遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

減速する中国経済 地方公共投資が頼みの綱

2012-07-31 23:54:48 | 中国 全般
 中国のGDP成長率が、実質7.5%に低下したことは諸兄がご承知のとおりです。中国経済は、GDP成長率7%を維持しないと破綻すると以前は言われていたと記憶していますが、最近では8%のラインを唱える声も聞かれます。
 「中所得国の罠」という言葉が、世界銀行の2007年にまとめた報告「東アジアのルネサンス」で登場し脚光をあび、中国の行方が注目されていました。一人当たりGDPが、5,000ドル前後の国を「中所得の国」と呼び、貧富差拡大や汚職、都市のスラム化など難題に直面、長期停滞に陥ることを指すのですが、そこを乗り越えて10,000ドル台の高所得国に成長したのは韓国やシンガポール、台湾などがあります。
 所得の低い農村部を含めた全体で、5,000ドルを超えた(都市部の工場の賃金はもっと高くなっている)中国が、「中所得国の罠」にはまらず、輸出依存の体質から内需による成長を遂げるために、政府の公共投資を続けてきましたが、EUショックの低迷の今、地方による公共投資に活路を求めたのですね。

 
陰りが見え始めた中国の景気、新指導部は大型投資を実行できるか| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
 「中所得国の罠」に陥った中国経済はどこへ向かう| nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
 
中国、地方に公共投資の波 成長鈍化…バブル再燃懸念も (7/31 産経)

 
【北京=山本勲】中国経済の低迷打開をめざし、ここへきて地方政府が相次いで1兆元(約12兆円)規模の巨大開発計画を打ち上げ始めた。中国政府は2008年秋の4兆元(約48兆円)超大型景気対策で世界同時不況からのV字回復を果たしたが、その後は不動産バブルや不良債務激増などの後遺症に苦しんでいる。それだけに中央主導の大型景気振興策には慎重だったが、今回は地方の省・市中心に公共事業拡大の動きが出てきた。だが主な資金源は国有銀行融資だけに、バブル再燃や国の債務負担を深刻化させるとの批判も多い。

 30日の中国各紙報道によると、巨大計画を打ち出したのは浙江省寧波市、江蘇省南京市、湖南省長沙市の3市。
 先駆けは寧波市で16日、減税、投資拡大、産業構造転換など、26項目から成る景気刺激策を発表した。続いて23日、南京市が内需(投資と消費)拡大のため休日を設けたり、不動産、自動車、教育・文化などの消費に対するさまざまの振興・優遇策をまとめた。
 長沙市は26日、総投資額約8300億元(約10兆円)にのぼる交通、インフラ(産業基盤)整備などの総合的都市改造計画を発表した。貴州省では総投資額は3兆元(約36兆円)にのぼるとの推測記事もある。
 仮に国務院(中央政府)がこれら一部遂行を認めると、追随の動きが全国に広がり09年からの投資バブル再燃の可能性が大きい。前回の刺激策後には地方政府の不良債務が10兆7千億元(約130兆円)にのぼり、銀行経営や国家経済に大きな重圧となっている。それだけに今回の地方の景気対策は「中国経済にとり、
景気後退よりさらに危険で警戒すべき
だ」(著名エコノミストの馬光遠氏)との声が多い。

 だが今秋から来春にかけては次代の党・政府指導部人事を控えた重要な年だ。4~6月期の国内総生産
(GDP)成長率は7・6%と3年ぶりに8%を下回ったが、ユーロ危機などによる輸出や国内消費の伸び悩み
で、企業収益も急速に悪化している。
 
幹部の腐敗や所得格差の拡大
に国民の怒りが高まっているだけに、景気のさらなる下降は社会不安の火をつけかねない。そこで当面の失速防止には公共事業に頼らざるを得ない。

 温家宝首相もここへきて「雇用情勢の悪化」に強い懸念を表明。今年の鉄道建設投資計画を積み増したり、鉄鋼業の新工場建設を相次ぎ認可するなど、社会と政治の安定を意識した経済運営に転換している。このため地方主導の景気振興策も制限付きで認める可能性がありそうだ。


 公共投資での景気対策は、日本でも世界の国々でも行われてきたことですが、財政出動となることで、国の財政負担をともなうことから、常にその局面ごとに賛否両論があることは、諸兄がご承知の通りです。
 2008年のリーマンショック時に大型の財政出動をし、その後遺症が残る中での再度の財政出動。バブルの再燃とその崩壊での不良債権増、財政悪化の危険を指摘する声もある由。
 
 国民の為には、「中所得国の罠」から脱却して「高所得国」の仲間入りを果たさねばならず、依然、安価での輸出に依存する部分が大きい経済構造との矛盾に悩む中国。
 再度の公共投資が、国内経済の自立安定に寄与するのか、安値輸出から脱却し、「高所得国」へ脱皮できるのか。
 貿易への依存が低くはない日本。増税以外でも税収増加策が求められている日本にとっても、対岸の火事どころか自分の足元も危うくなっている今、叡智が求められています。
 民主も自民も公共投資の増加を持ち出してきていますね。



 # 冒頭の画像は、政府公共投資依存型経済への転換で進められた、2010年頃の上海のビル建設





  この花の名前は、ストロベリートーチ



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中国は日本を併合する
続 中国の海洋戦略




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