴードンはウォールストリートジャーナルの国家安全保障特派員です。

 彼は“ Degrade and Destroy:The Inside Story of the War of the Islamic State、Barack ObamaからDonald Trumpまでです。” 彼はまた、故バーナードE中将とともに共著者でもあります。イラクでの米国戦争の3つの決定的な歴史のトレーナー:“エンドゲーム、” “コブラII、”および“将軍の戦争。” 彼は7つの戦争をカバーし、国務省と国防総省について報告した。

 彼は以前、ニューヨークタイムズで32年間働いていました。そこでは、モスクワ、ロンドン、ワシントンに駐在していました。

 米国によるウクライナへの追加的な軍事支援はドナルド・トランプ前米大統領寄りの共和党下院議員に阻まれている。これらの議員の中には、米国の安全保障におけるウクライナの重要性だけでなく、北大西洋条約機構(NATO)の同盟自体の重要性さえ疑問視している者もいると、ゴードン氏。
 
 NATOの創設75周年を記念する首脳会議が米首都ワシントンで開催される7月には、ウクライナの軍事的展望が主要議題になるだろう。
 ウクライナがそれまでに米国の軍事支援を受けられれば、2025年の攻勢に備えることができると。

 だが、米国が軍事支援を再開せず、ロシア軍がさらなる戦果を上げているとすれば、欧州だけでなくアジアや中東などの戦域で米国が今後数年間のコミットメントを果たせるのかという不安に拍車をかけるものになる可能性があると、ゴードン氏。

 23年7月にリトアニアで開催されたNATO首脳会議でバイデン氏は、米軍による支援を「必要な限り」継続すると宣言した。
 
 ところが、下院共和党がウクライナ追加支援への反対姿勢を崩さなかったことから、バイデン氏はその5カ月後、ゼレンスキー大統領がホワイトハウスを訪問した際に、米国のコミットメントを別の言葉で表現した。ウクライナに重要な軍事援助を「できる限り」提供すると。

 安全保障アナリストによると、今にして思えばバイデン氏は、ウクライナへの重要な兵器システムの供給にもっと早く動き、ロシア軍に適応する時間を与えるべきではなかった。また、米議員らの忍耐が限界に達する前に、これらの兵器がウクライナ側に確実に渡るようにすべきだったと。
 例えば、米国の長距離射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」は2023年10月までウクライナに供与されなかった。
 米国が供与した兵器は射程約100マイル(160キロ)の短射程型であり、クリミアを含む180マイル余り離れた標的を攻撃できる長射程型ではなかった。
 
 米シンクタンク、欧州政策分析センター(CEPA)のアリーナ・ポリアコワ所長は「私たちがもっと早く動き、ロシアの反応をそれほど心配していなければ、ロシアが適応する前にこの紛争は最初の1年で終わっていただろう」と話しているのだそうです。

 米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー報道官は22日、ATACMSの長射程型を供与する選択肢は残されていると述べた。
 だが同省は先週、議会が在庫補充予算を承認しない限り、ウクライナに在庫を提供しないと。

 もっと広い意味での問題は、ウクライナへの軍事支援継続に反対する一部の下院共和党議員の抵抗と、トランプ氏の「米国第一」政策に対する大衆の支持だと、ゴードン氏。
 トランプ氏の忠実な支持者であるJ・D・バンス上院議員は、「われわれは国として東アジアに集中する必要があり、欧州の同盟国には欧州内で力を発揮してもらう必要がある」と。

 しかし、欧州は防衛産業基盤の弱点克服になお苦労しており、米国からの砲弾や防空迎撃ミサイル、その他の重要な兵器システムの供給が速やかに再開されなければ、その不足分をカバーすることはできないだろう。

 トランプ政権でNSCの欧州・ロシア担当首席顧問を務めたフィオナ・ヒル氏は、「プーチン氏はわれわれが十分迅速に協力できないと計算している」と。

 トランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めたジョン・ボルトン氏は、ウクライナ支援に反対する共和党議員が増えているのは政治的な側面が大きく、米国の世界的役割が根本的に変わったことを示しているわけではないと述べたのだそうです。
 「全て民主党の大統領の下で起こっているため、共和党議員はそれを民主党の戦争とみなしている」と。
 ボルトン氏は、ウクライナ支援に懐疑的な多くの共和党議員にとって不可欠なのは、同党の大統領候補と目されるトランプ氏への政治的な忠誠心だと話す。
 
 しかし、トランプ氏は以前から、ウクライナの首脳よりもプーチン氏に同情的だとみられてきた。
 米外交問題評議会で欧州の安全保障政策を専門とするリアナ・フィックス氏によると、「欧州には、トランプ氏は過去数十年にわたる対欧州政策の例外だとの考えが残っている」と。
 「しかし、トランプ氏が勝利すれば、バイデン氏の時代が例外だったことに気づくだろう。そして欧州は、米国が実際には欧州との同盟のリーダーではないという米外交政策の新たな方向性に適応しなければならない」とも。

 第三次世界大戦への突入や、プーチンが脅す核戦争の開始を避けたいことで、欧米の支援は、敗戦戦略の逐次投入という後手 々。
 日本は、米英が撤退したサハリン1, 2の新会社稼働へ参画。

 イラン、北朝鮮からの砲弾、ドローン等のロシアへの支援。ロシアの財源の地下資源は、中国、インドが購入支援。その他軍事製品の部品の第三国経由の抜け穴。
 長期消耗戦は、ロシアの思うつぼに嵌められているのでしょうか?

 
 # 冒頭の画像は、2017年にドイツで開催された20カ国・地域首脳会議に出席したロシアのプーチン大統領とトランプ大統領(当時)



  この花の名前は、ユキワリイチゲ


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