遊爺雑記帳

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激化する中国共産党の権力闘争、習近平派官僚たちを次々に襲う「不幸」

2022-06-24 01:33:55 | 中国 全般
 秋の第20回中国共産党大会では、習近平が定年制を超え、毛沢東時代の専制体制構築する方向で邁進していると見えていましたが、習近平の失政の責任を負わされて左遷や自殺に追い込まれていく側近官僚が続出。意外や習近平が追い込まれていると指摘しておられるのは、福島香織氏。
 反習近平派の習近平暴走の阻止がなるのか、官僚の尻尾切で習近平が逃げ切れるのか。内情に詳しい福島さんが近況を教えていただいています。
 
激化する中国共産党の権力闘争、習近平派官僚たちを次々に襲う「不幸」 どれだけ権力と富が約束されてもなりたくない中国の官僚 | JBpress (ジェイビープレス) 2022.6.23(木) 福島 香織:ジャーナリスト

 秋の第20回党大会が近づくにつれて党内の習近平 VS.反習近平派が繰り広げる権力闘争が激化してきたようだ。

 
この争いでもっとも翻弄されるのが、官僚たち習近平の代わりに責任を取らされて左遷されたり、失脚させられたりする官僚が続々と出ている。最近も、国家糧食物資儲備(備蓄)局局長の張務鋒が汚職で失脚。また外交部次官で習近平の親ロシア外交を支えてきた楽玉成が国家ラジオテレビ総局副局長に“左遷”させられたり、元新疆ウイグル自治区書記で次の党大会では政治局常務委員に出世するとみられていた陳全国が党中央農村工作指導小組副組長に降格させられていたことが判明している。

 
習近平はこの10年反腐敗キャンペーンを猛烈に推し進め、自分の気に入らない官僚を汚職・規律違反などを理由に次々排除してきたことで知られるが、ここにきて、習近平に忠実でお気に入りと言われていた官僚の失脚が相次いだ。これが、習近平にべったりついていくのは危ない、という官僚たちの習近平離反の動きにつながれば、習近平の第3期目継続の野望の大きな障害になるかもしれない。

食糧備蓄政策は失敗、失脚させられた張務鋒
 6月15日、
中央規律検査委員会国家監察委員会サイト国家糧食物資備蓄局長で同局党委員会書記の張務鋒が深刻な規律違反容疑で、目下、中央規律委員会・国家監察委員会で尋問、取り調べを受けていると発表した。同サイトは6月22日までに26人の官僚の汚職問題を発表し、うち張務鋒を含む16人が党中央規律検査委員会の取り調べを受けており、10人が党規律政務処分を受けたとしている。

 この中で
注目を浴びている張務鋒は1960年生まれ、山東省出身。文革後の大学入試復活2年目の試験で済寧商業学校の統計学部に入学、卒業後、山東省工商局に入局した。その後、臨沂市長、山東省発展改革委員会主任、山東省副省長を歴任し、2017年2月に中央の国家発展改革委員会を経て国家糧食局長になった。これは習近平の妻で山東省出身の彭麗媛の推薦人事であったといわれている

 2018年3月の国家機構改革で、国家糧食局は廃止され、新たに
「国家糧食物資備蓄局」が新設され、その初代局長兼書記に抜擢された。中国における食糧備蓄の全責任を任され「天下の食糧庫」の鍵を握るような立場であった。

 
習近平は中国の食糧安全問題を重視しており、国家糧食物資備蓄局は、食糧備蓄に関する自分の権限を強化するために新設した省庁だった。だが、結果的に中国の糧食システムを混乱させた。特に昨年の異常な国際マーケットでの食糧買い占め問題や、新型コロナ禍で流通が寸断される中での、家庭・地域における食糧備蓄令による食糧高騰や不足、官僚の食糧横流し問題が人民の強い不満を引き起こしていた。党内では習近平の食糧備蓄政策は失敗という見方が濃厚だ。

 
張務鋒の汚職・腐敗の中身についてはまだ詳細は報じられていない彼が最後に公式の場に登場したのは5月23日、北京で開催された全国糧食物資備蓄ハイテク・人材興糧興備工作経験交流会だった。この交流会では、「天下の食糧庫」管理強化と「大国備蓄」強化のキャンペーンを打ち出していた

 3月下旬から4月19日にかけて
党中央規律検査委員会の中央巡視組(汚職Gメン)が国家糧食物資備蓄局に調査に入ったのが張務鋒失脚の決定打になったようだが、今年(2022年)1月、中国儲備糧管理集団(中儲糧)の元党員で副総経理の徐宝義がすでに失脚していた。中儲糧は国家発展改革委員会、国家糧食物資備蓄局の命を受けて中央の投資プロジェクトの基本建設計画を組織し、実施していた。ほかにも糧食備蓄分野においては中糧集団の総会計士の駱家駹や、旧国家糧食局の元局長の顧艶華、元福建省糧食局副局長の黄敬和、江蘇省糧食物資備蓄局副局長の曹衛東らが次々汚職で摘発されていた

 
昨年11月末には、中央規律検査委員会と国家監察委員会は、10件におよぶ糧食購入販売における典型的な違法行為があったと発表している。具体的には湖北省や陝西省、重慶市、雲南省などの食糧備蓄当局や関連企業による贈収賄、公金横領などの事件だ。こうした地方は、いずれも習近平派の官僚の影響力が強い地域だ。

 
張務鋒の失脚については、ニューヨーク在住の華人評論家の陳破空が面白い分析をしていた。これは、反習近平派が中央規律検査委員会書記の趙楽際(政治局常務委員)と組んで、習近平を追い込む権力闘争の結果という。

「失敗」した官僚たちの末路
 
習近平は自分の権力掌握のために国家機構改革を行い、自分のお気に入りの官僚を抜擢し、「大躍進」的運動型の政策をいくつも実施している。しかしその多くがすでに失敗している。何人か列挙してみよう。

・李金早

 たとえば
2017年に習近平が打ち出した「トイレ革命」は、中国人民に清潔なトイレを提供し、人民の生活の質を向上させるという名目で、その任務を李金早(当時の国家文化旅游局副局長)に一任した。

 この政策では立派なトイレを3年以内に何万戸つくるという大号令が発せられ、
2017年暮れには1年だけで7万のトイレをつくった(初期計画では3年で5.7万戸という目標だったがそれを大きく超えた)と成果が喧伝された。だが、実際は観光客も行かないような貧しい農村やへき地に、水や電気が通っていない、見た目だけ立派なトイレをつくったにすぎず、現場の官僚や農民たちからは非常に不評だった。

 そして
2020年7月、突然、李金早は汚職で失脚。今年4月に懲役15年という重刑が確定して獄中にあるが、具体的にどういった汚職容疑かははっきりとは報道されていない。李金早の汚職は習近平に抜擢される前の広西チワン族自治区の官僚時代に起きたものらしいが、本当のところはトイレ革命の失敗をうやむやにするために、李金早を汚職で失脚させたのではないか(汚職自体はほとんどの官僚がやっている、それを摘発されるのは政治的理由が多い)、と当時は噂された。

・廖国勲

 失脚ではないが、
今年4月27日、天津市市長で副書記の廖国勲が急死している。原因は伏せられているが、「自殺」らしい。

 彼も
習近平のお気に入り官僚で、新型コロナPCR検査利権に絡む人物とみられていた。コロナ対策のストレスによって自ら自殺を選んだのか、あるいはゼロコロナ政策の影にある利権・汚職問題を隠蔽するために「自殺させられた」のか、いろいろ想像力を羽ばたかせた噂が飛び交っている

 ちなみに廖国勲死後に
市長の職務を引き継いだ張工は国務院系と呼ばれる李克強派の人間。自殺にしろ、過労死にしろ、暗殺にしろ、廖国勲の死は、習近平のゼロコロナ政策は失敗とする見方を補強することになった

・陳全国

 習近平のお気に入り官僚といえば、新疆ウイグル自治区で
習近平の肝いり政策・ウイグル人強制収容政策(ウイグルジェノサイド政策)を猛烈に推し進めた元自治区書記の陳全国が、昨年12月にいきなり書記を免職され、どうなったかと思っていたら、党中央農村工作指導小組の副組長というかなり格下の職位に異動となっていた。

 チベット、ウイグルの両自治区書記という華麗な行政経験から次期政治局常務委員入り確実とみなされていた陳全国が、このように
突如出世レースから脱落したのは、習近平のウイグル政策が党内で失敗だと結論づけられ、その責任を習近平の代わりに負ったという見方で正しいだろう。

・楽玉成

 外交部次官で
次の外交部長(外相)の座が約束されていると言われていた楽玉成も6月14日、突然、国家ラジオテレビ総局副局長に異動した。ロシア通で習近平の親ロ外交路線を支えてきた習近平のお気に入り外交官が専門外の国家ラジオテレビ総局に左遷させられたのも、習近平の親ロ外交が党中央から失敗と結論づけられ、その責任を習近平の代わりに負わされたといえる。

 
6月17日、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムで習近平がオンライン参加し挨拶したが、このとき「米国の一方的制裁に反対する」といういつものフレーズを口にしなかった。チャイナウォッチャーたちは、これを中国の親ロ外交路線修正へのシグナルと感じている。

次はどの官僚か?
 さて、張務鋒も李金早も廖国勲も陳全国も楽玉成も、
習近平の言う通り忠実に職務を全うしただけなのに、失脚させられたり左遷させられたり、あるいは「自殺させられたり」したわけだ。次はどの「習近平のお気に入り官僚」が、習近平の政策の失敗の責任を取らされるのか

 習近平のゼロコロナ政策を最後まで忠実にやり切ったせいで、上海市を大混乱に陥れた上海市の書記の李強か、あるいは、多くの国の政治的ボイコットにもめげず、徹底的なゼロコロナ政策のもと北京冬季五輪をやり切った北京市書記の蔡奇か。あるいは公安部で唯一習近平が信頼していると言われている公安部書記で公安部特勤局長の王小洪か。

 
習近平は公安部内で反習近平派がクーデターを画策しているのではないかと疑い、2019年に公安部組織改革を行ったこのとき公安部特勤局(監察局)という公安内部および党内の反習近平派に対する監視強化の部局を新設王小洪を局長に就けるとともに2021年11月、公安部党委員会書記を公安部長の趙克志から特勤局長の王小洪に挿げ替えた

 王小洪がもし汚職に問われるとしたら、一番可能性があるのは王小洪が福建省福州市公安局に勤務していた時代で、この時の福州市書記は習近平。陳破空によれば、反習近平派の当面のターゲットは王小洪ではないか、という。

 
習近平と王小洪の関係は、かつて習近平から権力の座を奪おうと画策して失敗し、失脚した重慶市の書記の薄熙来と、重慶市公安局長の王立軍の関係に近いそうだ。つまり、双方がお互いの暗い過去の秘密を握りあう一連托生関係。王小洪が失脚すれば、習近平も無事ではいられないかもしれない。薄熙来の失脚も決定的な原因は王立軍の在成都米領事館駆け込み事件だったから、王小洪も習近平の命運を握るキーマン、というわけだ。

 ただ、今はあらゆる政策の失敗が党内で問題視され
追い詰められて劣勢に見える習近平が、その勢力を盛り返すタイミングは見つかるかもしれない。中央規律検査委委員会書記の趙楽際も、その他政治局常務委員も、汚職・腐敗・スキャンダルの1つや2つはある。そこを反撃されて情勢がひっくりかえることもあるだろう。ロシア・ウクライナ戦争の決着のつき方や、米中関係の行方もおそらく影響するだろう。

 さて、
この権力闘争にある程度の見通しがつくまで、一体どれだけの官僚の運命が変転するだろうか。私などはいくら強い権力と富が約束されても中国の官僚だけにはなりたくないと思ってしまう。

 秋の第20回党大会が近づくにつれて党内の習近平 VS.反習近平派が繰り広げる権力闘争が激化してきたようだと福島さん。
 習近平は、着々と毛沢東時代の体制への復帰を進めていると思っていましたが、もう党大会は目前となってきた今、意外にもまだまだ混迷が見られる様子。習近平の失政での尻尾切りで、少なくない官僚が犠牲にされて、党内の習近平 VS.反習近平派が繰り広げる権力闘争が激化してきた様子。
 
 この争いでもっとも翻弄されるのが、官僚たち。習近平の代わりに責任を取らされて左遷されたり、失脚させられたりする官僚が続々と出ていると福島さん。
 ここにきて、習近平に忠実でお気に入りと言われていた官僚の失脚が相次いだ。これが、習近平にべったりついていくのは危ない、という官僚たちの習近平離反の動きにつながれば、習近平の第3期目継続の野望の大きな障害になるかもしれないと。

 国家糧食物資備蓄局長で同局党委員会書記の張務鋒が深刻な規律違反容疑で、目下、中央規律委員会・国家監察委員会で尋問、取り調べを受けていると、中央規律検査委員会国家監察委員会サイトが発表。
 
 3月下旬から4月19日にかけて党中央規律検査委員会の中央巡視組(汚職Gメン)が国家糧食物資備蓄局に調査に入ったのが張務鋒失脚の決定打になったようだが、今年(2022年)1月、中国儲備糧管理集団(中儲糧)の元党員で副総経理の徐宝義がすでに失脚。ほかにも糧食備蓄分野においては中糧集団の総会計士の駱家駹や、旧国家糧食局の元局長の顧艶華、元福建省糧食局副局長の黄敬和、江蘇省糧食物資備蓄局副局長の曹衛東らが次々汚職で摘発されていたのだそうです。
 
 習近平は中国の食糧安全問題を重視しており、国家糧食物資備蓄局は、食糧備蓄に関する自分の権限を強化するために新設した省庁だった。だが、結果的に中国の糧食システムを混乱させたと福島さん。
 党内では習近平の食糧備蓄政策は失敗という見方が濃厚なのだそうです。
 
 張務鋒の失脚については、ニューヨーク在住の華人評論家の陳破空が面白い分析をしていた。これは、反習近平派が中央規律検査委員会書記の趙楽際(政治局常務委員)と組んで、習近平を追い込む権力闘争の結果なのだと。

 習近平は自分の権力掌握のために国家機構改革を行い、自分のお気に入りの官僚を抜擢し、「大躍進」的運動型の政策をいくつも実施している。しかしその多くがすでに失敗しているとのことで、李金早、廖国勲、陳全国、楽玉成の4人を列挙されています。
 習近平の言う通り忠実に職務を全うしただけなのに、失脚させられたり左遷させられたり、あるいは「自殺させられたり」したわけだ。次はどの「習近平のお気に入り官僚」が、習近平の政策の失敗の責任を取らされるのかと福島さん。

 習近平は公安部内で反習近平派がクーデターを画策しているのではないかと疑い、2019年に公安部組織改革を行った。このとき反習近平派に対する監視強化の部局を新設、王小洪を局長に就けるとともに2021年11月、公安部党委員会書記を公安部長の趙克志から特勤局長の王小洪に挿げ替えた。
 習近平と王小洪の関係は、かつて習近平から権力の座を奪おうと画策して失敗し、失脚した重慶市の書記の薄熙来と、重慶市公安局長の王立軍の関係に近いそうだと、懐かしい話を福島さん。
 王小洪が失脚すれば、習近平も無事ではいられないかもしれない。薄熙来の失脚も決定的な原因は王立軍の在成都米領事館駆け込み事件だったことは、諸兄もご存知の事件。

 今はあらゆる政策の失敗が党内で問題視され追い詰められて劣勢に見える習近平が、その勢力を盛り返すタイミングは見つかるかもしれない。
 権力闘争にある程度の見通しがつくまで、一体どれだけの官僚の運命が変転するだろうか。私などはいくら強い権力と富が約束されても中国の官僚だけにはなりたくないと思ってしまうと福島さん。



 # 冒頭の画像は、サンクトペテルブルク国際経済フォーラムにオンラインで参加した中国の習近平国家主席




  この花の名前は、アメリカナデシコ


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