遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

日露首脳会談 経済優先のロシアにメリット

2013-04-30 18:04:28 | ロシア全般
 日露首脳会談が行われ、いろいろな評価がなされています。
 両首脳が顔合わせする場所へ、ドアが開いて最初に登場したのがプーチン氏で、プーチン氏が待っていると安倍首相が登場して握手をしました。勢いよく出てきたプーチン氏の顔が一瞬曇った様に見えたのは、遊爺の気のせいでしょうか。段取りは事前打ち合わせされているはずですから、プーチン氏が先に登場するのは決まっていたことのはずですよね。
 遊爺が一番ひっかかったのは、会談後の記者会見です。北方領土に重きを置く安倍首相の説明に対し、プーチン氏は経済問題に重きをおいて説明しいてたとの報道でした。お互いが、目的に対する成果を強調するのは当然ですが、かねての経済先行論のロシア側の主張がメインの会談だったと感じさせられました。
 

10年ぶり日露共同声明 見えぬ道筋 首相「魔法の杖ない」 (4/30 産経)

 安倍晋三首相は10年間停滞した北方領土交渉の「加速化」でプーチン大統領と合意にこぎつけた。接点の見いだせない事務レベル交渉に見切りをつけ、自ら乗り込むトップ外交で突破口を開いた形だ。首相は波状的な首脳会談で交渉を進展させたい考えだが、2島返還で決着を図るプーチン氏の姿勢に変化はなく、日本が求める「4島返還」への道筋はなお描けていない

 首相は会談後のプーチン氏との共同記者会見で、平和条約交渉について「直接取り組み、解決に全力を挙げる」と述べ、トップ外交による交渉進展に強い意欲を示した。
 しかし、
事前の事務レベル調整でのロシア側の姿勢は強硬で「歯舞群島、色丹島の2島返還どころか『返還ゼロ』ベースの構えだった
」(外務省幹部)。首相も、周辺に「予想以上に固い」と漏らすほど。領土交渉の立て直しには暗雲が立ち込めていた。
 だが、プーチン氏も日本を袖にできない事情を抱えていた。米国発のシェールガス革命で、天然ガス輸出は行き場を失いかねない。開発の遅れた極東地域は10年で人口を60万人減らし、東北3省の人口が1億人を超えた中国に、ロシアは脅威を感じ始めた。
 「
極東シベリアで中国の影響力を抑えきれない。日本企業に積極進出してほしい
」。露有力政治家が打診してきたことに首相は着目した。「エネルギー協力拡大」との表現でガス輸入の積み増しに含みを持たせ、インフラや都市環境の整備も掲げ、領土交渉で足並みをそろえさせたのだ。
 ただ、首相は共同記者会見で「戦後67年以上たっても解決しない問題を
一気に解決していく魔法の杖(つえ)は存在しない
」とハードルの高さを認めた。具体策を見いだすのは難しく、「3島返還論」などの妥協案が日本側でも取り沙汰される。
 さらに、首相が言うように「首脳の決断なしには解決しない」のは事実だが、前回政権時に比べ政権基盤が盤石とはいえないプーチン氏は「大胆な譲歩には踏み切れない」(政府高官)との見方も根強い。
 
今回、協定や覚書を交わした経済協力分野は、シベリア開発などロシア側のメリットが大きい領土交渉で前向きな姿勢を示したとはいえ、妥結の時期は明示されず、「進展」の実効性が担保されたとはいいがたい。「肩すかし」にあわないよう、首相はプーチン氏の出方を慎重に見極める必要がある。(モスクワ 半沢尚久、佐々木正明)


 日露の平和条約締結交渉は、ロシア(含旧ソ連)が経済援助先行を主張し、日本は領土問題との平行または領土問題先行を主張してきましたが、常に領土問題のニンジンを鼻先にぶら下げられて、領土問題での具体的成果がないままに推移していました。

 ただ、今回はメドベージェフ元大統領がぶち壊した過去の交渉の積み重ねを、メドベージェフの国後島上陸以前に引き戻したことは、民主党の歴史的大失政をようやく挽回できたことで、先ずひとつの成果はあったと言えます。
 ついで、もう一つの成果は、中国牽制の両国の利害一致が確認できたことです。
 3月22日に就任後の初の外遊先にロシアを選定し、「核心的利益に抵触する諸問題で、双方は互いを断固として支持する」と、尖閣や北方四島の領土問題で共闘する旨の文言を、これまで共闘の誘いを無視してきたロシアを抑えて共同声明に盛り込んだばかりの習近平に対しては、それを反故にするとも言えなくはない日露の会談内容で、強い牽制となったことは評価できます。
 もっとも、ロシアはそれほど言うことが信頼できない国であることの証明でもありますが。。
 中露首脳会談 「戦略的関係」を誇示 「核心的利益」協力でも一致+(1/2ページ) - MSN産経ニュース

 同盟を結んでいる日米、安保共同宣言を交わしている日豪の2国以外で3国目となる、2 + 2会談の設定も、大きな牽制になりますね。

 その信頼できないロシアのこと。記事の中で「肩すかしにあわないよう」と指摘し、更に「主張(=社説)」でも重ねて「ロシアが経済協力だけを積み上げて領土問題を棚上げにする最悪の事態を許さぬため、交渉の推移をつぶさに見て、臆せず注文をつける必要がある」と念を押していますが、とても重要なことで、同行した企業にもよくよく目先の利益のために国益を損なうことがない様、タガをはめておいていただきたいことです。
 勿論、経済支援は北方領土交渉と並行して進めねばなりません。北極圏や極東の資源の開発への支援を急ぐのも、開発した資源の新たな販路開拓を迫られているのもロシアであって、TPP参加でシェールガス輸入の見込みがついた日本は、急ぐ必要はさらさらないのですから。
 
【主張】日露首脳会談 かけ声倒れは許されない - MSN産経ニュース
 【日露首脳会談】ロ大統領、会見でいら立つ 北方領土の外国企業活動問われ - MSN産経ニュース

 安倍首相や外務省は、腰を据えて焦らず、一筋縄ではいかないロシアを念頭に交渉をすすめ過去の失敗を繰り返さない様お願いします。
 ただ、プーチン大統領の他には、領土問題の交渉が出来そうな人材が見当たらないのも事実ですね。



 # 冒頭の画像は、記者会見する日露両首脳






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ソ連が満洲に侵攻した夏 (文春文庫)
誰がメドベージェフを不法入国させたのか-国賊たちの北方領土外交



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