日中韓外相会談が開かれています。日中韓首脳会談に向けた準備の会議ですが、前回の韓国で開催された頃には、中韓がタッグを組み、歴史認識で日本を攻撃する会議になると想定されましたが、風向きは大きく変わり、中国が孤立し、日韓批判をする会議の様相ですね。
いや、兼ねて圧力をかけていた「THAAD」配備を韓国が受け入れたことで、対韓批判を強めている様に見えます。対日姿勢は、尖閣の軍事力誇示と、経済接近の両面作戦かとも。
ここでは、対韓批判についての石平氏の記事を取り上げさせていただきます。
朴槿恵の要望に応えて、対日歴史認識攻撃で共同戦線を張った中国。狙いは、日米韓の連携を崩すことでした。 なので、米中の間に挟まれた韓国は、「THAAD」の導入は態度を保留し先延ばししてきていました。米国側も、強く要請し追い込むことはしませんでした。
ところがここへきて、中国の南シナ海での軍事基地建設が止まらないこと、北朝鮮のミサイル開発が進んでいることから、「THAAD」配備による、抑止力強化での軍事バランスを保つ必要が出てきました。勿論、北の脅威は誰あろう韓国が最も最前線にあり、韓国が備えを強化せねばならなくなったのですね。
中国の環球時報ネット版「環球網」に載った論説と言えば、政府の意向を受けたものですが、そこで注目されるのは、石平氏が指摘される、単なる韓国批判にとどまらず、韓国をやり玉に挙げると同時に、周辺諸国に、中国に逆らうとどうなるかを示そうとしているとの指摘です。
中国は一方的にルールを作って周辺国に強制すべきだと堂々と主張し、「中国と付き合うのにはルールがある。(それに従わず)わがままな行動を取った場合、お尻をたたかれなければならない」というのです。
「中華の夢」を掲げる習近平の政策そのものですね。
「領海及び接続水域法」を1992年に国際法を無視し勝手に作り、尖閣は中国の領土で「核心的利益」と唱え、更に東シナ海に「ADIZ」の設定もしました。南シナ海では、「九段線」という根拠のあいまいな境界線を、やはり国際法を無視して唱え、力づくで軍事基地化を進めているのですね。
その「九段線」が、仲裁裁判所で否認され、韓国に「THAAD」を配備される。「中華の夢」を掲げる習近平は面目丸つぶれで、政治生命が危うくなっているのですね。
来年のチャイナセブンの椅子取り争いが激化するなか、江沢民・上海閥、胡錦濤・共青団派からの攻勢をどうかわすか、崖っぷちに立たされていると言えます。
外交の失点をどう立て直すか。失速する経済を、どう立て直すか。直面する難題を前に、人民の眼をどう逸らすか。現在の様子は、力を誇示して、強い中国を示すことにしている様ですね。それが、ますます国際社会から孤立する逆行する道だとは思わない。
宮家氏が、最近随所で指摘しておられますが、中国の首脳陣に国際外交に通じた人材がおらず、場当たり的な迷走を続けている中国の外交。どこへ向いているのか解らない。
窮鼠猫を噛むといいます。北朝鮮なら窮鼠ですが、中国は窮獅子ですから、迷走の影響は甚大。日本の備えも、おおきなものが必要ですね。
【緊迫・東シナ海】尖閣念頭に新型ミサイル 防衛費、過去最大の5兆1685億円要求 - 産経ニュース
# 冒頭の画像は、日中韓外相会談を翌日に控えた夕食会を前に記念撮影する中国の王毅、岸田文雄、韓国の尹炳世の3氏
この花の名前は、ウンナンオウバイ
↓よろしかったら、お願いします。
いや、兼ねて圧力をかけていた「THAAD」配備を韓国が受け入れたことで、対韓批判を強めている様に見えます。対日姿勢は、尖閣の軍事力誇示と、経済接近の両面作戦かとも。
ここでは、対韓批判についての石平氏の記事を取り上げさせていただきます。
「覇主国家意識」あらわに (8/25 産経 【石平のChina Watch】)
先月13日、韓国政府が米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を韓国国内に配備すると発表して以来、それが自国の安全に対する「脅威」だと言い張る中国政府は「制裁」の部分的発動などの圧力を韓国側にかけてきたと同時に、各宣伝機関や御用学者を総動員して、韓国の措置に対するすさまじい批判キャンペーンを展開している。
こうした中で、中国の環球時報ネット版「環球網」は今月16日、ある軍関係者の韓国批判発言を紹介したが、それは実に興味深いものだった。
発言者は中国国防大学戦略研究所元所長の楊毅教授で、少将の軍階級をもつ現役の軍人である。韓国の「THAAD配置」に関する座談会で楊教授は、中国の意向に反して配置を決めた韓国に対し「徹底的な懲罰」を加えるべきだと主張した上で、こう語るのである。
「今度は徹底的に韓国を懲らしめることによって、今後のための1つのルールを確立することができる。(韓国だけでなく)周辺国に分からせよう。中国と付き合うのにはルールがある。(それに従わず)わがままな行動を取った場合、お尻をたたかれなければならないのだ」と。
楊教授発言にできるだけ忠実な日本語訳だが、ポイントは2つあると思う。1つは、韓国を懲らしめることによって中国と韓国、中国と周辺国が付き合う場合の「ルール」を確立すべきだと彼が主張している。
もちろんその場合、「ルール」を確立するのは中国の方であって韓国やその他の周辺国ではない。しかも中国は、韓国や周辺国との話し合いによって「ルール」を作るのでもなく、「懲らしめる」という中国側の一方的な強制力をもって、それを確立すべきだというのである。
つまり楊教授はここで、韓国や周辺国との関係において、中国は一方的にルールを作って周辺国に強制すべきだと堂々と主張している。ここにはもはや、国家間平等の観念や「皆で共通のルールを作ろう」という国際社会の常識はかけらもない。あるのはただ、中国こそがアジアと世界の絶対的な「立法者」であり、独尊無二の「覇主」であるという、あまりにもゆがんだ自国意識である。
それでは、周辺国が「中国のルール」に従わない場合はどうなるのか。それについて楊教授発言は次のような答えを用意している。つまり、「お尻をたたかれる」というのである。
中国語の世界では、「お尻をたたくぞ」というのはたいてい、親や学校の先生がいたずらの悪童に対してよく使う言葉だ。韓国や周辺国などの主権国家に対し、このような言葉が自然に口から出てきたことは驚くべきである。
往時の華夷(かい)秩序において、中華帝国は自らのことを「親」としての「宗主国」を自任し、周辺国や民族を単なる「教化されてない蒙童(もうどう)」として取り扱っていたが、こうした覇道主義的中華思想の亡霊が目の前に蘇(よみがえ)ってきているのである。
それは中国の一軍人の妄言として片付けられるようなものではない。楊教授の発言はまさに公の発言として堂々と発表され、中国全国のネットで広く流布されている。「お尻をたたく」という言葉は多くの新聞紙やネットニュースのタイトルにもなっている。それに対する異論や批判は国内では一切ない。国際社会では信じられないほどゆがんだこの発言は、中国ではむしろごく自然に当然な言葉として受け止められている。
これを見てわれわれは一つ、大事なことを銘記しておかなければならない。昔の中華帝国のように力ずくで周辺国をねじ伏せ、中国の一方的なルールに従わせて自らが覇主となるというこの恐ろしい意識こそ、今の中国政府と多くの中国人エリートの本音と野望なのである。
先月13日、韓国政府が米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」を韓国国内に配備すると発表して以来、それが自国の安全に対する「脅威」だと言い張る中国政府は「制裁」の部分的発動などの圧力を韓国側にかけてきたと同時に、各宣伝機関や御用学者を総動員して、韓国の措置に対するすさまじい批判キャンペーンを展開している。
こうした中で、中国の環球時報ネット版「環球網」は今月16日、ある軍関係者の韓国批判発言を紹介したが、それは実に興味深いものだった。
発言者は中国国防大学戦略研究所元所長の楊毅教授で、少将の軍階級をもつ現役の軍人である。韓国の「THAAD配置」に関する座談会で楊教授は、中国の意向に反して配置を決めた韓国に対し「徹底的な懲罰」を加えるべきだと主張した上で、こう語るのである。
「今度は徹底的に韓国を懲らしめることによって、今後のための1つのルールを確立することができる。(韓国だけでなく)周辺国に分からせよう。中国と付き合うのにはルールがある。(それに従わず)わがままな行動を取った場合、お尻をたたかれなければならないのだ」と。
楊教授発言にできるだけ忠実な日本語訳だが、ポイントは2つあると思う。1つは、韓国を懲らしめることによって中国と韓国、中国と周辺国が付き合う場合の「ルール」を確立すべきだと彼が主張している。
もちろんその場合、「ルール」を確立するのは中国の方であって韓国やその他の周辺国ではない。しかも中国は、韓国や周辺国との話し合いによって「ルール」を作るのでもなく、「懲らしめる」という中国側の一方的な強制力をもって、それを確立すべきだというのである。
つまり楊教授はここで、韓国や周辺国との関係において、中国は一方的にルールを作って周辺国に強制すべきだと堂々と主張している。ここにはもはや、国家間平等の観念や「皆で共通のルールを作ろう」という国際社会の常識はかけらもない。あるのはただ、中国こそがアジアと世界の絶対的な「立法者」であり、独尊無二の「覇主」であるという、あまりにもゆがんだ自国意識である。
それでは、周辺国が「中国のルール」に従わない場合はどうなるのか。それについて楊教授発言は次のような答えを用意している。つまり、「お尻をたたかれる」というのである。
中国語の世界では、「お尻をたたくぞ」というのはたいてい、親や学校の先生がいたずらの悪童に対してよく使う言葉だ。韓国や周辺国などの主権国家に対し、このような言葉が自然に口から出てきたことは驚くべきである。
往時の華夷(かい)秩序において、中華帝国は自らのことを「親」としての「宗主国」を自任し、周辺国や民族を単なる「教化されてない蒙童(もうどう)」として取り扱っていたが、こうした覇道主義的中華思想の亡霊が目の前に蘇(よみがえ)ってきているのである。
それは中国の一軍人の妄言として片付けられるようなものではない。楊教授の発言はまさに公の発言として堂々と発表され、中国全国のネットで広く流布されている。「お尻をたたく」という言葉は多くの新聞紙やネットニュースのタイトルにもなっている。それに対する異論や批判は国内では一切ない。国際社会では信じられないほどゆがんだこの発言は、中国ではむしろごく自然に当然な言葉として受け止められている。
これを見てわれわれは一つ、大事なことを銘記しておかなければならない。昔の中華帝国のように力ずくで周辺国をねじ伏せ、中国の一方的なルールに従わせて自らが覇主となるというこの恐ろしい意識こそ、今の中国政府と多くの中国人エリートの本音と野望なのである。
朴槿恵の要望に応えて、対日歴史認識攻撃で共同戦線を張った中国。狙いは、日米韓の連携を崩すことでした。 なので、米中の間に挟まれた韓国は、「THAAD」の導入は態度を保留し先延ばししてきていました。米国側も、強く要請し追い込むことはしませんでした。
ところがここへきて、中国の南シナ海での軍事基地建設が止まらないこと、北朝鮮のミサイル開発が進んでいることから、「THAAD」配備による、抑止力強化での軍事バランスを保つ必要が出てきました。勿論、北の脅威は誰あろう韓国が最も最前線にあり、韓国が備えを強化せねばならなくなったのですね。
中国の環球時報ネット版「環球網」に載った論説と言えば、政府の意向を受けたものですが、そこで注目されるのは、石平氏が指摘される、単なる韓国批判にとどまらず、韓国をやり玉に挙げると同時に、周辺諸国に、中国に逆らうとどうなるかを示そうとしているとの指摘です。
中国は一方的にルールを作って周辺国に強制すべきだと堂々と主張し、「中国と付き合うのにはルールがある。(それに従わず)わがままな行動を取った場合、お尻をたたかれなければならない」というのです。
「中華の夢」を掲げる習近平の政策そのものですね。
「領海及び接続水域法」を1992年に国際法を無視し勝手に作り、尖閣は中国の領土で「核心的利益」と唱え、更に東シナ海に「ADIZ」の設定もしました。南シナ海では、「九段線」という根拠のあいまいな境界線を、やはり国際法を無視して唱え、力づくで軍事基地化を進めているのですね。
その「九段線」が、仲裁裁判所で否認され、韓国に「THAAD」を配備される。「中華の夢」を掲げる習近平は面目丸つぶれで、政治生命が危うくなっているのですね。
来年のチャイナセブンの椅子取り争いが激化するなか、江沢民・上海閥、胡錦濤・共青団派からの攻勢をどうかわすか、崖っぷちに立たされていると言えます。
外交の失点をどう立て直すか。失速する経済を、どう立て直すか。直面する難題を前に、人民の眼をどう逸らすか。現在の様子は、力を誇示して、強い中国を示すことにしている様ですね。それが、ますます国際社会から孤立する逆行する道だとは思わない。
宮家氏が、最近随所で指摘しておられますが、中国の首脳陣に国際外交に通じた人材がおらず、場当たり的な迷走を続けている中国の外交。どこへ向いているのか解らない。
窮鼠猫を噛むといいます。北朝鮮なら窮鼠ですが、中国は窮獅子ですから、迷走の影響は甚大。日本の備えも、おおきなものが必要ですね。
【緊迫・東シナ海】尖閣念頭に新型ミサイル 防衛費、過去最大の5兆1685億円要求 - 産経ニュース
# 冒頭の画像は、日中韓外相会談を翌日に控えた夕食会を前に記念撮影する中国の王毅、岸田文雄、韓国の尹炳世の3氏
この花の名前は、ウンナンオウバイ
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