遊爺雑記帳

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中国・李克強前首相が死去 第2の天安門事件となる懸念も 飛び交う

2023-10-29 01:23:56 | 中国 全般
 李克強前首相の死去について、連日となりますがアップをさせていただきます。
 毛沢東の独裁政治の反省で、鄧小平が構築した定年制の集団指導体制の改革・開放経済で経済発展を遂げ、米国に迫る経済大国となった中国。その推進をしたのは共青団派。そして、共青団派を継承していたのが李克強。
 憲法改正して、定年制を無効化し、独裁体制を敷いた習近平の対抗勢力が共青団派。
 さきの党大会での人事で一掃されましたが、その存在は、習近平への少なからぬ圧力となっていた。
 その担い手の李克強の死去は、習近平の独裁化を加速するもので、経済不振にあえぐ中国で、中国の経済発展を担ってきた共青団派の更なる失墜に繋がる李克強の死は、中国経済の不振に歯止めがかからなくなりかねない、すなわち世界経済や安全保障に悪影響を及ぼしかねない出来事と考えていて、中国情報に長けた福島香織さんの解説に接し、連日となる李克強氏死去関連アップをさせていただきました。
 
中国・李克強前首相が死去、民衆の不満に点火し第2の天安門事件となる懸念も 飛び交う「不穏な憶測」、背景に経済政策めぐる習近平との路線対立 | JBpress (ジェイビープレス) 2023.10.27(金) 福島 香織

 中国・李克強前首相が27日、死去した。68歳だった。心臓発作だったという。

 ・習近平国家主席とは政策の違いで対立関係にあったが、今年3月に完全に引退していた。経済の低迷に苦しむ民衆の中には、復活を望む声もあった。

 ・死因については「不穏な憶測」が飛び交う。追悼の動きを当局がコントロールできなければ、政権への不満が顕在化し、第2の天安門事件に発展する懸念もある。


                             (福島香織:ジャーナリスト)

 
今年3月に中国の国務院総理を引退したばかりの李克強10月27日午前零時10分、死去した。中国国営中央テレビ(CCTV)が27日午前8時過ぎ、報じた。享年68

 
李克強は引退後、上海で休養中だった。事情通の話では、26日午前11時ごろ、逗留中のホテル東郊賓館付属のプールで水泳中に突発的に心筋梗塞を起こし、おつきの警衛(ボディガード)が救出してすぐに呼吸器(ECMO)などの措置を取り、近くの曙光病院に搬送。全力での治療むなしく、27日未明に死亡が宣告されたという。

 習近平とは政策の違いであからさまな対立関係にあった
李克強の突然の死に、ネットでは暗殺説、ストレス死説など不穏な憶測が飛び交った鄧小平との権力対立で引退させられた後に病死した胡耀邦の不運を思い出す人もいた胡耀邦の死は、1989年の天安門事件につながる政治事件であった。

 李克強は安徽省生まれ。真面目な秀才肌で、北京大学法律学部卒業、同大経済学院で博士号もとっている。卒業時の成績はトップであったという。

 英国留学の話もあったそうだが、党官僚政治家の道を選んだ。
胡耀邦の創設した若いエリート官僚政治家育成機関、共青団(共産主義青年団)で鍛えられ、頭角を伸ばす。45歳で河南省長となり、最年少省長と話題になった後、河南省書記と遼寧省書記を経て2007年から胡錦涛国家主席(当時)の抜擢で政治局常務委員入りした

 当時の総書記でもあった胡錦涛は李克強を総書記候補にするつもりであったが、
胡錦涛政権vs江沢民院政の攻防の末、2007年の段階で江沢民派が推す習近平が総書記候補、胡錦涛派が推す李克強が首相候補という形に決着がついた。

 首相は2013年から2期10年間、務めた。

習近平と経済政策の方向性で対立
 李克強は北京大学経済博士号も取得しており、その
経済手腕に期待されたが、習近平政権になって鄧小平時代に築かれた集団政治システムが崩され、首相が経済政策、国家主席が政治、外交という役割分担がなくなっていった。その結果、「リコノミクス」ともてはやされた李克強の打ち出す経済政策と、異なる方向性の経済政策を習近平が打ち出すなど、両者の軋轢が目に見える形になった

 
李克強は、習近平が自ら主導した脱貧困政策の成功を喧伝した2020年の全人代(5月)で月収1000元が6億人いる中国の変わらぬ貧困の現実を指摘するなど、習近平の面子をたびたび潰すような発言もした。習近平が共産党の慣例を破って、3期目の総書記・国家主席を務めることになるかどうかが注目されていた2021年から2022年上半期には、李克強が政治局常務委員に残留し首相を続投することへの期待、あるいは国家主席を務める可能性なども取りざたされた。

 
最終的には、経済政策から李克強色が完全に排除され、今年3月の引退は、ある意味、失意の引退とみられていた

 
李克強は今年3月の全人代で、「蒼天有眼!人在幹天在看」(おてんとうさまは見ている)と発言して引退。この時、万雷の拍手があり、その完全引退が惜しまれた

 また、習近平が華北大水害の失策や経済政策の失敗を国内外で指摘されていたころ、8月31日に、李克強が敦煌旅行をして、莫高窟を見学する様子の動画がネットで急に拡散していた。この時、李克強は心身ともに健康な様子で、しかも動画には周囲の観光客や市民が李克強に黄色い声援を送る様子も映り込んでおり、李克強人気の根強さを印象付けるものとなった。

 このころ、ネットでは習近平が失脚し李克強が復活すればよいのに、という意見が少数ながら散見されていた。

死因についてネットで憶測が飛び交う
 
習近平第3期目が始まって以降、中国経済の激しい低迷、国際社会での孤立、相次ぐ大災害などで、国民生活の不満が高まっているさらに外相、国防相が相次いで失脚、解放軍の原子力潜水艦事故の噂、非常識な台湾への挑発行動が問題視されるなかで、東欧、中東で戦争が勃発し、習近平の「戦争準備」発言など好戦的な姿勢への懸念も党内外で出ていた

 
こうした中で、李克強の復活待望論が水面下で盛り上がっていたことは想像にかたくない。李克強は上海で休養中であったが、医療関係者の話では健康状態、精神状態はすこぶるよく、水泳が趣味でよく泳いでいたようだった。この李克強の突然の訃報は、李克強のカムバックによって、中国を立て直すという一部党内の淡い期待も消えてしまった

 中国のネット上では、この李克強の心臓発作を「被心臓病発」(心臓発作させられた)という表現を使う投稿もあった。これは心臓発作ということにして、李克強が何者かに消されたのではないか、という憶測だ。また、こうした暗殺陰謀説ではなく、李克強の現役時代、習近平に対する李克強への「いじめ」があり、そのストレスが死因になったのではないかと考え、李克強の早死には習近平のせい、という見方をする声もあった。

 あるブログでは「上海は先端医療水準が一番高い都市。68歳で死ぬのか。死因は『1カ月1000元6億』(李克強の発言)だろう」といったコメントを投稿し、李克強の死を悼む文章を投じていた。

 李克強死去の在外華字サイトのニュースに付くコメント欄では、「残念だ。もっとも好きな政治家だった」「逝くべきでない人が逝った」「死去させられた!」「心臓発作させられた!」「これで習大大は気に入らない人物を完全排除できた」「水は非常に深い(真相は深いものがある)」「彼は知りすぎたのだ」「習近平はデスノートをもっていた?」「中共は毒殺の手法で心臓発作を起こすことはよくある。だがそれはニュースではない」「共産党幹部は毎年臓器を変えて長生きするのに、68歳は若すぎる死だ」「ウィニー・プー(注:くまのプーさん=習近平のことを指す)のせいだ」といった声が並んでいた。

 こうした
様々な憶測を中国国内に巻き起こしているのは、それだけ習近平政権に対する不満が民衆の間に蓄積してきているということだろう

天安門事件の契機となった胡耀邦の死と類似
 
李克強の死から胡耀邦の死を連想する人もいた

 
在米華人評論家の鄭旭光はラジオフリーアジアにこうコメントしていた。

李克強に対して当局がどのように評価するかは、民間がどのように反応するかも関係する」「訃報に関する当局の表現が悪かったら、おそらく大きな問題がおきる。なぜなら、この李克強の死は胡耀邦の死の状況とよく似ているからだ。李克強の死のタイミングは習近平に大きな問題をもたらしかねない

 
1989年の天安門事件につながる学生の民主化運動は、鄧小平に失脚させられた胡耀邦の失意の中の病死がきっかけだった追悼に集まった学生たちから、民主化希求の運動に発展し、最終的に鄧小平の命令による武力鎮圧事件、6月4日の「天安門事件」の虐殺となった

 このため、李克強の死を公式発表する「訃告」の扱い、表現の仕方によっては、民衆から強い反応が出る可能性がある。
習近平の政治に対する水面下の不満が、李克強の死を悼むという民衆の行動になった場合、その民衆の反応をコントロールできるかどうかによっては、天安門事件の再来につながる可能性もあるかもしれない

 合掌。

 習近平とは政策の違いであからさまな対立関係にあった李克強の突然の死に、ネットでは暗殺説、ストレス死説など不穏な憶測が飛び交った。鄧小平との権力対立で引退させられた後に病死した胡耀邦の不運を思い出す人もいた。胡耀邦の死は、1989年の天安門事件につながる政治事件であったと、福島さん。

 李克強は、胡耀邦の創設した若いエリート官僚政治家育成機関、共青団(共産主義青年団)で鍛えられ、頭角を伸ばす。
 2007年から胡錦涛国家主席(当時)の抜擢で政治局常務委員入りした。
 胡錦涛は李克強を総書記候補にするつもりであったが、胡錦涛政権vs江沢民院政の攻防の末、2007年の段階で江沢民派が推す習近平が総書記候補、胡錦涛派が推す李克強が首相候補という形に決着。

 李克強は、その経済手腕に期待されたが、習近平政権になって鄧小平時代に築かれた集団政治システムが崩され、首相が経済政策、国家主席が政治、外交という役割分担がなくなっていった。その結果、「リコノミクス」ともてはやされた李克強の打ち出す経済政策と、異なる方向性の経済政策を習近平が打ち出すなど、両者の軋轢が目に見える形になったと、福島さん。

 李克強は、習近平が自ら主導した脱貧困政策の成功を喧伝した2020年の全人代(5月)で月収1000元が6億人いる中国の変わらぬ貧困の現実を指摘するなど、習近平の面子をたびたび潰すような発言もしたと。

 習近平が共産党の慣例を破って、3期目の総書記・国家主席を務めることになるかどうかが注目されていた2021年から2022年上半期には、李克強が政治局常務委員に残留し首相を続投することへの期待、あるいは国家主席を務める可能性なども取りざたされた。
 最終的には、経済政策から李克強色が完全に排除され、今年3月の引退は、ある意味、失意の引退とみられていた。
 李克強は今年3月の全人代で、「蒼天有眼!人在幹天在看」(おてんとうさまは見ている)と発言して引退。この時、万雷の拍手があり、その完全引退が惜しまれたと、福島さん。
 
 習近平第3期目が始まって以降、中国経済の激しい低迷、国際社会での孤立、相次ぐ大災害などで、国民生活の不満が高まっている。さらに外相、国防相が相次いで失脚。
 非常識な台湾への挑発行動が問題視されるなかで、東欧、中東で戦争が勃発し、習近平の「戦争準備」発言など好戦的な姿勢への懸念も党内外で出ていた。
 
 こうした中で、李克強の復活待望論が水面下で盛り上がっていたことは想像にかたくないと、福島さん。
 この李克強の突然の訃報は、李克強のカムバックによって、中国を立て直すという一部党内の淡い期待も消えてしまったと。

 中国のネット上では、この李克強の心臓発作を「被心臓病発」(心臓発作させられた)という表現を使う投稿もあった。これは心臓発作ということにして、李克強が何者かに消されたのではないか、という憶測だ。また、こうした暗殺陰謀説ではなく、李克強の現役時代、習近平に対する李克強への「いじめ」があり、そのストレスが死因になったのではないかと考え、李克強の早死には習近平のせい、という見方をする声もあったと、福島さん。
 様々な憶測を中国国内に巻き起こしているのは、それだけ習近平政権に対する不満が民衆の間に蓄積してきているということだろうとも。

 李克強の死から胡耀邦の死を連想する人もいた。
 在米華人評論家の鄭旭光は
 「李克強に対して当局がどのように評価するかは、民間がどのように反応するかも関係する」「訃報に関する当局の表現が悪かったら、おそらく大きな問題がおきる。なぜなら、この李克強の死は胡耀邦の死の状況とよく似ているからだ。李克強の死のタイミングは習近平に大きな問題をもたらしかねない」
 とコメント。

 1989年の天安門事件につながる学生の民主化運動は、鄧小平に失脚させられた胡耀邦の失意の中の病死がきっかけだった。追悼に集まった学生たちから、民主化希求の運動に発展し、最終的に鄧小平の命令による武力鎮圧事件、6月4日の「天安門事件」の虐殺となった。

 習近平の政治に対する水面下の不満が、李克強の死を悼むという民衆の行動になった場合、その民衆の反応をコントロールできるかどうかによっては、天安門事件の再来につながる可能性もあるかもしれないと、福島さん。

 習近平の李克強氏の死への対応に、要注目ですね。
 
 共青団派のホープで、かつては次期国家指導者の呼び声も高かった胡春華は、今回の人事でヒラの中央委員に降格となっていますが、習近平に恭順の意を示していると、見聞した記憶もありますが、動向が注目されます。
 胡副首相は投票参加できず 中国新首相に李強氏:北海道新聞デジタル



 # 冒頭の画像は、中国共産党大会の閉幕式を途中退席する胡錦濤前総書記(後ろ中央)と李克強前首相(前左)、習近平総書記(前右)(2022年10月22日、北京の人民大会堂)



  ノハラアザミとホウジャクスズメガ
 

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