遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

中国の海洋戦略

2006-03-19 18:57:35 | 東シナ海ガス田
 東シナ海の石油ガス田開発をめぐる日中協議の続きです。
攻撃が最大の防御式の外交姿勢で尖閣を持ち出し、尖閣諸島は中国の領土だけど、共同開発にしてもよいといった論法と書いていましたが、産経の3/17朝刊で、『中国「領土問題」認知狙う スキ与えた日本』という記事で、中国の海洋戦略に対する日本の有効な対策の遅れを解りやすくまとめて書いてありました。

 
東シナ海ガス田開発
中国「領土問題」認知狙う スキ与えた日本

 東シナ海の石油ガス田開発をめぐる日中協議で、中国が日本固有の領土である尖閣諸島付近を含む海域の共同開発を提案したことで、東シナ海を「中国の海」とする中国の意図が明確になった。日本側は「相いれない」(麻生太郎外相)との立場だが、日本の“甘さ”に乗じて中国が一層、強硬姿勢に出ている面が強い。資源問題や領土問題で武力行使も辞さずという中国の海洋戦略に対し、日本は有効な対策をとれていない。

 中国が「尖閣」を持ち出してきたのは「日本の拒否は織り込み済み。尖閣諸島の帰属を領土問題として日本に認知させる狙いがある」(政府関係者)との見方が強い。
 中国は一九七四年、当時の南ベトナムが領有していた西沙諸島を軍事力で奪った。南沙諸島でも武力を行使し、八八年にはベトナム海域のサンゴ礁に観測所を建設。九五年にはフィリピンが領有権を主張していたミスチーフ環礁に海軍艦艇を派遣し占拠した。共通項は、「米軍が後退して軍事力の空白地帯が生まれるやいなや占領に動いた」(日中関係筋)ことだ。
 中国は、尖閣諸島が米国の施政下にあったときには沈黙していたが、国連アジア極東経済委員会が六九年に東シナ海での石油埋蔵の可能性を指摘すると、七〇年に尖閣諸島での領有権を主張。九二年には、領海法を制定し「東シナ海は中国の海」の既成事実化を進めた。

■お墨付き
 「西沙諸島などでの動きを注視していたら、中国が東シナ海でも同じ行動に出てくるのは容易に予想された」(経済産業省筋)。現実に中国は七〇年代から東シナ海での資源探査に乗り出し、八〇年代から日中中間線付近で二十カ所以上の試掘を実施している。
 日本は九六年に国連海洋法条約を批准し、東シナ海に日中中間線を画定したが、中国は沖縄トラフ(海溝)まで排他的経済水域(EEZ)が及ぶと主張、中間線を一切認めようとしていない。
 中国は九〇年半ば以降、東シナ海での海洋調査を本格化させ、海軍の情報収集船が二〇〇〇年五月から六月にかけて本州、四国、九州の周辺海域を一周した。外務省は翌年二月、事前通報があれば「科学的調査」に限って中間線越えの調査を認めることで中国側と合意したが、「中国の活動にお墨付きを与えてしまった」(与党幹部)。政府が三十年以上も日本企業に東シナ海での資源開発を禁じる一方、隣国の傍若無人な振る舞いを見逃してきた背景には「中国を刺激したくない」という過剰な“配慮”があった。

■威嚇行動
 一昨年十一月、中国の原子力潜水艦が先島諸島周辺の日本領海を侵犯する事件が発生。昨年九月には白樺ガス田付近に海軍のミサイル駆逐艦など五隻が航行する威嚇行動があった。今月には、国産空母の建造計画を進めていることも判明した。
 ガス田周辺での航空戦力の活動拡大も顕著だ。本土防衛のため領空より広く設けられた日本の防空識別圏に侵入する中国機はこの一年間で急増。三年前は二回だったが、今年度は上半期だけで三十回を超えた。
 防空識別圏侵入には航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対処したが、実はここで政府内の齟齬(そご)が生じた。防衛庁はスクランブル事案発生ごとに公表することを計画。「自衛隊の『実任務』と東シナ海での中国の動向を国民に伝えるべきだ」(防衛庁幹部)と判断したためだが、外務省が「首相の靖国参拝で日中関係がこじれているときに中国を刺激するのはまずい」と横ヤリを入れ、公表は実現していない。
 ガス田周辺での中国の軍事活動は「日本が試掘に入れば軍事的な妨害も辞さないという示威行動」(自民党国防関係議員)との見方も強い。だが、日本のEEZ内のガス田周辺で軍事衝突となった場合、自衛隊をどう運用するか政府の腰は定まっていない。

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■東シナ海の石油ガス田をめぐる動き
 昭和
 44年  ・国連アジア極東経済委員会が報告書で尖閣諸島周辺に石油埋蔵の
      可能性指摘
     ・帝国石油が東シナ海での試掘を申請
 45年  ・中国が尖閣諸島の領有権を主張
 47年  ・沖縄返還で日本に尖閣諸島の施政権が戻る
 53年 4月・武装した中国船100隻以上が尖閣諸島周辺に集結し、領海侵犯
   10月・日中平和友好条約調印。トウ小平副首相が尖閣諸島の領有権問題
      先送りを提案
 平成
  8年  ・日本と中国が国連海洋法条約を批准
 15年 8月・中国が日中中間線に近接する中国側で白樺石油ガス田開発に着手
 16年 3月・中国の活動家7人が尖閣諸島に不法上陸。沖縄県警が逮捕後、強
      制退去処分に
    6月・日中外相会談で日本は中国に中国側の鉱区設定のデータ提供を要
      請。中国側は共同開発を提案
   10月・ガス田開発に関する初の日中局長級協議
17年 5月・第2回局長級協議で日本側が中国側に開発の中止と地下構造デー
      タの開示を要求。中国側は同意せず
   7月・経産省が帝国石油に試掘権を与える
    9月・中国の最新鋭駆逐艦など5隻の軍艦が白樺ガス田周辺を航行
     ・中川昭一経産相が樫石油ガス田の生産開始を発表
    ・第3回局長級協議。日本側が白樺・樫など4カ所のガス田で共同
      開発提案
18年 2月・二階俊博経産相が中国の温家宝首相と会談
    3月・第4回局長級協議。中国が日本の共同開発案を拒否し、尖閣諸島
      付近と日韓大陸棚共同開発区域での共同開発を提案

                   ※肩書はいずれも当時

 70年代から西沙諸島を奪ったり、尖閣諸島の領有権を主張し始めたりし、ねばり強く、しつこく、厚かましく活動し、軍事力を増強させその発言や行動の裏に鎧をちらつかせ、西沙、南沙諸島では武力を実際に行使して海洋資源確保を進めてきています。
 そして今、東シナ海ガス田、尖閣諸島に標準を向けてきています。
  (台湾のほうも、風雲乱れ始めていますが...。)

東シナ海のガス田については、白樺(春暁)の本格操業開始直前の今、目を尖閣領土問題に向け、どさくさで開始しようと云うことも考えられますが、ここまで完成したものを、共同開発に戻せと今更云われてもというのが中国側でしょうし、ここまで放置していた日本は、大きなハンディ(過去の政治家の先送りのつけ)を背負った、軍事力や、対等の実績や資源調査データを持たない交渉ですから、妥結に至る道はどう考えても厳しい者があります。
 ただ、このようになし崩しに既成事実を重ねて主張を実績に変えていくのが中国の海洋政策なのだとすれば、こちらもねばり強く、しつこく反論し国際舞台に通用する科学的、法的主張で世論の賛同を得て行かねばなりません。そのための政府やマスコミの活動が期待されますが、二階経産相の動きは逆行しているとしか考えられません。
 福田、中曽根も、中国に隷属してしまっている韓国大統領に会いに行ってなにやら妙な言動をしています。

 また、遠くから正義を唱えていても、資源や領海、領空、領土は刻々と奪われつつあるわけで日本側での実績造りが急務です。
 東シナ海ガス田のEEZ日本側は、日本が開発しているという実績(日本までパイプラインを引くのが難工事?)と、この活動の安全を確保する抑止力の整備・増強が必用です。

 急増している領空侵犯の中国空軍機に対して、自衛隊法の「武器などの防護」の解釈を適用して、パイロットの権限で正当防衛の応戦が可能となる様検討されていましたが、更に、海自の護衛艦などの「武器などの防護」の解釈を適用する方向になったそうです。(3/17産経朝刊)
 南沙諸島や西沙諸島の領有権をめぐり、中国が行った軍事演習の繰り返しによる実効支配を固めた事に対し、防衛庁がこの事実を念頭に早急な検討が必要と判断したのだそうです。
 竹島の前例を繰り返してはいけません!

 ただし、ガス田では最初に遭遇するのは海上保安庁の巡視船となるため、この自衛隊法の解釈は適用できないのだそうです。
 EEZ内の、日本の施設(艦船を含むかは未確認)の一定距離以内に近づく脅威からの正当防衛の行使を立法化する話も見かけました。

 休むことなく、ねばり強く、ある時は陽に、ある時は陰にひたひたと広げてくる覇権拡大と、海洋領有政策への対抗手段は、遅きに失しているとは云え挽回のあらゆる手段を講じて行かねば、来年の今頃は、尖閣諸島を返してと唱和していなくてはならなかったりしかねません。国内の、部分最適(全体には不最適)の議論に明け暮れている時間はないのです。
 普天間基地移管では、トンネルの出口が見え始めたニュースもありました。
 本土のほうは...。

 国際舞台では、日米豪が、中国の覇権包囲での合意(直接表現は避けた)が出来たのだそうですね。(3/19読売朝刊)

 


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中国はなぜ「反日」になったか  日本は国境を守れるか


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2 コメント

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はじめまして (cassand)
2006-03-19 20:21:44
TB有難うございました。

日本もやっと重い腰を上げたな、と個人的に考えていますが、まだまだ勢いが足りないかもしれませんね。

中国は狡猾なので、油断出来ませんね…

個人的な意見ですが、失礼致します。
Re:はじめまして (遊爺)
2006-03-19 21:25:05
cassandさん、こんばんは。



>日本もやっと重い腰を上げたな、と個人的に考えていますが、まだまだ勢いが足りないかもしれませんね。



 ようやく過去の「先送り、ことなかれ主義外交」から流れが変わろうとしていますね。

 一方、小泉政権の終了期限が近づくにつれ、昔に戻そうとする勢力が、隠れ家からはい出して来つつあります。国のことより、自分のことを考える政治家達です。

  皆でチェックする必用がありますね。

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