遊爺雑記帳

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【続_2】ポスト習近平は習近平

2017-08-31 23:58:58 | 中国 全般
 秋の党大会に向け最終盤に入った中国共産党の権力闘争の行方を追うとして、産経が始めた『紅い権力闘争』と題した特集の最終回のフォローです。
 2022年に任期終了となる習近平。その時のポスト習近平の候補となる人材が、この秋の党大会で決められるチャイナセブン(党中央政治局常務委員)に選抜されます。ポスト習近平は、有力候補とされた孫政才を失脚させて、「之江新軍」と呼ばれる浙江省時代に習近平に仕えた子飼いの部下たちの中から後任に抜擢し、二階級特進でチャイナセブン入りもさせる陳敏爾なのか、胡錦濤・共青団派の胡春華かのか、それとも習近平自身が居座るのかが注目されています。
 記事は、秋の党大会を目前に控え、党、軍、政府のいずれからも、習への目立った反発の声は聞こえてこない。その静けさが逆に不気味に映ると結んでいます。
 

【紅い権力闘争】(下)コラム代筆者まで異例の抜擢 露骨な側近政治に募る不満 (8/31 産経)

 
観光客や買い物客でごった返す北京の繁華街、王府井の大型書店1階に、「特別推薦」と記された大きな棚がある。浙江人民出版社から10年も前の2007年8月に刊行された「之江新語」という書籍が、いまだにドンと積まれている。
 職場でこの本を配られた北京市幹部が感想を漏らした。「文章が抽象的で分かりにくい。最後まで読めなかった」。にもかかわらず、1万部を超えればベストセラーという中国で200万部以上が売れている。
 「之江新語」の著者は国家主席(共産党総書記)、習近平(64)。浙江省で党委員会書記として勤務した03~07年に、地元紙「浙江日報」で連載した同名のコラムから約230本が集められている。「之江」とは浙江省に流れる川、銭塘江の別名。浙江省そのものをイメージして名付けられたという。
 「幹部は世論の監督を歓迎せねばならない」「腐敗が多発する分野で予防策を強化せよ」など、後の反腐敗キャンペーンの基礎とみられる主張も少なくない。習の“思想”が詰まっているとして、各地の政府機関や共産党委員会が大量に購入し、学習会などを開いている。

 しかし、複数の党関係者はこう証言する。「
『之江新語』は習近平の著書になっているが、本当は陳敏爾(ちん・びんじ)が代筆
した」-。
 陳敏爾(56)は当時、
浙江省党委員会の宣伝部長として習に仕え、「習の考え方を最も知っている」といわれた人物だ。陳を知る党関係者は「習近平がさりげなく発した言葉を、肉付けして文章化し、理論に格上げすることが得意
だった」と述懐した。
 その陳が今年7月、重大な規律違反に問われて失脚したポスト習近平世代の大物政治家、
孫政才(53)の後任として重慶市党委書記となった。中南部の小省、貴州省の書記からいきなり直轄市のトップになったことは異例の抜擢
(ばってき)といわれた。
 その重慶市党委書記のポストも、陳にとっては数カ月間だけの“踏み台”で終わる可能性が高い。複数の党関係者は「
陳は秋の党大会で2階級特進して、党中央委員から最高指導部の政治局常務委員に昇格するのは確実
だ」と話す。

 陳と同じく、習の浙江省勤務時代の部下である北京市党委書記の蔡奇(61)、上海市長の応勇(59)、中央宣伝部常務副部長の黄坤明(60)らも、党大会後、さらに重要なポストに引き上げられると噂されている。習が30~40代に18年間勤務した福建省出身の幹部も勢いを増している。
 習が側近を強引に登用する場合、実績不足を補うために担当する地域で国際会議を主催させ、「会議の成功」を理由に昇進させることが多い。昨年9月には浙江省で20カ国・地域(G20)首脳会議が開かれた。今年9月には福建省で新興5カ国(BRICS)首脳会議が開かれる。

■習氏、英雄使い軍掌握へ 要職に「素人」…反発広がる
 習近平によるこうした
露骨な側近政治について、党内で不満が膨らんでいる。出世街道を驀進(ばくしん)する習の元部下らは今、党関係者の間で「鶏犬昇天」と揶揄
(やゆ)されている。
 漢の淮南王の劉安が修行して仙人になると、残った仙薬をなめたニワトリとイヌも天に昇ったという故事に由来し、取り巻きすべてが出世するという意味のことわざだ。

                ■   ■
 「戦闘英雄」の称号を持つ男が、中国人民解放軍の制服組の要に躍り出たことが8月26日に公表された。
統合参謀部参謀長に就任した李作成
(63)だ。
 李は中国の将軍クラスでは
数少ない実戦経験者
に数えられる。1979年、25歳で中越戦争に中隊長として参加し、傷を負いながら前線にとどまった武勇伝が語り継がれている。
 だが、軍内で李は長らく冷遇された。軍に強い影響力を持つ元国家主席、江沢民(91)に近い首脳と反りが合わなかったためだ。
 そんな
不遇の「英雄」に目をつけたのが習近平
だった。2012年11月に「戦って勝てる軍隊」への改革を掲げる習が中央軍事委員会主席に就くと、李は成都軍区司令官、陸軍司令官、統合参謀部参謀長と特進を続けた。

 
この5年、習は軍を自らの支配下に収めようと腐心
してきた。胡錦濤前政権で制服組のツートップを務めた郭伯雄(75)、徐才厚(15年死去)を失脚させるなど、軍の人事に手を入れてきた。李はその象徴的な存在だ。

 李の起用には、確固たる実績がある実戦経験者を重用することで異論を封印する意図がある。自らが抜擢(ばってき)した人間を幹部に据え、自身の軍トップの座を名実ともに固めようとしている。

                ■   ■
 
実戦経験者とともに習が重用するのが、地方指導者時代に関係を深めた軍人だ。特に02年まで18年間勤務した福建省に拠点を置く「第31集団軍」との深い人脈
が指摘される。
 人民武装警察部隊の政治委員、朱生嶺(59)、国防大学学長の鄭和(58)…。ここ数年、多くの第31集団軍幹部が重要ポストに登用された。意のままに動く手駒をそろえ、軍は習の色に染まりつつあるように見える。

 「主席好(主席閣下)!」
 国家主席として香港を初めて訪問した習が、7月1日の返還20周年式典の前日、香港駐留部隊基地で閲兵した。その際、習の呼称が指導者に対する通例の「首長」ではなく、前例のない「主席」へと変わっていた。軍のトップである中央軍事委主席を兼務する習の立場を強調したとの見方がある。

                ■   ■
 
しかし、習は従来の軍の体制を崩すことはできても、完全掌握にはいたっていない
とみる党幹部が多い。
 16年に
習の肝いりで行われた軍制度改革は、軍の一部で「マージャン改革」と陰口
をたたかれている。北京や瀋陽、成都など7つの軍区を統合した新たな5戦区の名称が「東・西・南・北・中部」とマージャンパイのようだというのだ。
 「一連の改革で中国の南西方面が手薄になっている」と指摘する軍専門家も多い。総参謀部など4総部の解体で命令系統が細分化されたことで、現場から「統制が乱れる」といった批判が続出している。

 
軍内部の反発は水面下で広がっている
。習は海軍経験が一切ない第31集団軍出身の苗華(61)を、海軍トップの政治委員に任命した。関係者によると、海軍内の会議で苗が発言すると、「針を落とす音も聞こえるような静けさに包まれる」という。無言の抵抗だ。

 
秋の党大会を目前に控え、党、軍、政府のいずれからも、習への目立った反発の声は聞こえてこない。その静けさが逆に不気味に映る。(敬称略)

 毛沢東、鄧小平が軍の経験があるのに対し、江沢民や胡錦濤は文官出身で、軍を掌握するために軍事予算を潤沢に充てる方法を採りました。
 習近平の場合は、政治基盤とした太子党の人脈が追加出来たこともあり、江沢民、胡錦濤とは違う角度で軍に浸透することが出来たからでしょうか、陸軍上位の旧体制の近代化に取り組むと言う名目を掲げ、軍制度改革という偉業に取り組みました。
 ただ。その中に、習近平子飼いの「之江新軍」偏重人事がみられたとの記事の指摘。
 党の重要ポストへの 露骨な側近政治について、党内で不満が膨らんでいて、出世街道を驀進する習の元部下らは今、党関係者の間で「鶏犬昇天」と揶揄されているのだと。
 しかし、軍にも見られる側近偏重人事ですが、従来の軍の体制を崩すことはできても、完全掌握にはいたっていないのだそうです。
 習の肝いりで行われた軍制度改革は、中国の南西方面が手薄になっていることや、命令系統が細分化されたことで、現場から「統制が乱れる」といった批判が続出するなどしていて、新たな5戦区の名称が「東・西・南・北・中部」とマージャンパイのようだということで、軍の一部で「マージャン改革」と陰口をたたかれているのだと。
 国共戦争で内陸での戦いが多かった過去とは異なり、海や空、更には宇宙空間やサイバー戦争の時代に変わった今日。人件費の負担が大きい陸軍を縮小して、新たな戦場への適応への改革は正しい選択で、縮小される部隊などから批判がでるのはやむを得ないことだとは推察します。
 しかし、側近偏重人事に対し、軍内部の反発は水面下で広がっているのだそうで、海軍トップの政治委員に海軍経験が一切ない第31集団軍出身の苗を任命したことを例としてあげ、海軍内の会議で苗が発言すると、「針を落とす音も聞こえるような静けさに包まれる」という。無言の抵抗が行われているのだそうです。
 これは、党、軍、政府のいずれからも、習への目立った反発の声は聞こえてこないことにも通じ、その静けさが逆に不気味に映ると。。

 チャイナセブンの勢力図が、習近平派は、陳敏一爾、韓正上海市党委書記、栗戦書党中央弁公庁主任の3名と習近平の4人。かたや、共青団派が、李克強、汪洋、胡春華の3名で、習近平の独裁化が進められているとの情勢のなかでは健闘していて、しかも、ポスト習近平本命とされてきた胡春華が健在な様子。
 
習政権 次期チャイナセブン案 - 遊爺雑記帳

 このままだと、2022年のポスト習近平の座の行方は、未だわかりませんね。

 
ポスト習近平は習近平 - 遊爺雑記帳
 【続】ポスト習近平は習近平 - 遊爺雑記帳


 # 冒頭の表は、2015年3月時点での、今年秋の党大会人事候補予測




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暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?





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