遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日露でシベリア油田共同開発は、過去の教訓に懲りない目先の利益優先の愚挙だ

2012-06-23 23:58:35 | ロシア全般
 ロシアの極東、シベリアのガス田および関連設備投資に日本が食いつく話が拡大しつつあります。
 エネルギーの中東集中の分散化、納期短縮などのメリットがあるというのですが、サハリン1, 2の開発で苦汁を飲まされた教訓を、政府や優秀な官僚や産業界では忘れたのでしょうか?それとも、自分たちなら、過去の失敗のような愚はしないと自信過剰なのでしょうか。平和条約を破棄して北方領土を不法占拠し、満州も攻め込み、あわよくば北海道もと終戦のドサクサで軍事背信行動を起こした国です。今なお北方領土問題は解決の見通しも見えず、平和条約も結べていません。竹島とならんで、古くからの日本の不法占拠されてしまっている領土問題の解決は、国民の悲願です。
 どう見ても、目先の利益に目が眩んだ愚行としか見えないのですが、欧州の国々が脱露依存を進めていることと合わせ、過去の苦汁の教訓をなぜ活かさないのでしょう。
 
露、今度はサハリン1にも見直し要求 - 遊爺雑記帳
 思い起こすのは、露の条約破棄対日宣戦布告 - 遊爺雑記帳
 
シベリア油田共同開発 中東依存脱却へ前進 「近さ」「低コスト」魅力 (6/23 読売朝刊)

 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)とロシアのガスプロム・ネフチが東シベリア油田の共同開発で合意したことは、ロシアからの原油供給拡大を促進することになりそうだ。原油輸入の約9割を中東に依存する日本にとっては、エネルギーの調達先の多様化は大きな課題であり、ロシア以外にも米国や豪州などとの関係強化も急がれる
。 (滝沢康弘)

■期待
 東シベリアは、サハリンや北極海と並び、未開発の埋蔵資源が豊富な地域とされている。共同開発する油田の生産量は日量数万バレル程度と、日本の原油輸入量の1、2%程度に過ぎない。
 しかし、JOGMECは南シベリアの他の鉱区でも現地企業との開発を目指して調査を進めている。
 東シベリアと極東を結ぶ石油パイプラインも今秋完成する。今回の合意をきっかけに、日露両国の共同開発が加速すれば、日本に運び込まれる原油の量が飛躍的に伸びる可能性がある。
 さらに、
日本への輸送は2日間で済み、「40日程度かかっていた中東産原油より、より機動的に、低コストで輸入できる
」(関係者)という大きな利点がある。

■主導権
 日本がかかわった海外の資源開発の例をみると、2009年に天然ガスの生産が始まったサハリン2では、日本企業が確保した権益は計22.5%にとどまっている。世界最大級の埋蔵量とみられたイラン・アザデガン油田の開発では、日本勢は当初、権益の75%を取得し、大きな原油調達先になる可能性があったが、核兵器開発問題でイラン制裁の流れが強まる中で、権益を返却し、完全撤退を余儀なくされた。
 今回は、ロシア企業とほぼ同等の権益を日本側が確保できる契約内容となっている。日本側は、開発に際して一定の主導権を握ることができる上、確実な原油調達先を確保することにもなる。

■多様化
 政府は、原油の分散調達や安価な天然ガスの確保などに力を入れている。
 欧米と関係が悪化したイランが、大量の日本向け原油が通過するホルムズ海峡を封鎖する構えを見せたことで、「原油調達の不安定さが浮き彫りになった」(政府関係者)からだ。
 
米国では、岩盤の地層などに含まれる安価な天然ガス「シェールガス」
の開発が進み、三菱商事と三井物産が16年にも年間計1200万トン、住友商事と東京ガスが17年にも計230万トンを液化して輸入する計画だ。
 
豪ダーウィンでも、国際石油開発帝石(INPEX)が日本の液化天然ガス(LNG)輸入量の1割を供給するイクシスLNGプロジェクト
を進める。
 日本の電力会社は国際相場と比べて割高に資源を輸入している状況もあり、東シベリア油田の開発が順調に進めば、
「産油国との交渉が優位になる」(経済産業省幹部)との期待がある。


 サハリン1, 2でも「生産物分与協定(PSA)」の契約は交わされていました。
 人跡未踏の極寒の地での開発が進み、リスクが解消し成果が見込めると解ったら、難癖をつけて契約を破棄・改変し横取りされたのです。
 今回契約をしているからと言って、最後まで守られる保証はなにもありません。むしろ過去の実績から、そんな紙屑がロシアとの間に通用すると思っている方が信じられません。

 更に重要なのは、エネルギー安全保障です。
 露への供給依存が高まると、政争の具に使われてその国の経済に大きな影響が出る事例は、何度となく見てきました。欧州の国々は、近くて便利との利点には変えられないと、脱ロシア依存を進めていることは、報道もよくみかげましたし諸兄がご承知の通りです。
 高騰する資源輸出で経済成長を遂げてきたプーチン・ロシアですが、欧州向け販売は減少傾向にあるのです。
 更に、現在の主力ガス田の枯渇が見えてきて、極東や北極圏の厳しい環境下での高度な技術と高コストの開発が迫られているのです。
 その技術、リスクを伴う投資、既存の販路が減少するなか、極東からの新しい販路開拓が必要となってきているのです。
 
露のガス田生産量減 20年後には6割減 - 遊爺雑記帳

 他方、記事に書かれている様に、シェールガスや新規ガス田開発が進んでいて、供給力は拡大し、価格も値崩れが予測されています。欧州各国が脱露依存を進められる所以でもあるのですね。

 日露の関係は、プーチンの「はじめ」発言と、野田氏のそれに応ずる発言で、メドべージェフとかんから菅との関係時よりはよくなったかに見えますが、それは相対的な話であって、プーチン氏も自分が関与した「イルクーツク声明(2001年)」や「日露行動計画(2003年)」を無視して、1956年の「日ソ共同宣言」の二島返還にレベルを戻しているのです。
 プーチン氏自信の基盤も、資源輸出のバブルに支えられ経済の急成長を遂げ、ロシア帝国時代の栄華を取り戻すかに見えた時代とはことなり、弱くなっていて国内世論を重視せねばならなくなっている現状から、「日ソ共同宣言」の二島返還さえおぼつかない状況です。

 天然ガスの供給は、米国が日本への売り渋りをしていますが、カナダでの交渉は進んでいる様ですし、豪での新規プロジェクトもあり、ロシアの安全保障上問題のあるガスを買わねばならない理由はありません。いえ、エネルギー安全保障の見地からは、買ってはいけません。
 高度な開発技術、リスクを伴う投資(開発の他に高コストの開発が、価格が軟化している市場での採算のリスク。現に、中国向けの価格交渉は不調。)と、販売先に苦悩しているのはロシアなのです。
 
 北方領土&平和条約と併せて、日本は待っていればいいのです。ロシアは日本を頼らざるを得ないのです。
 日本も、ロシアの資源に依存するようになってはいけませんが、不法占拠している北方4島を返還するのなら、付き合い程度には買ってあげたり、技術や投資の援助はしてあげてもいいよといった姿勢で接しなくてはいけません。

 政府も官僚も、財界の方々も、解ってはいるけどということかとも思いますが、長く広い視野での国益を考えていただき、戦略を練っていただけるよう、お願いします。




 


 この花の名前は、ハクサンハタサオ  撮影場所;六甲高山植物園


↓よろしかったら、お願いします。







Fotolia



ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交




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