遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

朝日 第三者委 強制性論議はすりかえ

2014-12-23 22:13:08 | 慰安婦問題
 慰安婦問題の朝日の誤報修正に関する、朝日が設置した第三者委員会の報告書が公表されました。朝日が設定した委員会ということで、期待していませんでしたが、想定外の厳しい指摘でした。
 最も讃唱したいのは、朝日が強制性について論点のすり替えをして、今後も継続して追及する姿勢を示していることに、そのすり替えの姿勢を指摘し否としたことです。誤報の過去の検証にとどまらず、今後の朝日の姿勢についても言及されているところに感心しました。
 主要各紙が取り上げていますが、社説で論じているのは、読売と産経でした。
 
【主張】朝日慰安婦報道 日本人の名誉を回復せよ 事実で歴史問題を伝えたい - 産経ニュース
 朝日慰安婦報道 指弾された「強制性」すり替え : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
 
「強制連行 率先し報道」 「慰安婦」第三者委報告 朝日の検証軽視 指摘 (12/23 読売 スキャナー)

 朝日新聞社のいわゆる従軍慰安婦問題を巡る報道を検証する第三者委員会が22日公表した報告書は、同社の報道姿勢を厳しく批判する内容となった。「特定かつ一部の専門家や情報源に過剰に頼る傾向」があったなどとし、先入観に基づく報道を戒めた。慰安婦問題を政治問題化しようとする同社の意図があったとも結論づけた
。(政治部 栗林喜高)

議論すり替え
 「
先にキャンペーンありきで、事実は都合の良いところだけ付け足していくという企画記事に対する反省を促したい

 第三者委員会委員で外交評論家の岡本行夫氏は22日の記者会見でこう述べ、朝日新聞の一連の慰安婦報道の誤りの背景には、事実の検証を軽視した姿勢があると指摘した。
 朝日は1993年頃まで、現在の韓国・済州島チェジュドで慰安婦の強制連行を実行したとする吉田清治氏(故人)の「証言」などに基づき、慰安婦が組織的に強制連行されたかのような記事を頻繁に掲載した。朝鮮半島では、「慰安婦狩り」のような強制連行(狭義の強制性)が旧日本軍によって組織的に行われた事実が確認できなかったこともあり、朝日への批判が強まると、97年3月31日の特集記事で、吉田証言については「真偽は確認できない」と修正した。しかし、強制連行そのものについては、一部の学者の主張に沿って、民間業者が甘い言葉で誘ったり、だまして連れて行ったりする事例でも「本人の意思に反して慰安所で働かされたり、慰安所にとどまることを物理的、心理的に強いられたりした場合は(広義の)強制があったといえる」と新たな主張を展開した。

 こうした点について、報告書は、「80年代以降、『狭義の強制性』を大々的に、かつ率先して報道してきたのは、朝日新聞である」とし、そうした事実に触れずに、慰安婦問題の本質は「広義の強制性」にあるとした朝日の論調は、「議論のすりかえ」だと批判した。

誤解招く記載

 朝日が91年8月11日朝刊(大阪本社版)などで、元慰安婦の金学順キムハクスンさんの証言を報じた記事についても、本人は、宴席で芸事を披露するキーセンの養成所に身売りされたうえ、だまされて慰安婦になったとしていたのに、事実と異なって「女子挺身ていしん隊」や「連行」という言葉を用い、「強制的に連行されたという印象」を与えたと認定。「安易かつ不用意な記載であり、読者の誤解を招くもの」と指摘した。

 朝日が記事で、金さんがキーセン養成所にいた事実に触れなかった点についても、「事案の全体像を正確に伝えなかった可能性はある」との認識を示した。

 「吉田証言」を巡る朝日の対応について、報告書は、現代史家の秦郁彦氏の調査などで虚偽の疑いが濃厚になった92年以降も、「吉田証言について引用形式にするなどの弥縫びほう策をとったのみ」だと指弾。97年の特集記事の段階で、「訂正または取り消しをすべきであった。さらに、必要な謝罪もされるべきであった」とした。朝鮮人男性の強制連行などについて吉田氏の「証言」に基づいて書かれた記事についても、取り消しなどを念頭に「適切な処置」を求めた。

「政治問題化を企図」 首相訪韓直前の記事

 慰安婦問題が外交問題に発展したきっかけは、朝日新聞が92年1月11日朝刊の1面で大きく掲載した、慰安所設置などに軍の関与を示す資料が見つかったとする記事だ。

 1月中旬の宮沢喜一首相(当時)の訪韓直前だったことから、韓国の反日世論が激化し、宮沢首相は首脳会談などで謝罪を繰り返した。第三者委は、この記事が首相訪韓直前のタイミングを狙ったかどうかは「もはや確認できない」とする一方、記事の内容から「慰安婦問題が政治課題となるよう企図」したことは明らかだと結論づけた。

 また、朝日の記事の本文では「強制連行」に触れていないものの、「従軍慰安婦」を「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した」とする用語説明の短い記事が添付されていた。報告書は「読者の誤解を招くもの」で「まとめ方として正確性を欠く」とした。

国際社会への影響
 日韓関係を超え、国際社会全般に与えた朝日報道の影響については統一的な見解は示さず、4人の委員がそれぞれの立場から記した3種類の報告を採用した。

 岡本行夫氏と国際大学長の北岡伸一氏の報告は、「朝日新聞が慰安婦問題の誇張されたイメージ形成に力を持った」と指摘した。

 岡本氏らは、韓国内での慰安婦問題に関する過激な主張を朝日新聞などの日本の新聞などが報道することで、「いわばエンドース(裏書き)してきた」と認定。韓国内で誤った主張がなされても、それを日本のメディアが無批判に報道すると、外国から見れば韓国の主張が正しいと見られかねないというわけだ。

 ただ、米国で「日本軍が計画的に女性を拉致し、強制的に従軍慰安婦にした」というイメージが定着しているが、朝日新聞の報道が「大きな影響を及ぼした証拠も決定的ではない」とも指摘し、直接的な影響が大きいとは断定できないとした。


 肝心要の朝日の記事は、淡々と報告の内容を報じていますが、吉田証言の記事を取り消した時に謝罪をしなかったのは、紙面で取り消すことを木村前社長が反対したのが理由とし、池上氏のコラムの掲載拒否をしたのも木村前社長の判断だとの報告を載せています。
 悪いのは木村前社長のせいだと...?
 
取り消しの遅れ批判 「吉田証言」巡る朝日新聞社慰安婦報道、第三者委が報告:朝日新聞デジタル

 慰安婦報道が国際社会に与えた影響については、三つの報告が併記されたとして具体的に委員の名前も明らかにして以下の様に報じています。
 

 慰安婦報道が国際社会に与えた影響については、三つの報告が併記された。岡本行夫、北岡伸一両委員は報告で、朝日新聞の報道が「韓国における慰安婦問題に対する過激な言説をいわば裏書きし、さらに過激化させた」などと指摘。
 一方、波多野澄雄委員は報告で「朝日新聞の吉田氏に関する『誤報』が韓国メディアに大きな影響を及ぼしたとは言えない」。林香里委員は報告で「朝日新聞による吉田証言の報道、および慰安婦報道は、国際社会に対してあまり影響がなかった」とした。

 波多野、林両氏の名前は記憶しておきましょう。
 報告書に対する、渡辺新社長のコメントは以下。
 

重く受け止め、公正な報道徹底 慰安婦報道、第三者委報告 朝日新聞社社長・渡辺雅隆:朝日新聞デジタル

 第三者委員会から本社の慰安婦報道に関する報告書を受け取りました。客観的な検証作業をもとに、朝日新聞社が抱えるさまざまな問題点を厳しく指摘していただいたものと、重く受け止めております。
 慰安婦報道をめぐる一連の対応では、みなさまの信頼を損ねてしまっただけでなく、新聞報道全体への信認も傷つけてしまいました。改めて深くおわび申し上げます。報道機関として、あってはならない事態を招いたことは痛恨の極みです。重大な危機にあることを自覚し、朝日新聞社を根底からつくりかえる覚悟で改革を進めることを約束いたします。

 
問題は、はっきりしています。


 戦争中に済州島で朝鮮人慰安婦を強制連行したとする故吉田清治氏の証言を繰り返し取り上げ、証言が虚偽であるとの疑いが強くなったあとも取り消しませんでした。
担当記者らの思い込みが強く、裏付け取材がおろそかになっていました。誤報を長年放置したのは、批判に正面から向き合わなかった結果であり、謙虚さに欠けていたと思います。何よりも事実を記録するという責務に忠実とは言えません

 経営陣の責任は重大です。8月の慰安婦報道をめぐる検証記事では、出稿を担う
編集部門の紙面作りに経営陣が危機管理案件として関与しながら、吉田氏の証言に関する記事を取り消したのに謝罪しないという誤った判断をしました。「過ちがあったら謝罪もするべきではないか」と指摘した池上彰氏のコラム「新聞ななめ読み」の掲載見送りも、「謝罪しない」という方針にこだわった当時の経営トップの判断の誤り
でした。
 報告書では「編集(部門の紙面づくり)に経営が介入することは、最小限に、しかも限定的であるべきだ」と指摘されました。編集へのゆきすぎた関与は、
会社の事情を優先する内向きの体質が招いた結果で、読者に公正で正確な記事を届けるという大原則が二の次になっていました。
<後略>
 

 報告書は朝日の体質を問うているのに、当時の記者や経営陣に責任をかぶせようとしている意志が滲み出ていると感じてしまうのは、遊爺だけでしょうか。

 委員会は、提言内容を朝日が実践するか、後日検証したいと提言していますが、「PDCA」の「C チェック」は実践されるのでしょうか。是非チェクが実現されることを願います。



 # 冒頭の画像は、朝日誤報記事検証第三委員会メンバー



  この花の名前は、オラルヤ・グランディフロラ


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